本作は、キャラクター原案・神奈月昇、作画・黒瀬浩介によるコミカライズ作品。原作は蝸牛くものライトノベル小説で、イラスト担当は神奈月昇で、2021年1月にアニメ2期の制作が発表された人気の作品です。 このページでは、そんな本作のあらすじ、魅力をご紹介していきたいと思います。漫画アプリからは無料で読むこともできるので、ぜひご利用ください。
ゴブリンといえば、ファンタジー作品ではお馴染みの最弱キャラというイメージではないでしょうか。チートで一撃、群れていようと無双可能な雑魚キャラ……そんな風に高を括っていると、本作のエグさに衝撃を受けてしまうかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。
この物語は、ゴブリンのみを殲滅し続け、一般的な冒険者の最高等級である銀等級にまで到達した1人の男の、凄惨な戦いの記録なのです。
チートは存在せず、魔法も万能ではなく、そして蘇生は不可能(瀕死状態を回復させる奇跡は存在しますが)。
そんな厳しい現実のなか、ゴブリンとの戦いを圧倒的画力で描き出しているのが、本作・漫画版『ゴブリンスレイヤー』です。あらゆる手段を用いてゴブリンを殲滅し続け、「ゴブリンスレイヤー」と呼ばれる冒険者が中心に描かれます。
綿密な世界設定と辛口な展開、迫力のアクションシーンが魅力の本作。ひと味違うダークファンタジーをお求めの方は、一読してみるのをおすすめします。
ゴブリン討伐に失敗した初心者パーティに訪れる、よくある結末。それは死と凌辱です。
最下級の白磁等級を授かったばかりの奇跡の使い手・女神官は、その絶望の現実に直面していました。たかがゴブリンと侮った、その慢心と油断によって、彼女のパーティは全滅したのです。
危機的状況のなかで彼女を助けたのは、ゴブリン殲滅のみを請け負う冒険者・「小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)」でした。彼に助けられ、女神官はゴブリンと戦う事の厳しさ、おぞましさ、そして非情さを求められる現実を思い知らされたのです。
生還した彼女は、自分達に起こった最悪の結末が、よくある事で片付けられてしまう事実に疑問を感じ、自らの信仰を問い直しながら、ゴブリンスレイヤーとともに行動する事を選ぶのでした。
ゴブリンスレイヤー(1) (ビッグガンガンコミックス)
2016年09月13日
本巻で思い知らされるポイントは、とにかく、この世界でのゴブリンの凶悪さです。
男はなぶり殺し、女は死ぬまで弄ぶ。群れを作る事で真価を発揮し、悪知恵を働かせ、生き残れば生き残るだけ学習して強くなり、繁殖力も強く、すぐに増殖する……この物語のゴブリンとは、まるでゴキブリのように厄介で、恐怖を掻き立てるおぞましい魔物なのです。
そして、それを殲滅するゴブリンスレイヤーの日常は、凄まじくすらあります。ある時は臭い消しのためにゴブリンの血肉にまみれ、毒や奇襲、策を労しての殲滅に躊躇いなく挑み、子供といえど殺し尽します。まさに、泥を啜るような現実です。
しかし屈強な戦い方の反面、不器用過ぎる生真面目さと自分の罪を抱え、粛々と進んでいくその姿は、どこか危なっかしくて放っておけません。彼に心の平穏が訪れる日は来るのでしょうか。
殲滅者の切ない物語が、幕を開けます。
ゴブリン程度で、軍や国は動かないのが現実です。さらにゴブリン討伐は実入りが少ないので、強い冒険者からも敬遠されてしまいがち。
しかしゴブリンは、今日もどこかで増殖して村を襲っており、討伐依頼が途切れる事はありません。だからゴブリンスレイヤーは、日々己の使命を果たすのです。
そんな彼のもとを、銀等級の冒険者3人組が訪れます。上森人(ハイエルフ)の妖精弓手、鉱人(ドワーフ)の道人、蜥蜴人(リザードマン)の僧侶という珍しい組み合わせのパーティから、古代遺跡に巣食うゴブリンの討伐を請け負ったゴブリンスレイヤーは、彼らとともに戦いに臨むのでした。
- 著者
- ["蝸牛くも", "黒瀬浩介"]
- 出版日
- 2017-02-25
本巻の見所は、ソロでの活動を続けてきたゴブリンスレイヤーが、パーティを組んで戦っていくところです。
報酬に興味は無く、相手の規模も関係なく、ただゴブリンを殲滅するだけという異常ともいえる執念に、「冒険は楽しむもの」という信条を持つ妖精弓手は反発を覚えます。
けれど、ゴブリンのおぞましさの一端を見た彼女は、ゴブリンスレイヤーの狂気じみた殲滅の日々を察し、楽に生きることを放棄した哀しさを感じるのです。そして彼女はすべてをゴブリン討伐に懸けている彼に「冒険」の楽しさを知ってもらいたいと思うようになるのでした。
ゴブリンスレイヤーは、ゴブリン討伐以外の事にまったく注意を払わない「放っておけない仕方ない人」でもあります。ゴブリン以外の魔物は、名前すら覚えていなかったりするのです。しかし、普通は思い付かないような方法で、ゴブリンだけではなく強力な人食い鬼(オーガ)ですら倒してしまう、真面目で稀有な存在です。
彼と出会った女神官、妖精弓手、鉱人に蜥蜴人は、経験に裏打ちされた実力を持つ、けれどどこか不器用すぎてアンバランスなゴブリンスレイヤーに興味と好感を持ち、ともに行動する事を選びました。単独で戦ってきたゴブリンスレイヤーに出来た仲間達。しかしゴブリンスレイヤーが、彼らを本当に仲間と認識するまで、まだもう少し時間がかかりそうです。
かつて、故郷をゴブリンに蹂躙されたゴブリンスレイヤーは、その時に姉の末路をただ見ている事しか「しなかった」事を、未だに自分の罪だと感じていました。彼の果てしない殲滅は、復讐であり、贖罪でもあるのです。
村を留守にしていて、ゴブリンの襲撃から運よく生き残った彼の幼馴染み・牛飼女と彼女の叔父が営む牧場を、小鬼の王(ゴブリンロード)が率いる100体超えの規模の群れが狙っている事を予期したゴブリンスレイヤーは、辺境の街へ行き、冒険者達に討伐の協力を申し出るのですが……。
ゴブリンスレイヤー(3) (ビッグガンガンコミックス)
2017年09月13日
本巻の見所は、ゴブリンスレイヤーの内面の変化です。
永遠に冒険者を続けていく事は出来ない。先の戦いで負傷した彼はそう感じて、自分の将来、そして自分が何をしたいのかという事を考え始めます。変わり者として敬遠されていた自分といてくれる4人の冒険者との触れ合い、そして彼の「帰る場所」として、ゴブリンの襲撃から逃げないと選択した牛飼女の存在が、ほんの少し彼の心に変化をもたらしたのです。
復讐以外何も持ってないと思っていた自分にまだ残されていたものを守るため、ギルドへ向かって冒険者達に協力を依頼するゴブリンスレイヤー。彼は、今まで取らなかった誰かに「頼る」という行動を取り、「冒険者」という共通の繋がりを自覚するのでした。
人前ではほとんど兜を脱がない彼の素顔が、牛飼女以外の前でお披露目されたりする本巻。因みに美男子らしいですが……残念ながら、我々が見る事は出来ません。
いつか彼の素顔が見られる日は来るのでしょうか。
ギルドの受付嬢や、街の多くの冒険者達の協力を得て、牛飼娘の農場を守りきる事に成功したゴブリンスレイヤー。束の間の平和な時間を過ごしていた彼の元に、至高神の大司教(アークビショップ)からゴブリン討伐の依頼が届きます。
それを受けて、水の都へと向かう一行。街は、遺跡と化した地下水路に潜むゴブリン達による襲撃に、曝されていたのです。地下の探索を開始したゴブリンスレイヤーは、ゴブリン達から感じるいくつもの違和感をもとに、この小鬼禍(ゴブリンハザード)は人為的なものだと予測します。
やがて地下水路は地下墳墓へと繋がり、そこに悪辣な罠が待ち受けているのです。逃げ場のない玄室で小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン)率いる一団の襲撃を受ける彼らは、凄惨な戦いに身を投じることになるのでした。
- 著者
- 蝸牛くも
- 出版日
- 2018-03-13
本巻の見所は、至高神の大司教・剣の乙女の登場です。
両目を眼帯で覆い、大司教の装いに身を包んだ彼女は、美しくたおやかな外見からは想像も出来ませんが、10年前に復活した魔神王(デーモンロード)の1つを倒した、金等級の冒険者パーティの1人なのです。
女神官は、彼女がかつてゴブリンから凌辱を受けた身であるという事を知り、ゴブリンの事について、依頼内容以上の事を知っているのではないかと思い始めます。
どこかミステリアスな彼女の存在感は抜群で、謎めいた雰囲気が今回の依頼に何かしらの裏があるように感じさせます。今後の彼女の行動に、注目していきたいですね。
地下墳墓へと足を踏み入れ、玄室へ閉じ込められた一行は、襲い来るゴブリン達と戦います。善戦していた彼らですが、ゴブリンチャンピオンの一撃をまともに喰らってゴブリンスレイヤーが重症を負った事により、一気に形勢が傾き始めるのです。
動揺した女神官は集中力を切らし、奇跡を発動出来なくなってしまいます。あっという間にバランスを崩され、数の暴力に蹂躙されていく仲間達。
ゴブリン討伐に失敗した冒険者達のよくある結末が、彼らにも降りかかる……そこにあるのは絶望だけなのでしょうか。緊迫の展開が続く5巻です。
- 著者
- ["蝸牛くも", "黒瀬浩介"]
- 出版日
- 2018-09-25
本巻の見所は、ゴブリンスレイヤーが「仲間」の存在を自覚する場面です。
瀕死の重症を負い、戦端が崩れ、皆が蹂躙されていくという経験は、彼に自分1人で戦っていた頃とは違う恐怖を呼び起こします。
危機を脱し、ゴブリンチャンピオンを退けたものの、女神官に珍しく内心の恐怖を吐露したゴブリンスレイヤー。そんな彼を叱って諭し、自分達はもう「仲間」なのだと言う女神官。ゴブリンスレイヤーは彼女達の存在を、あらためて仲間なのだと認識するのです。
4人にはすでに芽生えていた仲間意識に、自分も含まれているのだとようやっと理解した彼。そういう心の機微にうとい彼の「仕方のない人」っぷりが、どこか人を引き付け、壊れてしまった心に何か残したい、と皆に思わせるのかもしれません。
本当の意味で仲間を得た彼の、今後の冒険からまだまだ目が離せません。
『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN'S CROWN-』が2020年2月1日から全国の劇場で公開されます。
テレビアニメに引き続き、キャストはゴブリンスレイヤー役を梅原裕一郎が、女神官役を小倉唯が、妖精弓手役を東山奈央が引き続き演じます。さらに劇場版で新しく登場する令嬢剣士役に上坂すみれが起用され、より一層豪華になりました。
そしてなんと公開から第4週目まで、ドラマCDやスペシャル小説などの毎週違った来場者特典がもらえます!
特典の詳細やメインキャストからのコメントなどはTVアニメ「ゴブリンスレイヤー」公式サイトにて公開されていますので、気になった方はぜひご覧ください。
2021年1月31日に行われた生配信のイベントで、アニメ『ゴブリンスレイヤー』の2期制作が発表されました。
著者・蝸牛くもは、「二期はゴブリンが出たのでゴブリンスレイヤーがゴブリン退治をする話になるかと思います。」とコメント。どのような2期になるのか楽しみですね。
イベントでは制作発表PVも公開されましたので、あわせてご覧ください。
また2021年4月28日に第1シーズンのBlu-rayボックスの発売も決定。映像と音声特典の再収録やキャラクター原案・神奈月昇が描き下ろしのボックスイラストなどファンにはたまらない特典もついてきます。2期放送前に振り返ってみるのはいかがでしょうか。
詳細な情報は、TVアニメ「ゴブリンスレイヤー」公式サイトをご覧ください。
参照記事:アニメ『ゴブリンスレイヤー』2期、『ダンまち』4期制作決定。GA文庫&GAノベル7作品のアニメプロジェクトが一挙発表
ゴブスレさんの冒険は、かなりリアルで、敵味方どちらにも容赦のない展開が凄まじいです。そして、読みごたえがあって面白いのが特徴。おすすめです。