謎の飛翔体・ザイ。そんなザイを撃退する存在である「アニマ」と呼ばれる少女達。そして、マニアの少女・グリペンと出会ったことで大きく運命が変わる少年・慧の激戦の物語です。 2014年に1巻が発刊されて以降、高い人気を誇るライトノベルシリーズ『ガーリー・エアフォース』。2019年にはテレビアニメ化も決定しており、ますますその注目度が高くなっています。今回は、既刊分9巻をご紹介します。
ザイという謎の飛翔体によって、存亡の危機に陥っている人類。そんなザイに対抗すべく生み出されたのは、「アニマ」と呼ばれる少女達でした。
アニマは戦闘機の制御ユニットであり、それぞれ波長の合う戦闘機に乗ることで現代の技術を超えた戦闘能力を発揮することができます。そんなアニマの少女・グリペンと出会い、戦いに身を投じることになったのは、男子高校生の鳴谷慧。
ザイに母親を殺されている彼は、ザイを倒すべくグリペンのパートナーとなり、激しい空戦をくり広げることになるのです。
- 著者
- 夏海 公司
- 出版日
- 2014-09-10
日本をはじめ、アメリカ、フランス、ロシアなど、各国の戦闘機を操る少女達は、人類を救うことができるのでしょうか。
そして、慧とグリペンに課せられた運命とは……。
空戦が見所のボーイ・ミーツ・ガール小説。2019年1月にはテレビアニメ化も決定している、注目作品です。
本作の魅力は、なんといっても空戦です。
SF要素が強く、現代の技術を超えた激しい戦闘がくり広げられていきますが、もととなっている戦闘機は現実に存在するものであり、作中にはさまざまな専門用語も登場します。詳しい人は、登場するいろいろな戦闘機を楽しむこともできるでしょう。
もちろん詳しくなくてもSFとして読むこともできるので、ストーリーを楽しむことに問題はありません。しかし戦闘機好きにとっては、ストーリー以外も楽しむことのできる作品となっているのです。
また、慧とグリペンをはじめとした少年少女達の交流や心の成長も、見逃すことはできません。特に慧とグリペンの信頼関係や恋愛模様、そして自分達に課せられた運命を知った時の葛藤など、王道ではありますが、やはり読者の心に強く突き刺さってきます。
バトルも人間ドラマも、どちらも楽しんで読んでみてください。
石川県小松市。そこにある祖父母の家に身を寄せている男子高校生・鳴谷慧は、ある夢を見て目を覚ましました。
それは避難の際に遭遇したザイ襲撃と、それを撃退した赤い戦闘機、そして、その戦闘機に乗っていた女の子の夢で……。
- 著者
- 夏海 公司
- 出版日
- 2014-09-10
ザイと呼ばれる謎の飛翔体兵器により、人類が存亡の危機に陥っている世界。始まりとなる本巻では、主人公の慧と、アニマと呼ばれる存在の少女・グリペンとの出会いから始まります。
第1巻ということで、慧の過去やグリペンの正体、またザイの存在に脅かされている世界の状況などが語られ、世界観を教えてくれる一冊となっています。実は、慧はパイロットであった母親を、このザイの襲撃によって失っており、その復讐も心に秘めているようです。
そんな彼がグリペンと行動をともにするようになったのは、アニマとして不完全でおかしな行動を取りがちだったグリペンが、なぜか彼とともにいると正常な行動を取ることができるようになったから。
ザイに対抗するための兵器である彼女と行動をともにするようになった慧が、母親の仇であるザイを前にどういう行動をするようになるのか、気になるところです。
もちろん、この2人以外のキャラクターも登場。基本的にはグリペンがメインヒロインですが、他にも、慧の幼馴染で中国人の女の子・宋明華(ソン・ミンホア)や、グリペンと同じアニマの少女・イーグルなど、慧の周りを個性豊かな女の子達が囲んでいくことになります。
彼と彼女達がどう絡んでいくのかも先の気になる、第1巻です。
グリペンとともに模擬戦に挑んでいる慧は、自分の脆弱な肉体を情けなく思っていました。
グリペンのパートナーとしてともに戦うようにはなった彼でしたが、ただの人間である自分がアニマであるグリペンの足を引っ張っていると考えて……。
- 著者
- 夏海公司
- 出版日
- 2015-03-10
グリペンとともに、ザイとの戦いに身を投じるようになった慧。彼はこの時点ではまだ高校生ですが、もともとパイロットである母親の影響で航空機に興味を持っており、航空機の知識はもちろん、フライトシュミレータによる操縦経験も積んでいたことから、最初から高度な技術を駆使してばっちり戦闘に参加しています。
しかし、そうはいっても体は生身の人間。グリペン達とは違い、激しい重力に耐え切れず体にダメージを負ってしまうことが度々ありました。彼はそのことが歯がゆく、またグリペンに申し訳なくも思っていたのです。
本作では軍事ものの専門用語も多く出てくるので、ミリタリーものが好きな方には特に楽しめるものとなっているのですが、2巻目となる本巻は前巻と比べるとさらに専門用語が増えているため、あまり詳しくない方にとっては少しわかりにくい部分もあるかもしれません。
また本巻では、新しいアニマ・ファントムも登場。アニマのなかでも高い性能と戦闘能力を持っているのですが、そのぶん協調性がなく、慧やグリペン、イーグルとは衝突しがちになってしまいます。
そこで主導権を賭けてファントムと慧の勝負が始まるのですが、その結果はぜひ本編を手に取って確認してみてください。
ある日、慧は不思議な夢を見ました。小松の町並みにグリペン。どれも見慣れたものなのに、意味のわからないことばかりの夢……。
彼がその意味を知った時、ある真実が明かされて……。
- 著者
- 夏海公司
- 出版日
- 2015-06-10
美少女と戦闘機が見事な合体技をくり広げる本シリーズ。本巻では、アニマという存在の真実が少しだけ明かされます。グリペンやイーグル、ファントムなどのアニマは、人類がザイに対抗するために作った兵器ですが、その存在が一体どういうものなのかは、まだ明かされていませんでした。
本巻では、アニマの核部分がザイの残骸で出来ていることが明かされます。ザイに対抗するにはザイ、といったところでしょうか。冒頭では意味深なシーンも描かれているので、この真実が今後物語において重要な部分となってくることは間違いありません。ぜひチェックをしてみてください。
また今回は、ライノというアニマが登場します。彼女はアメリカ海軍に所属するアニマ。まだ作られたばかりですが、艦載機でその戦闘能力と知識は確かなもの。今回の任務である上海奪還作戦において重要な役割を果たすので、ぜひ彼女の動向に目を光らせてみてください。
夜。飛行場は突然のスクランブル警報に緊張感が高まっていました。ザイの侵入を疑い出撃した慧達でしたが、そこにザイの姿はありません。
代わりに発見したのは、ロシア軍に追いかけられているアニマで……!?
- 著者
- 夏海公司
- 出版日
- 2015-11-10
ここまで、一冊に1人のペースで新しいアニマが登場している本作ですが、今回もまた新しいアニマが登場。それが、ベルクトというアニマです。ロシアで作られたアニマですが、軍から逃亡して日本に亡命、慧達に保護されてともに過ごすことになりました。
彼女が元ロシア軍であることは間違いないのですが、ロシア軍はその存在を否定しているうえ、ベルクト自身は記憶を失っているという、かなり謎に満ちた存在です。本巻はそんな彼女を中心にしたストーリーが描かれていきます。
本作では迫力ある戦闘シーンの他に、ほのぼのとした日常もたびたび描かれてきました。そのなかで慧とグリペンが少しずつ距離を縮めていく様子はもちろん、イーグルやファントムなども慧との交流を経て少しずつ変化していっているようです。
そんな輪の中に突然入ってきたベルクト。一波乱あるのかな?と思いきや、彼女はかなりよい子でした。
記憶を失った影響で戦闘面はあまり期待できませんが、それを補うように素直で、慧やグリペン達とすぐに仲よくなります。グリペンも妹ができたかのように彼女と仲よくするようになるなど、心温まるエピソードも多く描かれているのです。
しかし謎に満ちたままのベルクトが、そのように平和な話のまま終わるわけはありません。彼女がよい子なぶん、本巻の展開はとても切なく衝撃的に映ることもあるでしょう。それがどのような内容のものなのかは、ぜひ実際に手に取って確認してみてください。
ベルクトの事件の際、戦いが終わったらどこかに出かけようとグリペンと約束をしていた慧。
その約束を果たすため金沢の町にくり出しましたが、そこで見たのは、まさかの武器密輸の現場で……!?
- 著者
- 夏海公司
- 出版日
- 2016-03-10
ベルクト事件の戦いを終え、久しぶりに外出許可をもらった慧とグリペン。しかし、ワクワクなデートの始まり……というわけにはいかず、2人はどういうわけか武器密輸の現場に居合わせてしまいました。
そこで知り合ったのが、ブーランジェ中尉というフランス軍に所属する女性。今回の新キャラクターこそ彼女です。
これまでずっと新しいキャラクターはアニマだったのに、今回は人間の女性。しかも20代くらいの大人の女性?と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その意味は後に明かされることになるので、ぜひ実際に読んで確認してみてください。意外な展開に驚くこと間違いなしです。
本巻では、このブーランジェ中尉も入れて、慧とグリペンに新たな任務が言い渡されます。それは、南シナ海で焼失したフランスの空母シャルル・ド・ゴールが積んでいた荷物を回収すること。その積み荷とは、ラファールというドーターでした。
ドーターというのは、アニマの乗る戦闘機のこと。制御ユニットであるアニマとドーターが接続することで、ザイに対抗できる戦闘機が出来上がるという仕組みです。
基本的には、アニマとドーターは一心同体で、アニマ1人につき機体も1つ。しかし、ラファールには適合するアニマがいないらしく、もっともラファールと波長の近いグリペンなら操縦できるかもしれないということで、回収任務が与えられたのでした。
しかし、そもそもラファールにアニマがいないという点や、空母は一体どこに消えたのか、さらに途中で登場する謎の少女など、重要な謎がいくつも散りばめられた本巻。任務や戦闘シーン以上にミステリアスな展開に、ドキドキすることも多いでしょう。
戦闘シーンはもちろんですが、謎解きやザイの存在に関わる謎など、重要なキーワードを見落とさないようにじっくりと読んでみてください。
ある日、慧はドーターの開発者であり特別技術研究室室長の八代通遥から、モンゴルで見つかった戦闘機の話を聞きます。それは日の丸をつけた、紛れもない日本の戦闘機の残骸。
しかし、何と千年以上も前のものだということが明らかになり……!?
- 著者
- 夏海公司
- 出版日
- 2016-07-09
少しずつザイやアニマの存在の秘密が明らかになってきましたが、本巻でもまた新たな謎が登場します。それが、千年以上も前の日本の戦闘機。それがモンゴルで発見され、慧達にはその調査が命じられました。
これが一体どんな意味を持つのかは、彼らの調査が進むに連れて明らかになっていくので、ぜひしっかりと読み込んでみてください。この辺りは物語を作る世界の軸の部分になっていくので、要チェックです。
また、本巻では新たに3人のアニマが登場します。ジュラーブリク、ラーストチュカ、ディー・オーの3人は、ロシア空軍に所属するアニマ。モンゴルまで調査に訪れた慧達の前に現れたのですが、どうやらそうすんなりと仲間になってくれるような雰囲気ではありません。むしろロシア軍のある思惑を抱えて近づいてきます。
本巻の敵は、ザイだけではありません。モンゴルで発見された戦闘機を巡り、国同士の思惑がからみ合い、国同士、人同士、そしてアニマ同士の戦いへと発展していくのです。人類の存在を脅かすザイとは違い、これらの戦いにはそれぞれの想いが強く感じられるためか、どこか切ない気さえするものになっています。
これまでとは少し違う戦いから、目を離せません。
モンゴルで見つかった、千年も昔の戦闘機。それは、アニマの操るドーターでした。千年前に一体何があったのかを探るため、慧とグリペンは戦闘機とリンクを結びます。
そこで2人が見たものとは……!?
- 著者
- 夏海 公司
- 出版日
- 2016-10-08
前巻では千年前の戦闘機から情報を引き出すため、慧とグリペンがリンクを結ぶことになりました。そこからの続きで、本巻は発見された戦闘機のパイロットの話、つまり千年前の世界の話になります。
これまでザイやアニマの存在について、少しずつ謎が提示されたり事実が明らかになったりしていましたが、本巻では遂にザイの正体、そしてグリペンの過去について紐解かれることになります。
千年前の世界では、現代と同じようにザイと人類が戦いをくり広げていました。その戦いで怪我を負い、仲間を失った蛍橋三等空尉は、失意のなかでアニマの少女――グリペンと出会うのです。
千年前にグリペンがいることにまず驚きますが、この物語こそザイの正体を明かにすることになるので、ぜひ隅々まで読んでみてください。
ここまでいろいろなところに散りばめられてきた伏線もどんどん回収されていくので、気持ちも大いに盛り上がって一気に読むことができるでしょう。ある意味、最終巻にも近いようなまとまり方をしていますが、だからこそ次巻からどういった展開が待っているのか、気になる一冊です。
ザイの正体と、グリペンの運命。それは、未来の人類と地球のために作られた悲しい存在でした。
真実を知った慧はグリペンを守るため、戦いを放棄するという選択をするのですが……!?
- 著者
- 夏海 公司
- 出版日
- 2017-11-10
前巻で、ザイの正体とグリペンの秘密が明らかになりました。まず、ザイは未来で作られた存在であり、未来の地球と人類を守るため、過去に送りこまれてきた存在でした。
つまり、未来のために人類を少し減らそう、ということ。そしてグリペンは、ザイを未来から過去、過去から未来へと移動させるための存在であり、ザイがいる限り、そのループから外れることができないという運命を背負っていたのです。
そこから彼女が外れるのは、ザイが滅びるか人類が滅びるかのどちらかの時。そのことを知った慧は、彼女をループから外して守るため、人類を守ることを放棄したのでした。
正直なところ、ザイか人類のどちらかが滅びるかといえば、戦力的に人類のほうであることは間違いないため、慧はその選択をしたのでした。
本巻では彼のその選択を中心に、さまざまな葛藤が描かれていきます。ここまで読んできた読者にとっては、グリペンを守りたい彼の気持ちを応援したくなる方も多いのではないでしょうか。しかし、慧とグリペンがいなくなったことで仲間達が傷ついていく姿も、なかなか辛いものがあります。
全体的にシリアスなので、読んでいて少ししんどくなることもあるかもしれません。これから慧やグリペンにハッピーエンドが訪れるのかどうか……まったく先の読めない展開にドキドキしっぱなしの一冊です。
グリペンを守りたい一心で戦いを放棄した慧。しかし傷つきながら戦う仲間達を前に、そして、これまでの経験を糧にしてザイと戦うことを決意した慧は、あらためてグリペンを守ることを誓います。
そんな2人に突き付けられた、次なる戦いとは……!?
- 著者
- 夏海 公司
- 出版日
- 2018-06-09
再びザイとの戦いに戻ってきた慧。とはいえ、グリペンを守りたいという気持ちに変わりはなく、彼女を守るためにも戦うことを決意したようです。というのも、グリペンはこれまでずっと過去と未来を行ったり来たりしているので、誰よりもザイとの戦いには慣れています。
真実を知ったことで慧とグリペンはさらなる進化を遂げたのか、本巻の冒頭では、かなりよい感じにザイを倒している姿が描かれています。このパワーアップがこれからの展開にどう関わってくるのか、気になるところです。
しかし、そんななかザイの攻撃で町が1つ消滅したり、反対に海の上に謎の陸地が現れたり、次々に不可解な出来事が起こり、戦況は決してよいとはいえない状態に。作戦のためベトナム入りした慧達でしたが、そこに現れたのは以前に登場したロシア軍に所属するアニマ・ジュラーブリク達でした。
ザイの攻撃がますます未知数と化していくなか各国との協力は必須なのですが、ロシアのアニマとは少なからずいざこざがあったために、慧達も複雑な心境の様子。果たして彼らは、彼女達と協力して戦うことができるのでしょうか……戦闘以外でもドキドキしてしまう展開に、手に汗握ること間違いありません。
新しい戦いの幕が開いたという感じの最新巻ですが、この先は2018年現在、まだ未発売。新刊を待ちながら、ここまでの巻をぜひ楽しんでみてください。
いかがでしたか?美少女と戦闘機という組み合わせに食指が動く方も多いかもしれませんね。軍事的な専門用語も多く、詳しくない人にとってはやや難しいところもありますが、どちらかというとSF要素が強いので、あまり深く考えすぎずストーリーを楽しみながら読んでみてください。