2012年に小説投稿サイト「小説家になろう」で連載が開始されて以来、高い人気を誇り、幅広いメディア展開もされている『異世界居酒屋のぶ』。2018年にはアニメ化し、2020年5月からはWOWOWでドラマ化します。今回は、全巻分の見どころをご紹介していきます。
2012年から小説投稿サイト「小説家になろう」で連載を開始し、サイト内のコンテストで大賞を受賞、2014年に書籍化された『異世界居酒屋のぶ』。2015年に漫画化、2018年にはアニメ化も決定と、さらに注目度が高まっています。
物語の舞台は、なぜか異世界に繋がってしまった小さな居酒屋。店主で寡黙な料理人のノブと、看板娘のシノブをはじめ、店に出入りするさまざまな異世界の住人たちとの交流を描いています。
登場する居酒屋グルメはどれもおいしそう!笑いあり感動ありの心あたたまる異世界ファンタジーです。
中世ヨーロッパのような街並みが続く、古都アイテーリア。表通りから少し外れた裏路地に、不思議な居酒屋がありました。
店の名前は「居酒屋のぶ」。店主のノブと看板娘のシノブが切り盛りするそこは、アイテーリアの住民の空腹を満たします。
- 著者
- 蝉川 夏哉
- 出版日
- 2016-08-04
店主と看板娘の2人で切り盛りしている「居酒屋のぶ」。店の雰囲気もメニューも、読者の私たちから見ると普通の居酒屋です。しかしその店が特別なのは、正面玄関が異世界と繋がっていること……。
アイテーリアは、中世ヨーロッパに似た異世界で、貴族や騎士、ギルドなども存在しています。そんな世界には、枝豆、おでん、からあげやキンキンに冷えたアレなどの居酒屋メニューは存在しません。
「居酒屋のぶ」は異世界の住民からするともの珍しく、彼らはノブたちがつくる料理にひたすら舌鼓を打つのです。「異世界モノ」ですが、大冒険や大事件が起こるわけではありません。
1巻では、ハンスとニコラウスという衛兵が登場。「トリアエズナマ」を飲んで感動し、すっかり店のファンになってしまいます。ネーミングにもクスリとしてしまいますね。
思わずゴクリとツバを飲みこんでしまいそうな料理の描写はもちろん、住人たちが料理を食べる様子は本当においしそうで、思わず笑ってしまったり、夢中になるあまり無言になったりと表現が秀逸。読み終わる頃には居酒屋に行きたくなること間違いなしです。
登場人物たちも個性豊かで、グルメと一緒に人情物語も味わえます。ちなみにハンスは今後も物語に深く関わるキャラクターなので、ぜひここでチェックしておいてくださいね。
「居酒屋のぶ」が異世界に現れてから半年。居酒屋グルメの真新しさはもちろん、そのおいしさと良心的な価格設定がウケて、店は多くの常連客でにぎわうようになっていました。
そんなある日、アイテーリアには魔女狩りの噂が広まって……。
- 著者
- 蝉川 夏哉
- 出版日
- 2016-12-06
ほのぼのとした雰囲気は相変わらずですが、常連客も増えてきて、ノブは新しいメニューづくりなどにチャレンジしています。
前巻に引き続き、おいしい料理を食べながら住人たちと交流するのですが、2巻ではキャラクターひとりひとりにスポットが当てられるのもポイント。ハンスがノブに弟子入りしたり、お店でアルバイトをしているヘルミーナという女性が登場したりし、料理以外の見どころも増えています。
とくにハンスの存在は、寡黙で職人気質なノブに少なからず影響を与えているようなので、今後の変化にも注目してみてください。
「居酒屋のぶ」が古都アイテーリアと繋がってから、すでに1年が経とうとしていました。客入りが増えたことはもちろん、新しい店員、リオンティーヌも加わり、日に日に賑やかさを増しています。
しかし、ノブに弟子入りをしたハンスの父親は、息子が料理人の修行を始めたことをよく思っていないようで……。
- 著者
- 蝉川 夏哉
- 出版日
- 2017-03-04
季節は冬になりました。どうやらアイテーリアには日本のような四季があるようです。雪が積もり外が寒いですが、お店は相変わらず繁盛しています。
3巻では、料理人修行を始めたハンスと父親の確執や、皇帝と他国の王女の見合い話のもつれなど、規模の大小はあるものの、家族や近しい人との繋がりにまつわるエピソードが描かれています。
アイテーリアは異世界ですが、居酒屋で人情深い話をしている様子は、身近な物語として読むことができるでしょう。
もちろん、おいしそうなグルメ描写も健在!腹の虫が鳴ります。
知名度も人気も高まってきた「居酒屋のぶ」。季節は春になり、店が異世界に繋がってからすでに1年半以上が経っていました。
そんななか、ノブに弟子入りをし、料理人の道を歩みはじめていたハンスは、あることで悩んでいました。それは、「のぶ」の料理を作るために必要不可欠な日本の調味料の確保についてです。
どうにか自分たちの世界で調達できないかと悩んでいましたが……。
- 著者
- 蝉川 夏哉
- 出版日
- 2017-11-07
ハンスは、「居酒屋のぶ」の味を再現するために欠かせない調味料、「醤油」と「味噌」をどうにか自分たちの世界で調達できないか考えていました。
そんな時、ヨダ・コーザという男性と出会います。実は彼、本名を依田康三郎といい、数年前に異世界にやってきた日本人でした。彼が日本から持ち込んでいた「大豆」を譲りうけることができ、味噌と醤油の原料を確保。ハンスは料理人としてさらに腕に磨きをかけていくのです。
また、ヨダが登場したことで、日本と異世界をつなぐ扉の秘密も少しだけ解明されます。本作は基本的には日常グルメものなので、今のところ壮大な設定などは施されていないようですが、それでも「居酒屋のぶ」がなぜ異世界に繋がったのかは最大の謎です。
今後どのように展開されていくのか、続きが気になりますね。
古都の秋もそろそろと深まるなか、居酒屋「のぶ」は相変わらず胃袋を満たしたい客で賑わっていました。そんな客のなかに、古都の老舗料理宿・四翼の獅子亭の副料理長がいて……!?
- 著者
- 蝉川 夏哉
- 出版日
- 2018-04-07
すっかり異世界の住人の胃袋を掴んだ居酒屋「のぶ」。料理が美味しそうなのは相変わらずですが、本巻で特に注目したいのは、老舗料理宿・四翼の獅子亭で副料理長をしているリュービクと、「のぶ」で修行中のハンスの成長ぶりです。
リュービクは、古都でも老舗の料理宿・四翼の獅子亭の副料理長であり、伝説の料理人と呼ばれているリョービクの末裔であることから、小リュービクと呼ばれています。料理の腕は天才的なのですが、父親でもある四翼の獅子亭の総料理長・大リュービクからのダメ出しによってスランプに陥ってしまっていました。
そんななか、「のぶ」の評判を聞いて来店したのです。異世界の天才料理人と、現世の料理人ノブ。性格の違う2人ですが、料理人という立場がお互いのライバル心に火を付けたようで、これから彼らがどういう関係になっていくのかも気になるところ。
また、ハンスの成長にとっても、この小リュービクは大きな役割を担っているようなので目が離せません。成長著しいハンスが独立する日も近い……!?と思わせながら、意外なラストへ持っていくエピソードもあるので、ぜひチェックしてみてください。
2020年5月からWOWOWプライムにて実写ドラマが放送予定です。
「のぶ」の大将・矢澤信之をドラマ、映画、舞台とマルチに活躍する大谷亮平が、看板娘・千家しのぶを女優・モデルとして活躍する武田玲奈が演じます。
監督・脚本は、芸人としても映画監督としても活躍する、品川ヒロシが務めます。
実写化で表現するのは難しい、異世界・アイテーリアがどのように描かれるか楽しみです!
WOWOWオリジナルドラマ 異世界居酒屋「のぶ」では、コメントなど詳細な情報が載っていますので、ぜひご覧ください!
異世界が舞台なのにどこか懐かしいのは、やはり私たちにとっては馴染み深い料理がたくさん登場するからではないでしょうか。枝豆、湯豆腐、餃子など、お酒を飲みながら食べたいものばかりです。また「居酒屋のぶ」シリーズでは、巻数を「二杯目」、「三杯目」と表記しています。こんなところにも遊び心を感じられますね。温かくておいしい本作を、ぜひ読んでみてください。