王への生贄として魔族の世界へやってきた人間の少女・サリフィ。しかし、王と秘密を分かち合い、心を通わせた彼女は王妃に指名されることに。もちろん周りは猛反対。正式な王妃となるには、様々な試練をクリアしなければいけません。王妃を志すサリフィの成長と、彼女と魔族の王・レオンハートのロマンスを描いた本作の魅力をご紹介します。 スマホの無料アプリでも読むことができるので、気になった方はぜひそちらから読んでみてください。
人間の国から魔王への生贄として差し出されたサリフィ。生贄となるために育てられた彼女は、自らの運命を受け入れて魔族の国へやってきました。
獣の姿を持つ王は、皆から恐れられる存在。しかし彼には、儀式が行われる「天啓の夜」に人間の姿になってしまうという秘密がありました。人間の姿を持つ自身を「半端者」と恥じ、孤独を抱えている王。しかし、彼の本当の優しさと強さを知ったサリフィは、彼を立派な王様だと励まします。
サリフィの優しさに心を打たれた王は、彼女を自分の妃にすると発表。家臣たちはもちろん大反対。サリフィは王とともに歩むため、王妃の試練に立ち向かっていくことになるのですが……。
- 著者
- 友藤結
- 出版日
- 2016-05-20
人間と異形の王という、まるで美女と野獣のような組み合わせ。「天啓の夜」に人間の姿になった王もイケメンですが、普段の毛皮につつまれたモフモフの獣姿も凛々しく、魅力的に感じられるでしょう。異種族カップルが好きな人には必見の作品です。
魔族たちは動物に似た姿をした者がほとんど。王様であるレオンハートは大きな牙と角、そして獅子のような立派なたてがみとフサフサの尻尾を持っています。耳がピンとはねる仕草もチャーミング。
王宮で勤める家臣や、街で暮らす住民たちも同様です。ヤギやネコなど、哺乳類のような毛皮を持つ種族はもちろん、ワニやトカゲのような姿をした「爬虫族」、魚やサメに似た「魚竜族」など、様々な種族が登場します。
誰もが獣のような容姿をしているため、人間の国とは異なる世界観を堪能できます。いわゆる「ケモナー」と呼ばれる、獣人キャラクターが好きな読者にとってはたまらなく感じられることでしょう。
贄姫と獣の王 5 (花とゆめコミックス)
2017年09月20日
レオンハートが人間の姿を持っていることは、サリフィと二人だけの秘密。レオンハートは自身の中にある人間の血に葛藤を抱えていますが、立ち止まりそうな時はサリフィが支えてくれるのです。
建国記念の行事の日、思いがけずレオンハートは人間の姿から戻れなくなってしまいます。式典の直前で、魔族の姿にはギリギリ戻れる目処がつきますが、衣装などの準備はとても間に合いそうにありません。
王としての自信を失いそうになるレオンハートでしたが、サリフィはそんな彼の手を力強く握ります。そして「あなたを立派な王様だと思うのは、立派な鎧を着ているからじゃない」という言葉に背を押され、レオンハートは式典を見事に遂行させるのでした。
王として立派に務めを果たすレオンハートの姿を見て、サリフィの「彼の隣にいたい、役に立ちたい」という気持ちも強まっていきます。
互いのことを想い合う気持ちを原動力に、ともに成長していく二人の姿はまさにお似合いのカップル。読者は微笑ましく見守るとともに、二人の行く末を応援したくなってしまうことでしょう。
魔族の世界では、人間は忌み嫌われる存在。サリフィも多くの魔族から蔑むような態度をとられています。しかし、サリフィは人間も魔族も関係なく、素直な優しい心で接します。
魔族のなかでも低い立場に見られている爬虫族の姫・アミト。サリフィは、他国の姫からの嫌がらせを受ける彼女を庇い、これをきっかけに「初めての友達」として友情を築いていきます。
サリフィが試練の一環で召喚した不死鳥・ベンヌは、過去に力が枯れるまで使役されたことが原因で、空も飛べないヒヨコのような姿になっています。そのため、衰えた自身を卑下し、いつもひねくれたような態度です。
しかし、強い力がなくても、召喚に応じてくれたことはサリフィに自信を与えてくれました。そのことを素直に感謝し、再び飛べるようにと練習に付き合ってくれる彼女の姿に、ベンヌの心は少しずつ和らいでいきます。そして、ついに神々しい不死鳥の姿を取り戻し、サリフィを守る心強い存在に。
人間として周囲から敵視されるなか、少しずつ、しかし確実に増えていくサリフィの仲間たち。優しい気持ちは種族の垣根を越えて魔族たちに届いていきます。サリフィと魔族たちの間に、着々と友情や信頼が築かれていく様子には、心が温まることでしょう。
- 著者
- 友藤結
- 出版日
- 2018-11-20
サリフィが王妃になることに、魔族たちは困惑と反発を隠せません。王妃として認められるため、サリフィは宰相・アヌビスから課される数々の試練や難題に挑んでいくことになります。
その内容は、命がけで聖獣を召喚したり、恐ろしいと噂される将軍をおもてなししたり。
自身の生贄になる運命を受け入れていたサリフィは、初めはあまり自分の欲というものがなく、レオンハートのそばにいられるならば、必ずしも王妃の椅子にこだっていませんでした。
しかし、レオンハートとともに過ごし、数々の試練を乗り越えていくにつれ、その心境にも変化が。しだいに彼を支え、「胸を張って王の隣に立てる存在」になりたいと考えるようになっていきます。
生贄の姫として、レオンハートに守られる存在であった彼女が、自らの力で王妃として認められようと成長していく姿は、とても頼もしく感じられることでしょう。
努力の甲斐あって、サリフィは「王妃代理」という立場を与えられます。正式な王妃に一歩近づいたといえるでしょう。
外交で訪れたボルストバスという国では、密かに他の種族を奴隷として使役していたことを暴きだし、堂々と国王に立ち向かいます。厳然とした態度でボルストバス王と対峙するサリフィの凛々しい姿からは、王妃を目指す彼女の成長を強く感じられることでしょう。
- 著者
- 友藤結
- 出版日
- 2019-03-20
ボルストバス国から猩々族を救い出し、船で故郷に送り届けるサリフィ。しかし、その途中で船が襲われてしまいます。現れたのは狼王・フェンリルと名乗る男。サリフィは王妃として船の仲間たちを守るため、自ら人質として身を差し出すことに。
新たな敵対勢力の登場により、王国は緊迫した状況になっていきます。離れ離れになりながらも、互いを信じて王として・王妃代理として毅然と振る舞うレオンハートとサリフィの姿からは、二人の強い絆を感じられることでしょう。
また、傷つきながらもそれぞれの信念を持ち、主のために戦う家臣たちの活躍にも注目です。今まではあまり見られなかった戦闘シーンが展開され、いつもとは一味違ったハラハラとドキドキを感じられる内容になっています。
サリフィとレオンハートはこの危機を乗り越え、無事に再会することが出来るのでしょうか?続きが待ち遠しい展開です。