『ジョジョの奇妙な冒険』第1部の主人公ジョナサン・ジョースターは、「ジョジョ」の名の原点にして元祖です。彼なくして「ジョジョ」は語れません。今回はそんな物語のすべての始まり、ジョナサンにフィーチャーしたいと思います。 本作は下のボタンのアプリから読むことができます!興味を持った方は是非、お読みください。
「ジョジョ」こと『ジョジョの奇妙な冒険』を語る上でもっとも外せない人物、それがジョナサン・ジョースター。初代ジョジョ、いや彼こそがジョジョなのです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
1868年4月4日生まれ、初登場時は12歳(後に20歳)、イギリスの名門貴族ジョースター家の1人息子です。父はジョージ、母は不明。黒髪碧眼で、195cmの身長とラグビー経験者であることから非常にマッチョ。A型という血液型のせいか、生真面目で紳士たることを心がけています。
その割りに行儀が行き届いていないところに愛嬌があります。チョコレートを喜ぶ場面がありましたが、好物なのか食事抜きだったせいかはわかりません。
テレビアニメ版の声優は興津和幸。『監獄学園』のアンドレと同じ声だというのが信じられないです。
名前の由来はファミリーレストランのジョナサンが元ネタであると言われています。
紳士的なジョナサンは正義感が強く、心優しい人物です。自らの危険すら顧みず、他人のために傷付くことを厭いません。
さらに非常に情け深いところがあり、悪漢に襲われた時ですら、相手を返り討ちすることに躊躇するほどです。そしてそれは人にも伝播し、捻くれていたロバート・E・O・スピードワゴンも更正させました。
しかも終生の敵、ディオ・ブランドーにすら友情を感じる究極のお人好し。ジョナサンこそ聖人と呼ぶに相応しいでしょう。
ジョナサンは紳士に憧れるただの少年だったのですが、12歳のある時、父ジョージの意向でディオ・ブランドーが養子になってから生活が一変します。野望のため財産乗っ取りを狙うディオは、密かに、しかし積極的にジョナサンを追い詰めていくのです。
ジョナサンは愛犬ダニーの命を奪われます。周囲からも孤立し、唯一の拠り所エリナも汚されました。さらにはディオの凶行が原因で父も家も失うのです。
ディオによって人生をめちゃくちゃにされたジョナサン。実はかなりかわいそうな人物だったんですね。
ディオの凶行……それはジョナサンの研究対象である「謎の石仮面」をディオが被り、彼が吸血鬼になった事件です。ジョナサンは家財と引き替えにディオを倒すのですが、後に出会ったウィル・A・ツェペリの口からディオの健在が判明。
ツェペリもまた石仮面に因縁があり、彼は吸血鬼への対抗手段として「波紋」をジョナサンに伝授しました。しかも僅か2週間の修行で。詳細は不明ですが、ツェペリは本場チベットで波紋を修めた戦士なので内容は第2部とそう変わらないでしょう。特殊器具がないので、呼吸法のトレーニングだったと思われます。
東洋で「仙道」とも呼ばれる波紋法は、生命エネルギーを伝達する技術です。
間接を外してリーチ外から攻撃するズームパンチ。ツェペリも愛用する基本的な技です。
そして波紋の代名詞といえるのが必殺技「波紋疾走(オーバードライブ)」。打撃に波紋を上乗せすることで破壊的な威力を発揮します。最も有名なのは、太陽を思わせる「山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)」です。
水中で使う「青緑波紋疾走(ターコイズブルーオーバードライブ)」、金属に這わせる「銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)」など用途によっていくつか使い分けられます。
ジョナサンは奇妙な人生を送りますが、その伴侶エリナ・ペンドルトンもまた数奇な一生を辿ります。
初恋の人と結ばれたと思ったら、大切な唇をディオに奪われ、やがてジョナサンとも離れ離れになります。
傷付いたジョナサンが彼女のもとにようやく戻ってきて、一生を誓い合うも、またもディオによって引き裂かれるのです。最愛の人は死に、身籠もった子供と、助け出した赤ん坊を女手1つで育てることに。
月日は経って成長した息子は殺され、その妻エリザベスは行方不明。孫のジョセフも面倒に巻き込まれて……。
ジョナサンも波乱万丈な人生ですが、そのパートナーも想像を絶する激動の人生でした。
ジョナサンは弱冠20歳で早死にします。
恋仲だったエリナと結婚した後の、新婚旅行中の船上で、密かに生き延びていたディオによって致命傷を負ったのです。彼はエリナを守るため、最後の力でディオを封じて落命しました。
よりにもよって、幸せの絶頂で亡くなるという、悲劇的な出来事でした。
ディオはジョナサンとともに死んだ……と思われていました。
ところが、第3部にてまさかの復活。首だけになったディオ――いやDIOは、ジョナサンの肉体を乗っ取って、100年間生き延びていたのです。
3部はジョースター家とDIOの因縁に決着が付く物語ですが、DIOの首から下はジョナサンなのでジョースター家同士の争いと見ることも出来ます。もしも彼に意識があれば、自分の肉体によって子孫に被害が及んでいる状況は、酷く悔しがることでしょう。DIOとしては一族に復讐しつつ、ジョナサンに仕返し出来てしてやったりと言ったところ。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1988-06-01
ジョジョの紳士にして戦士の名言を最後にご紹介して、終わりに代えたいと思います。彼の肉体的にも精神的にも強いところが、一言一言からひしひしと感じられます。
第5位:
「ぼくは本当の紳士をめざしているからだ!
君が女の子で困っていたからだ!
相手が大きいヤツだからって、負けると分かってるからって、
紳士は勇気を持って戦わなくてはならない時があるからだぞッ!!」
(『ジョジョの奇妙な冒険』1巻より引用)
まだ未熟で、肉体的にも精神的にも弱かったころのジョナサン。しかし、いじめっ子に困る少女エリナを見過ごせず、立ち向かいました。負けたという結果は関係ありません。立ち向かった精神こそが重要。紳士の片鱗がすでに感じられます。
第4位:
「君がッ
泣くまで
殴るのをやめないッ!」
(『ジョジョの奇妙な冒険』1巻より引用)
侵略者ディオによって大切なものを失っていったジョナサンが、無関係のエリナにまで被害が及んだことで、その怒りが爆発した場面です。一度はボクシングで敗北したにも関わらず、不屈の精神で初めてディオを屈服させました。
第3位:
「き…切れた
ぼくの体の中でなにかが切れた…
決定的ななにかが……」
(『ジョジョの奇妙な冒険』5巻より引用)
最終決戦後、心安らかでいられたのも束の間のこと。潜伏していたディオにジョナサンが襲われました。「ヒーローの死」というきわめて信じがたいシーンでした。なまじ婉曲表現だけに、手遅れであることが伝わってきます。
第2位:
「ディオ…君のいうように
ぼくらはやはりふたりでひとりだったのかもしれないな
奇妙な友情すら感じるよ…
ふたりの運命は完全にひとつになった…
そして…船の爆発で消える…」
(『ジョジョの奇妙な冒険』5巻より引用)
ジョナサンの最期、その最後の台詞です。死にゆく肉体、沈みゆく船。絶望的な状況で、宿敵に友情を感じるのが彼らしいところ。
第1位:
「ふるえるぞハート!
燃えつきるほどヒート!!
おおおおおっ
刻むぞ血液のビート!
山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)!!」
(『ジョジョの奇妙な冒険』4巻より引用)
黒騎士ブラフォードに叩き込んだ波紋のラッシュ。これこそジョナサンの代名詞でしょう。韻の踏まれたテンポよいかけ声です。印象的な台詞だけに意外ですが、口に出して言ったのは切り裂きジャック戦とブラフォード戦のみで、完全な形なのは後者だけでした。
いかがでしたか? 最初のジョジョを知ることで、シリーズはより深く楽しめるようになります。この機会に伝説の第1部に触れてみてください。