『赤毛のアン』の魅力とは。あらすじや登場人物、名言などから読み解く

更新:2021.11.20

子どもから大人まで、世界中で幅広い世代の人々に愛されている名作『赤毛のアン』。この記事では、あらすじや登場人物、名言、続編などの関連本を紹介し、アンの世界の魅力に迫っていきます。

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『赤毛のアン』とは。時代背景や舞台、作者のモンゴメリなどを紹介

 

カナダ出身の作家L・M・モンゴメリが1908年に発表した『赤毛のアン』。カナダの東海岸に浮かぶプリンス・エドワード島を舞台に、自給自足の生活をしながらアンという少女が生き、成長していく様子が描かれています。

作者のモンゴメリは、幼い頃に母親を亡くし、厳しい祖父母に育てられました。プリンス・エドワード島で暮らした自身の幼い頃の姿や、孤独な思い出がアンに投影されているのが特徴です。

モンゴメリは幼い頃から勉強熱心な性格で、文才にも恵まれていたそう。15歳の頃に書いた詩やエッセイが新聞に掲載され、作家を志すようになりました。その後、郵便局や新聞社などで働きながら短編小説を執筆。『赤毛のアン』は、彼女が30歳を過ぎて執筆した初めての長編小説です。

書き上げた当時は出版社にその魅力が理解されず、お蔵入りになりかけていたそう。しかし年月を経てモンゴメリ自身が再び交渉をしたところ、ようやく本にするという夢が叶いました。

著者
ルーシー・モード・モンゴメリ
出版日
2008-02-26

『赤毛のアン』の主な登場人物を紹介

 

では『赤毛のアン』で活躍する主な登場人物を紹介していきます。

アン・シャーリー

『赤毛のアン』の主人公。赤い髪の毛をした女の子です。両親を病気で亡くし、孤児院で暮らしていたところをカスバート兄妹に引き取られました。そばかすだらけの肌や赤毛に劣等感を抱いていますが、おしゃべりが好きでロマンチック、明るい性格をしています。

マリラ・カスバート

アンを引き取り育てることになった、厳格な女性です。頑固でなかなか笑わない現実主義者という、アンとは真逆の性格をしています。当初はぶつかることもありましたが、いざという時にはアンのことを守ってくれる優しくてまっすぐな人だといえるでしょう。

マシュー・カスバート

マリラ・カスバートの兄で、彼女と一緒にアンを引き取り育てます。内気で、生まれつき心臓が強くありません。女性に対しては基本的に心を開かず、精神的に少し不安定なところがあります。

ギルバート・ブライス

アンと同じクラスの、3つ年上の男の子。アンの赤毛をからかったことから不仲になりますが、本当は優しい性格。物語の重要な鍵を握る人物です。

『赤毛のアン』のあらすじと魅力をわかりやすく解説

 

両親を亡くして孤児院に預けられたアンは、さまざまな人に引き取りを拒否され、不遇の幼少期を過ごしました。11歳の時に、プリンス・エドワード島のカスバート兄妹に引き取られることがようやく決まったものの、彼らが望んでいたのは男の子。一時は孤児院に送り返されそうにもなりましたが、アンの明るい性格と楽しいおしゃべりによって兄妹の心が動き、無事に一緒に暮らすことになります。

アンはやがて地元の学校に通うようになり、同い年のダイアナという親友もできました。自身の赤毛をからかったギルバートの頭に石盤を打ち落とすなど騒動もたくさん起こし、決して「いいこ」とはいえませんが、相手ときちんと心を通わせることができるため、周囲の人から愛されます。

成績も優秀で、教員免許を取得。その過程で養父であるマシューが亡くなるなど悲しい出来事もありますが、長らく不仲だったギルバートとも和解をし、無事に教師になることができました。

作品全体をとおして、10代という思春期のアンの成長と、彼女の人柄がもたらす人との繋がりが描かれています。作者であるモンゴメリ自身の性格や生活も投影した、リアルな描写はもちろん、シェイクスピアをはじめとする詩の引用も多数されていて、文学好きの心にも刺さる物語です。

『赤毛のアン』の続編『アンの青春』のあらすじと魅力を紹介!

著者
ルーシー・モード・モンゴメリ
出版日
2008-02-26

 

『アンの青春』では、前作『赤毛のアン』の終盤で教師になることができた、アンのその後が描かれています。

アンは教師として日々奮闘するかたわら、マリアとともに双子の孤児を引き取り、育てることに。母親の立場としても経験を積んでいきます。

マシューが亡くなってひとりになってしまったマリアを支え、教師として、母親として、明るく温かい人柄で周りの人を巻き込みながら生きていく姿に、問題ばかり起こしていた少女時代からの成長を強く感じられるでしょう。また女性として、強く、美しくなっていく姿も見どころです。

さらに、本作から登場するキャラクターたちにも注目。とりわけアンとマリラが引き取った双子は、男の子が問題ばかり起こすいたずらっ子、女の子が聞き分けのよい大人びた子という対照的な2人です。どちらもかわいらしくて、読者もアンと一緒に彼らを愛おしい気持ちで見てしまうでしょう。

『赤毛のアン』を読み解くおすすめの本

著者
奥田 実紀
出版日
2013-03-22

 

作者の奥田実紀は、実際にプリンス・エドワード島で暮らした経験がある人物。本書は、『赤毛のアン』の世界観をより詳しく読み解くための作品です。執筆当時の時代背景や、料理、衣服、建物の様子が、写真やイラストで掲載されています。

電気やガスがないなかで工夫をこらしながら生活をしていたこと、自給自足をしていたこと、家事や移動など現代では簡単にできることにも膨大な時間がかかっていたことなどを、リアリティをもって知ることができるでしょう。

『赤毛のアン』を読んでから本書を読み、細部に思いを馳せるのもよいですし、本書を読んで事前知識をつけてから本編を読むのもおすすめです。

『赤毛のアン』には名言もたくさん!

著者
鈴木 義治
出版日
2014-09-26

 

「この世の中にこんなに好きなものがたくさんあるって、すてきじゃない?」
「朝はどんな朝でもよかないこと?その日にどんなことが起こるかわからないんですものね。想像の余地があるからいいわ」
「こんな日に生きていられてよかったと思わない?まだ生まれていなくて今日という日を知らない人って気の毒ね」

『赤毛のアン』は、作中に数多くの名言が登場することでも知られています。本書は、村岡花子が翻訳した『赤毛のアン』とその続編のなかで、キャラクターたちが放ったセリフを掲載し、英語の原文も添えた作品。小さいことや失敗などにとらわれすぎず、自分の人生を楽しむべきだという前向きなメッセージを受け取ることができるでしょう。

イラストもかわいらしく、『赤毛のアン』の世界観をいつでも存分に楽しめる一冊です。

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