テレビ局に勤める人気若手アナウンサー国江田計と、アニメーション作家・都築潮の恋愛模様を描く、大人気BL小説が、「イエスかノーか半分か」です。 二重人格の計がほかには見せない裏の顔を、潮だけには見せたことがきっかけで始まるストーリー。反発しながらも向き合い、徐々に惹かれていく様子が愛おしい作品です。 また、テレビ業界の独特のネタなど、仕事の要素も見どころ。毒舌ながらも、真摯に仕事と向き合う計の姿が印象的です。 今回は、恋も仕事も見どころ満載な「イエスかノーか半分か」シリーズの魅力を紹介します。アニメ化企画が進行中で話題になっているので、お見逃しなく!
「イエスかノーか半分か」はテレビ局を舞台に、若手アナウンサーの国江田計(受)とアニメーション作家の都築潮(攻)の恋愛を描いた人気シリーズです。過去に「このBLがやばい!」の小説部門で2016年に1位、2017年に2位を受賞しています。
人気のカギは、国江田計のキャラクター!
表向きは王子様キャラなのに、実は毒舌家。笑顔で返す心の中で、かなりの悪態をつくのですが、その内容がかなり過激で面白いのです!
しかしそれだけでなく、アナウンサーという仕事に真摯に向き合う、ひたむきな一面も。このようにいくつものギャップがあり、萌え要素となっているのです。
そんな彼を優しく包み込んでくれるのが都築潮。計と反発しながらも、徐々に距離を縮めていきます。包容力満載の攻め×二重人格ツンデレ受けの2人がどんどん距離を縮めていく様子にドキドキが止まりません。
ちなみに「イエスかノーか半分か」というタイトルには、計のツンデレな部分が盛り込まれています。
計は、表と裏の顔半分ずつで、あわせてひとりの人間です。好きという気持ちも素直に表せる時もあれば、やっぱりツンツンしてしまうことも。ツンデレならではの可愛さは、原作ならではの悶えてしまう要素。アニメ化もされますが、やはり原作でこの魅力を味わってほしいのです。
これ以降は、そんな本作の魅力をさらに詳しくご紹介していきます!
夕方のニュース番組を担当している人気若手アナウンサーの国江田計は、爽やかで整った容姿と真面目な仕事ぶりから「王子」と呼ばれています。
しかし、彼にはある秘密がありました。
それは仕事場での真面目な王子様キャラからは想像できない、裏の顔があるということ。
オフモードの彼は、かなりの毒舌家。しかも家に帰ればヨレヨレのジャージで、だらしのない生活を送っているのです。もちろんこの姿は、家族以外には絶対に秘密。
そんなある日、オフモードの計は赤信号を渡り、自転車に乗っていた相手をケガさせてしまいます。その相手は、取材で知り合ったアニメーション作家の都築潮。幸いにも彼は、目の前にいるのが計だとは気づいていません。
そのまま気づかれぬよう、計は偽名を名乗って、ケガをした潮の仕事を手伝うことになるのですが……。
ここからは、まずそれぞれのキャラの魅力を語らせていただきます。
まずは攻め。27歳のアニメーション作家、都築潮(つづき うしお)です。アニメの世界ではいくつか賞を受賞している、注目作家です。彼は何といっても、包容力が魅力。出会いのエピソードからもそれが感じられます。
ある日、偶然仕事先で知り合った国江田計と再会。初めは誰かは気づかず、「オワリ」と名乗った計に、仕事を手伝ってもらっていました。
しかしふと、彼がアナウンサーの国江田計だと、気づきます。それはアナウンサー特有の鼻濁音が手がかりでした。発声が計と同じだと気づき、2人が同一人物だと確信したのです。
普通ならそこで大体の人は幻滅しますよね?キラキラしていたアナウンサーが何だか小汚い人物だったなんて。
でもそうじゃないのが潮。彼は王子様キャラの計も毒舌な計も、どちらも好きになります。むしろ、自分の前でだけ素の姿を見せてくれる彼が可愛いし、嬉しいとまで思うのです。
しかもその理由は見た目は関係なく、仕事に一生懸命向き合おうとしている計の姿こそ、彼の魅力だと知っていたから。だから計に口悪いことを言われても、優しく受け止めることができるのでしょう。本質を見抜く、器の大きさが感じられます。
そんなすべてを包み込んでくれる潮だから、計も素のままでいられるのです。計が彼を「心のよりどころ」にしている様子からも、彼の人としての大きさが感じられます。
受けのよいところも悪いところも、すべてを受け止めてくれる攻め。まさに理想の攻めキャラですね。
- 著者
- 一穂 ミチ
- 出版日
- 2014-11-08
続いては、受けの人気若手アナウンサーの国江田計(くにえだ けい)、27歳。ハイスぺがツンデレを引き立てる可愛らしいキャラです。
もともと仕事への真面目な姿勢と爽やかな容姿から「王子」と呼ばれている彼には、ある秘密がありました。
それは、マスクに伊達メガネ、ヨレヨレのジャージを着てだらしのない生活を送っている、ということ。
さらに表向きは笑顔で受け答えしつつ、返しざま心の中で毒舌をはくこと。口癖は「愚民め」です。
そんな計ですが、そうなってしまったのには理由がありました。もともと何でも器用にこなしてしまうため、周囲の期待に応えるうちに今の完璧な姿を演じるようになったのです。
しかし常にその状態を維持するのは、精神的に辛いもの。そのストレスから毒舌になっているのもあるでしょう。そこでその辛さを和らげるためにオンとオフを切り替えるようになったのです。
当初、オフモードの姿を見られて、偽名のまま潮と一緒に過ごすようになった計は、やっかいなことになったと思っていました。しかし彼との時間が楽で大切なものだと気づきます。
そしてその時間から、徐々に繊細で臆病な本当の計の性格が見えてくるのです。それを知ってから見る表の顔や毒舌は、弱さに負けないよう、精一杯頑張っている姿に見えてきます。誰しもその場によって多少自分を変えることがあるでしょう。だからこそ、彼の姿に共感できるのです。
また、素のままで過ごせる潮という「心のよりどころ」を見つけた計のデレシーンはかなり必見。普段は毒舌で態度も悪いからこそ、可愛らしすぎて悶えてしまいます。
本作の序盤は、テレビ局を舞台にした、お仕事BL小説。アナウンサーの計が仕事への向き合い方に悩み、それを潮が優しく支え、2人の絆が強まっていくストーリーです。先ほどご紹介したそれぞれのキャラの魅力から想像できる、王道な展開ともいえるかもしれません。
本当の姿は繊細で臆病な性格の計。弱い部分を知られないよう、必死に影で努力を重ねて完璧な姿を作り上げ、ある程度のことは問題なくこなしていました。
しかし、本来の弱い部分を突かれるような出来事が起きると、途端に計は身動きができなくなってしまいます。
そんな計を、そっと支えてくれるのが潮です。彼は計に真正面からぶつかり、時には厳しく、そして優しく助言します。裏の顔では毒舌な計ですが、いざ仕事や恋愛面で壁にぶち当たると頼りになるのは潮のほうなのです。
空いてのすべてを知っているからこそ、支え、背中を押すことができる様子にジンときてしまいます。
前半では潮が仕事で行き詰った計を支える、という構図が多く描かれていました。しかし後半ではその立場が逆転します。
それは、潮の父の登場がきっかけでした。これまで触れてこなかった彼の過去が明かされるとともに、父親が登場し、2人の関係を引き離そうと圧力をかけてくるのです。
そして潮は計を想い、別れを決断してしまいます。
今までの計ならここで落ち込んでしまいますが、潮に支えられた彼は強く変わっています。絶対に失くしたくない「心のよりどころ」を取り戻すために、立ち上がるのです!
このシーンの計は最高にカッコいい、オンモード仕様!仕事で培ってきた頭の回転の速さや冷静さ、度胸、そして裏の部分でもある毒舌キャラなど、彼の良さがすべて詰まっています。
いち読者としては、カッコよすぎて涙が出てしまいそうになるほどでした。
- 著者
- 一穂 ミチ
- 出版日
- 2014-11-08
ここでは本編の番外編が集められた総集編『OFF AIR~イエスかノーか半分か~』を紹介していきます。これまで同人誌や特別小冊子、特別付録ペーパーなどに掲載されていた2人の番外編を集めた総集編です。
完全オフモードの2人や、本編とは違って甘々な雰囲気のシーンも多いのが見所。オンモードの2人の姿を知っているからこそ楽しめる内容になっています。
特に2巻に収録されている「ばらいろポップ」はおすすめです。こちらは賞を受賞した潮が授賞式に出席するため、計と一緒にホテルに泊まるというエピソード。
本編ではツンツン要素のほうが多く描かれていた計が、めずらしく酔っぱらって本音をさらけ出します。それは、朝食を一緒にとりたい、というものでした。このときの様子が、可愛すぎて堪らないんです。
彼にとって潮は家族以外で唯一の「心のよりどころ」で、家族以上にすべてをさらけ出せる相手。だからこそ、日常の些細な時間も一緒に過ごしたいし、大切な時間です。
特に夕方のニュース番組を担当している計にとって、潮と一緒に食事がとれる朝食はかなり貴重な時間なのです。一見なんてことない小さなおねだりですが、それを酔っ払ってしかねだれない姿が可愛いいですよね。
- 著者
- 一穂 ミチ
- 出版日
- 2017-08-29
『横顔と虹彩 ~イエスかノーか半分か 番外篇~』は、本編の1巻で登場した計の後輩アナウンサー皆川のスピンオフ作品。アナウンサー皆川×AD深のカップリングで、正反対の2人が反発しつつも少しずつ社会人として成長しながら、心を通わせていくストーリーです。
人気バラエティ番組「ゴーゴーダッシュ」でADを務める名和田深(なわだ しん)は、番組のプロデューサー相馬に憧れ、この業界に入りました。憧れの人の下で働けることに満足していた深ですが、ある日、夜のニュース番組も担当することになります。
そこで出会ったのが、スポーツ担当アナウンサーの皆川竜起(みなかわ たつき)でした。初めは明るすぎる彼に苦手意識を持っていた深ですが、少しずつそうではないということに気づき始めて……。
要領と愛嬌の良さで、挫折を味わってこなかった皆川と、憧れの相手だけを優先するあまり、自分の生きがいを失っていた深。正反対で交わることのなさそうな2人が出会い、少しずつ距離を縮めていきます。
本作の見所は、本編ではどちらかというとあまりよい印象で描かれていなかった皆川の素顔です。
皆川は才能と愛嬌の良さで挫折を経験せずに、ここまで来た完璧人間。しかし、挫折を経験していないということは、人の弱さや痛みを知らないということでもあります。
だから、本人にそのつもりがなくても、人の痛いところや言われたくないことをストレートに指摘してしまうことも……。それが彼の良さでもあるのですが、あまりよい印象は受けないでしょう。
皆川自身も何かが足りないとは感じているようですが、それが何なのかは分かりませんでした。しかし、深と出会ったことで、それが何なのか少しずつ分かり始めるのです。
皆川がどのように男として、社会人として成長していくのか。ぜひ実際にお手に取ってご覧ください。
- 著者
- 一穂 ミチ
- 出版日
- 2017-02-10
アニメ化が企画されている本作。計の二重人格な面や、2人の軽快でコミカルなやりとりを、アニメでどのように描くのかが注目ポイントになりそうです。
潮と計の徐々に深まっていく感情を、視線や仕草、表情で表現されたら、よりいっそう物語への愛着も沸きそうです。
また、アナウンサーとしてプライドを持って働く計の姿も外せません。社会人なら誰もが経験する、仕事に対する細やかな心理描写もアニメの見どころとして、ぜひとり入れてほしいですね。
アニメとともに本編と番外編、そして総集編を読んでみてはいかがでしょうか。
- 著者
- 一穂 ミチ
- 出版日
- 2019-10-31
ツンデレ受けと、包容力の攻めが織りなす、王道のBL小説……と思いきや、それだけでは語れない、心理描写や物語の構成が絶秒な本作。テレビ業界という一種特殊な環境も相まって、エンターテイメント要素もバッチリはまります。
アニメ化で、この愛すべき彼らにどんな風に命が吹き込まれるのか、期待は高まります。まずは彼らが何を考え、お互いを思い合っていくのか、その心模様をじっくり読んでみてください。