キュートな絵柄が人気のイラストレーター、さくらねこ。イラスト単体でも素晴らしいですが、それが物語の世界観を魅力的に彩るものであればなお良いですよね。今回はイラストがよく映える、おすすめのライトノベルをご紹介します。
長崎県在住のイラストレーター。詳しいプロフィールは非公開なものの、以前はライブストリーミングで作画配信を積極的におこなっていたことなどから、サービス精神旺盛な人柄であることがうかがえます。
2010年頃から商業作品の挿絵をメインに活動していて、ファンタジックな絵柄で人気。近年は美少女もののイラストが多いですが、かつては個人でショタなどいわゆる腐女子向け作品も手掛けていました。その経験をいかし、今後は他ジャンルでの活躍も見られるようになるかもしれません。
代表作は、ライトノベル『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』など。
太平洋上を航行していた飛行機が、突然消えてしまう事件が発生しました。そこに乗り合わせていたのは、世界的に有名な7人の高校生。彼らはそのあまりにも卓越した能力から、「超人高校生」と呼ばれています。
7人が気が付くと、そこはなんと剣と魔法、亜人の闊歩する異世界でした。彼らは自分たちの能力が強すぎることを自覚し、本気を出すと世界を壊してしまうと危惧したため、当初は自重しながら帰還方法を模索するのですが、ある時助けてくれた現地の村人に危険が降りかかります。
そこでついに吹っ切れた超人高校生たちは、自身の力をフル活用し、世界自体を変えてしまうことを決意しました。
- 著者
- 海空 りく
- 出版日
- 2015-10-14
2015年に1巻が発売された海空りくの作品です。異世界転生、あるいは異世界転移モノは、もはや流行というよりもひとつのジャンルとして定着したのではないでしょうか。
ただ本作が他と一線を画しているところは、異世界に飛ばされたのが7人という大人数で、彼らがそれぞれ特定分野のエキスパートというところでしょう。たとえば判断力と統率力に優れた「政治家」や、抜群の金策手腕を誇る「実業家」などです。
また7人中4人が、さくらねこの描く美少女なのもポイントではないでしょうか。
全員が全員、飛び抜けた知性や技術力を誇りつつ、常識のネジをどこかに忘れてきたかのような変人ばかり。個性の塊が7人もいて、普通の展開がされるわけがありません。
従来の異世界転移が物足りなくなった方におすすめです。
高校2年生の悠馬は、荒い口調をしているものの、ごくごく普通の高校生。ただ、なぜか異様に不良に憧れています。
そんな彼を心配しているのが、幼馴染の真理亜です。不良になるという悠馬を更正させるべく、彼女自身がレディースのリーダーになって過激に考えを改めさせようとしますが……いつのまにか彼女に憧れた姫子が舎弟ならぬ舎妹(しゃまい)になる始末。
悠馬は理想の不良ライフを送れるのでしょうか。
- 著者
- 初美 陽一
- 出版日
- 2011-10-14
2011年に1巻が発売された初美陽一の作品。学園ラブコメの一種ですが、ここでフィーチャーされるのは不良です。
面白いのは、主人公の悠馬がまったく実践できていないところ。真面目すぎる性格のせいか、ただ口調を荒くしているだけで、行動は「イイ人」そのものなのです。
真理亜と姫子以外にも、学級委員長の朱里など魅力的なヒロインが多数登場。学園モノだけに嬉し恥ずかしのイベントもしっかり押さえられていて、それに応じたさくらねこのイラストが楽しめるのもうれしいですね。
誤解と勘違いが積み重なっててんやわんやの騒動が巻き起こる、青春ラブコメ。肩の力を抜いてフリョーの生きざまをご覧ください。
主人公のアレクは、マーサ学院唯一の男子生徒。ここは女性だけがなれる「巫女錬金術師」の養成学校なのですが、才能のある彼は例外的に入学を認められていました。
しかし、他の女生徒へは手出し厳禁という制約が課せられています。そこでアレクは、憧れの生徒会長パメラをモデルにした人工生命を錬成するのですが……できあがった少女は、とんでもない性悪でした。
アレクの命令を無視するどころか、下僕扱いしてきて……⁉
- 著者
- 月見 草平
- 出版日
- 2012-08-18
2012年に1巻が発売された月見草平の作品です。長いタイトルが目を引きますが、本作はまさに読んで字のごとく。女の子と触れ合いたい一心で人体錬成して、アメリアという少女を生み出したものの、まったく言うことを聞いてくれません。
実は人体錬成は、作中では最大の禁忌とされているもの。それを理解しているアメリアは、事実の公表を盾にして、主人たるアレクよりよりも優位に立つのです。
ただ、単に言うことを聞いてくれないわがまま娘かと思いきや、実はアメリアは人一倍独占欲が強く、アレクに厳しくあたるのも愛情の裏返しというのが可愛らしいです。
また舞台が女子校なだけに、さくらねこの得意とする美少女がたくさん登場。おもいっきりイラストを堪能できます。
さらに、錬金術などの世界観の設定や伏線がしっかりしているので、ストーリー自体も楽しむことができるでしょう。
主人公の一條明日菜は、成績優秀な美少女。ところが生徒会長に立候補すれば演説で「バカヤロー」と言ってしまう、いわゆる熱血女子でした。高校選挙で地球統一にまで言及するエキセントリックぶりです。
当然ながら落選してしまうものの、めげない明日菜は、地球政府樹立を目的とした「地球連合部」の創設を宣言。大義に燃える熱血少女が、高校から世界改革を本気で目指します。
- 著者
- 至道 流星
- 出版日
- 2016-05-30
2016年に1巻が発表された至道流星の作品。至道といえば、2012年から連載をしている『大日本サムライガール』が一部で話題となったこともあり、ご存知の方も多いのではないでしょうか。極めて政治色の強い内容で注目を集めました。
他にも社会革命を掲げるタイトルがいくつかあり、本作もそのなかのひとつです。
ここで重視されているのは、いわゆる「メディア論」について。主人公が民衆=世論の支持を集めようと奮闘します。
さくらねこが描く明日菜のイラストは、べらんめえ口調で江戸っ子気質だとは思えないほど可愛いもの。このほか地球連合部の部員になる女の子たちも、それぞれの個性がよく現れた見た目になっています。
世界統一の第1歩は、身近な高校から。ライトノベルとしてはなかなか際どいテーマを織り交ぜつつ、個性的な少年少女の新感覚の青春が描かれています。
どの作品のどのキャラクターも、不思議とぴたりと描くさくらねこのイラストにも注目してくださいね。