全世界で人気のハリーポッターですが、愛を知っているものとそれを必要としないものとの戦いも描かれてます。たくさんの魅力があるからこそ多くの人に読まれてきました。「愛」にあふれるファンタジーをご紹介します。
- 著者
- 宮部 みゆき
- 出版日
- 2006-05-23
ワタルはごく普通の日常生活を送る11歳の少年です。しかしある日、大好きだった父が不倫をして家族を捨てたことで環境が一変してしまい……。
上巻は現実の重さがのしかかってくる内容で読んでいて家族のあり方や、子供の権利などについて考えてしまいます。ワタルは悲しい想いと同時には今の悲しい状況を変えたい!という願いを強めていきます。
ある日、成績優秀な友人ミツルが「運命を変えたい」という言葉を残し近所の幽霊ビルの扉を開けていた姿を思い出し、自分も運命を変えようと扉を開けます。そこは願いをかなえてくれる女神が住む不思議渦巻く「幻界」でした。
この物語は、ただの勇気の冒険ではなく、ワタルとミツルの対比から現実世界にありがちな心の葛藤や人間の本質を深く掘り下げたストーリーになっています。それは大人になってから人生の壁が立ちはだかったときにも通じるものがあります。旅を通して変化していったワタルの最後の願いとは…?
自分を強く勇気あるものに変えていくのは人間の本質に潜む深い愛なのだと感じさせてくれる作品です。
- 著者
- 新海 誠
- 出版日
- 2016-06-18
小さな町の女子高生・三葉と、東京の男子高校生・瀧とが突然何度も入れ替わる物語です。
コントロールできない状態に二人は戸惑いつつも、携帯にメモを残すことで互いの理解を深め、心の交流をしていきます。コミュニケーションを重ねることで、会わなくても不思議に気持ちを通じ合わせる事ができていく過程は可愛らしくそわそわするようなくすぐったさがあります。
始まりと同様入れ替わりが突然なくなり、記憶が薄れていく中、瀧は三葉の田舎の風景が心に残っていることに気づきます。それを頼りに忘れた記憶を呼び起こしたいという熱い思いに駆られます。
記憶の風景をたどって2人は再び出会います。千年に一度の彗星の来訪、町の崩壊を経て、入れ替わりに時差があることを知ることになるのです。自分たちの状況を受け入れ、勇敢に運命を変えていく二人の想いや頑張りに、勇気をもらえることでしょう。
- 著者
- 柏葉 幸子
- 出版日
- 2006-09-21
主人公リナがピエロの柄の傘に導かれ、日常から外れた不思議な世界「めちゃくちゃ通り」に入り込む物語です。その世界は非日常風景で不思議な人物がたくさん登場します。意地悪なピコットばあさんやバカメなど個性的な人物たちに優しく見守られながら、リナはなにもできなかった甘ったれから一人の人間として成長いきます。自分の身体、心を最大限使って働くことで、誰かの役に立つ喜びを知るのです。一歩を踏み出し、世界を広げる勇気を教えてくれます。
周囲のあふれる愛で人は勇敢になれ、強く優しく成長することができるのだと実感でき、ます。リナが最後にもらったお土産は想いが詰まった幸せの象徴です。
- 著者
- 川村 元気
- 出版日
- 2014-09-18
30歳郵便局員ボクに突然の余命宣告があり、そこに自分とそっくりな悪魔が現れ、悪魔がボクの大切なもの1つずつを残りの命と引き換えに消していくというストーリーです。佐藤健主演で映画化も話題になりました。
ただの「もの」なのに、失うことで世界が変化し、過去のつながりがなくなり、その価値に気づきます。彼女、親友、そして両親との思い出が、「もの」と一緒に一つずつ消えて、なかったことになっていくのです。
日頃考えもしない「もの」の価値がつながってボクに襲い掛かってきます。
大切な人々に自分の記憶に残すために死を選ぶか、記憶に残らなくなっても命を伸ばすか究極の選択を迫られます。「何かを得るには、何かを失う」という母の言葉。ボクはどんな選択をするのでしょうか?
生きていくことで必ず周りとの関わりができ、生きるしるしが刻まれていく…そんな当たり前のことを再び大切にしたくなります。
また、語り手が猫に変わり、ボクの様子を観察していく『世界からボクが消えたなら』も合わせて読むのもおすすめです。
ゲームのような冒険・宝探し・魔法だけがファンタジーではありません。人生にうるおいをたくさん与えてくれ、生きる道筋を見つけることができる大人でも楽しめるファンタジーをご紹介しました。