口下手な少女・七々子。そんな彼女のコミュニケーションツールは……まさかの川柳!? そんな彼女を中心にくり広げられる、ほのぼの系学園4コマラブコメが、本作『川柳少女』です。 漫画雑誌「週刊少年マガジン」で2016年から連載中。2019年4月には、アニメ放送も決定しています。そんな、これからますます注目が高くなる本作を、既刊7巻分ご紹介しましょう。
雪白七々子(ゆきしろ ななこ)は文芸部に所属する高校生。いつもニコニコしていて美人な彼女は、男子からも人気のある女の子です。しかし、話すことが苦手なゆえに、ちょっと変わったコミュニケーション手段を取っていて……。
それは、なんと川柳でした。通常の会話でも、さらには運動中でも、彼女は伝えたいことを川柳で表現し、それを短冊にしたためるのでした。
そんな彼女は、元ヤンの毒島エイジ(ぶすじま エイジ)の優しさに触れ、しだいに彼のことが気になるようになっていき……。
口下手な主人公という設定はよくあるものの、川柳で想いを伝えるキャラクターというのは、史上初ではないでしょうか。
しかし七々子は口下手であっても、決して人見知りではありません。にこにこと笑いながら友達と積極的にコミュニケーションをとったり、エイジにアプローチをかけたりします。その方法は、もちろん川柳です。
つかみどころのない彼女ですが、その様子はいちいちかわいい!!彼女の仕草に、胸キュン必須です。
そんなちょっと異色なラブコメである本作は、2019年4月にテレビアニメ化されました。その様子はTVアニメ「川柳少女」公式サイトから公開されています。
さらにマガジンで、人気漫画『彼女、お借りします』とコラボしたことでも話題に。なんと袋とじで、その中身は、七々子と『彼女、お借りします』のヒロイン・水原の入浴シーン!
その衝撃的な内容と、2人のセクシーすぎる姿は、ファンを大いに喜ばせました。
言いたい事は全部「五・七・五」で言う女子高生・雪白七々子。しゃべるのが苦手な彼女は、人とのコミュニケーションはすべて筆談、「五・七・五」調の言葉で取っているのです。
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2017-04-17
たとえば、どうして筆談なのかと聞かれた彼女は、短冊に
考えが まとまらなくて 喋れない
(『川柳少女』1巻より引用)
と、書いて答えます。授業で当てられてわからない時は、
実言えば 五問前から 意味不明
(『川柳少女』1巻より引用)
さらに体育の時間にバスケットボールをしている時まで
パスカモン! こっちガラ空き チャンスだよ!
(『川柳少女』1巻より引用)
など、すべて短冊で書いて自分の意志を伝えるのです。もはや、すべて名言級。それ以外は、絶対にしゃべりません。
ちょっと不思議なキャラクターですが言葉が川柳だけであることによって、七々子の動きや表情はとても豊か。天然ボケな性格や、友達や好きな人の前で見せる笑ったり照れたりする顔がとてもかわいらしく描かれています。まさに、憎めない癒し系のヒロインです。
そんな彼女が片思いをしている相手・エイジは、周りの人が引くくらいの強面。そのせいで中学生時代はよく喧嘩を吹っかけられていました。
しかし、ある日から川柳の魅力に目覚め、高校では七々子と同じ文芸部に所属しています。強面も、学ランにパーカーという衣装も、一見すると不良にしか見えませんが、たんぽぽを見て川柳を読んだり妹を溺愛していたりと、こちらも憎めないかわいいキャラクターです。
他にも、文芸部部長の片桐アマネや、エイジの幼馴染でアメリカ陸軍格闘術部という部活に所属する大月琴(おおつき こと)、七々子の後輩で自分の気持ちをすべて絵で伝える矢工部キノ(やこべ きの)など、個性豊かでほのぼのとした登場人物が多く登場します。
そんな彼らが、これからどんな活躍をしていくのかが楽しみになる第1巻です。
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2017-04-17
妹・毒島ハナビと動物園に行く約束をしたエイジ。
しかし、動物園に行ったことのない彼は、七々子とアマネに同行を頼むのですが……!?
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2017-07-14
強面で不良にしか見えないのに、心優しいエイジ。彼は、妹のハナビを溺愛しています。その傷だらけの風貌も、実は妹と遊んでできた怪我によるものでした。
そんな彼が、ある日、ハナビに動物園へ行きたいと言われます。連れていく約束をしたものの、動物園に行ったことのない彼は、七々子とアマネに頼み込んで一緒についてきてもらうことに。
彼のことを「にいに」と呼んでまだ幼い喋り方をするのに、いきなり大人びたコメントで年上の高校生の心を突き刺すハナビは、なかなか強烈なキャラクター。彼女を加えた動物園編はほのぼのとして、癒される話になっています。
また学校では、球技大会で汗をかいた七々子が、エイジに汗だくだから近づかないでと言ったり、調理実習で作ったオムライスに「エイちゃん」(エイジのことです)と書いたり、さらにエイジと七々子の父親が出会ったりと、2人の関係がますます近づいていく様子が描かれています。
近づいていくとはいっても、恋人になるなどの具体的な展開はまだありません。しかし、ほのぼので甘酸っぱい2人の関係を楽しむことができるでしょう。
もちろん、ヒロインはそんな甘酸っぱい展開のなかでも「五・七・五」でしか話しませんが、だからこそストレートな気持ちが伝わってくるところもあります。他の作品では味わえない胸キュンポイントを、ぜひ探してみてください。
また本巻では、超個性的なキャラクター・花買タオ(はなかい タオ)が登場。休日は占い師として活動する彼女は、なんと自分のトイレのタイミングすらも占いで決めます。我慢に我慢を重ねた末、ようやく占いで出たからと全身をプルプル震わせながらトイレへ向かう彼女は、かなり面白いので必見です。
大雨で壊れてしまった、学校のウサギ小屋。
美化委員の七々子は小屋の修理の手伝いを頼まれますが、小屋には鬼が住んでいるという噂があって……!?
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2017-10-17
七々子のエイジ大好きアピールがますます加速している本巻。冒頭では、いきなりウサ耳エイジを見ることができます。どうしてそんなことになっているのかというと、生き物係である彼は強面のせいかそのままだとウサギから逃げられてしまうため、擬態としてウサ耳を付けていたのでした。
大雨で壊れてしまった小屋を、美化委員と生き物係の七々子とエイジが修理することになるのですが、修理を初めての共同作業と思って照れるなど、七々子のエイジ大好きな気持ちがますます溢れ出ています。
そんな彼女が、本巻では浴衣や水着姿になって、エイジと一緒に胸キュンな日々を過ごします。プールの話では、女子の間で気になるお胸事情の話も展開。こちらも気になります。
そんななか、七々子が浴衣を着て花火大会へ行った際には、エイジが彼女に光るオモチャの指輪をあげ、それを目印に迷子になってしまった七々子を見つけてくれるという、読んでいるだけで思わずニヤけてしまいそうなエピソードも収録。
他にも、エイジと相性がよい、と占いで言われてニヤニヤが止まらない七々子だったり、髪型をエイジの好みに変えたり……七々子のエイジ大好きな気持ちが止まりません。
これだけわかりやすい彼女を前に、エイジがこれからどんな風に変わっていくのか、ますます気になるところです。
なぜか、エイジのことを無視する七々子。
何かに怒っている様子なのですが、エイジは自分のことで怒っているなら直接七々子に聞くのはデリカシーがないと悩んでしまい……!?
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2018-02-16
前巻は、七々子のエイジ大好きな気持ちが溢れるストーリーと、浴衣や水着のサービス回を楽しめる一冊になっていました。しかし本巻では、そんな2人の関係を壊すかもしれないキャラクターが登場します。
それが、明司五町(あかし こまち)という1年生で、エイジに片思いをしている女の子です。
彼女は、エイジと同じ中学に通っていました。彼に好意を寄せているヤンキー風の女の子ですが、実は地味目な文学少女というのが、本当の姿です。
どうしてヤンキーのような恰好をしているのかというと、エイジのようなヤンキーは付き合う彼女もヤンキーなはずだ、という思い込みがあったから。しかし、素は文学少女のため、台詞の端々では太宰治や辞書の言葉が出てきたりと、ヤンキーになりきれていないところがポイントです。
もちろん、五町と七々子も関わり合いが出てきます。エイジ大好きな2人がどういう関係になっていくのか、本巻で一応の結論は出されているので、ぜひ注目してみてください。
修学旅行で距離の近づいた男子に告白し、あっという間にフラれてしまった文芸部長・アマネ。
しかし、そんな彼女にも春が訪れる予感が……!?
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2018-06-15
エイジと七々子の、恋人じゃないのに恋人みたいなイチャイチャを横目に、好きな人にフラれてしまったアマネ。告白した相手から、魔法瓶でお湯を持ってきて学校でカップラーメンを食べる女とは付き合えない、と言われてしまったのでした。
他にも、雑学に華がないなど、散々な言われよう。部長の顔は、すっかり薄い感じに描かれてしまっています。彼女はかわいそうですが、そのフラれた理由には思わず笑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
冒頭では、そんなすっかり影の薄くなってしまったアマネを、七々子やエイジ、キノ達が何とか元気づけようとするエピソードが描かれています。しかし、そんなアマネにも遂に春が!?という展開もあるので、安心してほのぼの読むことができるでしょう。
また、七々子とエイジの中学時代を描いたエピソードも収録。いまだに付き合っていないのにいちゃいちゃラブコメをくり広げている2人ですが、そんな彼らの過去を読めば、さらに2人の強い絆を感じることができるはずです。
何かが起こりそうな文化祭は、次巻へお預け。続きが気になる方は、ぜひ次も用意してから読み始めてみてください。
いよいよ文化祭が開幕!メイド服を着た七々子はそのかわいらしさで、男子からの注目を集めています。
一方、劇に出演している五町は、観に来たエイジを前にある演技をして……!?
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2018-09-14
文化祭が開幕する本巻。文化祭らしく、七々子がメイド服を着たり、ミスコンに参加したりしています。メイド服の七々子はすっかり男子からの注目を集めていますが、本人はエイジと一緒に文化祭を回ることを楽しみにしているようです。
一方、五町は劇に出演しています。劇中でドア越しに告白するというシーンを演じている彼女は、観客のなかにエイジを見つけ、いつも以上に熱の入った演技をくり広げます。
実際に告白しているわけではない、これは演技!と自分に言い聞かせながらも内心では真っ赤になっている彼女は、とても可愛く描かれていて、いつもは七々子派の人もつい応援してしまいたくなるかもしれません。
また、ミスコンに参加してドレスを着た七々子が、ドレス姿を1番にエイジに見せるよと川柳を読んだり、校内で手をつないでしまってエイジが焦っている反面、七々子はにこにこと手を離そうとしないなど、文化祭の空気のせいなのかいつも以上に七々子が積極的で、胸キュンも糖度高めになっています。
他にも文芸部に新しい顧問・倉阿佐子(くら あさこ)、通称・倉さんが入るなど、2人の周りにも新しい変化が。恋愛に、新しい仲間に、ますます賑やかになりそうな予感のする第6巻です。
文化祭も終わり、季節はすっかり冬。冬は星がよく見えるという理由で、文芸部のメンバーは天体観測をすることになりました。
ロマンチックな星空の下で、エイジと七々子は……!?
- 著者
- 五十嵐 正邦
- 出版日
- 2018-12-17
前巻では文化祭の賑やかな空気で読者も盛り上がるエピソードでしたが、本巻はクリスマスエピソードをはじめ、しっとりロマンチックな雰囲気の漂う一冊になっています。
冬は空気が澄んでいて星がよく見えるので、天体観測をすることになった文芸部のメンバー達。暗いので、七々子の筆談が見えないという小さなトラブルがありつつも、満天の星の下でロマンチックなひと時を過ごしました。
そんな本巻のメインエピソードともいえるのが、クリスマスの話です。この話では、かつて七々子をいじめていたいじめっ子が登場します。自分の言いたいことはすべて川柳で話すという七々子は、今でこそ理解ある、よき友人に囲まれていますが、過去にはいじめられていたこともあったのです。
いじめっ子は、七々子と一緒にいることでエイジも変に思われる、と七々子に吹き込みます。その言葉を真に受けてしまった七々子は、エイジから距離を取ってしまうことに……。
いつになくシリアスめな話ですが、エイジがしっかりとよい働きをしてくれるので、最後まで安心して読んでみてください。
これまでの巻とは少し違う、ホロリとくるような話を楽しむことができるでしょう。
いかがでしたか?川柳で話すヒロインという他にはない個性と、それを活かしたほのぼのとした雰囲気が魅力的な本作。基本が4コマということもあり、隙間時間に気軽に読めるのもいいですね。
リラックスしたい時、癒されたい時などに、ぜひ読んでみてください。