スパイとして暗躍するロイドの次なるミッションは、標的に近づくために「結婚して子どもをつくること」!しかし、任務で家族となった子どもと女性には、それぞれ秘密があって……? 世界の平和がかかった緊迫感と、仮初めの家族から滲み出るほっこり感がたまらない、痛快コメディ漫画の魅力をご紹介します。
スパイファミリーがアニメ化することが、2021年11月1日に発表されました。『2020年マンガ大賞』『2021年マンガ大賞』や『みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2020年』など、数々の賞レースで高評価を受けてきたスパイファミリーが満を辞してアニメ化ということで、SNSを中心に話題になっています。
制作は『進撃の巨人』シリーズのWIT STUDIOと『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』のCloverWorksということで、クオリティの高さは心配ありませんね。
主人公のロイド・フォージャー役は江口拓也さん。PVも公開されています。
主人公は、これまでに数々の任務をこなしてきた西国(ウェスタリス)のスパイ。ロイド・フォージャーという新たな名前とともに与えられた任務は、なんと「結婚して子どもを作ること」でした。
その真の目的は、東国(オスタニア)の要人に接近し、動向をさぐること。標的の息子が通う名門校に潜入するため、自分の子どもを入学させるという作戦です。
しかし、娘となったアーニャは実は超能力者で、妻のヨルも殺し屋という秘密の稼業を営んでいます。お互いの正体を隠しながら、3人は仮初めの家族として暮らし始めるのですが……。
家族のあたたかい時間にほっこりできる一方で、それぞれが秘密を抱えているために生じる絶妙なデコボコ感がクセになる作品です。
本作は「次にくるマンガ大賞2019」でWEBマンガ部門第1位に選ばれました。また、「このマンガがすごい!2020」でもオトコ編の1位に輝いており、今後もさらに注目が集まる作品となるでしょう。
本作の登場人物たちは、スパイに殺し屋、そして超能力者という個性的な秘密と魅力を持っています。
ロイドは東国に潜入している西国のスパイ。はじめは、自分一人で任務に臨みたいと考えていましたが、「娘」となるアーニャと出会ったことで変化が生じます。冷静に任務にあたりながらも、だんだんと父親らしくなっていく様子に注目したいキャラです。
妻となるヨルは表向きは市役所の職員ですが、実は殺し屋として要人の暗殺などをおこなっています。その仕事のせいか、どこか世間一般の常識とはズレていて、日常では天然ボケな一面を見せることも。
殺し屋としての正体は隠しながらも、咄嗟に高い身体能力を披露してしまうことも。ヨルの可愛らしさと正体の物騒さが同時に表れていてコミカルな面白さがあります。
孤児院からロイドに引き取られた娘・アーニャは超能力者。テレパシーで人の心を読むことができます。超能力を隠しながらも、周りの人たちの心を読んで巧みに立ち回ろうとし、もともとドジっ子ではあるものの、要所要所でポイントを押さえて行動できるキャラです。
ロイドとヨルが接近できたのも、アーニャが2人の心を読んで会話のきっかけを作り出したから。両親が気づかぬ間に、2人を助けるファインプレーを連発するので、読者から見ても頼もしい存在です。
一方で、まだまだ幼い年齢相応の無邪気さや単純さが可愛らしいくもあります。その愛らしさは、見ているだけで癒されてしまいます。
社会的な体裁を保つという利害の一致から結婚したロイドとヨル。しかし、ロイドはヨルが実は殺し屋であることを知りませんし、ヨルもロイドがスパイであることを知りません。
ヨルの暗殺業は、西国に協力的な「売国奴」が標的になることが多いようです。西国のスパイであるロイドとは敵対する関係。だからこそ、お互いが正体を知らないまま結婚し、家庭を築いている2人の関係が面白く感じられます。
- 著者
- 遠藤 達哉
- 出版日
- 2019-07-04
本来ならば敵対する立場であるはずなのに、まるで本物の夫婦のような良好な関係を築いていく2人。その様子は、単なる微笑ましさだけでは終わらない滑稽さが感じられるでしょう。
ロイドが任務を遂行していく過程で、いつかお互いの秘密が明らかになることはあるのでしょうか?ドキドキをはらんだ家族の関係が今後どうなっていくのかも目が離せないポイントです。
スパイと殺し屋が登場するだけあり、本作はアクションシーンも見ごたえたっぷりです。
ロイドは華麗な体術を駆使して次々と敵を倒していきます。大勢の敵を一人で制圧してしまうところなどは圧巻です。
たとえば窃盗団から盗品を奪い返す任務では、爆発やカーアクションがあり、画面の派手さを楽しむこともできるでしょう。ヨルと一緒にいるときに残党に追われ、ロイドが苦しい嘘で誤魔化すなど、コミカルさもありつつ、その後の2人の息ぴったりでド派手な展開が爽快です。
また、任務とは関係ない日常でも、引ったくり犯を捕まえに飛び出すなど、アクロバティックなシーンが頻繁に登場します。2人の身のこなしの迫力と華麗さを堪能できることでしょう。
「子はかすがい」という言葉がありますが、アーニャの受験を通じて、3人に本当の家族のような絆が生まれていくところも見所です。
親子3人で臨む面接試験では、横柄な態度の面接官にヨルを貶され、ロイドは苛立ちを感じます。しかしあらためて自分たち家族が仮初めであることを思い直し、冷静さを保とうとしました。しかし、実の母親に関する質問をされて、アーニャがとうとう泣き出してしまいます。
その涙を見て、ロイドは思わず面接官に殴りかかろうとしてしまうのです。
彼はたびたびアーニャに対して「任務が終わったら孤児院に戻す」「本当の親子ではない」と、自分に言い聞かせるように考えています。しかし、いざ彼女を傷つけられると思わず冷静さを欠いてしまうのです。まるで本当の父親のように彼女に対して情が湧いてきていることが感じられます。
また、ヨルもアーニャから「はは」と呼ばれることに喜ぶような表情を見せることも。アーニャが誘拐されそうになったときは、怒涛の剣幕で誘拐犯に迫り、母親として立派に娘を守る勇姿を見ることができます。
もともと3人は任務や自分の利益のために集まった家族です。しかし本当の家族と変わらない絆が生まれつつあるところには、思わず胸があたたかくなってしまうことでしょう。
無事に入学試験を突破したアーニャ。ロイドの工作もあり、任務の標的・デズモンドの息子であるダミアンと同じクラスになります。
ロイドの計画ではアーニャがダミアンと仲良くなり、家に招待される機会を待つという算段でした。しかし、アーニャは初日からダミアンのいけ好かない態度に苛立ち、終いにはヨル直伝のパンチを食らわせてしまいます。
我慢の限界を迎えたアーニャが真顔でパンチを繰り出すシーンは、前後のシーンとの緩急も相まって迫力の強さに思わず笑ってしまうかもしれません。
初っ端からの計画頓挫に落ち込むロイドとアーニャ。どうにかダミアンとの関係を改善しようと、まずは仲直りを試みるのですが……。
- 著者
- 遠藤 達哉
- 出版日
- 2019-10-04
典型的ないじわる男子のダミアンですが、仲直り作戦の結果、彼には心境の変化が生じているようです。幼い男子の素直になれない意地っ張りな様子は可愛らしくもあり、今後のアーニャとの関係はラブコメ展開も期待でき、気になってしまうでしょう。
ロイドは任務を成功させることはできるのか、そしてその時、仮初めの家族はどうなっていくのか……予想がつかない今後の展開から目が離せません。
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