『S・A(スペシャル・エー)』は、主人公の女子高生・花園光(はなぞのひかり)が、ライバルである滝島彗(たきしまけい)に勝つために、勉強やスポーツなどに挑み続ける青春物語。熱い友情や家族愛があり、ライバル同士の光と彗のラブストーリーもあります。今回は、本作のあらすじや見所をネタバレ紹介しつつ、最終回の後のスピンオフについても紹介していきます。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読めるので、気になる方はそちらからもどうぞ!
主人公・花園光(はなぞのひかり)は、大工の棟梁である父親の教育によって、幼いころからプロレスで鍛えられた結果、勝つことにこだわる女の子になりました。
子どものころは、負けなしに登りつめた光。しかしある日、家に来た滝島グループの御曹司・滝島彗(たきしまけい)にあっさりと負けてしまいます。
はじめて負けたことで火がつき、彗に勝とうと何度も勝負を挑みますが、その度に敗北。彼に勝つために、同じ学校にまで入学しました。
入学した学校は超お金持ちのエリートが集まる「白選館学園」。打倒・滝島彗のもと勉学にも励みますが、結果はいつも2位……。しかし彼女は諦めません。その後も光は、彗にさまざまな勝負を仕掛けていきます。
- 著者
- 南 マキ
- 出版日
- 2004-07-16
白選館学園には「一風変わった制度」があります。それは、クラスをA~F組まで成績別で分けるというもの。さらにA組のなかでもトップ7人だけが入れる「特別クラス」の存在があります。
彼らは通称「S・A」(スペシャル・エー)と呼ばれ様々な待遇があります。授業の参加は自由、専用の制服があり、校舎も別という学園の憧れの存在です。
2位の光と1位の彗は、もちろんS・Aに所属しています。3~7位も個性豊かな生徒がそろっており、そんな彼らが、てんやわんやしながら、この学園で青春を謳歌(おうか)していくことになるのです。
南マキは、2001年に白泉社の「ザ花とゆめ」に、『彼方の青』が掲載されてデビュー。その後、2003から2009年まで本作を連載し、2009年には『声優かっ!』、2013年には『こももコンフィズリー』など、さまざまな作品を発表しています。
現在は「MELODY」にて『おしゃピクしませんか?』、LINEマンガにて『Get Ready?』を連載中です。
南マキの作品の特徴は、癖のある主人公が多いこと。『声優かっ!』の主人公は、魔女っ娘ヒロインの声優を目指しているのに、まるで「堅気ではないおっさん」の声が出てしまう、という特徴の持ち主。しかし、誰になんと言われても諦めずに、声優を目指しています。
また『こももコンフィズリー』の主人公は、世間知らずの超お嬢様から転落したものの、気品と自分の信念を失わずに過ごしていく、図太い神経を持っているのです。
- 著者
- 南マキ
- 出版日
- 2013-11-20
このように、本作の主人公・光と同じく、自分の志や心の核にあるものを曲げることはありません。
そして、そんな主人公が周りの人を巻き込んで「自分だけでなく周りの人も成長させてしまう」というストーリー展開が多いのも特徴です。
『S・A』は、作者の特徴がギュッと詰まった作品です。「常に勝ちを目指す」光のような女の子が、どんな風に成長し、周りがどう影響されていくのか、ぜひ注目してみてください。
彗は光にライバル視されながらも、彼女のことが大好きです。しかし勝負ごとにしか興味がなく、鈍感な光にはなかなか気づいてもらえません。彼はことあるごとに光を気にして、そして彼女のためになろうと努めます。
その想いがたとえ光には伝わらなくても、「彼女が笑ってくれたらそれでいい」と考え、行動する彗の姿がとても可愛く、いじらしくなるでしょう。読者から見たらバレバレの恋心が、光に早く届いてほしいと願わずにはいられません。
勝負を持ちかけられると嬉しそうにする彗の表情や、光が喜んだときに嬉しそうにする彼の笑顔を見ると、健気な姿にきゅんとしてしまうでしょう。見守られてる光が羨ましくなってしまうかもしれません。
なんでも完璧にこなす滝島グループの御曹司である彗をはじめ、勝ちにこだわりすぎる光。その他にも、S・Aは、成績優秀者なだけではない、とても個性豊かなメンバーが揃っています。
ティータイムと光のことをこよなく愛している、航空会社の社長令嬢である東堂明(とうどうあきら)。
天才的な音楽一族の令嬢の山本芽(やまもとめぐみ)は、幼馴染みの辻竜(つじりゅう)にべったり。喉を大切にしているため、ふだんは声を出さず、スケッチブックやホワイトボードでコミュニケーションをとっています。
彼女の双子の弟の山本純(やまもとじゅん)は、女性にキスされると性格が変わります。ふだんの温厚な青年から、ホストのような人格になってしまうのです。
二人の幼馴染みであり、スポーツメーカーの社長子息の竜は、動物やちびっ子に異様に好かれてしまうムツゴロウ体質でもあります。
また、白選館学園理事長の息子である狩野宙(かりのただし)は、放浪癖がひどく、すぐ自然を求めてどこかに行ってしまう……など、7人それぞれの個性が強く、学園の先生も手に負えません。しかし、キャラクターの個性が強いからこそ、物語が破天荒に進み、より面白おかしくなるのです。
彗にさまざまな勝負をしかけますが、物語の後半になっても、なかなか勝つことができない光。
そうこうしている間に、彗の許嫁話が出てきて揉めたり、彼の幼馴染みの雑賀八尋(さいがやひろ)が、光と彗の関係にちょっかいをかけてきたりと、普通の学園生活を送ることができないでいます。
そんな状況のなか、鈍感極まりない光ですが、あることをきっかけに、彗に対して特別な感情を抱くように。そして自身の気持ちを自覚したあとも、彼女は慧に対して真正面からぶつかります。
彗からの気持ちにはなかなか気づきませんが、はじめて恋をした彼女は、手探りながらも全力です。
- 著者
- 南 マキ
- 出版日
- 2009-06-19
やっと彗の気持ちが伝わり、晴れて両想いでおしまい……とならないのが、本作の面白いところ。世界をまたにかける滝島グループの問題で、彗に寄り添うため光は外国に行くことに。
特に、光が彗を追って国外にある彗の家まで行くシーンはとても読みごたえがあり、謎多き彗の小さい頃や家族事情も知ることができるなど、見所満載です。
そして明かされる確執だらけだった滝島家の秘密。しかしそんな状況も、光の底抜けの前向きさでどうにかしてしまうのです。
無事に光と彗は結ばれ、そして最後はどちらが「勝ち」となるのか……?先の読めない展開に、最後までハラハラ・ドキドキしながら楽しむことができるでしょう。
『S・A(スペシャル・エー) -場外乱闘-』は、晴れて恋人同士となった光と彗や、S・Aのその後が見られる短編6本が読める一冊です。
あいかわらず彗に勝負を挑み、そして負けてしまう光が描かれる「いつもの光景」から始まります。
そんなある日、光はなんと「偽・花嫁役」を頼まれてしまいます。光は快く頼みごとを受け入れますが、もちろん彗は面白いはずがありません。そんな彼らにひと波乱が巻き起こり……?
- 著者
- 南 マキ
- 出版日
- 2013-02-20
彗は光がたとえ善意で、それも仮の花嫁とはいえ、自分の隣以外に立つことを許しません。その変わらない嫉妬心が可愛く、光に振り回される彗は見所です。
光と彗の話だけでなく、ほかのS・Aメンバーの「その後の物語」が描かれているのも本作の嬉しいところ。竜とフィン=クープ=シュゼット二世の話や、八尋と芽、そして宙と明など、主人公たち以外のカップルの恋愛模様も読むことができます。
特に、最後の方でうやむやになってしまっている八尋と芽や、宙と明の発展した関係は必見です。
本編よりもさらに恋愛に力を入れた作品となっており、胸キュンすること間違いありません!本編の読了後に読めば、より『S・A(スペシャル・エー)』の世界観を楽しむことができるでしょう。