英語の読解力を身につけたい高校生をはじめ、これから英語での読書にチャレンジしてみようと考えている方におすすめの洋書をご紹介していきます。初心者の方でも読める作品ばかり集めたので、ぜひ参考にしてみてください。
まずご紹介したいのが、2001年の発売以降、版を重ねてロングセラーとなっている一冊。とにかく英語で書かれた文章を「読む」ことにスポットを当てているのが特徴。難しい用語を用いずに、イラストや図を用いながら文法の構造を解説しています。
暗記ではなく根本から仕組みを理解できるので、英語が長文になっても混乱せずに読めるようになるのです。
ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本
2001年12月20日
英文で重要なのは主語と動詞だけで、そこに時間や場所などの修飾語がついているのですが、それはおまけ。文章のどこが大切なのかがわかれば、あとは疑問や否定などの変形さえ学べば、おおかたの英文が読めるようになります。
また「a」と「the」の違い、「on」「at」「to」の使い分けなど、紛らわしい項目も直感的に理解できるよう図にして解説。まさに初心者に向けて、読み始めるまでの手助けをしてくれる一冊だといえるでしょう。
また巻末には、おすすめの洋書が難易度別に紹介されているので、そちらも参考にしてみてください。
アイスクリームを食べて、Xboxでゲームを楽しんでいる10歳の少年、オーガスト。普通の少年のようですが、先天性疾患で顔の形が異常に変形しています。長期入院を余儀なくされ、勉強も家で両親に教えてもらっていました。
そんな彼ですが、容体が安定したため、初めて学校に通うことになりました。オーガストの望みはただひとつ、「Terrible face」と呼ばれる彼の顔を、クラスメイトが受け入れてくれることです。しかし実際に通ってみると、案の定いじめを受けることになります。
傷つきながらも、懸命に学校生活に順応しようとするオーガスト。しだいに、そんな彼の内面の魅力に気付きはじめるクラスメイトが増えてきました。そんななか、ある事件が起こります。
- 著者
- R J Palacio
- 出版日
- 2013-01-03
「ワンダー 君は太陽」というタイトルで映画化もされた作品です。全世界で800万部を超えるベストセラーになり、児童書であるにもかかわらず、「NYタイムズベストセラー」で第1位となりました。
アメリカの小学生向けに書かれたものなので、英語の表現も易しく、複雑な文法も少ないのが特徴。クラスメイトやオーガストの姉など、章ごとに語り手が異なるので、その点だけ注意が必要です。
子どもゆえの素直すぎる差別や偏見、子どもゆえの面白ければ人気が出る様子などは、日本もアメリカも同じ。それぞれの登場人物が手探りながらも自分の居場所を探し、人間関係を築いていくさまが魅力です。翻訳本も出ていますが、ぜひ洋書で読んでみてください。
日本語のタイトルは『チョコレート工場の秘密』。1964年に刊行されたロアルド・ダールの児童小説で、映画化もされています。
謎に満ちたチョコレート工場を所有するウォンカが、5枚の黄金チケットをチョコレートに忍ばせて、全世界に売り出しました。そのチケットを手にすると、ウォンカのチョコレート工場を見学できるというのです。
幸運にもチケットを手に入れた、チャーリー・バケット少年。個性豊かな4人の少年少女とともにチョコレート工場に赴き、その秘密に驚きます。実は子どもたちを招待したウォンカには、ある策略があったのでした。
- 著者
- 出版日
子ども向けの作品なので、難しい単語などは使われていません。また会話文が多いので、自然なやりとりについて学ぶことができるでしょう。
作中には、チョコレート工場の従業員であるOompa Loompa(ウンパルンパ)たちが、子どもたちや彼らの親の欠点を読んだ詩が登場。韻を踏んだ文章を楽しむには、やはり洋書で読むのがおすすめです。
奇想天外でワクワクが止まらないチョコレート工場の秘密に、子どもだけでなく大人の読者も夢中になれる物語です。
主人公のホールデン・コールフィールドは、16歳の高校生。作文だけが得意な劣等生で、反骨精神が強く、人間関係を構築することが苦手です。大人や社会に対して否定的で、うまく立ち回っている同級生に対しても苛立ちがとまりません。なかなか現実と理想との折り合いをつけることができないでいました。
成績不良で高校を退学になる直前、ホールデンは寄宿舎を飛び出し、ニューヨークの街をフラフラとさまよい歩きます。そこで友人やかつての教師、家族に再会し……。
- 著者
- Jerome D. Salinger
- 出版日
- 1999-01-25
J.D.サリンジャー不朽の名作といわれる本作。『ライ麦畑でつかまえて』というタイトルで、日本でも人気があります。主人公のホールデンが抱える思春期ならではのナイーブな感性は、大人や現実社会への反発心を抱えた子どもたちの代名詞といわれました。
洋書で読むためには、高校卒業レベルの英語力が必要です。スラングが多く、またホールデンの複雑な心情を表すための独特な表現があるので、初心者が最初の一冊として読むには、やや難しいかもしれません。ただその部分こそが、洋書で読む最大の味わいになるでしょう。
内に引きこもり孤独を深めていく少年が、周囲と不器用に関わりながら心を成長させていいく物語です。
主人公は、無実の罪で砂漠にある矯正キャンプに入れられた少年、スタンリー。そのキャンプでは人格形成と称して、幅5フィート深さ5フィートの穴を1日1つ掘り、穴から見つかったものを報告することが義務付けられていました。
ただ穴を掘り続けるだけのうんざりするような毎日から脱出するため、スタンリーはある行動を起こすのですが……。
- 著者
- Louis Sachar
- 出版日
- 2000-05-09
1998年に刊行され、1999年にアメリカの児童文学賞「ニューベリー賞」を受賞した作品です。
何よりも話の展開が面白く、また使用されている単語も簡単なものばかりなので、スラスラ読み進めることができるでしょう。洋書を読む初心者の方にもおすすめできます。
主人公のスタンリーも、彼の父親や祖父も、名前は皆「Stanley Yelnats」。実は前から読んでも後ろから読んでも同じになっていて、このような言葉遊びが楽しめるのも洋書ならではでしょう。
怒涛の展開が続き、最後には大どんでん返しも待っています。英語の作品ながら、伏線が回収されて物語が繋がっていく醍醐味を感じられる一冊です。
NHKの「ラジオ英会話」のテキストに連載されていたエッセイをまとめた一冊です。
作者は、アメリカ人女性のケイ・ヘザリ。日本とアメリカの生活習慣の違いや考え方の違い、長く日本に住んでいて感じたことなどが短いエピソードにしてまとめられています。
ひとつのエピソードが600ワード前後と短いので、短い時間で手軽に読むことができるのでしょう。
- 著者
- ケイ ヘザリ
- 出版日
- 2000-11-14
もともと英語学習のテキストに連載されていたエッセイなので、英語の勉強をしている人が読むことを前提としています。
そのため文章が簡潔でクセがなく、これから洋書に挑戦しようと考えている人にとって最適の一冊でしょう。
内容自体も、日本に溶け込もうとしているアメリカ人女性から見た日本の話や、アメリカ文化についてなど、英語学習者が興味を抱きそうなものばかり。勉強のためにも読み物としても楽しめます。