言葉の意味がわからないとき、インターネットで検索すれば何でも調べることができる昨今ですが、手軽に得た情報や知識は、裏を返せば簡単に記憶から抜け落ちてしまいがちです。小さい頃から辞典や辞書を引く習慣があると、少しの手間をかけたぶん、脳にインプットされやすいはず。この記事ではおすすめの国語辞典を、小学生、中高生、社会人と年代別にご紹介します。この機会に、紙の辞書の魅力を再認識してみませんか。
業界に先駆けてオールカラー化した学研の国語辞典。何よりも見やすく、親しみやすさは抜群です。小学校低学年からでも楽しく勉強できるでしょう。
「国語の神様」ともいわれる言語学者の金田一秀穂監修で、収録語数は類書のなかでもっとも多い4万3300語になっています。
- 著者
- 金田一 春彦
- 出版日
- 2019-11-28
アイコンや例文も色で区別されていたり、テーマカラーを付けたインデックスがついていたりと、視覚でわかりやすいのが魅力的。ただ色付けしているだけでなく、学習効果を考慮した色使いがされているそうです。
また言葉の意味が詳しく解説されていて、例文も多いのが特徴。新設されたコラム「ことば選びのまど」では、自分の気持ちを表現する引き出しを増やす「語彙力」をのばし、新学習指導要領の「思考力」「判断力」「表現力」に役立つものになっています。
すべての漢字にふりがながふられているので、まだ漢字を覚えていない子どもでも大丈夫。長く使えるように、薄いのに破れにくく、しかも鉛筆で書き込みがしやすい高品質な紙を独自開発して使用しているのもポイントです。
巻末には「早覚え百人一首」や「アルファベット略語集」など大人が読んでも勉強になるような資料が充実。小学校6学年分の「学年別配当漢字ポスター」もついています。
言葉に興味をもちはじめる4歳頃から使える国語辞典で、五十音の順番がわからなくても辞典を引くことができるように工夫されています。
収録語数は1800語。小学校で習う学習漢字が収録され、簡単な漢字辞典としても使うことができます。
- 著者
- 出版日
- 2018-11-29
子どもたちが大好きなドラえもんの挿絵がフルカラーでふんだんに使われ、学びを後押ししてくれるでしょう。 写真も掲載されているので、文字ばかりの辞典より記憶に残りやすいはずです。
初めての国語辞典として、ページを開いた時に「難しそう」と感じないように、余白を多くしたり、丸みを帯びた優しい印象の字体を使っていたりと細かな気配りも嬉しいところ。
内容も、早口ことばやなぞなぞ、数え歌など言葉遊びや、昔ばなし、絵本などに登場する言葉を紹介するなど、楽しむことを大切にしてつくられています。
また「わたしの夢」など、子どもが自分で書き込む項目があり、世界にひとつの自分だけの辞典ができあがります。大人になってから見返してみるのもいいですね。
中学生向け国語辞典のトップセラーで、唯一の教科書密着型辞典です。各教科書から採録した語句のほか、新語など1000項目を増補し、類書中最多の5万9000語が収録されています。
「新常用漢字表」や「敬語の指針」などの国語施策に準拠し、中学受験から高校受験までを支援。例文が多く、解説がわかりやすいのが特徴です。
- 著者
- ["相澤 正夫", "大島 資生"]
- 出版日
- 2015-12-14
中学生になると、知らなかった言葉に触れる機会が増え、調べたい言葉の幅が飛躍的に増加します。詳しい語釈や表現など、圧倒的情報量の本書は正しい日本語を身に着けるうえで非常に大きな役割を果たしてくれるでしょう。
たとえば、誤って定着した言葉の意味を載せて正しい言葉遣いを知ることができる「注意欄」、間違いやすい尊敬語・謙譲語・丁寧語が詳しく解説されている「敬語欄」などがあります。また気づかずに使いがちな方言を解説した「方言欄」には、各地の生きた方言が180語収録されています。
文字が鮮明で、色づかいも見やすく工夫されているのもポイント。紙質も良く、長く愛用できる辞典です。
唯一の高校教科書密着型国語辞典。7万7500語が収録されています。
最新の教科書はもちろんのこと、国語以外の教科書についても調査。教育関係の用語や理系科目の用語改定も反映し、科目特有の語義まで掲載されています。
また入試に大きなウエイトを占める難解な評論文キーワードへの対応も強化されていて、語彙力増強のための類義語・対義語掲載数は群を抜いています。注意欄や表現力拡張コラムなどの学習情報も充実しているので、大学入試対策にもおすすめの国語辞典です。
- 著者
- 出版日
- 2018-10-17
「マウント」「メンヘラ」などの新語に加え、ネットスラングの「草」やSNSで発達した言葉「ググる」「バズる」など、時流を反映した語義が載っているのが特徴で、発売直後から話題になり、一時品切れ状態になりました。
高校生が普段使っている言葉を国語辞典に載せることで、親近感をもってもらいたいという狙いがあったのだそう。
また既存の言葉の新用法も取り入れられていて、実用的で興味深い内容になっています。付録も多彩で「ABC略語集」「敬語の概要」「季語一覧」「手紙の書き方」など、知っておきたい言葉が幅広いジャンルで網羅された一冊です。
もっとも販売数の多い小型国語辞典「新明解国語辞典」の特装青版は、三省堂創業135年記念企画として登場しました。初版由来の青を現代のデザインで復活させた限定版です。新語を含めた約7万7500語が収録されています。
特徴は、言葉のもつイメージに踏み込み、単なる解説にとどまらない独創的で高度な語釈にあります。他の辞典では味わえない表現にファンは多く、「新解さん」の愛称で親しまれているのです。
- 著者
- ["上野 善道", "井島 正博", "笹原 宏之"]
- 出版日
- 2017-02-27
第七版では形容詞項目を見直し、感情を表す言葉に込められた意味について、読者の感性と合致するような語訳が示されています。
新設された「文法欄」では、日本語を外からの視点でとらえた詳しい文法解説により、理解を深めることができるのが魅力でしょう。
「運用欄」では、待遇表現の特性など対人関係にかかわる表現について、使用場面に対応した意味などをわかりやすく示しています。すべての見出しにアクセント表記もあり、新社会人や外国人がビジネスシーンで困ったときにも頼れる一冊ではないでしょうか。
格調高くシンプルな『岩波 国語辞典』が10年ぶりの改訂です。流行に左右されない保守的な内容が魅力の国語辞典ですが、最新版では日本語の移り変わりを反映させて内容を現代化することと、よりわかりやすい内容にするため語釈の書き方の現代化がされています。
現代語を中心とした約6万7000語を収録。他の国語辞典より少ない印象を受けますが、同音異義語を一括掲載したり、慣用句などを用例で解説しているためです。
- 著者
- 出版日
- 2019-11-22
本書の基本姿勢は「百年の日本語」。過去100年間の日本語を対象にしています。知らない言葉はインターネットで検索することのが多い現代ですが、知っているはずの日本語を紙の辞典で引いてみることで、豊かな日本語の魅力を再確認できるでしょう。
同じ岩波書店の「広辞苑」のように新しい言葉を登場させるのではなく、一語ごとの用法をより丁寧に発展させることで、新語の解説も充実させるという独自の手法がとられています。
使い方に迷う言葉に対しては、答えを示すことを追求した独自の語類を表示。豊富な用例も掲載された、国語辞典の定番です。
番外編として、個性的な国語辞典を厳選して紹介してくれる本を紹介しましょう。
本作は、辞典を200冊もコレクションする作者が、辞典ごとの言葉の解釈の違いを比較したり、辞典を擬人化してそれぞれの個性を紹介している作品。国語辞典の成り立ちや変遷も掲載され、奥深い世界を知ることができます。
もともと辞典が好きな人はもちろん、詳しくなくても楽しめます。国語辞典の見方が変わるはずです。
- 著者
- サンキュータツオ
- 出版日
- 2016-11-25
作者のサンキュータツオは「へんな論文」で注目を集めた大学博士課程芸人で、国語学者です。芸人の本と侮るなかれ。ただ大学院を出て言葉の研究に勤しんでいただけあって、専門家レベルで辞典に造詣が深く、丁寧な考察がまとめられています。
国語辞典は学校推奨のものを購入することが大半ですし、どれも同じと考えがち。ところが実はそれぞれが非常に個性的で、魅力満載なのです。本書はまさに「学校では教えてくれない」国語辞典の楽しみ方を与えてくれる、目からうろこの内容となっています。
どんな国語辞典を選べばいいか迷っている方におすすめ。紹介されているのは魅力的なものばかりなので、何冊も欲しくなってしまうかもしれません。