細かすぎる野球選手のモノマネに思わず吹き出してしまう漫画『放課後バッセン娘』。スマホのアプリで無料で読むことができます。さああなたはいくつわかるでしょうか?
これまでにないコンセプトで読者に衝撃を与えている漫画『放課後バッセン娘』。作者は矢野稔貴です。
舞台となっているのは、流行に乗り遅れ、現役選手の台を入れることのできないとあるバッティングセンター。そこに客としてやってくる少女たちが、往年の野球選手のモノマネを次々と披露していきます。そのクオリティが高すぎて……野球ファンであれば思わずうなってしまうのではないでしょうか。
しかも彼女たち、見た目もかわいく、短い制服のスカートでフルスイングしてくれるので、野球に詳しくない方でも楽しめるはずです。
今回は、そんな本作の魅力をご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 矢野稔貴
- 出版日
- 2016-09-29
小説家を目指している大輔は、ある日父親が経営しているバッティングセンターで店番をしていました。予算の関係上、大谷や藤浪など新しい選手の機械を入れることができず、設置してあるのは江川や村田など昔の選手のものばかり。
客足も減っていましたが、そこへ制服を来たかわいらしい少女がやってきます。ウロウロと店内を見て回り、なんと変化球MIXの江川の台へ。
大丈夫かなと心配していると、なんと掛布のモノマネをはじめて……ひとりで名勝負といわれる江川と掛布のライバル対決を再現していました。
彼女の名前は岡田いくら。ホームランを年間55本打つともらえる王貞治モデルのバットをゲットするために、このバッティングセンターに通うことになるのです。
とにかく熱すぎる野球愛が伝わってくる本作。ライバル店の娘の涼も、偵察にやって来た際に身体を張って愛情を表現しました。
東尾修の台に入り、手袋をとって気合を入れます。その初級……バッティングセンターなのにデッドボールを受けてしまうのです。あまりのことに大輔は心配しますが、様子を見ていると、あまり肘を曲げずにバットをゆらゆらと構えています。その姿はまさに三冠王の落合博満。
そして、彼女が思いっきり打った球は、ピッチャーの影が映し出されている液晶に直撃したのでした。
「86年7月16日のあの試合の再現をわざわざやったのー⁉」(『放課後バッセン娘』1巻より引用)
強打者へのインコース攻めが持ち味の東尾からデッドボールを受けた落合が、続く打席であえてピッチャー返しを狙ってやり返したエピソードを再現していたのです。
100キロ以上スピードが出ている球を身体を張って受ける涼もすごいですし、これをこっそり見ていただけで日付まで的確にツッコめる大輔もまたすごい……。
このほかにも、常連客の野球チームにフォームの指導をする際や、使用するバットを選ぶ際など随所にこだわりを感じられるエピソードが盛り込まれています。
やはり本作の魅力は、そのモノマネのクオリティの高さ。江川対掛布の完コピにはじまり、さまざまなピッチャーや投手のモノマネを披露していきます。
ある日、いくらがいつものようにバッティングセンターにやってきます。少し顔が腫れているようで、大輔は「おたふく風邪か?」と思ったものの、特に触れませんでした。
村田の台に入り、一本足打法を見せます。王貞治モデルのバットが欲しいから王さんのモノマネをしている、と安易に考えた大輔。「掛布だけじゃなくて王さんもできるなんて凄い」と声をかけると、いくらはショックで黙ってしまいました。
そこへ大輔の父が乱入。スっと右腕を上げます。それを見たいくらはすかさずハイタッチ。そして……
「うっ…」
「どうした? むっ これは… 脱臼している…!」(『放課後バッセン娘』1巻より引用)
一本足打法だからと安易に王貞治だと思った大輔は間違い。実は門田博光のモノマネでした。彼は脱臼癖があり、ホームランを打った後にチームメイトのブーマーとハイタッチをした際、右肩を脱臼したというエピソードを持っています。
いくらなんでも細かすぎる……と驚いてしまいますが、これだけでは終わりません。いくらは口から丸い球を取り出したのです。
門田の輪郭を忠実に再現するため、店にやってくる前から口の中に詰め物を入れていたのでした。
どこまでも細かくなっていくモノマネに大輔がツッコんでいくことで、エッジの効いたギャグ漫画になっています。
コアすぎるエピソードを紹介してきましたが、本作の凄いところは、野球に詳しくない人も充分に楽しめることでしょう。モノマネ自体も面白いのですが、登場人物たちが持っている異常なこだわりが、笑いのツボを刺激してくるのです。
しかも女子高生たちが全身を使って表現してくれるのが、たまりません。制服でフルスイングは当たり前、股間を気にする仕草や、失礼にも思える顔芸などを披露し、キラキラした目で「どうでしたか?」と聞くのがかわいいのです。
野球に詳しくないからと読まないのはもったいない!彼女たちのこだわりを体感してください。
ここまで3つの魅力をお伝えしてきましたが、本作はスマホの漫画アプリ「マンガPark」で無料で読むことができます。
大きなストーリーはあるものの、基本的には1話ごとにエピソードにオチがついているので、お好きな話数から読んでもよいでしょう。
作品自体もゆるいノリなので、肩肘はらずにぜひ読んでみてくださいね。
- 著者
- 矢野稔貴
- 出版日
- 2016-09-29