雲田はるこのおすすめ作品6選!リアルな描写に心打たれる!

更新:2015.11.9 作成:2015.11.9

まるで実際の人物を間近で見ているような、彼らと一緒にこちらまで感情が動かされるような、そんなお話に出会ったことはありますか?漫画の中の他人事ではなく自分まで渦中にいるかのような感覚になれる雲田はるこ作品をご紹介します。

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柔らかな絵柄と、人間味あふれるストーリーで読者を魅了する漫画家、雲田はるこ

『いとしの猫っ毛』、『昭和元禄落語心中』などで話題の雲田はるこは、東京漫画社のアンソロジー雑誌『カタログシリーズ』にて漫画家デビュー。そして、『窓辺の君』、『野ばら』、『いとしの猫っ毛』、『昭和元禄落語心中』、『新宿ラッキーホール』等々、多数の作品を生み出している作家です。

とてもやわらかい絵をお描きになる雲田はるこ先生ですが、実は『いとしの猫っ毛』はトーンの代わりに薄墨で塗っているのだそうです!雲田先生のやわらかい雰囲気はこのようなこだわりから生まれていたのですね。

アニメ『舟を編む』ではキャラクター原案を担当しています。また、twitterアカウントでは誕生日を自身の漫画の登場人物の日にちで設定していて、愛情の深さも伺えます!

それでは雲田はるこ先生のおすすめ作品5作をご紹介します。

漫画でありながらお噺を聴いているかのよう。雲田はるこの代表作『昭和元禄落語心中』

落語を新しい形で魅せる『昭和元禄落語心中』はアニメ化もされましたので合わせてご覧いただく事をおすすめします。

刑務所を満期で出所した与太郎は、落語家・八雲が刑務所で公演した「死神」が忘れられず、出所してからは噺家として生きようと決め、八雲の元へ。当の八雲は弟子を取らない主義で断られてしまいますが、それでも諦めずに落語界に入っていきます。
 

著者
雲田 はるこ
出版日
2011-07-07


このお話の主人公は与太郎ですが、八雲ももう一人の主人公であると言っても良いと思います。八雲は過去に親友であり、ライバルでもあった人を亡くしており、彼の影を背負いながら落語の世界に生きている落語家です。彼の独特な話し方や雰囲気が色気を帯びていて、とても魅力的なのです。

落語を知らない方でも読みやすい作品ですので、是非読んでみてはいかがでしょうか。ちなみに、この作品だけBLではありませんが、雲田はるこ先生の良さは健在です。

引きこもり大学教授助手の密かな恋『窓辺の君』

雲田はるこ先生の初コミックス作品で、短いお話が1冊に凝縮された短編集になります。表題作の「窓辺の君」は大学で助手をしている柴田と学生の竹宮のお話です。

柴田はいつも窓からひっそりと見ているだけだった、王子のような外見の竹宮に夢を抱いていました。

しかし、実際の竹宮は軽い人間で、それに幻滅し適当に接していた柴田ですが、いつしか本当の竹宮に惹かれていってしまい……。
 

著者
雲田 はるこ
出版日
2009-04-10


他にも幼馴染、芸能人×マネージャー、ピアノの先生×ボクサー、変態教師×高校生、写真家×助手のお話が収録されています。

雲田はるこ先生の引き出しの多さ、そして一つ一つのお話が短いながらも深いのでとても満足感を感じられます。ハッピーエンドがお好きな方も、ちょっと切なくなるお話がお好きな方もどちらも楽しめますし、おまけのお話も収録されているので大満足の1冊になる事でしょう。

あなたの人生を僕に下さい『野ばら』

棘のある美しい花のように、チクッと心に刺さるふたりの人生のお話。

両親を亡くし、若くして洋食店を経営している梶原武は、従業員で既婚者の神田惣一郎が何故か気になっていました。ある日神田は妻に離婚を言い渡されてしまいますが、その理由というのが実は神田がゲイである事だったのです。

その事を知った梶原は、自分の気持ちは間違いなく神田に対する恋心で神田の今までの態度からしてもおそらく自分の事が好きなのだろう、と結論を出します。

しかし、ゲイである事を隠していたが故に妻を傷つけてしまったと自分を責める神田は梶原の気持ちから逃げようとしてしまいます。
 

著者
雲田 はるこ
出版日
2010-06-20


男が好きであるという事がしがらみとなり自分の気持ちを抑えて生きてきた神田と、そんな神田の傷を負った心ごと愛そうとする梶原の棘の多い恋愛。大人だからこそすんなりとはいかないもどかしさに引き込まれる事間違いなしです。

友達から、さらに大切な存在に『いとしの猫っ毛』

またたび荘という変人が多く住んでいるアパートで、小説家の花菱美三郎と幼馴染兼恋人で会社員の沢田恵一は一緒に暮らしています。

小さい頃からずっと沢田の事が好きだった花菱は高校の時に告白。告白を断ってしまったら花菱と離れる事になってしまう、それだけは絶対に嫌だと考えた沢田は告白を受け入れ交際が始まりました。

付き合ってはいるものの、なんとなく幼馴染の延長で傍にいるだけのような感じでキス以上のことは出来ずじまいでいた数年間。離れて暮らしていた期間が長く、やっと一緒に暮らせるようになったのに周りが騒がしくてなかなか進展が出来ずモヤモヤする二人はとても可愛いらしいです。
 

著者
雲田 はるこ
出版日
2011-02-01


作品のタイトルである『いとしの猫っ毛』とは沢田の事で、小説家の花菱が作中で執筆し入賞した作品と同じタイトルです。

身近な日常の中にある家族の愛やアパートの住民との絆等、人との関わりが深く描かれたこちらの作品は、幼馴染の恋模様がお好きな方はもちろん、ほのぼのとしたお話がお好きな方にも是非お読みいただきたいと思います。

北国を舞台にした繊細な少年達の恋『いとしの猫っ毛 小樽篇』

北海道小樽に住むどこか尖った雰囲気の高校生・花菱美三郎は同い年の幼馴染・沢田恵一に子供の頃からずっと片思い中。

雪の眩しさで白く輝く空気や、窓が曇って白く煙る冬の屋内の雰囲気等、北国の季節感がとても良く表現されていて、BL要素だけでなく、小説としての情景描写もまた素晴らしい作品です。

著者
雲田 はるこ
出版日
2013-02-01

しかし関係が壊れてしまうことを恐れてその気持ちを胸に秘めていようと思った矢先、恵一に初めての彼女が出来、激しく動揺する美三郎。募る思いを抑えきれなくなってきた美三郎が、体だけの関係を持っている男・清水に問いかけます。

「好きな人が不幸になるってわかってて 気持ちを押し付けるなんて間違ってる?」

『いとしの猫っ毛』の主人公みいくんと恵ちゃんの少年期~高校時代を描いた番外編です。

北海道の四季の景色の中、恋愛だけではなく家庭環境や進路に思い悩み揺れ動く思春期少年達の葛藤や成長が繊細なタッチで描かれており、この一冊だけでも話がきちんと完結しているので、BL初心者な皆さんにもぜひおすすめしたいです。

人間の綺麗な所も汚い所も愛おしく感じる、渋い男性の生き方『新宿ラッキーホール』

男性同士のビデオ製作会社の社長の苦味(くみ)と元ヤクザのサクマのお話です。裏社会と言える世界ですが、その泥臭さが雲田はるこ先生の描く少し古いような雰囲気とぴったり合っています。
 

著者
雲田 はるこ
出版日
2012-07-25


親の借金でヤクザに捕まった苦味をビデオで使えるようにと仕込む係りだったサクマ。共に暮らしながら体を繋げていく内に次第にふたりは惹かれあっていきますが、それは許される事ではなく、サクマは苦味をビデオに出させないように借金を肩代わりし組から引き離しました。

しかし結局苦味はビデオに出なければいけなくなり、その筋ではスターとなります。そして自分の稼いだお金でサクマをヤクザから救おうと考えます。

借金を背負い絶望している苦味に生きる意味を与えたサクマ。サクマを雇い、ヤクザから救った苦味。

想い合っているのに純粋な恋人ではなく汚れた関係のふたりはどこか危うい魅力に溢れ、周囲の人を引き付け更に濁っていくけれど何故か目が離せなくなります。それはまるで映画を見ているようでとても引き込まれます。

簡単にはいかないけれど必死に生きようとする彼らの人間味溢れるお話です。

いかがでしたでしょうか?『いとしの猫っ毛』と『昭和元禄落語心中』は続き物なので、よりお話を楽しめます。雲田はるこ先生の描かれる漫画は、全体的にふわっとしていて、引き込まれやすいと思います。艶やかなシーンでもそれは失われず、苦手な方でも読みやすいかと。是非読んでみてはいかがでしょう。