本当に怖いホラーラノベおすすめランキングベスト10!

更新:2021.12.20

怖い話が大好きな人にも、たまにはゾッとしたい人にも読んで欲しいホラーライトノベルを集めました。映画化されているものもありますので、あわせて楽しむのもいいのではないでしょうか?

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10位:思春期の心が揺れる。突然崩壊してしまった日常『ちーちゃんは悠久の向こう』

この作品は新風舎文庫大賞受賞作で、著者が執筆当時高校生だったということでも話題を呼びました。

高校生になった主人公・モンちゃんは陸上部に、幽霊が好きな幼馴染みのちーちゃんはオカルト研究部に入部します。それぞれの苦悩を抱えながらも、二人はそれなりに平和な日常を送っていました。

著者
日日日
出版日
2010-06-25

学園の七不思議の謎を追うち―ちゃん。ある日、ち―ちゃんと主人公がその七不思議の一つである地蔵を訪れます。そこには陸上部部長の姿があり、七不思議の通りに男女の血を垂らしてみると、部長が「願いをいえ」と言います。部長は霊に取り憑かれやすい体質だったのです。その問いに「幽霊が見たい」と言うちーちゃん。

「幽霊が見たい」ち―ちゃんが幽霊を見ることができるようになるのか?タイトルにある「悠久の向こう」とは?セリフや設定の端々に隠された結末への伏線が見事です。

また、この作品は思春期特有の喪失とそれによって得るもの、というテーマが見え隠れします。両親からネグレクトを受けている主人公は、家族に何が起こっても反応が希薄です。彼が抱える「何を以てしても心の中の埋められない穴」という闇。そんな彼があることによってちーちゃんを傷つけてしまいます。しかし、傷つけられたちーちゃんはあるものを捨て、あるものを得ることにするのですが……。

そこから物語は怒涛の展開を見せて読者を引き込ませます。欝々とした思春期の心が恐怖の中に描かれたこの作品。ぜひそのカタルシスをお楽しみください。

9位:閉ざされた村からの脱出劇『黒水村』

単位不足の生徒7人と引率の片平教諭が訪れた「庫宇治村」は黒い山と闇深い森の中にある寒村でした。怪しげな村人たち、電気すら通っていない閉ざされたこの村で彼らが目にした恐怖……。

著者
黒 史郎
出版日
2008-05-20

「黒い雨が降る時に死者がよみがえる」とは?この村に隠された秘密とは?紅い花「アカモロ」とは?仏教を基に地獄をモチ―フにした読み手の視覚的想像力をかきたてるお話です。

陰鬱に閉ざされた村というだけで読んでいると背筋を何かが這うような気味悪さを感じます。それはこの村の風習、掟が軸になっています。恐ろしい伝承とあらざるものの存在を目の当たりにした生徒たちと教師の脱出劇は、目が離せないもの。

不気味で気持ち悪いけれどコミカルな要素も含んでいてリズム感のある早い展開に乗せられます。ゾンビあり、得体の知れない植物ありの中、閉ざされた寒村から抜け出すことはできるのか!?ゲームの世界に入り込んだようにハラハラできる作品です。

8位:オカルト研究部でのポップな青春ホラー『ホーンテッド・キャンパス』

日本ホラー小説大賞・読者賞受賞を受賞した櫛木理宇のシリーズ作品です。

とある地方大学のサ―クル・オカルト研究部。怖がりにもかかわらず幽霊が見えてしまうという八神森司がここに入部した訳は、二年越しで思いを寄せている美少女・灘こよみに再会したから。

著者
櫛木 理宇
出版日
2012-10-25

そんな中、ある男子学生が壁に女の顔のシミが浮かび上がるとオカルト研究部に相談しにやってきます。そこから様々な怪奇現象に迫る中、その長れと沿うように森司とこよみの関係がもどかしいほどゆっくりと進行していきます。ちょっと怖くて、とっても甘酸っぱい青春ホラ―スト―リ―です。

この作品の魅力はオカルト研究部に舞い込むさまざまな怪奇現象と大学の恋をダブルで楽しめるポップで描かれたホラーだということ。

霊が見えるが怖がりの森司は、霊は見えないけれど霊に好かれてしまうこよみを守るために何の対処もできないなりに奮闘します。学校の中庭でこよみに霊が忍び寄るのを見て助けるべく飛び出しますが、走っている間中「怖いのは嫌い」と戦います。

こよみに近づいてきた霊に立ち去るよう説得したり、及び腰で立ち向かう姿には毎度吹き出してしまいます。超草食系男子である森司の恋が実を結ぶ日が来るのでしょうか?

7位:悪質な霊と、ごく普通の人間、いったいどちらが怖いんだろう『ウラミズ』

この作品は日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しました。貴志祐介に「霊に対する敬意の欠如」と評された通り、霊をツ―ルにした型破りなホラ―スト―リ―です。

著者
佐島 佑
出版日
2013-09-25

怪しげな食品会社勤務の真城は霊がみえる体質ですが、ただみえるだけ。霊の出現と日々の仕事に嫌気がさす中、不思議な力を持つ早音と出会います。早音と作った、水入りのペットボトルに霊を封じることができる「ウラミズ」は強力な霊を発生させることもでき、それを使って二人は新ビジネスを始めようとしますが……。

「すぽん」という間の抜けた音とともに霊をペットボトルに封印して、それをトイレに流してしまう早音。「かつおぶしのようなカラカラのやつ」、「赤いシャツのようなもの」などと「敬意の欠如」した表現をされる霊たち。

この作品の魅力はコミカルな表現をされる霊に対し、人間の恐ろしさが引き立っていること。霊をみる人、封印する人、憑けて回る人、呪う人、呪われる人……。いわくつきの人間ばかりが登場し、人を呪わば穴二つの教えを思わせる展開で一気に読んでしまいます。

本当に怖いのは霊たちよりもむしろ元はごく普通の人間なのかもしれません。ヤクザの恐ろしさや女性の執念などが霊の怖さに負けじと書かれていて思う存分恐怖を堪能できる秀作です。

6位:日常が童話の中で流血参事へと変わる……『断章のグリム』

「平凡」「普通」を愛する男子高生・白野蒼衣がある日、クラスメイトを訪ねたマンションで目を抉り取られた女性に襲われます。それを救ってくれたのがゴシックロリ―タ調の美しい少女・時槻雪乃。彼女を通じて出会った古物商・鹿狩雅孝から、その怪現象は「神の悪夢」から生まれた「泡禍」だと教えられました。

著者
甲田 学人
出版日

それから蒼衣は「平凡」「普通」とは真逆の、悪夢の童話に立ち向かうべく、その世界へと足を踏み入れます。「ヘンゼルとグレ―テル」「人魚姫」「赤ずきん」などの有名なグリム童話がサクッとは読めない重厚なグロテスクホラとなって描かれています。

無趣味で自分にも興味がなく「普通」を愛する蒼衣と、「普通を棄てた」雪乃。「泡禍」の犠牲者を助けようとする「騎士団」のもとで「断章保持者」として戦いを続けるという設定を通して、グリム童話をグロテスクに展開させています。

ひたすら人が殺され、リストカットや安全ピンで自分を刺すなどの表現が続く、そのグロテスクな表現がダークな雰囲気と相まって、この作品独特の世界観を構築しています。神様が見た悪夢と戦う人間という、不思議な世界でグロテスクホラーを読んで見ませんか?

5位:いじめと復讐、悪意と悪意の間にある醜悪な関係『ストレンジボイス』

主人公、水葉は過去のトラウマから他人と少し距離を置き、情報を集めている高校生。彼女のクラスではかつて壮絶ないじめがあり、被害者は登校拒否になっていました。その被害者である僚介が卒業式にやってくるという噂が流れ、加害者である日々希(ひびき)は騒ぎ始めます。日々希はまた鬱憤を晴らすことができると喜ぶのです。

そんな中、水葉は僚介と出会い、彼の変わり果てた姿を見ます。そして彼はバットを構え、高らかに宣言をするのです。卒業式で、いじめに加担した人々を殴り殺してやると。

著者
江波 光則
出版日
2010-01-19

本作は水葉を通して、いじめの醜悪さと悪意に染まる異常な人々を描いた作品です。壮絶ないじめと、悪意でしか繋がれない人々の歪な関係が魅力的です。いじめは安全ピンと油性ペンによる入れ墨など、残り続ける傷を作っています。

復讐を誓う僚介は体を鍛え、日々希を殺すことばかり考えていました。

一方、日々希もストレスがたまり、次第に暴れ始めます。暴力の色が濃くなるにつれて生き生きとし始める中、2人の人生は少しずつ変わっていくのです。

本作は憎しみ合うことで輝き始める2人が水葉を通して繋がる作品です。彼女がラストに選択した、醜悪な関係はどす黒く、それでいてどこか爽やかでもあります。奇妙で醜悪な人の繋がりをぜひお楽しみください。

4位:過去の事件に日常が壊れていく恐怖『キミとは致命的なズレがある』

主人公、海里克也は昔、大きな事故に遭い、両親と記憶を失った高校生。不穏な境遇を持ちながら、いい友人たちに恵まれ、毎日を過ごしていました。

ある日、海里は階段を滑り、頭を強く打ってしまいます。後遺症も痛みもなく、問題がないとされた彼は帰り道で血まみれの少女を目撃しました。驚きつつも、他の人には見えず、すぐに消えてしまった死体を見間違えだと結論づけます。

その翌日、彼は差出人を見つけなければ不幸になるという手紙を受け取るのでした。

著者
赤月 カケヤ
出版日
2011-05-18

事件に巻き込まれ、その記憶を失っている海里。彼はクラスメートの山美鳥や高校受験に失敗した宮崎ひなたと平穏な日常を送っていましたが、ある日を境に、血まみれの少女を幻視するようになり、少女を殺す悪夢を見るようになります。

不安になった海里は失っている記憶と関係があるのではないかと、昔の事件を調べ始めました。その中で真相を追う刑事に襲われたり、事件を知る教師が発狂したりと彼の周りに不穏なことが起きるのです。

自身の過去を探り記憶と事実の中で、信じていたものが形を変えていくサスペンスホラーラノベです。次々と突きつけられる真実をぜひ確かめてみてください。

3位:理由も分からず、正体不明の化け物に襲われる理不尽な恐怖『絶深海のソラリス』

人の血液に溶ける鉱物、ソラリス。それと適合した人間は水使いと呼ばれ、特殊な能力を持ちます。水中での自由な呼吸、行動ができるようになり、テリトリーと呼ばれる力を駆使できるようになります。

主人公、山城ミナトは水使いを育てるアカデミーに赴任した新米教官です。彼は図太い性格を評価され、天才水使いでありながら問題行動の目立つクロエ・ナイトレイの専任教官となりました。自身の有り余る才能に高飛車な態度を取る彼女に、山城は指導方法を悩むのです。幼馴染で、留年を重ねていた星野ナツカや先輩教官のララ・アイシュワリンの協力を得て、どうにか指導を進めていきました。

そんな中、遠征演習の引率教官として山城が選ばれます。クロエや星野、アイシュワリンとともに彼は遠征演習に向かうのですが……。

著者
らきるち
出版日
2014-03-22

本作は正体不明の化け物たちに襲われるパニックホラーもの。襲われる理由も山城たちには分からず、日常のコミカルさと理不尽さのコントラストが魅力的な作品です。

高飛車でありながら、山城との勝負に負け奴隷にされてしまうクロエや山城をセクハラ教官と罵るアイシュワリンたちとの掛け合いはコミカルに描かれました。中でも奴隷扱いの中でМに目覚めてしまうクロエとの会話は面白く、失言を重ねてしまう彼女の姿は面白く、かわいらしいです。

そして山城たちは遠征演習に向かいます。その目的地には民間人に知らされていない化け物が逃げ出しており、非常に危険な場所でした。そんなことを知らない山城たちは正体不明の彼らに出会い、襲われます。自身が気付かないうちに死んでしまう生徒、少しずつ消えていく悲鳴を聞く山城。安全だったはずの遠征演習は死体の転がる凄惨な現場へと姿を変えていくのです。

章の合間には化け物に関わり、放流した人々も描かれます。山城たちを黙認しながら他人事のように振る舞う彼らは魅力的な不条理さを強調していました。日常の明るさと、深海での暗い襲撃、山城たちの奮闘をぜひお楽しみください。

2位:オカルティックな少女と呪いに惹かれていく恐怖『幽式』

主人公、渡崎トキオはビビりなオカルトマニアの高校生。夜、帰路についていると鉄塔の下でたたずむ美少女と出会います。幽霊に出会ってしまったのかと怯える彼ですが、その少女が同じ高校に通う神野江ユイだと気付きました。彼女は転校生であり、奇妙な行動をする美少女として有名です。

そして夜の邂逅をきっかけに、渡崎は神野江に付きまとわれるようになりました。クラスメイトから奇異の視線を向けられていく中、渡崎たちは町に巣くう幽霊話を調査していくのです。

著者
一 肇
出版日
2008-11-18

本作はデンパガールと呼ばれ、忌み嫌われる神野江ユイと幽霊を怖がる渡崎が噂話を調べていく物語。2人のキャラクターと、噂を知るにつれ此岸に近づく不穏な空気が魅力的です。

白いブラウスと黒いタイ、スカートという喪服のような恰好をし、事あるごとに吐いてしまう神野江。幽霊を怖がり悪夢に苛まれながらも行動を共にしていく渡崎。彼は神野江の噂通りの部分と違う部分を知り、彼女の本当の姿に触れていくのです。

そして渡崎は町の真相を知り、神野江の行動の意味をはき違えていたことに気付くのです。出会いも含めた彼女の行動すべては意味を変えていき、彼女の秘密が浮かび上がります。

1位:自分自身を信じられなくなるホラーラノベ『ロミオの災難』

主人公、如月行哉は演劇部に所属し、同じ演劇部員の雛田香奈美に惚れている高校生。彼と部員たちは文化祭の講演する演劇の内容を悩んでいました。

そんな中、彼らは部室で『ロミオとジュリエット』を題材にした古い脚本を見つけます。棚から牡丹餅とその劇を公演することに決め、台本に名前を書き込んだ彼らは、突然めまいに襲われました。

脚本には公演前に亡くなった先輩の想いが憑依しており、怨念によって脚本に名前を書いた如月たちは自分の意思とは違う行動をするようになってしまい……。

著者
来楽 零
出版日
2008-01-10

本作は自身の行動、思いに疑問を募らせていくサスペンス作品。演劇を通して変化していく関係と本当の想いに気付くストーリー展開が魅力的です。

演劇部には恋を知らない雛田や男勝りの村上真由、引っ込み思案の新堂藍子、遊び人の西園寺次郎が所属しています。

それぞれ自身に近い先輩たちに憑依され、如月を中心にした三角関係が再現されました。不意に色仕掛けを仕掛けてしまう者、急に増えたライバルに悲しみ涙を流す者。制御できない行動とともに関係は少しずつ変化し、それぞれの想いに気付いていくのです。

また演劇の中でも舞台が壊れたり、小道具がすり替えられたりと小さな危険が混ざります。確執が積み重なり、不穏な空気が広がっていく緊張感をお楽しみください。

自身が信じられなくなるもの、幽霊譚に侵食される日常、化け物に襲われる作品など、読み味の異なる作品かと思います。

本紹介をきっかけに心がスッと冷えていくような、手に汗握る作品たちをお楽しみいただければ幸いです。

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