JKがグロテスクな程に傷を負いながら、怪異と戦うバトル漫画。謎の怪異現象である「ウラガエリ」に関わった人間達を相手に、女子高生が身体の裂け目から銃火器を取り出して戦うという、なんとも衝撃的な戦闘シーンを見る事の出来る作品です。 今回はそんな本作について、その見所を全巻ネタバレ紹介致します。スマホアプリで無料で読むこともできます!
タイトルのとおり、本作の中心となる設定には「ウラガエリ」と呼ばれる怪異現象が欠かせません。
「ウラガエリ」とは、ある事をきっかけに人間が体の内側から裂け、脱ぎ捨てた衣服のように「裏返る」現象の事です。そのきっかけとは何かに対して強い恨み、悲しみ、怒りなど、ストレスに繋がるような感情を抱いた際に起こります。
- 著者
- ナカタニD.
- 出版日
- 2011-05-28
裏返った人間は、これまでよりも自分の抱えていた感情に正直になり、それがたとえ反社会的な欲求であったとしても、抗う事が出来ません。
この設定は後程もう少し詳しくご紹介しますが、本作に登場する人物達は、少なからずこのウラガエリとの因縁を抱えています。
たとえば、1巻から登場する主人公の1人、北原琉奈(きたはらるな)は、この現象が発動した体験者ですが、完全に裏返ってしまった存在ではありません。姉が殺されたショックによりウラガエリをしかけたものの、彼女自身の強靭な意思の力によって裏返る事なく、人間として生き続けているのです。
そして彼女は、自分と姉を無残な目に遭わせた人物に対し復讐する事を心に決め、日夜犯人を捜し歩いているのでした。
そんな彼女は見た目こそ可愛らしい女の子なのですが、常に包帯で体を巻き上げているという、異様な風体をしています。そして、その包帯の下には、ウラガエリしかけた時の名残として、複数の裂け目が刻まれているのです。
彼女は戦闘の際の武器を、なんと裂け目から、自分の体の中に収納しているのです。そのため戦闘になると、裂け目から銃火器を取り出して敵を撃ちまくるという、なんともグロくて勇ましい戦闘スタイルとなるります。
しかし普段の彼女は普通の女の子らしく、笑ったり怒ったり、恥じらったりする可愛らしい人物。
グロテスクでインパクトの強い世界観との対比によって、より登場人物の印象が強く残りやすくなるのも、本作の魅力といえるのではないでしょうか。
ご紹介したとおり、本作の登場人物達は誰もが「ウラガエリ」との因縁を抱えています。先ほどの琉奈や、殺された姉の史葉(ふみは)はもちろん、彼女に協力する任侠ヤクザのロクと、部下のハチも、この事に関する事件に関わった人物です。
本作は進行に伴って、フォーカスされる主人公が次々と変わっていく作品となっています。そんななか、ロクは4巻までの時点で全編とおして登場しています。
彼は元々、ヤクザの抗争の最中に妻を惨たらしく殺害された事で裏返りが発動し、その復讐のために、妻を売った者たちを追い続けているのです。
そして、それが結果として、ウラガエリに関する事件の謎を究明する事に繋がっているのでした。
徐々に物語の謎を明らかにする原動力は、登場人物達の強い復讐心という辺りが、本作のディープでダークな世界観に沿っていて魅力的といえるでしょう。
ここからは、各巻の見所についてネタバレ紹介していきます。まずは琉奈を主人公とするストーリーが描かれる、第1巻です。
- 著者
- ナカタニD.
- 出版日
- 2011-05-28
姉を殺した犯人に対し復讐を遂げるために、裏返りかけた自分の体を使って戦い続ける琉奈の様子が描かれています。そして彼女の復讐劇は、本巻の最後にひとまずの終わりを迎えるのです。
少女の身でずっと戦い続けてきた彼女が報われる様子に、読み終わるとスッキリする事が出来るでしょう。また、ロクやハチといった今後の物語でも主体となる人物達も登場し、ウラガエリに関する謎を考察するシーンもあるため、作品の世界観を知るための重要な要素が詰まった一冊です。
そんな本巻の見所は、クライマックスで訪れるロクの戦闘シーン。琉奈の物語が中心の1巻ですが、それと同時にロクという人物の抱える闇についてもフォーカスされることになります。そして、彼はすでに1度完全に裏返った人間でありながら、人間としての理性を残している数少ない人物なのです。
そんな彼が持つ切り札は、あえて身体を裏返らせて内臓などを使って敵を攻撃するという、凄まじい攻撃。とんでもない方法なのですが、グロテスクであると同時にモンスターチックな攻撃方法にカッコよさを感じる事も出来ます。
読者にとって強烈な印象を残すシーンといえるでしょう。
琉奈の復讐劇以降の展開を描く、第2巻です。本巻はロクの部下であるハチが、1巻で失った右腕にマシンガンを装備して敵を一掃するという、衝撃的で爽快なシーンから始まります。
- 著者
- ナカタニD.
- 出版日
- 2013-03-18
本巻ではロクの過去を掘り下げるエピソードが描かれているため、さらに彼という人間に感情移入しやすくなるでしょう。
そして新たな主人公として、妊娠した女子高生のアヤカが登場します。彼女もまた、ウラガエリによる残酷な運命に踊らされた人物の1人です。
一方巷で話題になっているのは、妊娠した女性の腹から次々と胎児を奪い殺す事件と、性犯罪者の連続殺人事件という、陰惨で惨たらしいもの。果たして、2つの事件はどのように関わり、アヤカはウラガエリにどのように関わるのか、といった事が描かれていきます。
そんな本巻の見所は、アヤカが実の母親に妊娠している事を打ち明ける場面。彼女は男性との関係を極端に忌み嫌う母親との確執から、これまで妊娠しているという事を打ち明ける事が出来ませんでした。
そんな彼女が初めて明確に母と対立する事を決めたシーンは、読んでいて思わず緊張してしまう程に強烈なインパクトを残すことでしょう。
2巻から引き続き、アヤカに関する事件が描かれる第3巻です。本巻では、彼女の母であるマリアについて掘り下げられる事になります。
- 著者
- ナカタニD.
- 出版日
- 2014-12-27
なんとマリアは、過去に少年達によって拉致強姦をされた経験から裏返ってしまった、完全なウラガエリだったのです。
そして巷で話題となっていた事件を引き起こしたのは、裏返った後の彼女だったことが明らかになります。そんな本巻の見所は、屋上で対峙するマリアとアヤカという場面でしょう。
彼女達は、いずれも「性」によって運命を狂わされた2人ではありますが、その考え方はまったく異なっていて、相容れるものではありません。
それでもアヤカは、マリアに対し、マリアもまた祖母からの愛情を受けていたのだという事を打ち明けます。
これまで、男性との性交渉の結果である子供という存在を忌み嫌い、恨んでいたマリアが、明らかにそのことに動揺するシーンは、なんとも考えさせられるものがあります。
アヤカのエピソードから大掛かりな話へと発展していく第4巻です。本巻では、これまで噂や局所的な殺人事件に留まってきたウラガエリに関する事件が、いよいよ政治や宗教、そして臓器売買といった複雑な社会の暗部へと踏み込んでいく事になります。
- 著者
- ナカタニD.
- 出版日
- 2017-01-28
アヤカ編で登場したキュウという人物がロクとハチの戦いに加わり、味方陣営も賑やかに。果たしてウラガエリに関する事件はどのような結末に向かっていくのか、気になる展開といえるでしょう。
そんな本巻の見所は、キュウの活躍ではないでしょうか。彼はハチを尊敬して仲間に加わったキャラクターですが、実にクセの強い性格をしており、良くも悪くも見ていて読者を飽きさせません。
そんな彼がより戦闘でも日常会話でもクセの強さを存分に発揮しているので、面白いキャラクターが好きだという読者には打って付けといえるでしょう。ぜひ彼の活躍を実際に読んで頂ければと思います。
- 著者
- ナカタニD.
- 出版日
- 2011-05-28
とにかく衝撃的な描写が続く本作、いかがだったでしょうか。今回ご紹介した以外にも、魅力的なキャラクターや展開が随所に散りばめられています。
扱っている題材としても重厚なものが揃っているため、読みごたえ抜群な『リバーシブルマン』。ぜひ、ご自身の目で1度確かめて頂きたい作品といえるです。