シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を学園ラブコメにアレンジした漫画『寄宿学校のジュリエット』。「世界一ピュアな恋物語」として人気のある作品です。 この記事では、そんな本作の全巻分の魅力と見どころをご紹介していきます!
2015年から「別冊少年マガジン」で、2017年から「週刊少年マガジン」で連載をしている金田陽介の作品。あの名作『ロミオとジュリエット』をモチーフにしたラブコメディで、許されない立場同士の禁断の恋愛をテーマにしています。
この記事では、作品の魅力を全巻分の見どころとともにお伝えしていきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2015-11-09
本作の舞台は、寄宿学校のダリア学園。膨大な生徒数と敷地を誇る名門校で、東和国とウェスト公国の間に浮かぶ島にあります。隣りあう両国は敵対関係にあり、東和国の生徒は「黒犬の寮」、ウェスト公国の生徒は「白猫の寮」と宿舎も分けられているのです。
寮生同士も国の代理戦争とばかりに、常にいがみ合っていました。
そんななか、「黒犬の寮」の1年生リーダーを務める犬塚露壬雄(いぬづかろみお)は、「白猫の寮」の1年生リーダーであるジュリエット・ペルシアに密かな恋心を抱いています。
初等部のころから何かと張り合い、高等部になっても戦ってばかりの関係を変えようと、思い切って想いを伝えると、意外とあっさり交際することができました。
ただ2人の関係は、絶対に周囲に知られてはいけません……。
1巻の見どころは、やはり露壬雄の告白シーンでしょう。ある事件からペルシアに誤解され、決闘することになった2人。誰もいない深夜の噴水広場で向き合います。
お互いに剣を持ち、振りかぶって……露壬雄はずっと自身の中に抱いていた想いを大声でぶつけました。
これを聞いたペルシアは、普段は凛とした気高い女性ですが、顔を真っ赤にしてピュアな女の子の表情になるのです。
祖国の対立という大きい壁を乗り越えて、付き合うことになった2人。一緒にいるところを他人に見られると、バトルをするフリをしてごまかすなど、学生生活には苦労が絶えません。ハラハラしつつもキュンとできるシーンが多いので、ぜひ注目してみてください。
中間テストが近づいてきて、「黒犬の寮」と「白猫の寮」は、それぞれ相手方に負けないよう燃えています。勉強が苦手な露壬雄は、幼なじみの狛井蓮季(こまいはすき)に助けてもらっていました。
しかしその最中に、「隠し事はないか」と尋ねられてピンチに……。
また体育祭では、同じ「白猫の寮」内でペルシアと対立しているアビ・シニアが、彼女を失脚させようと動きます。ペルシアの運命やいかに!?
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2016-04-08
2巻の見どころは、蓮季が露壬雄に接近しようとするところでしょう。彼女は幼いころから露壬雄のそばにいた幼馴染。同じ東和国の者として彼を慕ってきました。そしてついに、想いを伝えます。
しかし露壬雄は、彼女のまっすぐな気持ちに応えようとするあまり、ペルシアと付き合っていることを暴露……!これに激怒した蓮季の大暴走っぷりは必見です!
後半の体育祭では、ペルシアがピンチに。アビは「白猫の寮」内でペルシアを目の敵にしている男子生徒で、卑怯な手で彼女を追い詰めていきます。事態を知った露壬雄がアビに宣戦布告をして……激アツの展開から目が離せません。
ペルシアの誕生日が近づき、露壬雄はプレゼントを贈ろうと計画していました。彼女の親友で、2人が付き合っていることを知っているシャルトリュー・ウェスティアとともに考えます。
しかしそれを「黒犬の寮」の規律を守る監督生で、露壬雄の兄でもある藍瑠(あいる)に知られてしまい……。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2016-09-09
3巻では、露壬雄とペルシアの関係に最大のピンチが訪れます。
露壬雄は、兄の藍瑠からペルシアと内通しているのではないかという疑惑をかけられてしまい、彼女との接触を禁じられる事態に……。強行突破を試みますが、圧倒的な厳格さと強さを誇る兄に、まるで歯が立ちません。
これまでの雰囲気とは一転、緊張感のある展開で読み応えばっちりです。
誕生日の一件をきっかけに、さらに絆を深めた露壬雄とペルシア。しかしこのままの状態はよくないと、露壬雄は自身が監督生になって学園を変えようと決意しました。
そのための第一歩として、まずは現役監督生のひとり王手李亞(わんてりあ)の補佐役に就こうとするのですが、当の手李亞からは「体が目当てなのか」とあらぬ誤解をかけられ……。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2017-02-09
前巻から藍瑠に疑われたことで、あわや破局の危機だった露壬雄とペルシア。なんとか疑惑を晴らそうと命がけの手段に打って出ます。2人の姿に胸打たれるはずですよ。
そして4巻の見どころは、露壬雄が手李亞に近づくところ。手李亞は双子の姉で同じく監督生をしている胡蝶(こちょう)と一緒にいないと、何かとポンコツな行動をとってしまう女の子。しかしいざというところで監督生らしい一面を見せます。
これが、今後露壬雄が監督生になるための大きなヒントになるので、注目のシーンだといえるでしょう。
夏休みに実施される、素行の悪い生徒を対象とした「生徒指導合宿」に参加することになった露壬雄。剣術の稽古は兄の藍瑠が指導を担当します。
何とか兄から1本をとろうと、ペルシアにも協力してもらいながら鍛錬を重ねるのですが、アクシデントに巻き込まれて負傷してしまい……。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2017-08-09
5巻の最大の見どころは、露壬雄が藍瑠が対峙するシーン。学園を変えるための高い壁である兄に少しでも近づこうと奮闘します。しかしあるアクシデントで肩を怪我してしまい、絶望的な状況に……。
そこへペルシアが登場して、戦いに参加。息の詰まるような激戦は見ごたえ抜群です!
これまでも何かと露壬雄に対して厳しく接してきた藍瑠ですが、そのなかに兄としての優しさが垣間見えるシーンもあるので、お見逃しなく。
2学期のある日、露壬雄とペルシアはお花見デートの約束をしました。ペルシアがお弁当を作ってきてくれるそうで、最高の1日になると楽しみにしています。
ところが当日、同じ場所で「黒犬の寮」と「白猫の寮」の生徒たちがそれぞれイベントを企画しており、雲行きが怪しくなってきました……。
- 著者
- 金田陽介
- 出版日
- 2017-12-15
せっかくのお花見デートの予定が台無しになり、露壬雄は日を改めようとします。しかしペルシアがひと言。
「ヤダな…」(『寄宿学校のジュリエット』6巻より引用)
珍しくわがままを言ってくれた彼女を見て、露壬雄は何とか2人きりになれるよう一計を案じるのです。なかなか彼氏らしくなってきましたね。
また、林間学校に出かけた際には、自由時間にボートに乗ろうとしている2人に、蓮季が乱入。ペルシアと蓮季の女子2人が本音をぶつけ合うシーンは必見です!
8巻は、7巻に引き続いての学園祭のエピソードから始まります。2人で秘密のデートを画策していたところに、ペルシアの母親が登場。彼女はちょっと抜けているようで、本質を見ている人物で、ペルシアが露壬雄と惹かれあっていることに気づき……。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2018-06-15
8巻では、ペルシアの母の登場によって将来や現実の厳しさが2人にのしかかりますが、そこでくじけずにさらに絆を強くする様子が見られます。成長を感じさせる展開は、彼らの物語に一区切りついたかのような印象を感じさせるものです。
ちなみにペルシアのツンデレは親譲りだといことも判明。お母さんも可愛らしいキャラです。
その後のストーリーでは、新キャラの犬塚朱奈が登場。彼女は露壬雄の分家の子で、妹的存在。しかし彼に近く女には容赦しないという番犬のような性格をしています。
そのタイミングでペルシアが「ジュリ男」として露壬雄の家に泊まることになり、大ピンチ!ジュリ男が女なのではないかと疑う朱奈を納得させるために、一緒にお風呂に入らなくてはいけなくなり……。
裸の前部分しか隠せないタオルの高性能さ、プライスレスです。
詳しい内容はぜひ作品でご覧ください!
朱奈の疑いをかいくぐり、何とか乗り越えたと思われた2人。それまでにはお風呂ハプニングや、同部屋で一夜を明かす展開など、見所満載ですのでお見逃しなく。
しかし、ようやく迎えた朝に、嵐の影響でジュリエットのカツラが飛んでしまいます。そして露壬雄の兄・愛瑠と、露壬雄の母親にその正体がバレてしまい……。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2018-09-14
9巻では、犬塚家の過去の話が明かされます。
露壬雄とペルシアが恋仲ではないのかを以前から疑っていた愛瑠。今回のことが明るみになれば、犬塚家が国民からの信頼を失ってしまうと突きつけます。
そんな世間を変えたいのだと露壬雄が語るも、それは理想論だと取りつく島もありません。そしてペルシアと別れるか、この家を出て行くかの2択を選ばせるのでした。
あまりにも厳しすぎるように見える愛瑠ですが、実はそれには理由がありました。それが母の口から明かされる時、露壬雄はある決断をします。
犬塚家の人々の歴史、絆にほっこりすること間違いなし。さらに可愛すぎる犬塚母もぜひチェックしてみてください。
前巻までのバタバタは一旦落ち着き、ダリア学園に戻ってきました。
本巻では学園モノには欠かせないバレンタインなどのイベントもあり、ほのぼのとした空気も楽しめる一冊です。
- 著者
- 金田 陽介
- 出版日
- 2018-10-17
そんな本巻で注目したいのは、監督生選挙。ここでは、新キャラクターの玲音が登場します。一人称は「ボク」。ペルシアの側近であるスコットに、出会い頭でかかと落としを決め込もうとした、かなり強烈な初登場を果たします。
そんな彼女の夢は、なんと白猫を学園から消すこと。かなり白猫を嫌っている様子です。そこには、何やらわけがあるようで……?彼女の動向から目が離せません。
さらに本巻では、ここまであまり目立たなかったスコットの活躍が光ります。露壬雄たちの1つ上の白猫寮の先輩・レックスのファグ(雑務役)になるため、彼の元に頼みに行くスコット。どうやらペルシアが白猫寮の先輩・サイベルのファグになったことを知って、ペルシアといい関係になることを狙っての行動だったようです。
しかし、レックスはすでに女生徒のソマリからファグを申し込まれていたため、あえなく断念……と思いきや、なぜかプロレスでその座を争うことに!?
果たして、勝負の行方はどうなるのでしょうか。彼の勇士を、ぜひ目に焼き付けてください。
笑いあり、シリアスありの学園ラブコメ。ぜひ読んでみてくださいね。