5分でわかる新古今和歌集!編者、有名な歌、藤原定家などをわかりやすく解説

更新:2018.5.7 作成:2018.5.7

鎌倉時代初期に編纂された新古今和歌集。今回は編者やその特徴、有名な和歌、「幽玄」という概念、歌人の藤原定家などについてわかりやすく解説していきます。あわせてより理解が深まるおすすめの本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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新古今和歌集とは?編者や時代など

 

鎌倉時代の初期に編纂された勅撰和歌集のひとつです。勅撰和歌集とは、天皇や上皇の命で編纂された歌集のこと。905年に成立した古今和歌集から1439年に成立した新続古今和歌集まで、21の和歌集が作成されました。

これらを総称して「二一代集」と呼ぶほか、古今和歌集から今回ご紹介する新古今和歌集までの8つを「八代集」と呼びます。

新古今和歌集は後鳥羽院の命によって集められた、源通具(みちとも)、六条有家、藤原家隆、飛鳥井雅経(あすかいまさつね)、寂蓮(じゃくれん)、そして藤原定家の6人の編者によって編纂されました。

万葉集や、それまでに編纂されてきた7つの勅撰和歌集には収録されていない和歌を対象に、彼らが和歌を推薦。それを後鳥羽院も含めて選定し、収録する作品を決定するという方針で編纂作業は進められたそうです。

1201年に編纂作業がはじまり、1204年には一旦完成したものの、その後修正や改訂をくり返し、15年以上もの月日をかけた末、最終的に完成したのが1216年頃とされています。

収録された和歌は1970首余りと、八代集のなかでも最多。四季の推移、恋の進展に沿って巧みに配列されているほか、古代の歌人と当代の歌人の歌を交互に配置するという凝った工夫もされているのです。もっとも多く入選した歌人は元武士の西行で、その数は実に94首にものぼります。

新古今和歌集の特徴は?「幽玄」を確立

 

平安末期から鎌倉初期にかけて、武士の台頭と貴族階級の衰退がありました。そのため新古今和歌集には、滅びや自然への見方に哀調があるといわれています。

また藤原定家の父である俊成が和歌を批評する言葉として用いていた「幽玄」という概念を、息子であり編者でもある定家が発展・確立させました。

「幽玄」とは、もともと仏教や老荘思想など中国思想で用いられていた用語が転じたもので、「物事の趣が奥深く、はかりしれないこと」という意味があります。

高尚で優美、気品があるさまを指し、和歌のみにとどまらず文芸や芸能、絵画、建築などにも幅広く用いられ、日本の中世における美的観念の礎を築きました。

新古今和歌集の有名な代表作を現代語訳とともに解説

 

新古今和歌集に収録されている和歌のなかでも特に有名なのが、藤原定家による次の一首ではないでしょうか。

見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮

現代語訳をしてみると、「見渡してみると、ここには春の美しい花も秋の紅葉もなかったんだなあ。ただ漁師の住む粗末な小屋のみが建っている、寂しい秋の夕暮れ」です。

この歌では、花や紅葉と言った華やかな言葉を使いながらも、なかりけりと打ち消しています。しかし打ち消されてもなおその鮮やかな残像が聞く人の心に残り、その効果によって後に続く「浦の苫屋の秋の夕暮」という言葉から受ける寂しさを、より深く感じることができるようになっているのです。

まさに「幽玄」といえる趣深い一首でしょう。

歌人・藤原定家はどんな人?

 

新古今和歌集の編者のひとり藤原定家は、「歌聖」とも呼ばれ、柿本人麻呂や紀貫之などと並び称される日本を代表する歌人です。

「小倉百人一首」を選定し、彼の残した日記「明月記」は国宝にも指定されています。

藤原氏の一族ですが、摂政や関白を輩出するような嫡流からは遠く、また若い頃に乱闘騒ぎを起こしたことがあるほど強情な性格も災いして、出世にはあまり恵まれませんでした。その強情さには、さしもの後鳥羽院も閉口したといわれています。
 

平安時代末期から鎌倉時代初期の激動の時代に生まれ、当時としてはかなり長寿の80歳まで生きました。華やかさと繊細さを秘めた夢の世界に思いを馳せ、夢幻的な文学を築きあげます。彼が残した多くの作品は、日本的な美の基本となり、歌道界の宗匠として松尾芭蕉や宗祇など多くの文人から尊崇を与えました。

新古今和歌集の入門書

著者
出版日
2007-10-01

 

新古今和歌集の特徴として、「幽玄」という概念のほかに、非常に技巧的であることが挙げられます。枕詞・序詞・歌枕・本歌取り・掛詞・縁語・体言止め・七五調の初句切れや三句切れなど、多くのテクニックが用いられた和歌が収録されているのです。

しかし和歌の初心者にとってはこれらが高いハードルとなっていることも否めません。学校の授業で苦い思いをした方もいるのではないでしょうか。

本書は、これらの技巧について実際に和歌を用いながら丁寧に解説をしています。あわせて現代語訳と、色や香り、音などの説明もされているので、歌が詠まれた当時の情景や歌人が込めた想いを感じることができるでしょう。

新古今和歌集を彩る女流歌人たち

著者
田渕 句美子
出版日
2014-02-22

 

女流歌人の歌も多く収録されている新古今和歌集。なかでも式子内親王はもっとも多く、49首の歌が収録されています。激しい恋の歌を多く残した彼女は、皇族という身分を越え、藤原定家の恋人だったのではないかともいわれているのです。

そのほか後鳥羽院にその才能を愛され、将来を嘱望されながらも勉学に没頭しすぎて体調を崩し、わずか20年ほどでこの世を去った後鳥羽院宮内卿や、妖艶な歌を数多く残した俊成卿女などが紹介されています。

和歌全盛期の時代を彩った彼女たちについて考察した一冊です。

漫画で読む新古今和歌集

著者
["渡 まかな", "鎌尾 こんぶ", "上地 優歩", "込由野 しほ", "グリコ"]
出版日
2015-12-01

 

本書は、万葉集・古今和歌集・新古今和歌集を代表する和歌約90首について、漫画を用いて解説した作品です。

教科書にも載っているような有名なものばかりで、イラストを介してそれぞれの歌が詠まれた時代背景や歌人の想いがダイレクトに伝わってきます。

活字や解説本はとっつきづらいという方に、ぜひ気軽に手に取っていただきたい一冊です。

和歌と聞くと、平安貴族たちの高尚な趣味の世界を思い浮かべ、どうしても敬遠してしまう方も多いのではないでしょうか。しかし実際のところ、和歌に込められた美的観念というものは、1000年以上の時を越えて現代の我々の生活にも繋がっています。歌に込められた喜びや悲しみ、怒りや苦しみといった感情は、現代人が読んでも共感できるものばかりなのです。ぜひこの機会に新古今和歌集の世界に触れてみてくださいね。