「こそあどの森」シリーズは大人にも響く名言が多数!あらすじと魅力を紹介

更新:2019.11.18

「この森でもなければ その森でもない あの森でもなければ どの森でもない」という「こそあど言葉」から名付けられた「こそあどの森」。少し風変りな住民たちはみな心が温かく穏やかです。大人も心が揺さぶられる名言も多いのが魅力的。この記事では、「こそあどの森」シリーズのなかからおすすめの作品を選び、あらすじと見どころをご紹介していきます。

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「こそあどの森」シリーズとは。対象年齢や世界観などを紹介!

 

「こそあどの森」シリーズの1巻が刊行されたのは1994年。2017年に12巻の『水の森の秘密』で完結し、その後も小学校中学年以上の子どもを中心に読み継がれています。1~3巻は「野間児童文芸賞」を受賞しました。作者は、元小学校教師で児童文学作家の岡田淳です。

物語に登場するのは、ちょっと変わった形の家に暮らす5組の風変わりな住民たち。たとえば主人公のスキッパーは「ウニマル」と呼ばれる甲板にウニをのせたような船型の家に住んでいて、読書や化石を眺めるのが好きな少年です。

また、やかんが地上から半分だけのぞいたような形の家に住むのは、ポットさんとトマトさんの夫婦。彼らはお客さんを呼ぶのが好きで、住民たちがよく集まります。

そんなこそあどの森には、時々不思議な出来事が起こります。彼らの受け止め方や考え方、解決へのプロセスなどに、共感したり刺激を受けたり……読者は遠くから森の様子を眺めているように楽しむこともできるし、時には住民たちと悩みながら読み進められるのが魅力だといえるでしょう。

「こそあどの森」シリーズ『ふしぎな木の実の料理法』のあらすじと魅力

ある日、スキッパーに1通の手紙が届きました。差出人は博物学者のバーバさんです。バーバさんとスキッパーは一緒に暮らしていますが、彼女はいつも旅に出ているので、スキッパーはひとりでいることが多いのです。

手紙と一緒に送られてきたのは、ポアポアという木の実。ところが手紙の一部が濡れてしまっていて、食べ方がわかりません。

スキッパーは周りの人とコミュニケーションをとるのが苦手で内向的な少年ですが、ポアポアの食べ方を調べるために、こそあどの森の住民たちを訪ねることにしました。
 

著者
岡田 淳
出版日
1994-12-01

 

1994年に刊行された「こそあどの森」シリーズの1巻です。

森の住民と触れ合うことで、変化をしていくスキッパーの姿が見どころ。ポアポアの実の食べ方を知りたいけれど、外に出たくないという葛藤や、住民たちに振り回されながらも諦めることなく訪ね歩く姿に注目してみてください。

こそあどの森の住民たちと接することで、世の中には自分と違う感覚をもつ人がいることを知ったスキッパー。集団のなかにいる自分を見つめることで、ひとりで過ごす時間の新しい味わいも覚えるのです。

「こそあどの森」シリーズ『まよなかの魔女の秘密』のあらすじと魅力

 

大嵐の翌朝、スキッパーは家の近くでジバシリフクロウを見つけました。しかしジバシリフクロウは、こそあどの森には生息していないはず。気になったので連れて帰ると、それは彼の想像を超える能力をもっていたのです。

そんななか、ポットさんが行方不明になったというニュースが飛び込んできました。こそあどの森の住民たちと捜索したものの、情報を得られないまま帰宅すると……。

著者
岡田 淳
出版日
1995-04-01

 

1995年に刊行された「こそあどの森」シリーズの2巻です。

「魔女じゃなくなれば、トメイトウはトメイトウじゃなくなるだろ。そうなれば、トマトさんもトマトさんじゃなくなるような気がするんだ。」(『まよなかの魔女の秘密』より引用)

スキッパーが見つけたフクロウは、なんと魔女に姿を変えられてしまったポットさんでした。彼は愛する人を信じて守るために、問題の解決に妥協はしません。ただ好きなだけじゃない、苦手な部分も含めて受け入れられる夫婦の絆をあらためて感じさせてくれる名言です。

また、スキッパーの勇気ある行動も光ります。住民たちのなかに徐々に溶け込んでいく様子や、大切な仲間を守るために勇敢な少年へと成長する様子をお楽しみください。

「こそあどの森」シリーズ『森のなかの海賊船』のあらすじと魅力

 

こそあどの森は不思議な森。実はその昔、海賊が宝物を隠していたようなのですが、住民たちは何も知らずに穏やかに暮らしていました。

ところがある時、旅人が宝物を探しにやってきて、スキッパーと住民たちは宝探しに巻き込まれていきます。

著者
岡田 淳
出版日
1995-07-01

 

1995年に刊行された「こそあどの森」シリーズの3巻です。

「けれどおれたちゃ、やめられなかったんでさ。もちろん、宝はほしい。でも、それ以上に、こいつは、おれたちの人生の宿題ってやつなんでね。」(『森の中の海賊船』より引用)

こそあどの森の住民たちは、この言葉に心を動かされ、宝の分け前よりも旅人の宿題を達成することに力を注ぎます。

最終的に彼らが見た海賊の宝物とは、大切な愛する人の最後の願いを叶えること。謎解きをするスキッパーと海賊の顛末が交互に描かれ、テンポの良さを楽しめる作品です。

「こそあどの森」シリーズ『ユメミザクラの木の下で』のあらすじと魅力

 

4巻となる本作は、前編と後編の2部構成。前編はスキッパーを中心とした子どものお話で、後編はこそあどの森に住むスミレさんを中心とした大人のお話になっています。

特におすすめなのは、後編のストーリー。森の住民が見つけた満開の桜が舞台となった、ちょっと切ない内容です。花見に出かけた大人の住民たちが、ユメミザクラの伝説を語りながら蜜酒に酔いしれていると、まるで伝説が現実になったかのように、不思議な体験をしていきます。

著者
岡田 淳
出版日
1998-12-01

 

1998年に刊行された「こそあどの森」シリーズの4巻です。

「夢って、目がさめたあとで、ああすればよかった、こうすればよかったなんて思うんだよな。もしも夢のなかでだよ、これは夢だってわかっていれば、いままでにしたことのないような、どんな冒険だってできるんだけどなあ。」(『ユメミザクラの木の下で』より引用)

これまでの人生でさまざまな「選択」をしてきた大人が読むと、より意味深く受け止めることができる名言だといえるでしょう。

巻末に見開きで描かれているイラストにもご注目。満開の桜が舞い散り、華やかにエンディングを盛り上げています。

「こそあどの森」シリーズ『水の森の秘密』のあらすじと魅力

 

こそあどの森では、地面のあらゆるところから水が湧き出していました。

湖の出口が塞がれていて、森は水没の危機に。スキッパーたちが原因を調べ始めます。

著者
岡田 淳
出版日
2017-02-01

 

2017年に刊行された「こそあどの森」シリーズの最終巻です。

ヨットを使って、湖の出口に何が詰まっているのか調べる住民たち。自分たちが生態系を脅かしたために、自然のバランスを壊してしまっていたことを知ります。共生することの大切さや、ひとつのことに偏る危険性を考えることができるでしょう。

スキッパーは、1巻で見せていたシャイな様子はすっかりなくなり、こそあどの森の住民たちと馴染んできました。自分の役割を見出し、頼もしさすら感じさせてくれます。

まだまだ続きがありそうな幕引きは余韻があり、読後もこそあどの森への想いが尽きることはないでしょう。

幻想的で、少し寂しげな雰囲気を醸し出しているこそあどの森。住民同士は心地よい距離感で結ばれ、時々ワクワクするような出来事が起こります。どこにあるのかはわからないけど、いつか行ってみたい……「こそあどの森」シリーズをぜひ読んでみてください。