東大受験に失敗して人生転落してしまった32歳の塾講師と、底辺高校に通うピンク頭の不良少年が東大合格を目指す本作。受験をメインストーリーに据えつつ、主人公を取り巻くさまざまな恋愛模様が描かれた本作は、テレビドラマ化も決定し、いよいよ注目が高くなってきた作品です。 今回は、既刊分7巻を全巻ご紹介します。ネタバレを含むので、気になる方は無料で読めるスマホアプリなどでご覧ください。
春見順子は、高校までは成績トップ、教師をも論破する自他ともに認める順風満帆な生活を送っていました。しかし三十路をすぎた今は、趣味も、彼氏も、情熱もない実家暮らしをしています。しかも同居する母親とは、大学受験に失敗してからは険悪な仲。
しかし、そんな彼女が、運命的な出会いを果たして……!?
- 著者
- 持田 あき
- 出版日
- 2016-11-25
主人公の春見順子は、大学受験に失敗してからというもの、ずっとパッとしない人生を送ってきた塾講師の女性です。
高校までは成績もよい優等生で母親との仲も良好でしたが、母親の望みでもあった東大受験に失敗してからというもの、仲は険悪。順子も自信を失くしてしまい、そこからは就職も恋愛も、停滞した人生を送っていました。
そんな彼女の前に現れたのは、由利匡平(ゆり きょうへい)という男子高校生。頭をピンクに染め、悪友と夜遊びをする不良っぽい少年ですが、世間体を気にする父親に連れられて順子の勤務する塾にやってきます。
この父親というのが、なかなか強烈なキャラクター。自分の息子を前に、このまま放っておけば社会的価値のないゴミにしかならない、と言い放つのです。それにキレた順子は、匡平に向かってこんな父親からは逃げろと叫ぶのでした。
順子と匡平には、親との不仲という共通点があります。本巻では、その共通点が2人を接近させていくことになるのです。
順子の母親は、東大受験に失敗した日に強烈なビンタを食らわせ、しかも、その後10年以上も機嫌が悪いという人物。一方、匡平の父親は官僚で世間体を気にし、息子をゴミ呼ばわりしています。
読者から見てもかなりイライラするキャラクターですが、だからこそ、そんな親を見返すため、順子と匡平がタッグを組んで東大受験を目指すというストーリーにワクワクするしてしまうのでしょう。
とはいえ、匡平の学力はやっと中卒レベルといったところ。これからの2人は波乱万丈にしかなりそうにありません。そんな雰囲気に、ドキドキすること間違いなしの第1巻です。
父親を見返すため、東大を目指すことにした匡平。そんな彼を指導することになった順子は、かつて東大受験に失敗してからというもの、よいことがありません。しかし、匡平をとおして、彼女もまた少しずつ前進していきます。
そんななか、合コンで知り合った女子高生・美香が、匡平を追いかけ塾に入ってきて……!?
- 著者
- 持田 あき
- 出版日
- 2017-05-25
匡平に片思いする女子高生・美香や、東大出身の商社マンで順子の従兄弟・雅志、さらに高校時代の同級生で過去に順子に告白したことのある教師・山下など、次々に新しいキャラクターの登場する本巻。いろいろな人物の思惑や気持ちが入り混じり、順子の身の回りは、にわかに慌ただしくなっていきます。
なかでも雅志は、幼い頃から順子に片想いをしている存在。もう20年以上もその想いを抱えている彼が、匡平の存在に触発される形で順子に急接近していく様子は、思わず応援したくなる方も多いのではないでしょうか。
一方、匡平に片思いする美香は、順子の存在が気にくわない様子。本巻では、彼女が原因となる問題も勃発してしまいます。これからどう関わってくるのかも、気になるところです。
そして、もちろん匡平も順子への恋心を自覚するなど、どんどん発展。こちらも見逃すことができません。
ただ、順子はかなりの鈍感タイプのようで、なかなかじれったいところも。順子と結ばれるのは誰なのか、ますます先が気になる第2巻です。
遂に、雅志が順子に告白!しかも、それを匡平が目撃してしまいます。雅志の想いを知ってしまった匡平は、心中穏やかではありません。
しかし肝心の順子は、直接言われてもまだ鈍感力を発揮していて……!?
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塾の合宿ということで、軽井沢へやってきた順子達。同じ日程で、雅志も会社の保養所へ旅行に、さらに山下も軽井沢へやってくることになり、まさに役者は揃った状態になりました。
山下に関しては、前巻で実は既婚者だったということが明らかになっているのですが、まだ順子の恋路に絡んでくることになるのか気になるところです。
しかし本巻の見所は、やはり雅志と匡平が、お互いに順子に片想いしていることがわかるというところ。雅志はもう20年以上も片想い中ですが、順子は従兄弟として彼をとても大切には思っているものの、異性としては見ていないようです。
一方、匡平はまだ未成年ということもあって、順子の友人から、18歳になるまでは耐えろと忠告をされてしまいます。これを受けて雅志はある決意をするのですが、この決意を順子に告げるシーンはとても胸キュンするところなので、ぜひ本編で実際に読んで楽しんでみてください。
他にも、初めて恋をした雅志の話など、番外編も収録。なかなかこじらせている彼ですが、番外編を読むとつい応援したくなってしまうこと間違いなしです。
いよいよ東大受験に向けての模試を受けることになった匡平は、順子とともに準備を進めていきます。しかし、順子はもともと文系。匡平は理系を専攻しているため、どうしても教えきれない部分が出てきてしまいました。
そこで順子は、東大理系出身の雅志の元を訪れるのですが……!?
- 著者
- 持田 あき
- 出版日
- 2018-02-23
東大受験に向けた模試が、いよいよ始まります。恋愛の動きももちろん気になりますが、ピンク頭で底辺高校に通う匡平が東大合格できるのかも、とても気になるところ。受験勉強がどんどん本格化していくところも、本作の見所の1つです。
そんな勉強の話として、本巻では雅志も一役買っています。理系の参考書を教えてもらうため、匡平とともに彼の家を訪れた順子。匡平と雅志はお互いの気持ちを知っているので割と複雑な気持ちを抱いているはずですが、順子はまったく気が付いていません。
彼女は恋愛も結婚もできないと嘆いていますが、その原因はその鈍感さにあるのではと思ってしまうほど。今はむしろ、匡平の受験以外に眼中がないという方が正しいのかもしれません。
それほど彼の受験に心血を注いでいる彼女ですが、今回はそのことで周囲の人間ともめてしまうことに。そのなかでも母親との正面衝突は、順子の成長も垣間見れて、読者としては感動する一コマになっています。必見です。
他にも、既婚者だった山下の離婚が明らかになったり、その山下が匡平の想いを知ってしまったりと、相変わらず波乱の予感がひしひし。まだまだ先の気になる第4巻です。
酔った勢いで順子の家に泊まった山下は、それをきっかけに再び彼女への想いが再燃してきていました。
そんな時、高校時代の同窓会で雅志と再会した山下は、同じく順子に片思いをしている雅志に宣戦布告をして……!?
- 著者
- 持田 あき
- 出版日
- 2018-05-25
かつて順子に告白をし、離婚をして独身になった山下。前巻では、一線を越えていないとはいえ順子の家に泊まった彼でしたが、どうやら本気で彼女への恋心が再燃してきたようです。順子を巡る恋愛に匡平、雅志に続き山下も本格的に参戦してきて、順子の周りはますます大変なことになりそうです。
さらに本巻ではもう1人、新しいキャラクターが登場します。25歳でUCL卒業、高い東大合格率を誇る塾の講師・牧瀬という女性です。彼女は講師としての実力はもちろん、その美貌で男子生徒からの絶大な人気を誇っていました。
しかし、この彼女、実は順子達の同級生。つまり25歳というのは嘘で、ついでに学歴も詐称していました。そんな彼女が匡平に目を付け、順子に彼を自分に預けるように言ってくるのです。
また本巻では、遂に順子が匡平の気持ちを知ることに。しかし、何よりも匡平の東大受験を大切に思っている彼女は、恋愛面では彼と向き合うことを拒否します。順子にとって、今は匡平の受験以外のことは眼中にないのです。
本巻では牧瀬の登場もあって、順子と匡平の絆がより深まる巻になっています。2人のためにもなんとか匡平の東大受験が成功してほしい!と思わざるを得ない一冊です。
32歳を迎えた順子は、新年早々、母親から結婚相談所に登録すると告げられます。
順子も結婚したくないとは思っていないので、登録と婚活への努力はすると約束しますが、この1年は匡平の受験に心血を注ぐことを宣言して……。
- 著者
- 持田 あき
- 出版日
- 2018-09-25
新年早々、母親から結婚相談所の登録を言いつけられる順子。匡平の受験をとおして母親との関係も変化しつつある彼女なので、今回も一方的な母親の言い分に、冷静に対応しています。しかし、結婚については順子も反対する理由はないので、今年は婚活も努力することを約束しました。
ですが、1番の優先事項は匡平の受験。そこは譲れないことを両親に宣言します。恋愛に関しては匡平の気持ちをあえて無視している順子ですが、その他に関しては何よりも彼のことを考えているというのが、よくわかる場面でしょう。
一方、順子の婚活が匡平にどう影響を与えてくるのかも、これからの見所となってくるのではないでしょうか。彼の合格へのモチベーションはどう見ても順子への告白なので、先が気になるところです。
また、山下と雅志の順子へのアプローチも、ますます積極的になっていきます。特に雅志は、20年以上の片想いをどう彼女に伝えるのかが注目ポイント。
匡平、雅志、山下の3人から好意を寄せられることになった順子がこれからどうしていくのか、ますます気になる6巻です。
匡平のことを思い、つい抱きしめてしまった順子。しかしよくよく考えたらこの状況は塾講師と生徒の会話なのか、と気づきます。
冷静にそうは思ったものの、山下とも雅志とも違う気持ちにドキドキが止まらなく、匡平にこっちを向いてと言われた時に、その照れ顔を見られてしまいます。
どうにかごまかす順子ですが、センター試験前にこれはどうなのかと挙動不審になり……。
- 著者
- 持田 あき
- 出版日
- 2018-12-25
7巻ではセンター試験の自己採点の結果が発表されます。美香、匡平の将来への道はいかに……?
その展開も見所ですが、やはり見逃せないのが恋愛展開。順子も最近では匡平のことを意識していることを自覚しているそぶりを見せています。ここが正念場とばかりに、匡平が追い打ちをかけてくるように、あることを聞くのです。
それは、自分を男として見ているかどうか。
それに対して順子はある決定的な答えを言うのです。
どんどん自分への恋心を自覚され、強い言葉で順子をさらに引き込んでくる、匡平。自己採点が終わり、いよいよ試験も大詰めとなってきていますが、恋愛展開はどう進んでいくのでしょうか?
いかがでしたか?過去に受験に失敗した女性と、東大を目指すことになった不良少年の勉強と恋愛を描いた本作。東大合格という目標に向かっていく主人公達の姿を応援したくなることはもちろん、彼らの恋愛も、ドロドロし過ぎずさわやかに読むことができるでしょう。
32歳の女性の人生復活劇と、少年の年上女性に対する恋を読みたい方は、ぜひチェックしてみてください。