高校で再会したのは、小学生の時に苦手だった男の子。動揺しているうちにサインしたのは、まさかの婚姻届?!返してもらう条件は、「3年間オレの側から逃げない」ことでした。鈍感女子と、捻くれ男子のすれ違う恋模様を描いた、青春ラブコメディです。 本作はスマホアプリから無料でお楽しみいただけるので、気になった方はぜひどうぞ。
憧れの高校に入学した鈴宮凛は、小学生のころ暴君と恐れていた男子・坂本諭吉と再会することに。
小学生のころ、何かと突っかかってくる諭吉に対し、反論しないことが吉だと悟った彼女。3年後、突然の再開に動揺した凛は、彼の発言をまったく聞いておらず、言われるがまま文書にサインしてしまいます。
何とそれは、婚姻届。
返してほしいと申し出る凛に、諭吉は返す条件を突きつけます。その条件は「3年間、自分の側から逃げないこと」。
結婚したら一生サンドバックになることを危惧した彼女は婚姻届を返してもらうため奮闘することを決意。それに対し諭吉は、この3年間で凛を落としてみせると決めるのでした。
- 著者
- 林みかせ
- 出版日
- 2019-02-05
諭吉の気持ちにまったく気づかない鈍感女子・凛と、小学生のころから凛に恋するも、避けられてしまう不器用男子・諭吉。
2人のすれ違いぶりがもはや清々しい本作。恋の行方に、大注目の作品です。
再会後すぐに婚姻届を書かせるというまさかの展開から始まる本作。
諭吉と関わりたくない凛にとって、一生を縛られかねない婚姻届は何としても取り返したいもの。一方、恋愛対象として見られていなかった諭吉にとっては、自分を意識させるため絶対に逃せないチャンス。お互いが必死に努力する姿がコミカルに描かれます。
また、最初は苦手でしかなかった相手を、ちゃんと理解しようと向き合う凛にも心を動かされます。諭吉が彼女を好きになった理由が、きっと分かっていくでしょう。
2人の関係に名前をつけようと思うと、少々難しいですが、ただの同級生ではないことは明らか。チグハグな彼らが、今後どう結ばれていくのか気になるところです。
主人公・凛はマイペースで恋愛に疎い普通の女子高生。一方諭吉は、言い方はキツイけど、中等部から生徒会長を任されるしっかり者。
2人の恋愛関係が発展しないのは、ツンデレすぎる諭吉のせいにも感じられます。小学生のころから、凛は諭吉のことを暴君だと思っていました。それというのも、何かと絡んできては「とろい」、「バカ」など言ってきて、自分の言うとおりに行動させようとしてくるから。
しかし、これらはすべて凛を想っての行動だったのです。好きな子をいじめてしまうという、小学生男子特有なものですが、凛には全然伝わっていませんでした。
高校で再会してからは、小学生の頃よりはわかりやすい態度になった諭吉。しかし、一言多い発言は治らず、相変わらず気持ちは届かないまま。不器用すぎる諭吉の物言いに、ついハラハラしてしまいます。
そんな諭吉とはうらはらに、凛は18歳までのタイムリミットを数えるために、誕生日を聞き出そうとします。理由を尋ねられ「諭吉くんの事も知りたい」と、とっさに発言。このように、諭吉は何度も不意を突かれ、天然な彼女に振り回されるのです。
噛み合わないところがもどかしく、キュンキュンする関係性に注目です。
諭吉の生徒会長姿はとてもかっこいいもの。
たとえば、バスケ部の予算を減らしたことで、部員から因縁をつけられてしまったとき。彼は、予算を減らしたのには正当な理由がある、と毅然と語ります。
実はその代わりに、実績を評価して園芸部の予算を増やしていたのでした。園芸部から感謝の花を贈られる彼は、ただの暴君でないことがわかります。
生徒会長として学校を俯瞰してみて、因縁をつけてくるバスケ部から逃げず向き合う彼の姿に、心を動かされる凛。彼女といるときは子どもっぽい諭吉だからこそ、余計にかっこよさが引き立ちます。
また、普段ツンツンしているのに、ふいに凛への好意を見せるシーンも、ついキュンとしてしまうもの。さりげなく荷物を持ってあげたり、彼女の体調不良にいち早く気づいたり……。こちらもギャップ萌え必至のシーンが多数です。
再会、即、婚約という、まさかのスタートから始まる物語。1巻の名シーンは、先ほども少しご説明した、バスケ部との因縁に関する展開ではないでしょうか。諭吉と関わらないでいたいと願っていた凛が、上級生から責められる彼を庇うのです。
- 著者
- 林みかせ
- 出版日
- 2019-02-05
凛は、もともと諭吉のアプローチをすべて「暴君」の一言で片付け、苦手意識を消せないでいました。しかし園芸部から感謝されている姿や、生徒会長としての姿勢を知っていくことで、少しずつイメージを変えていきます。
しかし例年どおりの数字に予算を戻されたバスケ部員が逆恨み。彼の胸倉を掴み、言葉でまくし立てるのです。
それを見た凛は、とっさに間に入り、自分は諭吉の味方であることを伝えます。しかしそんな彼女に対し意外にも諭吉は、正しいという証拠がないならその相手を庇うなと一刀両断するのです。
どんな相手でも、明確な根拠がない場合は容認しない彼。仕事と恋愛をしっかり判別しているところに、その有能さが感じられます。
そして少々冷たいとも思われる諭吉の考えに対し、凛はこう伝えました。
「諭吉くんは暴君だし理不尽だし苦手だけど ズルをする人じゃない」
(『マリッジパープル』1巻より引用
諭吉のことが苦手でも、物事の本質はきちんと理解して伝える凛。異性の上級生にも果敢に立ち向かおうとする姿は、かっこいいもの。
このほかにも1巻には、少しだけ素直になった諭吉の胸キュンポイントもありますので、ぜひ注目してみてください。