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緒川千世のおすすめ人気作品!爽やかな絵と人物描写が特徴の5冊

更新:2020.12.2 作成:2016.12.3

内容が重いお話はなかなか気軽に手に取ることが難しいですよね。しかし、時には重い話も読みたい...そんなあなたに、おすすめのなのが緒川千世。シリアスもラブコメも高い完成度で萌えさせてくれる作品ばかりです。

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甘いお話からシリアスまで。読みやすく萌えやすい作品を描く緒川千世

緒川千世は石川県出身の漫画家。実は彼女、少女漫画家である高木しげよしのBL漫画用ペンネームです。高木しげよしといえば、『花にアラシ』、『フィルムガール』などの少女漫画で知られていますよね。

彼女は人物に影をつける作業が好きらしく、そこから緒川千世らしい爽やかな絵柄が出来上がるようです。また、登場人物の心情の描写がとても上手。爽やかな絵柄のおかげで、心の黒い部分もドロドロした所を感じずに読む事が出来ます。そんな作品の特徴を持ちながらも、ラブコメ作品も面白い。その振り幅に彼女の力量を感じます。

少女漫画家でもある事を生かし幅広いテイストの作品を生み出せる、ストーリーテラーな緒川千世の作品をご紹介します。

あの頃に戻りたい、取り戻したい。過去に執着する2人の歪な愛『王子の箱庭』

緒川千世のデビュー作にあたります。表題作『王子の箱庭』と『断熱線上の鼓動』が収録されています。今回は表題作『王子の箱庭』をご紹元。こちらは執事×元おぼっちゃまCP(カップリング)の作品です。

かつてお金持ちの家のお坊っちゃんだった譲の人生は転落し、屋敷を出て生きる為に手を汚す生活を送っていました。以前住んでいた屋敷が当時の世話係のものになっていると知った譲は8年ぶりに世話係だった岩瀬の元を訪れました。
著者
緒川 千世
出版日
2012-04-26
しかし岩瀬を騙して利用するつもりだった譲は、逆に岩瀬に捕えられ、監禁生活を強いられてしまいます。純粋な気持ちだけではなく執着心によってつながれた二人。岩瀬は譲の事が好き=執着しており、譲もまた、8年前に固執しています。

屋敷を出た譲が生きるために身を差し出す生活を送っていたことを知った岩瀬の「あんなに大事にしてきたのに」というセリフから、ともに暮らしていた時の岩瀬の葛藤が伺えます。岩瀬が見ている譲は8年前のまま。譲はそのことに気が付いているのにそれを受け入れますが、どこか冷めたような目で岩瀬を見ています。

緒川千世の初コミックスだとは思えないほどに、愛だけではない執着や人間の重い感情を描いた良作です。監禁という設定を淡々と描くことで余計に狂気じみた感情を表しています。狂気×ツンデレの作品を楽しんでみてください。

復讐の為に仲良くしているだけ、だったはずなのに……『このおれがおまえなんか好きなわけない』

中学時代、仲が良かった御徒町と藤間のお話。ロールキャベツ男子×アホの子CPです。

友達だと思っていた御徒町に「友達だったの?」と言われてしまい、裏切られた過去を持つ藤間。藤間はそのショックを抱えながらも、高校生活を楽しんでいました。

しかし、藤間が通う高校に御徒町が転校してきて2人は再会してしまいます。しかも、なんと御徒町は藤間の事を覚えておらず、その事にショックを受けた藤間は昔と同じ事をして御徒町に復讐をしてやろうと考えます。

中学時代のように距離を縮め、まるで友達のように接しているだけのつもりですが、御徒町に褒められれば嬉しくなるし、一緒にいるだけで楽しく感じてしまう……。藤間は御徒町の事が好きなのでは?と疑われ、否定しますがやっぱり一緒にいると楽しさを感じてしまう自分に戸惑いを隠せません。
著者
緒川 千世
出版日
2013-02-27
ある日藤間が作ったお弁当を食べた御徒町が体調を崩し、学校を欠席してしまいます。そのお見舞いに家を訪れ、泣きながら謝る藤間に御徒町は可愛いとキスをしてきます。復讐の為に仲良くしているだけであるはずの藤間ですが、彼から出てきた言葉は「嬉しい」でした。

復讐の為というのは裏を返せば藤間は御徒町と仲良くしていたかったという事で、中学時代からずっと御徒町の事が頭から離れなかった藤間の苦しみが伝わってきます。しかし誤解だった事が分かり、前よりももっと深い関係になる事が出来た喜びもまた、とても伝わってくるような作品でした。

何といっても魅力はアホの子・藤間の可愛らしさ。無表情な御徒町に比べ、コロコロと表情が変わる彼。単純……いや素直であり、恋愛に関してとっても乙女!意外と肉食系な御徒町と、色々な点で対比になっているいいCPです。コミカルな展開で軽く読める作品です。

依存度高いのがいい!高校生5CP『世界は君で廻ってる』

こちらは緒川千世が同人誌で発表した漫画を集めた短編集です。全てが高校生CPの5作品が収録されています。高校生で青春きらきらものかと思いきや、どのCPも依存度が高く、いい意味で緒川千世らしい、まったく高校生っぽくない高校生ばかりです。

著者
緒川 千世
出版日
2013-05-10
今回は表題作『世界は君で廻ってる』をご紹介。美形×地味顔CPです。

自分の容姿にコンプレックスを持っている牧。そんな彼がなぜかイケメンの深町に言い寄られるお話。自分は地味顔だと思っている牧に対してひたすら可愛がってくる深町。戸惑いながらも深町の好意を邪険には出来ず、気が付いたら受け入れてしまいます。対して、牧が逃げようが拒否しようが執拗に追ってくる深町はどこか病的な感じがしますが、牧に対する気持ちは本物。

コンプレックスは誰にでもあるものですが、こうして好きだと言ってもらえるってとても幸せな事ですよね!最初はなんだこいつと思っていたのに気が付いたら心が、しまいには体まで捕まえ

られてしまうという、攻めが受けを溺愛しているお話は王道ですが、だからこそ安心感があり、いつになって読んでもいい作品です。

なんとなく始めた恋人ごっこのはずが……『誤算のハート』

もともと読み切りで掲載された本作は、反響が大きかった事で連載になり、スピンオフ作品も登場しています。真面目×両刀チャラ男の高校生CPの作品です。

女にだらしない三城は、たまたまクラスメイトの烏童が別れ話でモメているところに遭遇し、なんとなく「烏童は自分と付き合うから」と抱きつき彼女を諦めさせ助けてあげます。そして2人は実際に、なんとなく遊び感覚で付き合い始めてみることに。

経験豊富な三城は烏童をリード出来ると考えていましたが、いざ試してみると烏童の思わぬテクニックにメロメロにされてしまいます。元々女好きでだらしない三城は烏童が忙しくなかなか会えない時に、適当な女子に次々と手を出そうとしますが、頭には烏童がチラつき全く出来なくなっていました。
著者
緒川 千世
出版日
2013-04-10
対する烏童は真面目で紳士的な人物ですが、実はそれは理性で隠された本能を隠しているいわば仮の姿。フラフラと遊んでいる三城には束縛的な言葉をぶつけます。

この作品は三城が鳥童に溺れていく過程、その変化が楽しめる作品です。周りには女の子が常にいるような三城が、「それ以上したら本気で好きになっちゃうから……だから触らないで」と零す所が可愛い。遊びから本気に変わっていく受け、将来スパダリになりそうなクールな攻め、高校生とは思えないようなドキドキするセリフは見ものです。

本作はお互いに惹かれていることは明らかなのに、素直ではない2人が描かれた作品ですが、人気の高い烏童の兄のお話が載っているスピンオフ作品『終わらない不幸についての話』もおすすめ。烏童と三城についての後日談が描かれているとともに、この作品では意味深な言葉を発して

いた鳥童兄の切ない気持ちが描かれています。

恐怖のスクールカースト制。下剋上の末に頂点に立つのは……『カーストヘヴン』

最後にご紹介するこちらの作品。BL!?と思うような強烈なインパクトのある作品ですが、ちゃんとBL要素は含まれています。メインCPはいますが、体の関係はゲームによって入り乱れまくりです。

この作品は学校内で行われるカーストゲームによって力関係が変化してしまう学校生活のお話。

トランプで最高位と最下位を決定し、下になった者は上の者に絶対に逆らってはいけないというルールが決められた学校で、常にキングの座を手にしていた梓は、自分の取り巻きだった刈野に突然裏切られてしまいます。
著者
緒川 千世
出版日
2015-06-10
今まで従順だった刈野は梓を最下位に落とし、クラス皆に犯されるか俺に犯されるかを選べ、と突きつけてきます。仕方なく刈野のオモチャになることを選んだ梓ですが、元々のプライドの高さはそのまま、強気な態度は崩しません。しかしいつの間にか自分からおねだりしてしまうほどに刈野に溶かされてしまいます。

梓に対する執着心や独占欲が見える刈野、反抗しながらも刈野を受け入れる梓、それぞれの気持ちが愛情であるのかは読み取れない展開で始まっていきます。

現在も『カーストヘヴン』は続いており、別CPの視点での展開や新しいCPの登場など、豪華絢爛、そしてかなりダークな内容で進んでいます。カースト制度に縛られる生活の中でも拠り所を見つけることが出来るのか、緒川千世の技が光るこの作品を是非お読みになって頂きたいと思います。