主人公は、祖母・父・母の介護をして、恋を知らないまま60年間生きてきた、如月澄。しかし、あるきっかけで「17歳の少女」に戻ることに……。驚愕のストーリーながら、リアルな展開に引き込まれるでしょう。今回は、2016年にテレビドラマ化もされた『スミカスミレ』の魅力を最終回まで紹介します。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読むことができるので、気になった方はそちらからもどうぞ!
主人公である如月澄は、幼いころから厳しい父にしたがって生きてきました。祖母の介護や家事のために高校を中退し、その後も父や母の介護をし続け、気づけば恋を知らないまま60歳を迎えてしまいます。
60歳のときに母が亡くなり、やっと長い介護生活から解放されることに。しかし今まで人のために生きてきたため、自身のためにどう時間を使えばよいかわかりません。
そんなある日、母の写真を探していた澄は、古びた屏風を見つけます。その際、縁で指を切ってしまい、絵に飛んだ血が蒸発するという不思議な現象が……⁉
- 著者
- 高梨 みつば
- 出版日
- 2014-01-24
屏風にはカキツバタと黒猫が描かれていたのですが、その日の夜に屏風から封印されていた化け猫が現れます。彼は男性の姿になり、黎と名乗る彼は、封印を解いたお礼として「青春をやり直したい」という澄の願い事をかなえることに……。
そして澄は60歳から17歳まで若返り、如月すみれとして地元の高校へ通い人生をやり直すこととなります。果たしてすみれは青春をどうやり直すのでしょうか?
ここから先は、本作ならではの魅力や、結末の見所の一部を紹介します!ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。
すでに『スミカスミレ』が気になった方は、まずはスマホの漫画アプリで読むことをおすすめしています。下のボタンから簡単にインストールできるので、ぜひ利用してみてください。
- 著者
- 高梨 みつば
- 出版日
- 2008-02-15
『スミカスミレ』は、漫画家である高橋みつばの作品です。彼女は1992年、17歳のときに「もう恋なんてしない」でデビューしました。その後『悪魔で候』『紅色HERO』をはじめ、人気作品を世に出していきます。2019年9月現在、『乙女椿は笑わない』を連載中です。
長年活躍するベテラン漫画家で、絵が繊細と評価されています。線が細く、細かいところまで描かれているのも特徴。独特な情緒のある雰囲気を作り出しています。
また、ストーリーも少女漫画の王道から、『スミカスミレ』のように主人公が60歳という珍しい作品まで幅広く手がけており、多彩さを感じさせる作者です。
幼いころから家族の介護をしてきたことから、結婚もしないまま、そして恋を知らないまま60歳になってしまいますが、黎にお願いし、17歳の女子高生に若返らせてもらった澄。
現実的にはあり得ませんが、斬新さがあり、どう青春をやり直すのか気になる設定ですよね。
- 著者
- 高梨 みつば
- 出版日
- 2014-07-25
恋を知らないという点から、恋には奥手な彼女。青春をやり直したい、過去にやってみたかったことをやってみたいと取り組んでいく姿は応援したくなる純粋さがあります。現代の若者の勝手がわからず困ってしまう様子には、読者も一緒になってハラハラさせられることも。
しかし60歳という人生経験からの安定感や、終始ストーリーがほんわか温かい雰囲気で進んでいくので、ゆったりと読むことができます。
少女漫画らしさもありながら大人らしいストーリー展開もあり、幅広く受け入れられる作品でしょう。
- 著者
- 高梨 みつば
- 出版日
- 2015-01-23
また、本作は若返りをしたあとの恋愛展開も見所。外見は女子高生でも、中身が60歳だと話が合わず男子に振り向いてもらうことができるのだろうかと心配になるかもしれません。
しかし多少話がずれることはあるとはいえ、すみれは彼女本来の性格をきっかけに真白勇征という男子高校生と恋愛を始めることとなります。
彼は惹かれたきっかけは、教室で椅子に背筋をピンと伸ばして座り、一生懸命授業を聞く、すみれのりりしい姿。すみれの真面目さや純粋さは本当の年齢など関係なく魅力的に映るものなのです。
青春というと学生時代をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし物語は高校を卒業後、大学へ進学、そして社会人になるまで続きます。就職、そして社会人となってからは新しい恋愛もはじまるので見逃せません。
- 著者
- 高梨 みつば
- 出版日
- 2015-05-25
ちなみに社会人編がはじまるのは6巻から。映画関係の会社に就職し、映画に出演するシーンもあるので注目です!そして物語の重要人物、映画監督の紅林と出会うきっかけにもなります……。
学生時代だけでなく、社会人になってからのすみれの様子を見られるのは、本当に一緒に人生をやりなおしているかのような感覚で物語に没頭できます。
映画監督の紅林に本当は60歳を超えているということを知られたすみれ。周囲にバラされたくなければ、意識のない母を若返らせろと脅されます。
しかし黎は2度すみれを若返らせているので、弱っていました。彼が苦しむ姿を見たくないすみれは、紅林に反発します 。
- 著者
- 高梨 みつば
- 出版日
- 2018-06-25
しかし黎は彼女に最後のあいさつをし、紅林の母に生気を与えるのでした。紅林の母は息を吹き返しますが、黎は生気を使いすぎて弱ってしまいます。傷口がどんどん広がり、今にも消えそうな状態になって……。
黎に隠されていた秘密が明らかになったあと、ぽかぽか温かい気持ちになるでしょう。彼らの今後の人生に思いをはせるような余韻が残るよい結末です。
また、最終回のラストでは、数年が経ったその後の姿が描かれています。千明と真白くん登場し、最後までそれぞれのキャラの様子を見ることができます。黎とすみれ以外のキャラが、最終的にどうなったのか、その後どう過ごしているのかは、ぜひご自身の目でご覧ください。