見れば絶対にお腹が減る飯テロな小説が登場!あやかしがたくさん棲んでいる「隠世(かくりよ)」で、料理上手の女子大生が奮闘するファンタジーです。この記事では、既刊全巻分の見どころをご紹介していきます。
2015年に1巻が発売されて以来、大人気シリーズとなっている小説「かくりよの宿飯」。作者は友麻碧です。2016年には漫画化、2018年にはテレビアニメ化も決定し、ますます注目度が高まっているといえるでしょう。
料理の得意な女子大生・津場木葵(つばきあおい)が、ひょんなことから異世界へと連れ去られ、祖父の借金のかたとして鬼神に嫁入りさせられそうになるところから物語は始まります。
まるで「美女と野獣」のような展開ですが、本作の見どころはここから。どうしても嫁入りをしたくない彼女は、借金返済のため自身の料理の腕を活かして食堂を開き、お金を稼ごうと考えるのです。
葵と鬼神の恋愛の行方はもちろん、彼女の作る料理にお腹が減ってしまうこと間違いなし!飯テロファンタジー小説となっています。
料理を作ることも食べることも大好きな、女子大生の葵。彼女には、あやかしを見ることができる特殊な能力がありました。
唯一の肉親だった祖父を亡くし、悲しみにくれていると、突然「隠世(かくりよ)」に連れ去られ……?
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2015-04-12
1巻ということで、最初は舞台となる異世界の設定や雰囲気に慣れる必要がありますが、妖怪や魔界などのジャンルに少しでも触れたことがある方ならすんなりと入り込むことができるでしょう。
物語は、祖父が「隠世」で作った借金のかたとして、孫の葵を嫁にやるというトンデモない約束をしていたことをきっかけに動き出します。その相手は「隠世」にある老舗宿「天神屋」の大旦那で、なんと鬼神というあやかし。
もちろんそんなこと承諾できない葵は、借金を返済するために自身の料理の腕を活かし、「天神屋」で働くことになりました。若女将で雪女のお涼、若旦那で九尾の狐の銀次などをはじめ、さまざまなあやかしたちと料理を通じて交流していきます。
祖父がトラブルメーカーだったこともあり、最初は彼らとの間に壁がありましたが、葵の作る家庭的で気持ちのこもった料理は皆の心を柔らかくしていきます。
また登場する料理も、読者が日ごろから食べているようなものばかり。イメージがしやすいので、読んでいるうちにお腹がすいてしまうはずです。
借金を完済するために、「天神屋」のはなれを借りて食事処「夕がお」を開店させた葵。銀次にも助けられながら張り切って働きます。
しかし、なぜか「夕がお」には困難ばかりが降り注ぎ……。
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2015-09-15
2巻では食事処「夕がお」を開店し、本格的に働くことになります。しかし実は「夕がお」を開いた「天神屋」のはなれは、鬼門中の鬼門といわれる場所にありました。そのためお客さんはほとんど来店せず、営業がうまくいきません。
ただ葵は、そんな状況にも屈せずにあの手この手で策を練り、見ていて応援したくなってしまうでしょう。
また、前巻では曖昧な存在だった大旦那の鬼神ですが、本巻では葵の料理をきにいっている様子が見られました。恐ろしい種族だということも忘れてしまいそうになるくらい、微笑ましいエピソードも描かれています。葵は嫁入りの件をまったく承諾していませんが、ついこれからの展開に期待してしまう雰囲気です。
もちろん飯テロっぷりも健在。おにぎりやお弁当など、けっして凝ったものではないですが、とにかくおいしそう……!期待を裏切りません。
食事処「夕がお」の経営は、あやかしたちの助けもあり、やっと軌道に乗りはじめました。葵もますます張り切っている様子です。
ある日大旦那が「天神屋」を留守にしていると、ライバル宿の「折尾屋」の番頭、天狗の葉鳥が訪ねてきます。「折尾屋」はかつて銀次が働いていたところで……。
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2016-02-10
3巻では「夕がお」が繁盛するようになり、平穏に物語が進んでいく……わけはなく、ライバル宿である「折尾屋」の葉鳥が登場します。
彼はかつて「天神屋」の番頭をしており、銀次とも関わりが深いよう。銀次は当初から葵にとっての強い味方だったので、不穏な空気に心配になります。
その一方で、大旦那と葵の恋愛が加速!空腹を誘う家庭料理と、2人のつかず離れずの距離感をお楽しみください。
突然やってきた「折尾屋」の葉鳥は、あろうことか銀次を連れ去ろうとしました。
阻止しようとする葵ですが、反対に彼女もさらわれてしまいます。行先は「折尾屋」のある南の地。何とか「天神屋」へ帰ろうと考えますが……⁉
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2016-06-11
地下牢へ入れられ散々な目に合う葵ですが、こんな時でも彼女の武器は料理!連れ去られた場所はまるで沖縄のような南国の地なので、普段とは一風変わった料理が登場します。
どんな状況でも彼女の作る料理と、あやかしたちの絆は盤石。ハラハラしつつも安心して読むことができるでしょう。
また、連れ去られた葵を助けるために潜入してきた大旦那にも注目。まさかの変装姿に、思わず笑ってしまうはずです。舞台が「天神屋」から離れたことで生まれる、葵と大旦那の新たな関係性にも注目ですね。
「折尾屋」の話はまだ次巻へと続きます。お手元にご準備のうえ、読み進めてください。
南国の地に連れ去られた葵ですが、困難に立ち向かい、得意の料理の腕を活かして、「折尾屋」でも徐々に仲間を増やしていきます。
そんな時、「折尾屋」の将来をかけた料理を彼女が担当することになり……?
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2016-11-15
最初は地下牢に入れられていた葵ですが、料理を通じて自分の居場所を作っていました。彼女の逆境に負けない前向きな性格は、読んでいて心地よいものがあります。
しかし5巻では、そんな葵をも落ち込ませてしまう出来事が。「折尾屋」にとって大切な料理「海宝の肴」を作っていたところ、それを邪魔する者が現れたのです。
なんと彼女の味覚を奪い……大ピンチ。
ただそんな状況で駆けつけてくれるのが、「天神屋」の面々。当初は衝突することもありましたが、今では彼女を助けるために南国まで来てくれる間柄になりました。仲間との絆を感じられるエピソードになっています。
「折尾屋」での大役を果たし、ようやく「天神屋」へ戻ってきた葵。食事処「夕がお」も再開させ、忙しい日々を送っていました。
秋祭りが近いということで準備に追われていると、大旦那から果樹園デートに誘われて……!?
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2017-05-15
大旦那と葵のデートは、「折尾屋」でともに試練を乗り越えたこともあり、これまでとはお互いに違う気持ちを抱いていることがわかります。2人が今後どのように進展していくのか、思わずニヤニヤしてしまいまう読者も多いでしょう。
また、「天神屋」で仲居として働いている狸娘の春日が嫁入りをするエピソードも。恋愛要素の強い6巻になっています。
もちろん葵の作る料理は相変わらずおいしそう。全体的にほのぼのとした巻ですが、ラストに向かうにつれ思わぬことが……。
春日の嫁入り、秋祭り、「天神屋」の新作お土産の開発など、相変わらず葵は大活躍です。
ある日、大旦那が出張で「天神屋」を留守にしていると、雷獣という大物のあやかしが現れました。これまで何かと「天神屋」を目の仇にしていましたが、なんと自分が大旦那になると言い出して……!?
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2017-11-15
大物のあやかしである雷獣はこれまでにもたびたび登場しており、葵たちの邪魔をしてきた存在でした。それでも何とかかわしていたのですが、今回は力技ともいえるような策略で、「天神屋」は史上最大の危機に見舞われます。
出張に出掛けていた大旦那は、まさかの囚われの身に。そして雷獣はその隙に「天神屋」を乗っ取ろうとするのです。葵をはじめ皆で対抗しますが、一筋縄ではいきません。ハラハラの展開です。
一方、銀次の動きにも注目。当初から葵に対して何かと親切にしてくれていた彼ですが、やはり葵のことを……。
また大旦那の謎が少し明かされ、新たな謎も生まれるなど、盛りだくさん。要チェックの7巻です。
出張のために天神屋を離れていた大旦那。その隙に現れたのは、何かと彼を目の仇にしている雷獣でした。
雷獣は、大旦那はもう天神屋には戻らない、代わりに自分が天神屋の大旦那になるのだという予言をして……!?
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2017-11-15
どの巻になっても葵の作る料理が美味しそうな『かくりよの宿飯』も第7弾です。本巻では、大旦那が行方不明という大事件が起こり、それに伴い天神屋も危機に陥ってしまいます。しかし、そんな危機に葵や銀次を始め天神屋の面々が一致団結していく様子は心温まるものがあるでしょう。
そんな中で、大旦那を探すために宙船ツアーに乗り込んだ葵は、そこで料理を振る舞うことになります。今回出てくる料理も、どれも本当に美味しそうで、読んでいてお腹が減ってしまうことは間違いなし! もちろん料理だけではなく、本巻では大きなストーリー、本作の世界の成り立ちのようなものが少しずつ明らかになっていきます。
葵がいるのは「隠世」という世界ですが、そもそも「隠世」とは何なのか、そして大旦那や天神屋の過去など、気になることが少しずつ明らかにされていくので、ぜひチェックしてみてくださいね。また、銀次の動きもチェックしたい1つ。彼の秘めた思いに読者もふと気が付く……。そんな展開にも注目です。
白夜から大旦那の過去について聞いた葵。複雑な想いを抱えたまま、それでも彼を救うために、少しでも味方を増やそうと動き出します。その過程で、彼女はある町起こしの手伝いをすることになり……!?
- 著者
- 友麻碧
- 出版日
- 2018-04-13
本巻の舞台は北の大地!大旦那のために味方を増やしたい葵達は、北の地を治める八葉・キヨのもとを訪れます。そこには、かつて天神屋で働いていた仲居・春日もおり、彼女達は久しぶりの再会を喜ぶのでした。
しかし、そんな喜びも束の間、彼女達は、キヨの協力を得るために町起こしを手伝うことになりました。舞台となる北の大地は北海道をイメージさせるような場所で、美味しそうな食べ物が魅力的です。
これまでも飯テロ小説としてその名を知られてきた本作ですが、北の大地メニューはその威力がさらに増幅。シリーズのなかでもお腹の空く度合が、より高くなりそうです。
また、久しぶりに再会した春日とお涼、葵の活躍にも注目してみてください。久しぶりのトリオについつい癒されてしまうこと間違いなしです。
その他にも、葵の過去や大旦那との関係なども少しずつ読み取れるようになってきます。葵が嫁入りするようになった本当の意味もわかってきそうな予感が漂います。
おいしそうな料理はもちろん、魅力のあるキャラクターたちから目が離せなくなってしまう「かくりよの宿飯」。アニメと一緒にぜひ読んでみてください。