普通の男子高校生・日ノ輪泊は、ある日突然ヒトではない、性別もわからない生き物・カネノギさんの嫁になることに……。 TVアニメ化も決まった、人外さんと男子高校生の結婚生活を描く異種婚ファンタジー『人外さんの嫁』について、そのキャラクターや魅力を紹介していきます。どんどん人外さんに魅了されていく嫁の姿が見所です。
本作のメイン主人公のひとり、カネノギさん。体長は2mと巨大でありながら、小さい目や手足が可愛らしいキャラクターです。ブロック石やコンクリなど廃材を主食に生活しているのですが、毛並みが非常にふわふわで触り心地がいいそう。
カネノギさんの魅力はなんといっても、嫁である泊に夢中なところ。カネノギさんは話すことも字を書くこともできないので、甘噛みで愛情表現をするのですが、それ以外にも雨の日に泊が濡れないよう傘を傾けたり、ハート型のブロックをプレゼントしたりと、はしばしに愛情が見え、キュンとしてしまいます。
本作のメイン主人公のひとりで、カネノギさんの嫁の日ノ輪泊(ひのわ とまり)。もともとは普通の男子高校で、ある日突然カネノギさんの嫁になるよう学校側から言われ、言われるがまま婚姻届を役所に提出しにいくなど、少々流されやすい面も。
男子高校生なのに裁縫も料理も得意で、最初から高い嫁力を見せる泊は、それだけで可愛さがあるのですが、ものすごいスピードでカネノギさんマニアになっていく姿が何よりも可愛いところです。周りが冷静になるレベルで重症化していく泊のカネノギさんラブ度がどこまでいくのか、目が離せません。
泊のクラスメイトで、泊より半年ほど早くフワ井という人外さんの嫁になった火鞍川曽良(ひくらかわ そら)。プリン気味の金髪に眉ピアスと、少々不良チックな見た目でありながら、嫁という立場を最初から受け入れ、フワ井に愛を全力投球する思い切りのいい人物。
思ったことをなんでも口にして、あまり悩みなどありそうにない曽良ですが、家に帰りフワ井と2人きりになると弱い部分を見せるなど、夫婦生活について真剣に考える真面目なところも。強引だったり鈍いこともありますが、フワ井のことを心から大事にしている様子がきちんと伝わってくる嫁関白さが素敵です。
曽良の夫で、ウサギのような猫のような、四足歩行でピンク色の人外さん・フワ井。体長は30cmと小さく抱きかかえられるサイズですが、嫁以外に触られるのはあまり好きではなさそう。毛が抜けやすく、ハゲを隠すためにいつも笠を背負っています。
見た目で言えば、フワ井は夫のなかでも特に可愛い部類のキャラクターです。ただ、見た目が可愛いだけでなく、性格が非常にいいのも魅力のひとつ。曽良の熱烈な愛や正直すぎる言動にハゲは増え、家出をすることもままありますが、曽良が落ち込んでいたら傍にそっと寄り添い、彼の想いに一生懸命応えようとする姿に心が温かくなります。
泊のクラスメイトで、泊のすぐ後にツキツカという人外さんの嫁になった木齋橋壱屋(もくさいばし いちや)。見た目も言動も少々怖い人物で、もともとクールな性格だったよう。しかし、ツキツカと出会ってからは夫大好きな鬼嫁へと変貌を遂げました。
壱屋は作中で最も嫁に対する独占欲と周りへの嫉妬心・牽制が強い人物で、かっこいい見た目に反して、言動が面倒くさい彼女のようでかっこ悪い、どこか愛嬌のある人物。自分を嫁にしてくれと押しかけた押しかけ女房だからか、好かれようと必死な様子が可愛らしいです。
壱屋の夫で、包帯・ジャージ・スリッパを着用し人間のような体型に見えるキャラクターですが、その中身は空。透明人間に近いかもしれません。体長はだいたい148cm。ある程度の読み書きができる、人外さんのなかでも知能が高い部類に入る子です。
ツキツカの顔は壱屋が描いたため、本当はどういう表情をしているのかはわかりませんが、手替わりの包帯で壱屋の手を掴んだり、ハートマークを作ったりと感情表現は結構豊か。そんなツキツカの一番の魅力は描く絵のほとんどが壱屋で、壱屋以外にはあまり興味がないところ。押しかけ女房で鬼嫁でも嫁は可愛いという気持ちが伝わってきます。
泊たちより学年がひとつ上で、高校1年のときに人外さん・ラウヒェンエッカーの嫁となった水小路依(すいこうじ より)。現段階では、本作唯一の女の子の嫁です。すごくレアです。神社の一人娘で、巫女としてお手伝いをしています。
対外的に夫を溺愛したり大切にする嫁が多いなか、依は面倒くさそうな、乗り気ではないような態度なのが特徴。ただ夫を愛していないということはなく、人気者の夫に独占欲を見せたり、夫の美しさを自慢したりするなど実は結構ラブラブ。なんだかんだ夫が大好きで甘える依が、嫁というより彼女のようで非常に可愛いのが魅力です。
依の夫で、水小路神社に婿入りした白い大蛇。体長は5mととても大きいですが、手のひらサイズに小さくなることも可能で、その姿はツチノコと話題を呼びました。その美しく荘厳な姿から、神社の御神体として活躍中です。
ラウヒェンエッカーは作中もっとも頭のいい人外さんといえるのではないでしょうか。なんといっても、依の宿題を代わりにやってくれるのですから、最低限高校の授業に必要な知識を備えていることになります。その頭の良さも魅力ではありますが、やはり困った人がいたらいつでもどこでも何にでも体を貸す優しさとイケメンさがかっこいいです。
依と同い年で、泊たちの通う学校の生徒会長。六・七という双子の人外さんを夫にもつ、土清世徹司(つちきよせ てつし)は、文武両道で頭脳明晰のハイスペックな人物。メガネと制服の細いリボンが可愛らしい人物です。
真面目で常識がありそうなキャラに見えて、夫本位から部活を廃部にしたり、予算を倍増したりとわりと生徒会長としての権力を自分の気持ちひとつで行使することも。表立って夫を可愛がるようなことはしませんが、行動ひとつひとつに夫を思いやる気持ちが見て取れる、嫁の鏡のような性格をしています。
徹司の夫で、双子モノアイの女の子。性別不明の人外さんが多いなか、性別がはっきりと決まった珍しいキャラクター。大きな一つ目と片翼ずつの羽が特徴的で、人の言葉を話すことができます。体長は140cmと小柄でハキハキした喋り方が可愛いです。
六と七は2人で一人前と認めてもらっているため、2人で嫁をとったそう。喋れるだけあって主張がわかりやすく、夫のなかでもトップクラスの嫁溺愛ぶりを見せてくれるのが魅力的です。少年の徹司を「嫁」「嫁」と可愛がる、少女の夫というチグハグ感がなんとも堪らない双子になります。
依や徹司と同い年で、泊たちとは違う学校に通っている、カネノギさんのストーカー・金之衹尊(かねのぎ みこと)。カネノギさんにゾッコンで、泊に離婚を迫った自称・カネノギさんの前妻ですが、戸籍上はカネノギさんの兄弟。
カネノギさんは金之衹家の養子なっただけだったという事実を聞かされてもストーカーを続けた、歪んでいるようで愛に一途な尊。なんだかんだ泊に世話されることもあり、結婚記念日には祝辞の手紙を出したり、誕生日にプレゼントを渡したりと、恋敵であるはずの泊へ恩義を返す優しさが魅力的な人物になります。
普段は金魚の姿で、本来は人魚のような姿の魚人・サニー赤沢。少しの時間であれば水のないところでも生きられますが、生活場所は金魚鉢のなかで、生体としては普通の金魚と変わらない様子。泊と話せる言語を手に入れる代わりに、泊以外のヒトからエサを貰えない呪いを受けた、愛に一直線なキャラクター。
口調や見た目は女性的ですが、胸などがないことから性別がわからないサニーは、その可愛らしい見た目に反してわりと強引でちゃっかりしたところがあります。泊にしか興味のないサニーが徐々に他の人外さんたちやヒトに目を向けていく姿は見所です。
ある日担任から呼び出された高校生の日ノ輪泊は、結婚相手が人外のカネノギさんに決まったから婚姻届を提出してくるよう言われます。人外さんの嫁選びに学校のアルバムが使われているという事実に驚愕です。しかも、人外さんたちの習慣から男の子なのに「嫁」「妻」という、立場になるという、もはやどこにツッコミを入れていけばいいのかわからない展開が冒頭から続きます。
ただ、人外さんとの結婚も悪いことばかりではなく、区から家を譲渡されるそう。もちろん、それは家庭によるみたいですが、泊とカネノギさんは一軒家を譲渡され、そこに移り住むことになりました。一軒家の持ち家は正直ありがたいですね。
- 著者
- ["八坂 アキヲ", "相川 有"]
- 出版日
- 2016-09-24
1巻では驚くところも多く、すべてが見所となるのですが、やはり即オチの泊に注目すべきではないでしょうか。
一方的に選ばれて、拒否することもできない人外さんの嫁制度ですが、やはり最初は戸惑うもの。相手が人外さんというだけでまず戸惑いますが、男子相手に嫁になれという謎の生態と習慣にも困惑します。
人外さんが何を基準に嫁を選んでいるのかはわかりませんが、カネノギさんは泊のことがたいそう気に入っていた様子。一方、泊はというと、複雑な心境ながらカネノギさんの嫁としての決意をなんとなく固めるのですが、そんな決意をするまでもなく、泊はカネノギさんのある部分に速攻魅了されてしまうのです。
泊の気持ちはすごく良くわかります。触れた瞬間胸がときめき、一度魅力に気づいたら最後目を離せなくなる泊の姿は、同じフェチを抱えている人なら間違いなく共感できる部分になりますので、泊がカネノギさんのどこに惚れたのか、その後さまざまな形で表現される魅惑の美しさに注目してみてください。
新学期になり、カネノギさん愛をこじらせながら、嫁仲間がたくさん増えた泊。泊の周りを引かせるほどのこじらせ具合と、他の夫婦たちのちょっとしんみりして笑える愛情深い場面が見所になります。
まず泊とカネノギですが、泊のフェチとカネノギラブ度が、突然の結婚から数ヶ月で上限突破してしまっているのが面白いところ。一度オチたら、その後急降下滑り台のようにオチ切りましたね。
- 著者
- 八坂 アキヲ・相川 有
- 出版日
- 2017-01-25
愛情は上限突破、心は深みまでオチた泊は、料理上手と表現するだけでは足りないほど、カネノギさんの食事に一工夫加えるように。美術スペックがどんどん上がっていく姿は、もはや芸術家です。
愛情度でいえば、カネノギさんも負けていません。泊が熱を出して寝込んだ際のカネノギさんの様子は、泊の想いもあって胸が締め付けられるような悲しさや苦しさが広がるもの。言葉を話せなくても気持ちは通じあえるという絆を感じさせてもくれます。
他にも、火鞍川曽良・フワ井夫婦の話で、曽良の誕生日をフワ井主導のもとみんなでお祝いするという話があるのですが、みんなが帰って夫婦だけになったときの曽良とフワ井の様子は、涙を誘う心温かさがあります。曽良の本心、フワ井の優しさや夫力がよくわかる場面です。
また、土清世徹司と六・七夫婦ですが、真面目そうな徹司の、実はそうでもなかったシーンも収録。徹司は登場人物たちのなかで、夫たちへの愛情表現がいたって普通なのですが、その心の奥には2人に対する深い愛情があることをうかがわせる場面が多く、ついニヤケてしまいます。
2巻ラストでは、憎めないあの人が登場してきます。
今までのほほんとしていて、たまにしんみりとさせる、幸せな夫婦の姿ばかりが描かれていましたが、3巻では、恋愛もの?ではお馴染みの恋のライバルが登場。カネノギさんのストーカー・金之衹尊です。
人外さんの名前の由来や秘密が明らかになったこの巻。この説明を聞くと、より人外さんが謎めいた存在に感じます。不気味というわけではないのですが、やはり人間とは違う生き物なんだな、と考えさせられます。
- 著者
- 八坂 アキヲ・相川 有
- 出版日
- 2017-07-25
カネノギさんの名前は、金之衹家に由来するのですが、尊は人外さんの名付け方を知ってか知らずか、自分をカネノギさんの前妻だと勘違い。冷静に考えればそんなことあるわけないのですが、カネノギさんに対する異常なまでの恋心が彼の目を曇らせたのかもしれません。
泊たちに接触してからわかりやすくすぐ後をついてくる尊は、泊たちが2年に進級し、結婚1年を迎えてもストーカーをやめない様子。正直、好きな相手が違う相手とラブラブしている姿を見るのは苦痛だと思うのですが、彼にはカネノギさんの姿しか目に入っていないのでしょうか。
カネノギさん自身は尊に微塵も興味がなく、泊もストーカー以外に特に実害がないため、基本的には相手にしていないようですが、もともといい子だからか、泊は尊をあまり放っておけない様子。
この2人は恋のライバルというより、同じ相手を好きになった同盟のような感じもしだいにしてきます。友情とはまた違う、義理のような人情のような、簡単には言い表せないような絆が泊と尊に芽生えていて、外から見ている側からすれば、ちょっと微笑ましくもあります。
彼らの関係性や尊の残念さはもちろんですが、3巻では、しれっと体育祭に参加している人外さんたちも見所です。
2年生に進級した泊たちは、それぞれ部活に入るかどうかを悩みます。本来であれば1年次に部活は決まりますが、去年は結婚生活に追われていて、それどころではなかったのです。
転校生としてやってきたツキツカはもちろん、嫁に同伴しているだけのカネノギさんやフワ井も部活に興味を示すように。人間の嫁たちより学校生活を楽しんでいます。夫婦生活と学校が舞台の作品なので、嫁観察だけでなく学校の暮らし自体を楽しんでいる人外さんたちの様子は注目したいところです。
- 著者
- 八坂 アキヲ
- 出版日
- 2018-01-25
また、夫婦総出で海へ赴き満喫する姿が非常に可愛らしく、いずれは終わる夏休みの物悲しさも感じさせるお話となっていて、見所になります。各夫の水着姿にぜひ注目してみてください。
4巻では、カネノギさんの恋敵が登場します。泊をどうしても嫁に欲しいとやってきた、魚人で普段は金魚姿のサニー赤沢です。サニーが登場する場面では、今まで見たことがない表情の泊が見られる貴重な場面ですので、注意して見てみてください。
泊はもはや「モテて嬉しい」という感情は消え去り、例え自分のことを好いていてくれても、カネノギさんとの結婚生活を邪魔するものは許さないというスタンスが出来上がっているのでしょう。実際既婚者の身で結婚を申し込まれたら困りはしますが、多少なりとも嬉しい気はしますよね。
それすらもない泊を見ていると、彼の恋的な愛情はすべてカネノギさんに振り切ってしまっている想いの強さが感じられます。
そしてサニーの登場によって、カネノギさんも珍しい行動を見せることに。カネノギさんはもともと気持ちの赴くまま行動することが多いキャラクターではありますが、どこか子どものようにも見える、サニーに対するカネノギさんの行動はとても微笑ましいです。
5巻では、水小路依とラウヒェンエッカーの出会いや、サニーの嫁探し、曽良とフワ井の絆など、それぞれの夫婦に見所があり、人外×人間という共通点はあっても、やはり夫婦によって想いの通じ合い方は違うのだと感じさせてくれる話が多く収録されています。
また、当初カネノギと泊を別れさせようとした尊をシメようとした曽良が、尊のために行動を起こす場面など、人外さんと人間との交流だけでなく、人間同士の交流も描かれていて、今までとはまた違った面白さがあります。
- 著者
- ["八坂 アキヲ", "相川 有"]
- 出版日
まず、依とラウヒェンエッカーですが、彼女が初めてラウヒェンエッカーと会ったときの反応はいたって一般的で、そのときのラウヒェンエッカーの気持ちを考えると胸にこみ上げてくるものが。ラウヒェンエッカーがどれだけ彼女を愛し、紳士な対応をしたのかがよくわかり、心が温かくなります。
作中では喧嘩率ナンバー1の曽良とフワ井。フワ井が先にプリプリと怒ることが多いとわかるのですが、その喧嘩の理由というのがとても些細なもの。フワ井にとっては大問題なのですが、その微笑ましさについ顔が綻んでしまいます。喧嘩の原因を作るのはだいたい曽良です。ただ、5巻では彼がフワ井をとても大切に思っている話もあるなど、火鞍川夫婦推しには堪らない巻です。
5巻で高校を卒業してしまう徹司と、高校に残ることとなった六・七。受験生である徹司を精一杯気遣う六・七と、寂しい思いをさせないように気をつけている徹司の、互いへの思いやりが良くわかる場面が多く登場。クリスマスイブ・初詣・バレンタインの話は3人がすごく可愛いので、ぜひ注目してください。
木齋橋壱屋とツキツカの夫婦は、なんだかんだと仲がよいのですが、動物に対して嫉妬したり、夢にマジ泣きしたり、夜の学校に侵入したりと、壱屋がどんどんクールキャラから遠ざかっていく姿があり、他の夫婦とはまったく違う、夫と嫁の形を見ることができます。
また5巻では、以前募集された『人外さんの嫁』で読んでみたいリクエスト話が収録。泊と小さいカネノギさんの1日が描かれていて、泊がお母さんぽく、抱っこサイズのカネノギさんがより子どもっぽく、非常に可愛いお話となっているので、カネノギさんのいつも以上に愛らしい姿が見たい方は必見です。
単行本には書き下ろし番外編や、あとがきでキャラ誕生話なども描かれていますので、最後の1Pまで気を抜くことができません。ぜひそこも含めて『人外さんの嫁』の世界をお楽しみください。