本作は「週刊少年ジャンプ」で連載されている、堀越耕平の作品。ヒーロー養成学校を舞台とした少年少女の切磋琢磨と、凶悪な敵・ヴィランとの対決が熱い王道少年漫画です。 多彩なキャラの青春群像劇、特殊能力「個性」が魅力的な本作で準主役級の活躍をするのが、今回ご紹介する委員長・飯田天哉。典型的な学級委員長で、真面目すぎるくらい真面目な彼について、その魅力や名言をご紹介しましょう。
飯田天哉は、『僕のヒーローアカデミア』(以下「ヒロアカ」)に登場する主人公・デクこと緑谷出久(みどりや いずく)の友人の1人。
世界の総人口約8割がなんらかの特殊能力「個性」を持つ超人社会において、ヒーローは一般に認知された職業です。そんななかで飯田は、未来のプロヒーローを育成する雄英高校1年A組に所属しています。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2015-11-04
年齢15歳、8月22日生まれの身長179cm。外見は高身長と四角い眼鏡、七三分けが特徴的です。一人称は基本的に「僕」ですが、お坊ちゃまの印象を抱かれないよう意識的に「俺」と言うこともあります。
食堂で混乱していた生徒を1人でまとめたことから、あだ名は「非常口」や「非常口飯田」です。真面目な性格を反映してか、クラスメイトの呼び方は常に「○○君」か「○○さん」。
かっこいいキャラ、かわいいキャラの多い1-Aのなかでは、シリアスな場面ではかっこいい、真面目な委員長として通っています。
ヒーロー名は、プロヒーローの兄ににちなんで「インゲニウム」。個性は「エンジン」で、ふくらはぎに機械的な器官が備わっています。コスチュームは、個性を活かすための流線形フルアーマーです。
飯田家は代々プロヒーロー一家とされており、今のところ家族は長男・天晴(てんせい)しか出ていませんが、おそらく両親もそうでしょう。次男である彼は幼少期から兄を見て育ち、兄を1番身近で偉大なヒーローとして尊敬しています。
アニメ版での声優は、石川界人です。
ヒロアカの世界は人口のほとんどが個性を持つ超人社会ですが、ほとんどの一般人は大した能力を持っていません。特に強力な個性を持つ人々だけが、社会秩序を守るヒーローになることが出来るのです。
そんな社会にあって、親子代々ヒーローとして活躍する飯田家は、かなりのエリート一家といえるでしょう。
飯田にとってその事実は誇りではあるのですが、親の七光りというか、エリート一家のお坊ちゃんと見られることを嫌っています。そのため一人称を「俺」と言って、イメージを払拭しようとしているのです。
現役のプロヒーローだったインゲニウムこと兄・天晴は、飯田にとって憧れの人でした。後述する出来事から天晴が本編で活躍することはありませんが、ヒロアカの数年前を描くスピンオフ漫画『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-』では、彼の過去の活躍を読むことが出来ますよ。
飯田の兄、先代のインゲニウムである天晴は、65人の相棒(サイドキック)を雇う人気のヒーローでした。ところが「ヒーロー殺し」ヴィランのステインによって、独善的な理由で襲撃され、瀕死の重傷に。そして下半身麻痺でヒーローとしては再起不能になってしまったのです。
ステインの行動範囲が保須市と睨んだ飯田は、職場体験を利用してそこに向かい、密かに仇討ちを目論みます。しかし私的な思いで個性を使うことは、ヒーローとして許されないことでした。それを知っていても抑えられないほど、彼の恨みは強いものだったのです。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2015-11-04
復讐心に取り憑かれて半ば闇落ち状態の飯田でしたが、そんな彼の異常を察知したデクと轟焦凍(とどろき しょうと)が彼をつけてきていました。
2人は彼を説得し、ヒーローの本質を思い出させるのです。そんな彼らに身も心も救われた飯田は、目を覚まします。そして結果的にステインの捕縛にも成功するのでした。
しかし、この事件で彼は怪我を負い、左腕に後遺症が残ってしまいます。治療は可能なのですが、彼はプロになるまでの戒めとして、あえて傷を残すことを選択。
そして尊敬する兄がきっとそうしたであろうと思う行動を心がけ、皆を積極的に助けるようになるのでした。これを機に、正しいヒーローとして成長したのです。
飯田の個性「エンジン」は、ふくらはぎに備わった器官を用いることで、爆発的な加速を生み出す能力です。詳しい仕組みは不明ですが、この器官から推力を得て、脚力をアップさせたりすることも可能。1速、2速、3速と本物のエンジンさながらにギアチェンジし、状況に合わせて発動します。
個性使用のもとでテストでおこなわれた50m走では、3秒04というタイムを記録。瞬間的にはもっと速い者もいますが、この速度を長距離で持続出来るというのが彼の強みです。
決め技は、エンジンの回転数を爆発的に加速させる「トルクオーバー・レシプロバースト」と、そこから超加速の蹴りに繋げる「レシプロエクステンド」。ただし使用後にエンストして、加速不能になる欠点も……。
エンジンというだけあって燃料を必要とし、それを100%のオレンジジュースでまかないます。炭酸ジュースではエンストしてしまうとか。
ちなみに兄・天晴の個性も、同じくエンジンでした。ふくらはぎではなく肘に器官があり、燃料はグレープフルーツジュース。兄弟揃って柑橘系のジュースなのが、なんだか面白い点です。
それでは最後に、彼の印象的な名言・名シーンをご紹介しましょう。普段は真面目さが空回りする面白キャラですが、保須市襲撃事件で兄を襲われた背景から、スポットが当たった時のヒロイックさは主人公のデクにも負けていません。
皆さん…
大丈ー夫!!
(『僕のヒーローアカデミア』2巻より引用)
飯田のあだ名「非常口」の由来となった出来事での言葉。混雑した昼時の食堂で非常警報が鳴り響き、混乱から事故が起きかねない状況になりました。
彼はお茶子の助力で出口の上に、非常口のイラストと同じポーズで張り付き、たった一言で場を治めてみせます。機転のよさがわかる、印象的で面白いエピソードです。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2015-01-05
インゲニウム
おまえを倒すヒーローの名だ!!
(『僕のヒーローアカデミア』6巻より引用)
保須市襲撃事件での台詞。「ヒーロー殺し」ステインに襲われたプロヒーロー・インゲニウムは、飯田の実兄でした。
飯田は兄のヒーロー名を受け継ぐことで、その性質をも引き継ぎ、仇を討とうとします。彼にとって実兄がどれだけ大きな存在だったかがわかる、非常にヒロイックな名場面でした。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2016-02-04
それでも――――…
今ここで立たなきゃ
二度と!!
もう二度と 彼らに 兄さんに
追いつけなくなってしまう!
(『僕のヒーローアカデミア』7巻より引用)
単身ステインに挑んで窮地に陥った飯田は、デクと轟に救われます。自分の身勝手で傷付く2人を見た彼は、ヒーローはなんたるかをあらためて思い知りました。
そして、まだ理想にほど遠くても、身を挺して戦う友人のために、自分も再度戦おうと死力を振り絞るのです。過ちに気付いた彼は、さらに真のヒーローへと近付いたのでした。
いかがでしたか?ヒーローは哀しみを背負ってこそ強く、かっこよく活躍するもの。そういった意味でも、飯田の今後が非常に楽しみです。