ディオ・ブランドー(DIO)は日本漫画史に残る悪役にして、『ジョジョの奇妙な冒険』の裏主人公とも言うべき重要な存在です。そんなDIOについて詳しく見ていきましょう。
吸血鬼ディオ・ブランドー(DIO)は『ジョジョの奇妙な冒険』の大半の物語と関係する宿命的な敵キャラです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
ちなみに、7部の『スティール・ボール・ラン』にもディエゴ・ブランドーというほぼ同一存在の人物も出てきますが、こちらはDioと呼ばれます。
波打つような髪型の金髪が特徴的で、代名詞的な口癖は1部が「URYYY」、主に3部が「WRYYY」です。読み方はいずれも「ウリィィィ」。
貧民出身で非常にハングリーな野心家です。性格は狡猾にして残忍。彼は絶大なカリスマと高い能力によって、常に人心を惹き付けます。「悪の救世主」と呼ばれることも。
一貫して傲慢で強大な敵として描かれがちですが、棺桶を寝床にする辺りには茶目っ気が感じられます。テレビアニメ版では1部3部ともに子安武人が演じました。
幼少期のディオは父ダリオに虐げられる不憫な子供でした。この時点から反骨心が備わっており、自分と母親を顧みないダリオを憎んでいました。
しかし、そのダリオの行動によって彼の運命は変わります。ダリオが偶然にも貴族ジョージ・ジョースターを救ったことから、両親の死後、少年ディオはジョースター家の養子に迎えられるのです。
そこからディオの歴史が始まるのでした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1988-04-01
ジョースター家に養子入りしたディオは、登場シーンから異様な存在感を放っていました。そしてまもなく、お家乗っ取りを目論んで義兄弟ジョナサンに激しい嫌がらせをしていきます。裏で糸を引いて周囲から孤立させ、愛犬ダニーを殺し、拠り所だった恋人エリナのキスも奪ってみせるのです。
2人の対立は尾を引き、青年になってからディオの目論見が暴かれ、遂に決裂しました。追い詰められたディオは、ジョナサンの研究材料だった石仮面を使って、人間から吸血鬼になってしまいます。
その争いは熾烈を極めましたが、最後には波紋を用いたジョナサンが勝利。……しかし、ディオは死んでおらず、首だけになってもなお、ジョナサンを襲いました。ここに至ってディオはジョナサンの強さを認め、尊敬し、その肉体を奪おうとしたのです。
ジョナサンはそんなディオに奇妙な友情を感じつつ、沈む船に残って運命をともにしました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
1部のラストで死んだかと思われていましたが、ジョナサンの肉体を奪って生き延びていたディオ。
復活した彼(以後、DIO)は吸血鬼の身体能力に加えて、新たな力も身に付けました。「世界」を暗示された最強のスタンド「ザ・ワールド」です。スピードとパワーだけでも「ジョジョ」シリーズ最高峰ですが、さらなる反則技として時間を止めることが可能となりました。
この破格の強さから、DIOは「ジョジョ」最強キャラと目されています。そこで問題になってくるのが、2部ラスボスの究極生物カーズです。カーズはあらゆる生物の頂点、しかも「柱の男」である彼は吸血鬼の捕食者です。言わばDIOの天敵。
もしもの話ではありますが、2人が激突すると先手で時間停止が出来ればDIOが有利です。ただ、残念ながら不老不死で弱点のないカーズが相手だと、DIOには有効打がありません。お互いベストコンディションだとしても、やがて千日手となるでしょう。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1992-02-01
承太郎とDIOの決戦は、ヌケサクが棺桶に入って始まるラストバトルが印象的です。しかし、彼らの戦いはもっと前から始まっていました。刺客として現れた花京院らに埋め込まれていた、DIOの一部である肉の芽との攻防が前哨戦です。
最後は正面切っての息詰まる戦い。承太郎は時間停止にすら対応する素振りを見せました。DIOも決して油断せず、必殺の手段としてナイフの投擲で応じます。手に汗握る白熱の場面でした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-11-01
5部のジョルノ・ジョバァーナは、DIOが密かに生ませていた息子です。ですが、DIOの体の首から下はジョナサン・ジョースターなので、ジョルノはDIOの息子でありながらジョースターでもあるという不思議な少年。
またDIOの息子は他にもいます。6部でプッチに使われる形で登場したウンガロ、リキエル、ドナテロ・ヴェルサスの3人はジョルノの異母弟に当たります。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1992-08-01
悪のカリスマは甘言で人心を籠絡します。ディオも同様です。印象的な多数の台詞からベスト5を選びました。
第5位:
「関係ない 行け」
(『ジョジョの奇妙な冒険』27巻より引用)
逃走するジョセフと花京院を追うDIO。無関係の人間に無理矢理車の運転をさせ、あまつさえ他人の命など意に介さない傲慢な性格が窺えます。
第4位:
「ジョセフ・ジョースター!
きさま! 見ているなッ!」
(『ジョジョの奇妙な冒険』15巻より引用)
ジョセフがスタンド「隠者の紫(ハーミット・パープル)」で動向を探った際に、勘付いたDIOが言った言葉です。遠隔地の捜査すら察知する、底知れない力が感じられました。
第3位:
「ロードローラーだッ!」
(『ジョジョの奇妙な冒険』28巻より引用)
最終決戦の終盤、身構える承太郎への意外な攻撃、それは頭上からのロードローラー落としでした。わけがわかりませんがとにかく凄い迫力。ちなみにOVA版ではなぜかタンクローリーでした。
第2位:
「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」
(『ジョジョの奇妙な冒険』3巻より引用)
復活のために何人犠牲にしたと問いかけたツェペリに、ディオはこう返しました。人間を食料としか見なしていない、おぞましい怪物の思考です。
第1位:
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
(『ジョジョの奇妙な冒険』28巻より引用)
これこそDIOの代名詞。初出は1部ですが、やはり最も印象的なのは3部での承太郎とのラッシュ合戦の場面でしょう。「オラオラ」「無駄無駄」の応酬は絶大なインパクトでした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
3部でザ・ワールドに目覚め、時間停止能力を得たDIO。まさに世界を支配する力でしたが、同質のスタンド使い承太郎に敗れて消滅しました。
ところが時は10数年流れて6部の時代。3部のいずこかの時点で、エンリコ・プッチと友情を深めていたことが判明します。そこでDIOは密かに目指す「天国」の構想を語りました。
6部終盤、DIOに従ったプッチは天国に至るのです。が、作中では概念的なことが語られるのみで、プッチの天国とDIOの天国が同一だったかは不明です。DIOの性格からすると、唯一絶対の頂点を目指したようにも思えますが……。
ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』には、天国に到達したDIOが登場します。そこでは現実改変能力を得ていました。構想とデザインには作者の荒木飛呂彦が関わっているため、このDIOが1つの答えといえるかも知れません。
いかがでしたか?ディオは「ジョジョ」の長い歴史に、ずっと影を落としてきた魅力的な悪役なのです。