『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」に登場する主人公ジョルノの仲間で、頼れるリーダー。ギャングという日陰者でありながら、正義の心を持った好人物で、もう1人の主役ともいえるほどの人気キャラです。 今回は2018年から放送されているアニメ版でも活躍する、このブチャラティに関してご紹介しましょう。男も惚れる男の、その凄まじい生きざまが感じられるはずです! 下のボタンのアプリから読むことができます!
「ジョジョ」第5部「黄金の風」の登場人物。アニメ版の声優は、中村悠一です。
一見すると女性に見違えるほど端正ですが、性別は男性。ちなみに名前の「ブチャラティ」とは、イチジクを使ったパンケーキ料理に由来しています。
1980年9月27日生まれの年齢20歳で、ネアポリス郊外出身。血液型A型、身長178cm、体重は不明です。瞳の色は、カラーページなどを参考にすると水色。作中で牡牛座と言われていますが、実際は天秤座です。
頭頂部を編み込みにした前髪パッツンの女性的な髪型が特徴的で、服は胸元が大きく開いた涙滴柄のスーツを着用しています。その下にきているのは、総レースのようです。後述するスタンド能力をモチーフにしたチャック飾りがトレードマーク。
好きな食べ物はカラスミソースのスパゲティー、そして、りんごが嫌いだそうです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
ギャング組織「パッショーネ」の末端チームのリーダーですが、後に幹部に昇格。メンバーは、レオーネ・アバッキオ、パンナコッタ・フーゴ、ナランチャ・ギルガ、グイード・ミスタ、そしてジョルノ・ジョバーナの5人です。
チーム名は特にありませんが、ボスの娘トリッシュ・ウナの護送任務を受けてからは「護衛チーム」と呼ばれます。
ギャングながら情に篤い性格の人格者で、最初はジョルノの敵として登場。しかし彼の夢を知り、組織乗っ取りに共感すると、仲間に迎え入れます。
ジョルノに次いで長く物語に出てくるので、ブチャラティによる独特のポーズ「ジョジョ立ち」も多く見られるのが嬉しいところ。
しっかり者で頼れるブチャラティですが、上司ポルポの隠し財産である宝石を公衆トイレのなかに隠していたり、護衛対象のトリッシュに対してクローゼットに穴を開けてトイレを勧めたりと、やや天然の一面も見られます。
主役級の活躍をする超人気キャラのため好きと言われることも多く、結婚したい女性ファンも多いとか。ただし、初登場時にしたジョルノの汗を舐めるパフォーマンスは、シリーズで1番気持ち悪いとも言われています……。
スタンド能力は、物体にチャックを付け、自在に開閉出来る「スティッキィ・フィンガーズ」。必殺技では「アリアリアリアリ」と叫びます。その最後に放った「アリーヴェデルチ(さよならだ)」は、彼の決めゼリフとして有名です。
ちなみにスタンド名の元ネタは、ロックバンドのローリング・ストーンズの同名アルバムから。
本体であるブチャラティの機転もあって、スタンド戦の戦績はほぼ無敗です。
彼の魅力は、その人間性にあります。
たとえば最初にジョルノと戦った際、彼はスタンド能力を使い、一般の少年の体に入り込みました。結局ジョルノがスタンド能力で、ハエに与えたダメージをブチャラティに食らわすことで看破されるのですが、その最中ブチャラティは、少年が麻薬を使っていた事に気づいてショックを受けるのです。
理由は後述しますが、彼はギャングなのに麻薬を憎んでいます。そのこともあって組織を変えたいという想いがあり、その目的がジョルノと一致したことによって、彼と組むようになるのです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-02-01
また、過去のエピソードも印象的。どん底のナランチャを連れたフーゴが、「こいつにスパゲティを食わせてやりたい」とレストランで言った際、ブチャラティは何も問わずに自分の一皿を差し出しました。
決して恩に着せない厳格な態度をとった彼。そして、ナランチャの目の病気の治療をおこない、「学校に行け」と本気で叱りつけたのです。そこからブチャラティは、ナランチャにとってのヒーローとなったのでした。
正しい人の道を歩み、自然と部下を惹き付けるブチャラティ。まさに有能で理想の上司といえるでしょう。そんな姿に、ファンも魅力を感じるのです。
彼の人生は、その生い立ちから壮絶です。彼は漁師の家に生まれました。幼少期に両親は離婚してしまいますが、子供ながらに父親の今後を心配し、母親ではなく父親のもとに残ることを決めます。彼は昔から、優しい少年だったのです。
しかし数年後、父親は釣り客を装ったギャングの麻薬密売を目撃してしまい、重傷を負います。ブチャラティは口封じしようとするギャングを返り討ちにし、12歳にして殺人犯となったのです。
警察を頼れない彼は、再起不能の父親を報復攻撃から守るため、組織パッショーネに入団することを決意。組織の庇護下に入ったのです。
その父親もまもなく死去し、組織が麻薬に手を染め始めたのは、彼にとっての悲劇としかいえません。ここから彼は、麻薬を憎むようになったのでした。
ブチャラティは、ボス唯一の肉親であるトリッシュを護送する任務に就きます。しかし、その任務の真の狙いは、ボスが自らの手で確実に娘を殺すために仕組んだものだったのです。
吐き気を催す『邪悪』とはッ
なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!!
自分の利益だけのために利用することだ…
父親が何も知らぬ『娘』を!!
てめーだけの都合でッ!
(『ジョジョの奇妙な冒険』56巻より引用)
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-01-01
何も知らず、父親に引き取られるだけと思っていたトリッシュ。その彼女の思いを裏切ったことにブチャラティは怒り、ボスに反旗を翻します。引き渡し予定の塔のエレベーターでトリッシュを連れ去られた彼は、納骨堂でボスと対決するのです。
しかし、彼はボスのスタンド「キング・クリムゾン」の圧倒的パワーに敗れて、肉体的に死亡。ですが魂はそのまま残って、外にいるジョルノに助けを求めます。
そしてジョルノによって治療を受け、再び起き上がるのですが……ここから、彼の体に大きな変化が起こるのです。
キング・クリムゾンによって1度は殺されたブチャラティは、魂が死んだ肉体に宿るという、ゾンビにも似た蘇り状態になります。蘇生ではないので脈もなく、さらには痛みも感じないようで、手を貫通するほど釘が刺さってもまったく気付きませんでした。
周囲を液状化させて破壊などをするスタンド「オアシス」の本体であるセッコと対決した際には、セッコの仲間であるチョコラータのカビを操るスタンド「グリーン・デイ」の能力が発動しているにも関わらず、生物に侵食するはずのカビが彼に発生しなかったため不思議がられました。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1998-10-01
このような状態で、彼は何故、生きているのでしょうか?彼が復活した理由の1つは、おそらくその凄まじい精神力にあるでしょう。彼の不屈の精神が、死にも屈服しなかったのです。
そしてもう1つの理由は、容れ物としての肉体をジョルノが治癒したからであると考察できるでしょう。
ブチャラティ自身はこの出来事を、「天がほんのちょっぴりだけ許してくれた運命」と後に述懐しています。
ブチャラティといえば、フィレンツェ行き特急でおこなわれた暗殺チーム2人との戦いが有名でしょう。強い覚悟と信念がぶつかり合う、壮絶な一戦でした。
この暗殺チーム2人のうち兄貴分であるプロシュートは、悪役ながら信念のあるキャラクターとして大人気です。年齢はおそらく20代、30代で、綺麗に引っ詰めた髪型と、お洒落なスーツ姿には色気があります。
彼は列車の客すべてを老化させる、無差別攻撃を決行。ブチャラティは、瀕死のミスタが伝言として放ったNo.6(ミスタの群体スタンドの1体)のおかげで反撃に転じ、死闘をくり広げます。互いに死線ギリギリ、自らの覚悟に殉じた戦いを演じたので、シリーズでもベストバウトに挙げられるほどです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
ブチャラティがプロシュートをくだした後も、当初は雑魚に過ぎなかった弟分のペッシが急成長し、強敵として立ちはだかります。
変幻自在にまといつく釣竿のようなスタンド、「ビーチ・ボーイ」の釣り糸が迫る緊急事態。ブチャラティは攻撃をかわすため、自分の体をバラバラにし、心臓まで止める気迫を見せました。
悪役にも独自の信念があり、成長していく姿が見られるのが「ジョジョ」の魅力なのです。
スタンドが進化する「矢」を巡るラストバトルで、ブチャラティはジョルノにすべてを託して天に召されます。彼は、死ぬべき運命が元に戻るだけだ、と言いました。
その後に描かれる5部のエピローグは、物語の前日譚になっています。そこで、スタンド「ローリングストーンズ」が登場。このスタンドは死の運命を予知し、その運命にある人の石像を浮かび上がらせます。そこでブチャラティの死が予知されるのですが、それが実現する前にミスタの手で食い止められたのです。
ストーンズの本体であるスコリッピは、むりやり運命が変えられたことで、より過酷な未来になったと示唆します。まさにそのとおりで、本編ではブチャラティだけでなく、ナランチャやアバッキオまでもが犠牲となりました。
しかし、それにはきっと意味があるのです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1999-05-01
ブチャラティは天に帰る直前に、こうも言いました。汚れた組織でゆっくり死んでいくだけだった自分は、ジョルノとともに戦うことで心が生き返ったのだ、と。
初期のころは、麻薬のはびこる組織のなかで、自分を押し殺して「死んでいく」だけだったブチャラティ。しかしジョルノと出会い、本当に正しいと思う道を突き進んだことで、彼は「生き返った」のです。
たとえ、それによって自分の運命が過酷なものになったのだとしても、彼はその運命があったから、正しい人間の精神を得られたのでしょう。これは、「ジョジョ」シリーズに共通するテーマ「人間讃歌」にも繋がってきます。
そして、それは生き残ったジョルノやミスタにも受け継がれていくのです。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 2009-04-08
5部でブチャラティは、もう1人の主人公といっていい活躍を見せます。彼の見せ場は無数にありますが、そのなかでも選りすぐりの5選をランキング形式でご紹介しましょう(巻数表記はジャンプコミックス版に準拠)。
この味は!
………ウソをついてる『味』だぜ……
ジョルノ・ジョバーナ!
(『ジョジョの奇妙な冒険』47巻より引用)
組織の一員である涙目のルカを再起不能にした犯人を探していたブチャラティは、かまをかけてジョルノの嘘を見抜きました。
ブチャラティは人気キャラですが、ここで汗を舐める姿はツイッターなどでは気持ち悪いとされており、直後にジョルノのスタンド能力で殴られるシーンのセリフ「鋭い痛みがゆっくりやってくるッ!」のやられようと合わせて、黒歴史と言われることも……。
いずれにしても、インパクト抜群の初登場でした。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
やってみろッ!
おめーがどこにいるのかわかった!
(『ジョジョの奇妙な冒険』49巻より引用)
孤立無援のヨットで追い詰められるも、仲間を殺すと脅すズッケェロに対して、怯むことなく対応した名言。仲間がブチャラティを信頼し、彼も仲間を信頼しているからこそ言えた覚悟の一言です。
きさまにオレの心は永遠にわかるまいッ!
(『ジョジョの奇妙な冒険』56巻より引用)
組織に忠誠を誓っていたブチャラティが、そのボスの醜い部分を目にし、反逆したエピソード。この行動は、ボスから合理的ではないと言われますが、彼は信念に従ってこう言い返したのです。
彼の正義を感じられる名言でしょう。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 1997-06-01
アリアリアリアリ(中略)アリアリアリアリ
アリーヴェデルチ!(さよならだ)
(『ジョジョの奇妙な冒険』53巻より引用)
トドメのラッシュ攻撃に、イタリア語の別れの挨拶をかけ合わせた、ブチャラティを象徴する決め台詞。作中では何度か出てきますが、暗殺チームのペッシに叩き込んだ姿がもっとも印象的でした。
『任務は遂行する』
『部下も守る』
『両方』やらなくちゃあならないってのが『幹部』のつらいところだな
覚悟はいいか? オレはできてる
(『ジョジョの奇妙な冒険』53巻より引用)
民間人の犠牲も辞さない暗殺チームのプロシュートに対して、ブチャラティのイケメンっぷりが凝縮された名シーン。芯の強さだけでなく、覚悟と自信が滲み出た、まさに彼の最高の名言といえるでしょう。
いかがでしたか?ブチャラティの活躍は凄まじく、本当にヒロイックなキャラクターです。思わず主人公と錯覚してしまいそうなほど魅力的な人物なので、ぜひ本編で彼のすごさを感じてみてください。