1980年に創刊された青い鳥文庫。数々の名作が生まれ、小・中学生が読書に目覚めるきっかけにもなっているほか、子どもが読み始めたことからかつての読者が再び手に取ることも多いそうです。この記事では、青い鳥文庫の歴史や特徴、そして人気シリーズをランキングで紹介していきます。
青い鳥文庫は、1980年に創刊された小・中学生向けの児童書レーベルです。ファンタジーやミステリー、世界文学などジャンルは問いません。『赤毛のアン』や『楽しいムーミン一家』などの定番作品はもちろん、『窓ぎわのトットちゃん』や『五体不満足』などベストセラーの児童文庫化まで、幅広いラインナップを取り揃えて人気を博してきました。
コンセプトは、「子どもが自分ですすんで読む本」。親から与えられたものではなく、自分で選び、自分で読みたいと思えるような作品が多数あるのが特徴です。子ども同士でおすすめしあい、口コミで流行に繋がるケースも。
さらに、試読ができる「ジュニア編集者」制度や、ファンクラブ機能など読者向けサービスにも力を入れており、創刊40年を経てパワーアップし続けています。
主人公は小学生の小海マコト。ある日、パソコンで「電子探偵団」というページを見つけるところから物語が始まります。
入団テストに合格した5人の小学生たちは、インターネット上で電子捜査会議に参加して、団長のネロが出題する謎に挑んでいました。しかし、ある日メンバーのひとりが現実世界で事件に巻き込まれてしまい……。
- 著者
- ["松原 秀行", "梶山 直美"]
- 出版日
- 2011-06-10
「パスワード」シリーズは、松原秀行の代表作。「パソコン通信探偵団事件ノート」シリーズが正式名称ですが、どの作品のタイトルにも「パスワード」という単語が含まれることから、「パスワード」シリーズと呼ばれるようになりました。
青い鳥文庫で1巻が刊行された1995年以降、日本では急速にデジタル化が進んだため、世情を反映させた「new版」が2011年から発表されています。
作中でパズルやクイズがたくさん出題されるのが特徴。ストーリーに沿った謎を読者が一緒に解いていくため、電子探偵団の一員になった気持ちで読み進めることができるでしょう。無事に謎が解けた時の爽快感もたまりません。
デジタル化した社会の問題点やネットリテラシーについてなど、現代らしいメッセージとともに、子どもらしい友情のエピソードもふんだんに盛り込まれていて、人気のシリーズです。
主人公は、小学6年生のおっこ。交通事故で両親を亡くし、温泉旅館を営む祖母に引き取られました。
その旅館に住み着く幽霊のウリ坊、転入した小学校の同級生でライバル旅館の跡継ぎなどと出会ったことで、おっこは若おかみとして修業をしていくことになります。
- 著者
- 令丈 ヒロ子
- 出版日
- 2003-04-15
「若おかみは小学生」シリーズは、1990年代後半から2000年生まれのいわゆるZ世代なら、誰でも知っているであろう青い鳥文庫の人気作。累計発行数は300万部を超え、完結から5年を経た2018年にはアニメ化と映画化で話題になりました。
当初はおかみとしての所作がわからず戸惑うおっこですが、倒れてしまった祖母を助けたい一心で修業に励みます。接客技術はもちろんのこと、彼女の心の成長が大きな見どころでしょう。
シリーズには、幽霊だけでなく近親者を失った経験をもつ人々が登場。癒しの象徴ともいえる温泉を舞台に、現実を受け入れ、乗り越えていく人々の姿が生きることを考えさせてくれます。
夏休みのある日。小学3年生の「ぼく」は、もちの木を探しに近所の小山に行きました。そこで美しい景色に出会い、足繁く通うようになります。
その次の年の夏、同じように小山に行くと、赤い靴をなくしてしまった小さな女の子に出会いました。探してやって、見つけた靴を拾いあげてみると、中にはなんと「こびと」がいて……。
- 著者
- 佐藤 さとる
- 出版日
- 1980-11-10
1959年に刊行された佐藤さとるの作品。青い鳥文庫では、創刊年の1980年からラインナップされている人気シリーズです。
湧き出る泉や、フキの葉が生い茂る様子など、清澄な里山の自然の描写が魅力的。そんな場所で、「コロボックル」と呼ばれるこびとたちが活き活きと描かれています。切手サイズの新聞や、カタツムリの殻を使ったワナなど、なんともかわいらしいアイテムにも心惹かれるでしょう。
物語の背景には高度経済成長期があり、コロボックルたちが暮らす山は土地開発のため、崩される危機に。彼らと自然を守ろうと、「ぼく」が立ち上がります。大人の読者もワクワクできる作品です。
3つ子の姉妹、亜衣・真衣・美衣が暮らす家の隣に、夢水清志郎という男が引っ越してきました。
自称名探偵を名乗る彼は、ひとたび事件が起こると名推理を連発。しかし洋服は1着しかもっていなかったり、自分の誕生日を覚えることができなかったりと、かなりの変わり者です。
- 著者
- はやみね かおる
- 出版日
- 1994-02-15
ヤングアダルト推理小説を得意とする、はやみねかおるの作品。青い鳥文庫の累計発行部数が350万部を超える人気シリーズです。
児童向けとは思えない本格的な謎解きが魅力。事件が起こった背景もしっかりと描かれていて、本シリーズをきっかけに推理小説のファンになる読者も多いのだとか。
夢水清志郎の目的は、「みんなが幸せになるように」事件を解決すること。人々の幸せにこだわる推理で、名言にもたくさん出会えるでしょう。また彼のお世話をする3つ子との距離感や会話劇もおもしろく、誰にでもおすすめしたい作品です。
小学2年生のユカ。大晦日の夜に目を覚ますと、12色のクレヨンたちが話し合いをしています。どうやらクレヨン王国の王さまがいなくなってしまったそう。
ユカは、シルバー王妃と一緒にゴールデン王を探す旅に出かけることになりました。
- 著者
- ["福永 令三", "椎名 優"]
- 出版日
- 2011-11-11
青い鳥文庫が創刊された1980年よりラインナップされている人気作。シリーズのタイトルは30以上、累計発行部数はなんと500万部をこえています。
クレヨン王国のゴールデン王は、シルバー王妃のもつ12の悪い癖が嫌で、家出をしてしまったそう。王妃はユカと一緒に、12ヶ月をかけて12色のドレスを着替えながら、12の町を旅します。そのなかで自分の悪いところを見つめなおしていくのです。トラブルを起こすたびに反省する王妃の姿は、読者の心にも響くでしょう。
色彩が強調されたストーリーは読んでいるだけで色鮮やか。小・中学生にぴったりの世界観で、初めてファンタジー小説を読む人にもおすすめです。