異形の敵たちが日常を壊していく……。そんなストーリーを聞くと悪の改造人間と日本の警察や、ヒーローなどが活躍しそうと思われるかもしれませんが、本作はヒーロー不在のカオスな状況が続いていく様子に引き込まれる、一風変わったヒーロー漫画です。 この記事では本作の見所を2巻までご紹介。スマホアプリで無料で読むこともできます。
物語は2018年、高校生の神条恒彦が事件に巻き込まれるところから始まります。ごくごく普通の彼は、ごくごく普通の生活を送っていました。ヘルトピア事件が起こるまでは。
それは、突然街に現れたかぎづめを付けた怪人が人々を襲った出来事のこと。怪人は部下である戦闘員も引き連れていて、組織化していることが伺えます。さらにその後も路線バスの乗客が消失したり、大量の死体が発見されたりと物騒な事件が起こりました。恒彦はそのうちのひとつであるバス事件に巻き込まれて……。
果たして、恒彦は助かるのでしょうか?そして悪の組織はいったい何をもくろんでいるのでしょうか?
- 著者
- 黒田高祥
- 出版日
- 2019-03-20
本作はヒーロー不在の現代を象徴するようなカオスな状況からストーリーが始まります。
恒彦はごくごく普通の高校生でした。ところがある日、学校帰りのバスで、フードを被った怪しい乗客と出くわします。その乗客はクモの怪物で、異様な見た目をしていました。そして口からガスを吹き出して、乗客の意識を奪うのでした。
その後、目が覚めると、恒彦は手術台に乗せられていました。まわりには白衣を着た医者のような人がたくさんいます。「まるで仮面ファイターの本条武の改造シーンみたいだ」と思い、彼はまた意識をなくしてしまいます。
それから意識を取り戻すと、事件当日から7日が経っていました。そのまま病院のような建物を徘徊するのですが、そこは死体や死にかけている人など、地獄のような惨状でした。さらに再びクモの怪物に襲われて……。
敵の正体、手術台の乗せられていたことなど、謎の多い展開から始まる本作。不穏ながらも引き込まれる物語のスタートです。
本作は、読者の不安をあおるように恐ろしい怪物たちが次々と登場します。
クモの怪物やコウモリの怪物などたくさんの異形たちが登場し、まがまがしい姿で、人間を襲ってきます。どれも迫力があって恐ろしいです。しかしまったく人間と異なるかというとそういうこともなく、言葉を発したり、考えたりする様子も見られます。見た目だけでなく、頭の良さからも恐怖心を感じさせられる存在です。
それもそのはず、彼らの生い立ちにはある秘密があったのです……。
恐ろしい造形の怪物が、コマいっぱいに大きく描かれており、緊迫する展開と恐ろしい描写にまるで自身が襲われているかのような臨場感を感じます。
2巻からは新しいキャラが登場します。彼女はヘルトピアの一員であると名乗る、麻丘雪路。自分の体の一部だというハチを操って戦う人物です。
ヘルトピアから恒彦の監視を命じられたと語り、彼が何もしなければ監視するに値しない人物だとみなされ、平和に過ごすことができるだろうと助言してきました。
- 著者
- 黒田高祥
- 出版日
- 2019-05-20
そんななか、ショッピングモールで、サラセニア教団という団体がその場にいた人間を巻き込み、立てこもりを図ります。そこには雪路がおり、彼女と米軍テロリストの戦いがくり広げられます。
恒彦は恐怖の感情が欠落し、驚異的な身体能力が開花するなど変化が起こり始めていました。何もしなければ日常を送れると言われますが、いやおうなく戦いに巻き込まれていき……。
悪の改造人間と戦う漫画は、これまでにもたくさん多く掲載されてきましたが、本作品はもともとなんの特殊能力を持たない主人公が、改造手術を得て敵に匹敵する能力で戦っていくというところが見所でもあります。
読者と変わらない一般人が勝手に改造され、事件に巻き込まれて行く様子は、もとからヒーローだった人物が主役の物語とはまた異なる魅力があります。
ただのヒーロー漫画では飽きてしまった方や変身&バトル系の漫画が好きな方には自信を持っておすすめできる作品です。