小学生のうちに読んでおきたいノンフィクション本の名作をご紹介していきます。どれも教養や一般常識として知っておきたいものばかり。読書感想文にも役立つでしょう。
雨の日も雪の日も、主人である上野先生の帰りをひたすら待ち続けた秋田犬のハチ。「忠犬ハチ公」として知らない人はいないのではないでしょうか。
本書は、ノンフィクション作家の岩貞るみこが、林正春の記した『ハチ公文献集』をもとに丁寧に書き起こした作品です。小学校3~4年生からおすすめです。
- 著者
- 田丸 瑞穂(写真) 岩貞 るみこ
- 出版日
- 2009-07-16
亡くなった主人の帰りを、およそ10年間も渋谷駅の前で待っていたというハチ公。けなげで純情な姿に、優しい気持ちになれるはず。切ないながらも心あたたまる物語です。
動物が好きな子どもは特にとっつきやすいでしょう。読書感想文を書く際は、約束の大切さや、ハチと主人の絆、ハチの姿を見ていた周りの人々の心情などに注目するのがおすすめです。
フランスの昆虫学者ファーブルが書き留めた昆虫の観察日記を、小学生から読めるよう編集し、注釈や解説を付け加えた作品です。
生態写真や標本画、イラスト、漫画などを多数収録し、子どもの興味を惹きつけて離しません。難しい漢字にはフリガナがしっかり振ってあるので、小学校3~4年生から読むことができます。
- 著者
- 奥本 大三郎
- 出版日
- 1991-03-15
翻訳者の奥本大三郎は、ファーブルはもちろん昆虫にも精通している人物。自身の知識も生かしながら子どもにわかりやすい文章にしてくれています。
『ファーブル昆虫記』は、ファーブルが自身の一生をかけて成し遂げた大仕事。解説の質はもちろんですが、その熱量に触れることが子どもにとっては大きな経験になるはずです。
シリーズは全8巻。ぜひ揃えて読んでみてください。
伝記漫画シリーズ「学習まんが人物館」の一冊。近代看護の生みの親であり、自らの信念のもと看護の地位確立と改革、看護教育に一生をささげたナイチンゲールの功績が描かれています。
作画は真斗という女性イラストレーター。かわいらしく親しみやすい絵柄で、小学生にも手に取りやすくなっています。
- 著者
- ["真斗", "黒沢 哲哉"]
- 出版日
- 1996-11-01
戦争で命を落とす人の割合は、戦闘自体で亡くなる人よりも医療や看護の不足で亡くなる人のほうが多いこと、看護に対する理解のないなかでナイチンゲールがどのような変革をしていったのかなどが臨場感たっぷりに描かれています。
決して軽いテーマではありませんが、子ども向けの表現にも配慮し工夫されているので、安心して読んでよいでしょう。
看護師という職業は小学生でもイメージがしやすいので、初めて接する伝記としてもおすすめです。
幼いころにかかった髄膜炎が原因で視力と聴力を失い、話すこともできなくなったヘレン・ケラー。しつけを受けることができなかったことから、非常にわがままに育ちました。
そんな彼女が家庭教師のサリバンと出会い、文字や言葉を学んで、最終的には世界で福祉活動をおこなうまでになります。
字も大きく文章も読みやすいので、小学校低学年からチャレンジできるでしょう。
- 著者
- 砂田 弘
- 出版日
- 1998-08-01
障害のない子どもにとって、目の見えないこと、耳の聞こえないことはなかなか想像がしづらいことでしょう。だからこそヘレン・ケラーがそれらを克服していった過程を読むことで、強い印象が残るはずです。自分の生活と照らし合わせることで、あらためて自分自身を見つめなおすきっかけになるかもしれません。
また、ヘレン・ケラーの物語は、同時にサリバン先生の物語でもあります。さまざまな視点で本書を読むことで、どのように生き、何をするのか、考えるきっかけになるでしょう。
ユニセフ親善大使を務めている黒柳徹子。愛称は「トットちゃん」です。本書は、彼女が貧困や災害に苦しむ国々を訪れ、そこで出会った子どもたちの姿を綴った作品です。
トットちゃんだからこそ描ける、子どもの目線に立った文章が胸を打ちます。
- 著者
- ["黒柳 徹子", "田沼 武能"]
- 出版日
- 2001-06-25
今日の食べるものに困っている子ども、家族のために体を売る子ども、お金を恵んでもらえるようにと手足を切り落とされた子ども……文章はわかりやすく書かれていますが、ショッキングな写真や描写もあります。
ただこれがフィクションではなく現実世界に実際にあることだと知るのは、日本で暮らす私たちにとって意義のあることでしょう。
小学校高学年からおすすめの一冊です。