世界中で愛されているおさるのジョージは、絵本「ひとまねこざる」シリーズに登場するキャラクターです。テレビアニメ化や映画化もされ、人気があります。この記事では、じょーじの原点でもある「ひとまねこざる」シリーズ全巻のあらすじと魅力をご紹介していきます。
これは、さるのじょーじです。
どうぶつえんにすんでいます。
じょーじはかわいいこざるでしたが、とてもしりたがりやでした。
どうぶつえんのそとがどんなか、しりたくてたまりませんでした。(『ひとまねこざる』より引用)
おさるのじょーじは知りたがり屋で人まねが大好き。動物園の外の世界が知りたくて、係のおじさんがうっかりしているすきに、かぎを盗んで逃げだします。
広い街に飛び出して自由になったじょーじは、ずっと前に、遠いアフリカから自分を動物園に連れてきた、仲良しの黄色い帽子のおじさんに会おうと思い立ちます。
- 著者
- H.A.レイ
- 出版日
- 1998-02-16
全6冊からなる子ども向け絵本「ひとまねこざる」シリーズ。アメリカの絵本作家ハンス・アウグスト・レイとマーガレット・レイ夫妻が手掛けています。1941年に1作目が発表されると、のびやかでかわいらしいイラストと、おさるのじょーじが大騒動を起こす物語は、すぐにアメリカの子どもたちの心を掴みました。
ハンスの死後は「ひとまねこざる」シリーズを原案とした続編「おさるのジョージ」シリーズが、制作集団ヴァイパー・インタラクティブによって発表されています。どちらのシリーズも日本を含む世界各地で翻訳され、国境を越えて多くの人々に愛され続けているのです。
本作では、人まねが大好きなじょーじが次々とトラブルを巻き起こします。窓ガラス吹きの仕事を任されれば、部屋の中の様子が気になってしまうし、レストランでスパゲッティを食べてみれば、いつの間にか体に巻き付いてしまうし……その様子が、まるで小さい子どもが大人の真似をしているようで、微笑ましいのです。子どもはドキドキ、大人はちょっとハラハラしながらも、物語の世界に夢中になってしまうはずです。
「ひとまねこざる」シリーズは1冊50ページほどで、対象年齢は幼稚園から小学校低学年の子にぴったり。親子で一緒に読むのはもちろん、ひとり読みにもおすすめです。
ある朝、お留守番中のじょーじのもとに、一通の手紙が届きました。
「はい、あんたにてがみだよ」と、ゆうびんやさんはいいました。
「おじさんのつくえのうえにおいとくといいよ。かえってきたら、よんでくれるだろうからね」(『ろけっとこざる』より引用)
この手紙をきっかけに、じょーじはまたしてもいたずらをしてしまいます。
- 著者
- H.A.レイ
- 出版日
- 1998-03-05
「ひとまねこざる」シリーズ2作目の本作。やることすべてが裏目に出て、どんどんと騒動が大きくなっていくのが楽しい作品です。
手紙を見たじょーじは、自分も文字を書いてみたくなって、万年筆を手に取ります。しかしインクが入っていなかったので補充をしようとすると、床いっぱいにこぼしてしまいました。今度は掃除をしようと洗剤を撒くのですが、部屋中が泡だらけになってしまい……。何事にも全力で取り組むじょーじ。だからこそ憎めず、読者も応援してしまうでしょう。
そして物語のスケールは壮大になり、逃げ込んだ博物館で出会ったワイズマン博士に、小さなロケットに乗ってほしいとお願いされて、なんとじょーじは宇宙へ旅立つのです。さてどんな結末が待っているのでしょうか。
今日は、おさるのじょーじがアフリカからやって来て、ちょうど3年目のおめでたい日。黄色い帽子のおじさんが、新しいピカピカの自転車をプレゼントしてくれました。以前から自転車が欲しくて欲しくてたまらなかったじょーじは、大喜びです。
さっそく自転車に乗って通りへ出ていくと、新聞配達の男の子に配達を手伝うようにお願いされます。得意になって引き受けるじょーじですが……いつものように大騒ぎが始まります。
- 著者
- H.A.レイ
- 出版日
- 1998-02-16
「ひとまねこざる」シリーズの3作目です。新しい自転車を手に入れたじょーじは、いつものようにトラブルを起こすのですが、自転車を壊して泣いてしまったり、高い木に登っておりられなくなったこぐまを助けたりと、やんちゃなだけではない一面も見ることができます。
新聞紙で船を作り川に流すシーンでは、折り方が載っているのもポイント。お子さんと実際に作ってみても楽しいでしょう。
失敗をくり返しながらも成長していくじょーじと、彼を見守る周りの人のおおらかさは、見ていて幸せな気分になれます。あたたかい世界を体感してみてください。
ある日、ジョージはひとりでお留守番をしていました。黄色い帽子のおじさんが帰ってくるまで大人しく待っているよう言われましたが、もちろんじっとしてはいられません。
ふと窓から外を見ると、大きい庭の中に、小さな家があるのを見つけました。
あの、ちいさないえには、だれがすんでいるのでしょう?
じょーじは、それがしりたくなりました。
あんなちいさないえに、いったい、だれがすめるんだろう?(『たこをあげるひとまねこざる』より引用)
しりたがりのジョージは、黄色い帽子のおじさんの言いつけを破って、外に飛び出します。
- 著者
- マーガレット・レイ
- 出版日
- 1998-03-05
「ひとまねこざる」シリーズの4作目。今回もじょーじのいたずらは絶好調です。小さな家だと思っていたのはうさぎ小屋でした。じょーじは子うさぎを逃がしてしまったり、魚釣りをしようとして湖に落ちたりと、今回もドタバタ騒ぎは止まりません。
しまいには友達がたこあげをするのを見て、自分もやってみたところ、案の定たこに引っ張られて空に飛んでいってしまい……。そんなじょーじを黄色い帽子のおじさんが助けてくれるのですが、今回の舞台は空。スケールが違います。かっこよすぎる救出劇に注目してみてください。
アフリカのジャングルで暮らしているおさるのジョージ。ある日、黄色い帽子のおじさんと出会い、船に乗ってアメリカにやってきました。
ねえ、じょーじ。
おじさんはきみを、おおきなまちのおおきなどうぶつえんへつれてってやるつもりなんだ。
きっとどうぶつえんがきにいるとおもうよ。(『ひとまねこざるときいろいぼうし』より引用)
ずっとジャングルにいたじょーじにとっては、見るものすべてが初めてで珍しいものばかりです。じっとしてなんかいられません。持ち前の好奇心を発揮して、次々と騒動を起こします。
黄色い帽子のおじさんは、そんなじょーじがかわいくて、動物園に連れて行くことにするのです。
- 著者
- H.A.レイ
- 出版日
- 1998-02-16
「ひとまねこざる」シリーズの5作目。英語版の原著では本作が1作目になっていて、おさるのじょーじと黄色い帽子のおじさんの出会いが描かれています。
実は黄色い帽子のおじさんは、銃を抱えてジャングルにやって来ていました。じょーじを見つけた時も、ぽいと袋の中に入れて捕まえているのです。意外とワイルドな彼らの出会いに、びっくりする読者も多いかもしれません。
しかしじょーじと黄色い帽子のおじさんは、その後まるで親子のような絆で繋がれていきます。ひとときも止まることなく、興味がどんどん移りかわるじょーじの姿は、人間の子どもそのもの。黄色い帽子のおじさんは、そんな彼を優しく見守りつつ、いざという時に助けてくれるのです。
本作のラストシーンは、「ひとまねこざる」シリーズ1作目の最初のシーンに繋がります。あわせて読むのもおすすめです。
ジグソーパズルの駒を、キャンディーと間違えて飲み込んでしまったじょーじ。次の日の朝、お腹がしくしく痛くなり、ご飯も食べたくありません。心配した黄色い帽子のおじさんは、ジョージを病院へ連れていきました。
じょーじは、2、3にち、にゅういんしなければならないでしょう。
のどにくだをとおして、このかけらをとりだすために。
なに、かんたんなしゅじゅつですよ。(『ひとまねこざるびょういんへいく』より引用)
お腹にあるパズルの駒を取り出すため、入院することになりました。手術は無事に成功し、すっかり元気を取り戻すのですが……。
- 著者
- マーガレット・レイ
- 出版日
- 1998-03-05
「ひとまねこざる」シリーズの最終巻です。今回の舞台は病院。手術を終えてすっかり元気を取り戻したじょーじは、入院している子どもたちと仲良くなっていきます。
あんなゆかいなことって、なかったわ。あたし、こんなにわらったの、うまれてはじめてよ。あんたといっしょに、このびょういんにいれて、よかったわ(『ひとまねこざるびょういんへいく』より引用)
純真無垢なじょーじは、いつでも周りの人々を笑顔にしてくれます。病気のせいでふさぎこんでいた女の子も、じょーじのいたずらを見て心を開くようになりました。ドタバタ劇だけでなく、心があたたかくなる一冊です。