小学校から中学校、そして高校と進学する時期は、誰しもが大きな変化を迎えるもの。爽やかに描かれることが多いものの、少し苦い部分もあるのが「青春」ではないでしょうか。今回は、そんな青春のキラキラとした部分もありつつ、ほろ苦い部分も丁寧に描いた『恋を知らない僕たちは』の魅力を、6巻まで紹介します。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読むことができるので、気になった方はそちらからもどうぞ!
相原英二と別所直彦は、中学校で出会い、隣の席になったこともあって、常に一緒にいるように。そして2年生のときには英二の小学校のときからの友人の女子・泉も転校してきて、3人で過ごすようになります。
しかし、そんな仲良しな3人にも心境の変化が現れるようになってしまいます。
英二はいつも好きな人がコロコロ変わっているようで実はずっと一途に思い続けてきた人がいることが分かり、直彦は泉と付き合うようになったものの、高校生になってから遠距離恋愛になってしまうのです。
高校生になってから、さらにストーリーに参加する人物が増えてきます。直彦と同じクラスで図書委員を務めるツンツン女子・池澤瑞穂や彼女に思いを寄せる瀬波太一、直彦が好きな小春など、メインキャラクターは6人に。
登場人物が増えるほどに、誰と誰がどう関わってストーリーに変化が生まれるのかという楽しみが増えます。甘酸っぱい関係だけでなく、愛憎がうずまくようになり、物語に深見がでてきます。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
- 2017-10-25
……とはいえ、6人が互いの好きな人を奪い合うという争奪戦にはならず、あくまでも作風は爽やか。それぞれが緩やかに交差したり、離れていったりしていき、深みはあるものの重くなりすぎないストーリーは誰でも楽しめる内容となっています。
単なる三角関係になるのかと思いきや六角関係になり、爽やかなものの、甘い展開だけでは終わらないのが本作。男女6人の青春模様をさまざまな要素で立体的に描き出します。
ここから先は、本作ならではの魅力や、ドラマティックなシチュエーションの一部を紹介します!ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。
すでに『恋を知らない僕たちは』が気になった方は、まずはスマホの漫画アプリで読むことをおすすめしています。下のボタンから簡単にインストールできるので、ぜひ利用してみてください。
水野美波は、北海道出身の漫画家です。高校を卒業後、2006年に「たまにはこんな私とあなた」が受賞し、デビューに至ります。
代表作となった『虹色デイズ』は、2016年に講談社漫画賞にノミネートされ、同年にアニメ化、2018年に実写映画化もされるほどの人気となりました。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
2006年のデビュー以来、コンスタントに作品を刊行し続けており、ドラマの『アタシんちの男子』のコミカライズを手がけたこともあります。
代表作は今回ご紹介する作品含め、男性が主軸になったストーリーを得意としており、SNSでも落書きと称して投下するイラストも男子学生が多くなっています。
しかし『虹色デイズ』から徐々に女子キャラを描くことにも慣れてきたと語っており、特に男子目線から描く女子の方が可愛いのではないかという考えは納得できるもの。本作でも男子から見た女子という視線が楽しめる内容です。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
- 2018-01-25
本作はなんといってもキャラが魅力的。誰しも性格がよくて爽やかなストーリーを生み出し、だからとって絵空事のような人物ではなくリアルで共感しやすいのです。
特に英二と直彦という男子がストーリーの主軸になっていることから作者の工夫でモノローグが少ないところも、キャラの言動をリアルにしています。
モノローグがない分、高校特有の空気感が漂い、キャラそれぞれの気持ちに想像が膨らみ、より魅力的に見えるのかもしれません。
また、絵もきれいなことから、細かい感情や表情の描写がわかりやすく、それがいっそうキャラクターを魅力的に感じさせています。
特に男子のキャラは多種多様で推しを見つけるのも楽しみのひとつかもしれません。
中学生から高校生へと年齢を重ねていく期間の、男女の間柄が変化していく様子も本作の魅力です。
無邪気に遊んでいた小学生から、物語が始まった中学生のとき、直彦はまだ恋を知りませんでした。英二が誰彼構わず好きになっている様子を見てそんなものか、と見ているくらいでした。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
- 2018-05-25
しかし泉の登場で、彼は変化していきます。純粋に仲のよい友達だったのが、徐々に女性として見はじめ、彼女が英二の話ばかりするのにちょっとした嫉妬をしたことから、自分が恋心を抱いていたのだと、初めて気づくのです。直彦が自然に恋を知る流れは、小学校から中学校にあがった時の変化していく気持ちを思い出させてくれます。
その後付き合い始めた2人でしたが、間もなく泉が転校することになり、高校生になって遠距離恋愛になります。そこからは恋心だけでなく、キャラクターそれぞれがこれまで知らなかった初めての感情に触れて成長していくのです。
作品のようなドラマティックなシチュエーションはなかったとしても、この年代で初めて様々な感情を知ったという人も多いのではないでしょうか。そんな気持ちの真っただ中の彼らから、かつての青春時代を思い出すこと間違いなし。誰もが感じた事のある感情に共感できるでしょう。
先が見えない展開にキャラと同じようにハラハラするのも本作の魅力。
瑞穂につれなくあしらわれてもめげることなく追いかける太一を見て、月に1回、泉に会えるかどうかという直彦は自分も今の関係をさらに深めたいものの、何もできずに、もやもや。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
- 2018-09-25
さらに高校生になってがぜんモテるようになった英二ですが、明るいように見えていつも仮面を被っている彼は、同じようにもやもやした日々を過ごしていました。
さらに英二は、直彦には泉がいることを知りながら猛アタックを仕掛けてくる小春にどうにか諦めてほしいらしく、そのことでも頭を悩ませます。
その一方で、瑞穂は、英二に思いを寄せるようになり、それを太一が知ってしまって……。
それぞれの恋愛関係がなかなかうまくいかないもどかしさが、この先の展開の楽しみにつながる面白さとなっています。
5巻までで、学園祭の最中に英二は泉にキスをしてしまいます。その後直彦と泉に対してバツの悪い関係を引きずったままでいました。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
- 2019-05-24
6巻からはそこからどう展開していくかが最大の見所です。英二に思いを寄せる瑞穂は、彼が泉にキスをしてしまったことが原因で直彦とケンカしていることを知らず、何が起こっているのかと困惑します。
小春は、英二が泉にキスをしたことを知っていますが、それでも壊れることのない直彦と泉の絆を見て、彼をあきらめて元カレとよりを戻そうとするのですが、どこか無理があります……。
関係が目まぐるしく変化し、見所いっぱいの6巻のキーパーソンは英二。彼と直彦との関係や、直彦をあきらめて元カレとよりを戻そうとする小春へのアドバイスが物語を大きく動かしていきます。その様子は作品でご覧ください。