マンガ

おげれつたなかの作品がちっともお下劣じゃない件

更新:2020.12.2 作成:2016.12.9

「一度見たら忘れないペンネーム選世界手権」があったら、間違いなくメダル候補。しかし、その作品は、「一度読んだら忘れられない名作世界選手権」の金メダルどころか殿堂入りのお話ばかりです。 「気になっていたけど、まだ読んだことないなぁ」という方が果たしているのか微妙なくらい大変な人気ですが、改めてその魅力をご紹介します。

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お得すぎ 属性違い3カップル分の話が楽しめる『恋とはバカであることだ』

著者
おげれつ たなか
出版日
2014-06-10
ワンコ系リア充大学生×童貞処女美人ギャルソン(32)の年の差ラブ、いじめっ子高校生×根暗高校生の幼なじみラブ、嘘が嫌いな男子高生×美人男子高生のすれちがいラブ……と、3つのカップル話が入った豪華なオムニバスラブストーリー。おげれつたなか先生の初コミックスです。

キャラクターが感情を吐露しながら泣くシーンは、相手のことが好きだからこその泣きであるのがぐっと伝わってきて、読んでるこちらまで胸が詰まってしまいます。

ガチDVとピュアラブ 相反するものが混ざる傑作『錆びた夜でも恋は囁く』

著者
おげれつ たなか
出版日
2015-03-30
恋とはするものではなく落ちるもの、という名句を思い出す本作。フリーターの弓には、高校時代から付き合っている恋人のかんちゃんがいる。かんちゃんは仕事をし始めてから、殴るようになった。でも、それでもいいと思っていた。でも中学の同級生・真山に会ってから心が変化し始めて……。

今彼のガチDV(鼻血どころじゃない)と真山のピュアエピソード(メールアドレスと電話番号を教えてくれ)がミルフィーユ状態で、読み飽きる暇なし、ページをめくる手が止まりません。ひたすら甘いだけのラブストーリーに飽きた方に。とはいえ苦いものがあるからこそ甘さが倍増するわけで、読後はこれ以上なく幸せいっぱいです。一気読み!

ときめく泣き顔セレクション『恋愛ルビの正しいふりかた』

著者
おげれつ たなか
出版日
2015-04-30
中編が2編収録されています。表題作は浄化系復讐劇の決定版。

昔は陰キャ眼鏡、今はイケメン美容師の鈴木。ある日、高校時代の黒歴史の元・夏生と再会。しかし夏生は鈴木を同級生だった陰キャ・鈴木と認識しておらず、好きだと告白。鈴木は、過去の恨みをはらすため、付き合って惚れさせてズタボロに捨てようと心に決める。

攻めの鈴木の陰キャっぷり+確変後のイケメンぷりと、ヤンキーアホの子受けの夏生の無邪気なかわいさ(「やっべ〜〜〜〜〜ちゅーしちゃった 死にそう」とかいうピュアぶり)にノックアウト間違いなし。双方泣き顔が複数回出てくるのですが、全部意味の違う泣き顔なんですよね……。涙が流れるごとに共に読者の心も洗われていきます。

そしてもう一作、夏生の高校時代の友人でもあり『錆びた夜でも恋は囁く』のDV野郎・かんちゃんでもある林田が主人公の「ほどける怪物」も収録。会社の後輩・秀那(しゅうな)と酔った勢いでセフレになる、いわゆる体から始まる関係ですが、ぱっと見チャラ男の秀那が誠実に林田に向き合い、閉じられていた心が少しずつほだされていく純愛ストーリーです(寝てるけどな!)。林田のDVの理由も描かれていますので、『錆びた夜でも恋は囁く』と併せて読むと更に楽しめます。

タイプの違う大学生の心のやり取りが尊い『エスケープジャーニー』

著者
おげれつ たなか
出版日
2015-10-10
コミュ力低めの攻め・太一と、コミュ力カンスト(大学の入学式中で友達ができる)受け・直人のじれじれラブストーリー。

高校時代付き合ってたけど、すれ違って最悪の別れ方をした2人。しかし大学で再会しーーー。と書くとカンストが押せ押せなのかと思いきや、どっこい逆です。太一が必死に追いかけていきます。コミュ力低めなのに……無理すんな……と思うほど不器用で、それが超いじらしい。高校時代理系クラスの攻めは英語が苦手で入学後にノートを借り「なんで文系にきたの?」と質問されているのですが、直人が文系私大希望だったから追いかけるために文転したからだとか!人生掛け過ぎだろ!!

ちょっと間違うとストーカーですが、一途に好き、だけど表現が上手くできなくて、もだもだする様がもどかしくもときめきます。2016年現在は2巻まで発売中。順風満帆かと思われた2人の今後に新たな暗雲が。続きが楽しみです。

二度見どころじゃない『ヤリチン☆ビッチ部』

著者
おげれつ たなか
出版日
2016-03-24
バイブローターマシマシシルダクあえぎ声多めで!!圧倒的なエロシーンで満腹間違いなし。タイトル力53万、ペンネームと合わせてスーパーサイヤ人的な戦闘力に読者はひれ伏すしかなかった。

山奥の全寮制男子校に転入した遠野が入部した写真部は実は「ヤリチンビッチ部」で……。

学園ものなのに、タイトルそのまま、いたるところでやりまくりです。更に背景がしっかり学校なので、日常感がぬぐいきれなくて、読むだけで背徳感もついてくる。学んで生きると書いて学生ですが、彼らは何を学んでるんでしょうか。ナニでしょうか。とにかくお得な一冊。

ただ、AVみたいにひたすら腰の運動大会をしているだけではなく、恋心もしっかり描かれています。キュンエロキュンキュンエロエロキュン、心臓への負荷がすごい。おいしい食べ物ほどハイカロリーで健康を損ないがちなように、いい物語も健康を損なうのかもしれません。AEDの位置を確かめてからお読みください。

受けが女性的な見た目に描かれるBLもある中、おげれつたなか先生の描く男性は、攻めも受けもどちらも男性的。しかも圧倒的にその年代らしいリアルさとかっこよさがあります。ほんとうにそのあたりにいるんじゃないでしょうか。というか、今、通学中のあの学生も、出勤中のサラリーマンも、もしかしたらBLなんじゃないか……?