小説『デイヴィッド・コパフィールド』を全巻ネタバレ紹介!映画化も決定!

更新:2019.4.26

19世紀のイギリスに生まれ育ち、社会の荒波に揉まれながら成長する1人の少年の半自伝的物語。本作は1849年~1850年にかけて連載された、チャールズ・ディケンズ作の長編小説です。1996年にはBBCでテレビドラマ化されて注目を集め、2019年には映画化も発表されました。 今回は、そんな本作の見所をご紹介しましょう。ネタバレも含みますので、未読の方はご注意ください。

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『デイヴィッド・コパフィールド』のあらすじ紹介!映画化も

19世紀のイギリスで生まれたデイヴィット・コパフィールドは、生まれながらにして父親はいません。しかし、母親と女中のペゴティーと、幸せな生活を送っていました。ところが母親の再婚後、彼の境遇は一変します。

継父と義理の伯母から虐待を受け、10歳の時に母親が亡くなると家を追い出されたデイヴィッド。しかし彼は、どん底の生活から抜け出すためにある行動を起こします。

社会の不条理に振り回されながらも、必死で生き抜いた少年の成長を描いた本作。大人になったデイヴィッドの目線で綴られる文章からは、19世紀のイギリス社会で人々はどのように生きていたのかをリアルに感じることが出来ます。

著者
チャールズ ディケンズ
出版日
2002-07-16

発表から100年以上経った今でも本作の人気は衰えず、2018年には本作を基にした『ザ・パーソナル・ヒストリー・オブ・デイヴィッド・コパフィールド』の映画化が発表されました。主演はデーヴ・パテールが務めます。

日本では岩波文庫と新潮文庫から翻訳本が出版されていますが、今回は2002年に岩波文庫から出版された石塚裕子による翻訳本をご紹介します。

みんな、何を考えているか分からない!多様な登場人物たち

厳しいイギリス社会の荒波に揉まれながら、必死に生きる人々の姿が描かれる本作。主要な登場人物をご紹介します。

デイヴィッド・コパフィールド

本作の主人公。幼少期に両親を亡くし、義父から虐待を受ける。しかし自らの行動力で逆境を乗り越えていく。

クレアラ・ペゴティー

デイヴィッドの母親が嫁ぐ前から勤めるコパフィールド家の女中。デイヴィッドに深い愛情を注いで育て、離れ離れになっても彼のことを何かと気にかけてくれる存在。

ベッツィ・トロットウッド

デイヴィッドの大叔母。1度は結婚したが、夫からのDVを理由に離婚。以降は男性不信になっています。しかし、ロンドンから逃げ出してきたデイヴィッドを保護する優しさも忘れない人物です。

ウィックフィールド

デイヴィッドの大叔母の友人で弁護士をしており、ウィックフィールド事務所を運営しています。一人娘であるアグネスを大切にする父親です。

アグネス・ウィックフィールド

ウィックフィールドの一人娘で、父親のことを大切に思っています。優しくて賢く、ウィックフィールド家の切り盛りするしっかり者。彼女と一緒に育ったデイヴィッドからは、実の姉の様に慕われています。

ユライア・ヒープ

ウィックフィールド事務所の書記を務める男性。謙虚な様子で、いつもペコペコと頭を下げていますが、興奮すると蛇のように身体をくねらせる奇妙な人物。

ドーラ・スペンロー

デイヴィッドが一目惚れした女性。美しい容姿ですがお嬢様育ちのため、家事能力は皆無です。

『デイヴィッド・コパフィールド』1巻のあらすじと見所

イギリスのサッフォク州ブランドストンで生まれたデイヴィッド・コパフィールドは、母親と女中のペゴティーと穏やかな日々を過ごしていました。しかしデイヴィッドが9歳の時に母親がマードストンと再婚すると、彼の生活は一変してしまいます。

義父であるマードストンと彼の姉は、言葉巧みに母親とデイヴィッドを精神的に支配し、デイヴィッドは寄宿学校のセーラム学園へ放り込まれます。心身ともに衰えた母親はついに亡くなり、まだ10歳だった彼は家を追い出され、ロンドンで働かなければいけなくなるのです。

厳しくて惨めな労働環境に嫌気が差したデイヴィッドは、カンタベリーに住む大叔母のベッツィ・トロットウッドの元へ逃げ出すことを決意します。

著者
チャールズ ディケンズ
出版日
2002-07-16

幸せだった生活の後に継父と義理の伯母による虐待が待ち構えており、デイヴィッドの子ども時代が終わるまでの経緯が描かれています。

わずか10歳で働かなければならない状況になるのも驚きですが、そこから抜け出すためのデイヴィッドの行動力は思わず感服してしまうもの。
 

彼が自分の意志で人生の選択を始めるまでの過程とその心情は、涙なくして読むことはできないでしょう。また、本作の前半は筆者の自伝的な要素も強く、当時のイギリス社会において、弱い女性や子どもたちがどんな状況だったのかを知ることもできます。

『デイヴィッド・コパフィールド』2巻のあらすじと見所

カンタベリーへと辿り着いたデイヴィッドは大叔母の養子となり、きちんとした学校へ通わせてもらえることになります。

そんなデイヴィッドの下宿先は、大叔母の友人で弁護士をしているウィックフィールドの事務所でした。ウィックフィールドの娘・アグネスは家庭的で優しく、デイヴィッドは姉のように慕っていました。しかし、ウィックフィールド事務所の書記を務める男性・ユライア・ヒープには、どこか違和感を抱くのでした……。

著者
ディケンズ
出版日
2002-09-18

本巻で主要な登場人物が出揃い、物語が動き始めます。さっそく波乱万丈になりそうな伏線が文章に散りばめられているため、1つ1つの文章を注意深く見ていくと、推理小説を読んでいるような楽しさを味わえます。登場人物の行動は、細かいところまで見逃さないようにしてくださいね。
 

謙虚なのに、どこか好きになれない奇妙な雰囲気のユライア・ヒープ。デイヴィッドの友人が時々見せる暗い顔。大叔母に付きまとう謎の男の正体……これらは一体、何を意味しているのでしょうか。

『デイヴィッド・コパフィールド』3巻のあらすじと見所

デイヴィッドは大叔母の援助を受けながら、修習生としてロンドンの法律事務所で働くことになります。そして職場の上司の娘ドーラに一目惚れをし、やがて恋仲となり充実した日々を過ごしていました。

そんな中、ペゴティーの夫が危篤だという知らせが届き、デイヴィッドは彼女が住むヤーマスに駆けつけます。そこで彼は親しい人との別れだけではなく、思わぬ形で友人や幼馴染とも別れなければいけなくなったのです。

別れが続き落ち込んだデイヴィッドがロンドンに戻ると、そこには大叔母がいました。彼女は投機に失敗し破産。デイヴィッドを頼って上京してきたといい……。

著者
ディケンズ
出版日
2002-11-15

やっとの思いで安定した生活を手に入れたデイヴィッドですが、彼の行く手にはすでに怪しい雲行きが見え始めます……。しかし幼少期の経験を振り返り、自分の生活を支えてくれた大叔母への恩を返すため、ある行動を起こします。
 

忍耐力と責任感を持つ大人へと成長していくデイヴィッドの姿に、ぜひご注目ください。「禍福はあざなえる縄の如し」ということわざを表したような、災いと幸福を反芻する展開に目が離せません。彼の人生がどんな風に変化していくのか、ますます目が離せません。

『デイヴィッド・コパフィールド』4巻のあらすじと見所

父親が急死し、困り果てているドーラ。その姿をみて、デイヴィッドは彼女を支えようと奮起します。彼女の叔母に話をつけ、デイヴィッドとドーラは結婚。新しい生活がスタートします。

その一方で、デイヴィッドは大叔母に学生時代を過ごしたカンタベリーに行ってほしいと依頼されました。彼がカンタベリーを訪れると、そこにはウィックフィールド家が書記であった男ユライア・ヒープによって支配されている姿がありました。
 

著者
ディケンズ
出版日
2003-01-16

ユライアの企てを知ったデイヴィッド。幼少期にお世話になったウィックフィールドと、姉のように慕っていたアグネスを救おうと奔走しますが……。

奇妙な雰囲気を持つユライアに、嫌悪感を抱いていたデイヴィッドですが、この件で彼の生い立ちを知ることになります。一体何があったのか。なぜそれが、ウィックフィールド家を乗っ取ることに繋がったのでしょうか。

初期の伏線が次々と回収され、真相が明らかになっていきます。ページをめくる手が止まらなくなる急展開の面白さがあります。気になった方はぜひ、実際に手にとってたしかめてみてくださいね。

また、2人の生活には、親近感が湧くような失敗が起きます。家事能力がないドーラとの結婚生活は、前途多難。しかし彼女への愛情を持ち、作家としての収入も得ることができたデイヴィッドは、何とか新婚生活を続けます。そんなところも、ぜひご注目くださいね。

『デイヴィッド・コパフィールド』5巻のあらすじと見所

デイヴィッドは旧友たちにも協力してもらい、ユライアの企みを白日の下へと晒すことに成功します。この件によって失踪していたとされる幼馴染も無事見つかり、事件は解決に向かいました。

しかし彼の人生は、穏やかなままでは終わりませんでした。今度は愛する妻・ドーラに異変が起きてしまうのです。

著者
ディケンズ
出版日
2003-03-14

デイヴィッド・コパフィールドの激動の人生を描いた本作。どんな結末を迎えるのでしょうか。ドーラとデイヴィッドは、再び笑い合うことができるのでしょうか……。さまざまな災いに見舞われ、その度に乗り越えてきた彼の最後くらい、幸せであってほしいと思わざるをえません。

本作では、悪人は裁かれ、善人は救われるという勧善懲悪が描かれています。それでも解決されない社会的な悪とは何だろうと考えさせられます。ぜひ、デイヴィッドと彼らが迎える大団円を直接見届けてください。

チャールズ・ディケンズの代表作と言われている本作。最終巻まで、デイヴィッドの壮絶な人生は読者を飽きさせることがありません。ぜひ一度、読んでみてはいかがでしょうか。

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