ギャンブルの興奮と、性欲の発散が売りのデリバリーカジノ「メイデンズ」。性と金が入り乱れる場を舞台に、セクシーな出で立ちの登場人物が自身の体を賭けて戦う異色のギャンブル漫画、それが『メイのメイデン』なのです。 本作は「ガンガンJOKER」で連載されている、ガクキリオ原作、レルシー作画の作品。今回は作品の魅力と、既刊分の内容をご紹介しましょう。 スマホアプリから読むことも出来るので、気になった方はそちらでお試しください。
世にも珍しいカジノとデリヘルの複合店、デリバリーカジノ「メイデンズ」。
「アイちゃん」の源氏名で呼ばれる女性が、借金のかたに売られたところから物語は始まります。
- 著者
- ガクキリオ
- 出版日
- 2018-01-27
普通のどこにでもいる気弱な彼女が、教育係のメイと出会い、嬢と客がしのぎを削るガチンコのギャンブル勝負を目の当たりにしていくこととなるのです。
ギャンブルの経験もなければ、そっちの経験もとぼしいアイは、果たしてこの世界で生き残れるのでしょうか?
デリバリーカジノとはいっても、基本的には性風俗店です。そのため、客を除けば登場人物はうら若い女性ばかりで、しかもその性質上、半裸に近い衣装が大半。
掲載誌である「月刊ガンガンJOKER」が少年誌のため、そのものずばりは描写されませんが扱っている題材が題材だけに、かなり際どいレベルまで描かれます。
そうやってセクシーに描かれるのは、主に主人公・メイと、狂言回しとなるアイの2人。基本はランジェリーか、その上に1枚程度羽織っているだけです。
メイはベテランの嬢で、露出に関してもかなりオープン。ナイスバディを武器に、惜しげもなく晒していきます。性格は小悪魔的で、人によってはそういったところも魅力的に映るでしょう。
アイは読者と同じ目線のキャラなので、ギャンブルも何もかも、ずぶの素人。ただ、冴えないながらもスレンダーな体付きは、メイにはない魅力があります。
そして、これは物語の中心になるので特記しておきますが、2人は揃って処女なのです。
ここで本作最大の特徴である、メイデンズのシステムについても説明しておきましょう。
といっても、難しいことは何もありません。指名が入って出張サービスに出た嬢が、出先で客とギャンブルをおこなって、勝てば丸儲けで、負ければ……というもの。逆に客側は、勝てば無償でサービスを受けることが出来、負ければ何もすることが出来ずに、ただ代金を支払うだけです。
ただし、このギャンブルというかサービスの際、細かい取り決めがおこなわれます。それは、プレイ内容の詳細を詰める、と言い換えてもよいでしょう。客の希望、要望に従って多彩なオプション、コースが設定出来るのです。オプションは多岐に渡り、勝負ごとに違う条件となるのが読んでいて面白いところでもあります。
普通のギャンブルでは金銭の行き来、大勝ちか大負けが見所となりますが、本作の場合は性行為になるので、そういった意味では勝敗に対して、読者も固唾を呑んで見守ることになります。
異色とはいえ、本作もギャンブル漫画。となると、そこでの勝負の見どころは多くの同ジャンル作品がそうであるように必然的にイカサマとなってくるのです。
通常のギャンブルでは、勝負師は大金のために戦うのですが、本作での狙いは基本的にメイ。ギラつく客達は、こぞって彼女の肉体を求めてきます。その執念、異様さは、大金に目がくらんだ人間以上におぞましい何かを感じさせるでしょう。
彼らは皆、口裏を合わせたようにオプションで「裏コース」を指定。プレイ内容、賭け金を好きに指定出来る裏コースは、単なるプレイの域を超えて、人体破壊にまでもおよぶ「裏」の名に相応しいルールなのです。
そこで客達は、がむしゃらに勝利を目指します。文字通りに打てる手はなんでも打ち、イカサマすら躊躇しません。条件もギャンブルも客側が提示するので、嬢側はきわめて不利といえるでしょう。
しかし前述したように、ベテラン嬢でありながらメイは処女。それはつまり、彼女が超一流のギャンブラーであることを意味します。そして歴戦の経験から、イカサマを見抜く力すら持っているのです。
このあたりの心理戦の駆け引きは、数多あるギャンブル漫画に比肩しても見劣りすることはないでしょう。
アイの初めての出勤は、彼女の教育係に任命されたメイの付き添いでした。
客と対戦するのはメイだけですが、プレイ内容の条件しだいでは、アイもサポートとして参加することになりかねません。
そう考えると気が気でないアイをよそに、メイは連戦連勝していくのですが……。当然のように落とし穴が待っていました。
- 著者
- ガクキリオ
- 出版日
- 2018-01-27
客の提示した最後のギャンブル「アングイッシュ・カード」。
任意の枚数紛れ込んだハズレの中からアタリを引く単純なくじ引きですが、交互にプレイしてアタリを引かれた場合、ハズレの枚数分だけ衣服を脱がなくてはいけないというルールがあります。このハズレを何枚に設定するかで、心理戦の発生するゲームなのです。
このギャンブルの終盤戦、メイは窮地に立たされます。そこからの爽快な起死回生、イカサマの見破り方が見所でしょう。拷問器具のネタや、オリジナルゲームのルールも面白いです。
アイがメイデンズで働き始めてから数日間。連日のように、メイの裏コース希望の過激な勝負を目にしてきました。しかし、それらの勝負よりも、さらにショッキングなことが判明します。
一歩間違えれば命に関わる危険な勝負。それらを挑んできた客が、なんとメイの実の母親が送り込んできた刺客だったのでした。
- 著者
- ガクキリオ
- 出版日
- 2018-04-21
2巻にして、メイの生い立ちが少しずつ明かされていきます。これまで登場した狂気の客が、まさか母親の差し金だったという驚愕の事実。それも深い考えはなく、ただ単に面白いからという理由でした。アイには理解不能でしたが、当人達にはとっては「お見合い」のようなものらしくて……。
そうしたやりとりもありつつ、ギャンブルはより過激に、変態的になっていきます。この巻に登場するオリジナルのゲームも、シンプルかつ奥深いものとなっており、勝負の内容も充分以上に楽しめます。
客もギラギラした変態親父以外に、ディープな百合行為を宣言する女性客も登場。読者的に主人公・メイに勝ってほしいものの、エロは見たいという相反する状況に陥ることでしょう。
いかがでしたか?『メイのメイデン』はギャンブルの興奮と性的な興奮を同時に味わえる、過激で贅沢な作品です。果たして彼女達は、どこまで大事なものを守りとおせるのでしょうか?