山内マリコおすすめ作品ランキングベスト5!結婚?悩める女性、必読です。

更新:2021.12.14

山内マリコは、女性の心境をかわいらしくおしゃれに描き、結婚や地方都市に住む若者を描く作家です。2016年12月公開の『アズミ・ハルコは行方不明』も話題を呼んでいます。ここでは、いま注目の作家・山内マリコのおすすめ作品をランキング形式でご紹介していきます。

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映画化作品も山内マリコ

山内は1980年、富山県に生まれます。彼女が初めて小説を執筆したのは、中学生以来、小説を書きたいという気持ちはずっとあったといいます。

大学卒業後、ライターとして活動していた山内ですが、25歳で仕事を辞めて上京します。2008年「十六歳はセックスの齢」で第7回R-18文学賞・読物賞を受賞。2012年『ここは退屈迎えにきて』で念願の作家デビューを果たすと、作品は多くの人から絶賛を受け、たちまち注目されることになりました。サバービアな世界観をフレッシュな文体で描き、いまや、女性から絶大な人気を誇る作家となっています。

5位: 場所ではない、自分を変えるのは自分『パリ行ったことないの』

日々の生活に、どこか居心地の悪さを感じる10人の女性の、パリにまつわる物語を描いた短編集『パリ行ったことないの』。女性向けファッション雑誌『フィガロジャポン』で連載されていた11編の短編に加え、新たに書き下ろされた1編をまとめた作品になっています。

著者
山内マリコ
出版日
2014-11-27


失恋したばかりのアラサー女性。周りの女子に馴染めず、絵ばかり描く女子高生。わがままな夫を持つ、結婚35年目の主婦。本作に登場する主人公たちは、年代もタイプもばらばらの女性たちですが、皆日々の生活に鬱々とした生きづらさを感じています。自分は、いるべき場所を間違えているのではないか。どこか別のところに、自分の居場所があるのではないか、と悩む女性たち。彼女たちはある時ふと、パリへの憧れを抱くようになります。

どこにでもいるような、普通の女性たちの姿がリアルに描かれ、彼女たちが抱える悩みや不満に、共感を感じられる方も多いことでしょう。おしゃれなイメージだけがあるパリですが、実際には日本と同じように良いところも悪いところもあり、場所が変わっただけでは、人生はなにも変わらないということを教えてくれています。

大事なのは自分が変わることだと気付かせてくれ、登場人物たちが踏み出す新たな一歩には勇気をもらえる素敵な作品です。

4位: 山内マリコの傑作。地方都市の若者のモヤモヤ感が絶妙。

2016年に蒼井優主演で映画化され、話題になっている注目作『アズミ・ハルコは行方不明』。ある地方都市を舞台に、行方不明となった安曇春子を巡る物語が展開していきます。

愛菜とユキオは中学時代の同級生です。成人式で再開した2人は、その後なんとなく体の関係を持ち、付き合うようになります。後に、同じく中学の同級生だった学とも再開し、ユキオと学はあることがきっかけで意気投合。2人はグラフィックアートを描くことに夢中になります。

著者
山内 マリコ
出版日
2015-10-22


そんなある日、ユキオが行方不明者を探すポスターを見つけてきました。ポスターに載っている女性・安曇春子の写真に引きつけられた2人は、そのポスターの写真をもとにグラフィックアートを仕上げ、それを町のあちこちに拡散して回るようになります。

失踪した主人公・安曇春子。彼女はいったいどんな女性で、なぜ姿を消したのか。物語は、安曇春子の失踪前の生活や、少女ギャング団を結成する謎の女子高生たちの登場で、それぞれのストーリーが複雑に絡み合っていきます。先が気になり、どんどん読み進めてしまうでしょう。

10代、20代の若者たちの姿がリアルに描かれているため、それぞれの世代に、共感できる部分が見つかりそうです。地方都市に住む若者のモヤモヤとした感情や、男性の言動に傷つきイライラする春子の姿など、1つ1つの描写が巧みに表現されていて、物語に引きつけられます。地方出身の方なら、思わず「そうそう」と頷いてしまうような、町の様子や若者たちの心理が新鮮な文体で綴られた傑作です。

3位: 山内マリコによる、結婚がテーマの痛快物語

男と女の感覚の違いをコメディタッチに描き、面白おかしい世界観を見せながらも、どこか考えさせられる痛快短編集です『かわいい結婚』。表題作「かわいい結婚」をはじめとした、3編の物語が収録されていて、地方都市における「結婚」について焦点が当てられています。

著者
山内 マリコ
出版日
2015-04-10


『かわいい結婚』の主人公・ひかりは、29歳で結婚したことをきっかけに、仕事を辞め、専業主婦となります。これまでの人生で、家事などまったくしてこなかったひかりは、そこで初めてなにもできない自分に気がつきます。しかしあることをきっかけに、家事の仕方を勉強する機会を得たひかりは、どんどん家事を身につけていき、そこでふと思ってしまうのです。「この日々が一生続くのだ」と……。

その他、主人公の男が、ある朝目覚めると女に変わっていた『悪夢じゃなかった?』。2人の女が男を取り合うことになる『お嬢さんたち気をつけて』。この3つの結婚についての物語が、コミカルに綴られています。

男と女とでは、見ている世界や思考がまったく違うのかもしれませんね。そのため男女がわかり合うというのは、なかなか難しいものです。それでも、お互いがどうにか折り合いをつけ幸せになる努力をしていくのが、結婚というものかもしれないと考えさせられます。

ユーモアに溢れ、時折心にグサリとささる文章が印象的な、女性におすすめの作品です。

2位: さみしいときに読みたい短編集

11編のショートストーリーが収録される『さみしくなったら名前を呼んで』は、地方に住む女性や、地方から都会へ上京した女性を主人公に、葛藤しながら、悩みながら前へ進んでいく女性の心情を鮮やか且つ繊細に綴った短編集です。

都会に上京し、理想の生活を送っていても、どこか自信が持てない「ケイコは都会の女」。祖母とのかわいらしいごっこ遊びを思い起こす「昔の話を聴かせてよ」。周りに馴染めずにいる「孤高のギャル小松さん」。地方出身という後ろめたさを感じている女性や、現状に不満を抱き、都会に憧れる女の子たちが続々と登場します。

著者
山内 マリコ
出版日
2014-09-18


「遊びの時間はすぐ終わる」の主人公・「私」は、高校卒業後、地元から逃げるように東京へと上京しますが、まともな職にはなかなかつけないでいます。一方、親友だった加賀美は、高校の同級生と結婚。子供もでき、地元での生活を送っています。加賀美と再会し、東京が羨ましいと言いながらも、ゆったりと幸せそうな彼女の姿を見て、「私」の心情は揺れ動きます。

自分は特別な存在、なんでもできると思えるエネルギーがある10代。時がたち大人になり、それがただの若さだったことに気付いたとき、自分と真剣に向き合い、未完成なままの自分を認め、前を向く女性たちの姿に勇気をもらえることでしょう。

地方出身の方だったら、共感できる描写で溢れています。ふと疲れ、さみしくなったときには、この作品を開いてみてはいかがでしょうか。

1位: 山内マリコ、デビュー作

山内の原点ともいえる『ここは退屈迎えに来て』は、R-18文学賞・読物賞受賞作「16歳はセックスの齢」を含む8編の物語が収録された連作短編集です。閉鎖的な地方での暮らしに悶々としている若者たちの姿を斬新な表現力で描き、高い評価を受けました。

著者
山内 マリコ
出版日
2014-04-10


ある地方都市を舞台に物語は綴られていきますが、作品を通して「椎名くん」という男性が登場してきます。学生時代はスポーツ万能で、みんなからの憧れの的だった椎名くんは結婚して子どももいる、ごくごく普通の30歳の男性へと成長していきます。時代を遡りながら、様々な女性たちを主人公に描く物語の中に、椎名くんは度々現れ、読み進めるうちに、かつての人気者がどのような人生を歩んで今にいたるのか知ることになります。

いつも送り迎えをしてくれるからという理由で、好きでもない男と付き合う女性の憂鬱を描く「君がどこにも行けないのは車持ってないから」、頭の禿げた年上男性と体の関係を持つ女子高生の心情を綴る「ローファー娘は体なんか売らない」、16歳になったら処女を捨てたいと考える女の子を主人公に、若者のセックス事情を赤裸々に描く「十六歳はセックスの齢」など、狭い世界でもがく女性たちの姿には哀愁のようなものが漂います。

田舎の町には行くところもなく、なにをしていいのかもわからず、若さを持て余している男女がたくさんいることでしょう。切なさの滲んだ、若者たちの行き詰まった感情を言葉巧みに表現し、読みやすくリアリティを感じられる点がとても魅力的です。女性はもちろん、男性でも楽しく読めると思います。山内マリコという作家に興味のある方には、ぜひ1番に読んでもらいたい作品です。

山内マリコのおすすめ作品をご紹介しました。タイトルのつけ方が秀逸で、表紙もおしゃれなので、部屋に置いておきたくなる作品ばかりです。読みやすい文体は、普段本を読まないという方にもおすすめです。

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