「ハニービター」14巻までの見所ネタバレ!深い余韻を残す終わり方【無料】

更新:2021.11.19

「特殊能力」と「壮絶な生い立ち」を乗り越える少女の物語。少女漫画ではあるものの、年齢・性別に関係なく楽しめる骨太な内容です。今回は、ミステリー・アクション・恋愛などの複合的な要素が詰まった『Honey Bitter(ハニービター)』の見所を、結末まで紹介します。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読むことができるので、気になった方はそちらからもどうぞ!

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『Honey Bitter(ハニービター)』が面白い。大人向けのハードボイルドが無料で読める!【あらすじ】

主人公である音川珠里は、特殊な能力を持っています。

「他人の心を読むことができる」というもので、小さい頃から周りに気味悪がられひっそりと生きてきました。親友である松島みのりや叔母の香野早穂など、少ないながらも気を許せる相手はいます。

その後、オフィス・Sという探偵事務所を営む叔母の早穂が、珠里にその能力を活かして調査員をやらないかと誘ってきました。自分の力を隠さず、活かすことができる場所を得られたことに珠里は喜びます。

著者
小花 美穂
出版日
2004-06-15

しかし、そこに新入社員として虹原吏己(にじはらりき)が入ってきます。彼は珠里と高校生のときに付き合っていた元カレで、彼女が男嫌いになった原因を作った張本人です。

はじめ珠里は吏己と働きたくないと早穂に言いますが、彼が大人になっていて高校生のときとは違うのではないかと思い、結局いっしょに働くことになります。その後、アルバイトで、珠里に思いを寄せる大学生の久保陽太も加わり……⁉

ここから先は、本作の登場人物や、最終回の見所の一部を紹介します!ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。

すでに『Honey Bitter(ハニービター)』が気になった方は、まずはスマホの漫画アプリで読むことをおすすめしています。下のボタンから簡単にインストールできるので、ぜひ利用してみてください。

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作者・小花美穂とは。『こどものおもちゃ』が代表作!

本作の作者・小花美穂は、東京都出身の漫画家です。「白雪姫症候群(スノーホワイト・シンドローム)」がりぼん新人漫画賞の佳作に選ばれました。デビュー作となったのは、1990年の「窓のむこう」です。

その後、1998年に代表作『こどものおもちゃ』で講談社漫画賞少女部門受賞しました。しかし本作品で腱鞘炎を患い、休載のきっかけとなった一方で、液晶タブレットを使用するなど工夫をし、執筆を続けました。

著者
小花 美穂
出版日

過去にはさくらももこのアシスタントをしていた経験があります。デビューがなかなか決まらずあきらめかけていたときに、彼女に叱咤激励されて頑張り続けることができたというエピソードがあります。

彼女の作品の特徴は、キャラクターの個性。彼らの設定が細かく定められており、作品を読むごとにどんどん引き込まれて行きます。さらにキャラだけでなく、ストーリーのテーマも深く、軸がブレないため、大人が読んでも面白い作品に仕上がっています。

今回ご紹介する『Honey Bitter(ハニービター)』も、大人が読んでも面白い作品。恋愛中心ではなく、仕事や人間としての生き方というテーマのなかで恋愛も描かれる、大人向けの内容です。

『Honey Bitter(ハニービター)』登場人物:音川珠里

本作品の主人公。他人の心を読める能力と少しの予知能力を持っています。

もともと能力を持った子供が生まれる家系で、祖母・孫などと一代おきにその能力が出ていました。しかし珠里の母親の代で超能力者が出たのにも関わず、彼女にも出たため両親からも異端な存在として拒絶されていました。

著者
小花 美穂
出版日
2005-02-15

高校生のときに吏己と付き合っていたのですが、彼がある男に暴力をふるったことをきっかけに男性が苦手というトラウマを背負ってしまいます。

その後、陽太と惹かれ合って付き合うことに。最初は男性ということで彼にも苦手意識がありましたが、頑張って乗り越えていこうとする姿が見られます。

彼女のストーリー上の見所は、能力を使って事件を解決するというところにもありますが、トラウマを乗り越える心理描写。最終的に吏己と話し合って真実を知り、許したことをきっかけに、何年も抱えていたトラウマを克服しようとします。

その姿は、壁を乗り越えることの難しさや、それでも立ち向かう勇気を感じられるもの。そんな自分と向き合いながら、事件の解決で事務所のメンバーに貢献し、自身の生きる場所を固めていく主人公です。

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『Honey Bitter(ハニービター)』登場人物:虹原吏己

虹原 吏己は高校生のときに珠里と付き合っていて、事務所に入ってきたことで再会します。生年月日は不明ですが、珠里より学年は2つ上で、唯一心を読めない一人です。

彼もまた、壮絶な過去を背負った人物です。赤ちゃんの頃、母親が父親を殺害し逃亡。父の遺体とともに約3週間放置されていたことがあるのです。そのため感情の欠落した人間となってしまいました。

著者
小花 美穂
出版日
2005-10-14

コミュニケーションをとるのもあまりうまくありません。珠里がトラウマを抱えたきっかけの事件も、真相は当時彼女にレイプ未遂をした男子に我慢ならず手を出したというものでした。ショベルカーで首だけ出して生き埋めにしたというやりすぎ感もありますが、レイプ未遂をしたからという本当のところの理由を知らず。彼女との誤解が解けないままになってしまったのは可愛そうでもあります。

感情があまり見えない彼ですが、珠里と2人で仕事をするシーンでは、いつも彼女をフォローしています。実は冷静ながらも一途な思いも持っており、陰ながら主人公を支えているキャラです。

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『Honey Bitter(ハニービター)』登場人物:久保陽太

著者
小花 美穂
出版日
2007-06-15

久保陽太は3月13日生まれの18歳です。珠里がニューヨークで研修しているときに偶然出会い、知り合いました。ストーリー開始当時高校3年生で珠里に一目惚れ。徹底的に調査した結果、早穂の経営するマンションを特定して住んでしまうという恐ろしいほどの調査能力を持っています。

後に早穂の誘いもありオフィス・Sでアルバイトをすることになり、仕事仲間として働くように。キックボクシング、ダーツなどが得意で、現場に駆り出されることが増えていきます。

はじめは断られていましたが、粘り強くアタックしたことにより珠里とカップルになります。裏表がなく、どこまでの優しい性格で、こわばった珠里の心を少しずつ温めていきます。その癒し系キャラで読者の心も癒してくれるほんわかキャラです!

『Honey Bitter(ハニービター)』の魅力1:いろいろな要素が詰め込まれていてドキドキする作品

本作は恋愛一辺倒、ミステリー一辺倒ではない、いろいろな要素が詰め込まれているところが物語を深くしています。

まずは主人公が「心が読める」という特殊能力があること。相手の心理を読み解いて依頼人たちの悩みをを解決していきます。

しかも依頼を受ける内容もなんでも引き受ける事務所ならではで、浮気調査という軽いものから、テロリストが大暴れするハラハラの現場まで楽しめます。

著者
小花 美穂
出版日
2009-02-13

また、アクションシーンも本作の見所。男性キャラクターたちによるパワフルなキックやパンチなどの迫力のシーンももりだくさん。ギャグとシリアスというアップダウンも激しく、常にドキドキさせられます。

さらに少女漫画ならではの恋愛シーンもあります。作者らしく、大人も満足できるようなビターな詩がありになっており、読者を飽きさせることがありません。

探偵漫画、アクション漫画、恋愛漫画といろいろなタグを付けることができる内容が本作をより深いものにしているのです。

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『Honey Bitter(ハニービター)』の魅力2:珠里が自身の能力と付き合いながら成長していく

本作は主人公が自分の壁を乗り越えていく姿に勇気づけられます。

珠里は幼いころ両親からも拒絶され、さらに他人の心を読む能力が怖がられて友達もできず、ひっそりと暮らしていました。親友の松島みのりは彼女の能力を理解してくれていますが、これまでずっと寂しい思いをしてきました。

著者
小花 美穂
出版日
2010-04-15

しかしオフィス・Sで仕事を始めてからは、自身の能力を活かせるシーンも多く、徐々に自信を取り戻していきます。しかし扱う事件によってはテロリストが暴れているような壮絶な現場も多く、自分の肩にのしかかるプレッシャーに失敗したらどうしようと恐怖していることもあります。

しかし吏己に恐怖は克服するものじゃなく慣れるものと言われたことをきっかけに、腹をくくって危ない橋も渡っていくようになります。物語の終盤にいくにつれ、だんだんと笑顔になれるシーンも増え、珠里の成長に読者も勇気をもらえます。

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『Honey Bitter(ハニービター)』の魅力3:陽太に癒やされる

本作は登場人物たちの過去や取り扱う事件の影響もあり、本作はシリアスな展開になることが多い作品です。しかしそのなかでもギャグ展開や陽太のキャラが重くなりすぎない工夫となっています。

特に陽太は真っ直ぐ育ってきたキャラであることが一目でわかる人物。作中重く沈むシーンもありますが、彼の明るさや優しさによって、ストーリーのバランスがとれています。

著者
小花 美穂
出版日
2011-11-15

たとえば陽太が珠里と付き合うようになってから、途中で自分には付き合う資格がないと彼女から振られてしまったことがありました。その後ひょんなことから吏己と飲むことになるのですが、徐々に会話はヒートアップし、彼に殴られ、こう言われます。

「お前に少々むかついてたし、 
あれに最初にツバつけたのは俺だからな」 
(『Honey Bitter』11巻より引用)

それに対し、陽太も加減を忘れて殴り返してしまい、吏己は気絶してしまいます。最初は処置せず放置しようと立ち去るのですが、結局戻ってきて手当てをすることに。

腹が立っているはずなのに、ライバルにもひどいことはできない、優しい陽太らしいシーンです。

このように殺伐としそうな展開を和らげてくれる陽太の存在にも注目です。

『Honey Bitter(ハニービター)』最終回の見どころをネタバレ紹介!人について考えさせられる結末【14巻】

最終14巻は、テロ事件解決後の内容がメインです。

13巻までに、珠里は秘薬を過剰摂取し自らの能力を高めることで組織を内部から分裂させることに成功しました。しかし処刑寸前の吏己を助けようとしたところで、敵ともみ合い頭を強打してしまいます。

自分の予知のとおりに吏己が銃で撃たれるシーンを目にしたまま、意識を失い、その後珠里はずっと目を覚まさず昏睡状態に陥ってしまいました。

実は銃撃されたのは替え玉で、吏己は無事なのですが、事件が無事解決しても珠里は目を覚ましません。

著者
小花 美穂
出版日
2019-02-25

その後3ヶ月過ぎてようやく珠里は一瞬だけ目を覚ますのですが……。

最終回までの展開は、珠里の心の傷が癒されていくことが感じられる内容です。

仕事とはいえ、人を殺し、吏己のことも救えなかったと思っている珠里。しかし母親からの必死の思いや、吏己が前に進んでいる様子を見て、自分のなかで仕事に向き合う決意ができるのでした。

結末は、特に恋愛面において分かりやすい白黒つくようなオチがあるわけではありません。しかし、だからこそリアルで、このあとも彼らの生活が続いていくことを感じさせる納得感のあるラストになっています。

タイトルのとおり、最後までビターで大人なテイストの本作。男女、年齢関係なくおすすめできる作品です。

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