漫画『ふつうな僕らの』最新刊もネタバレ!特別を望まない幸せな恋の行方は

更新:2021.11.30

優しくて心温まる青春ラブストーリー『ふつうな僕らの』。ヒロインは耳が聞こえない青年に片思いします。この記事では、最新刊のネタバレを含め、漫画の見所を紹介します。 「ふつうではない」からこそ惹かれ合っていく2人の展開に目が離せません。少女漫画ならではの胸キュンシーンも必見です!

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『ふつうな僕らの』をネタバレ!ふつうに憧れる少年少女のラブストーリー

耳が聞こえない青年・一颯(いぶき)「ふつうの恋愛」をしたいというヒロイン・椿の青春ラブストーリー『ふつうな僕らの』。この作品は、日々忙しい日常を過ごしている我々が忘れがちな感情を思い起こさせてくれます。

実は椿は病気で入院生活を余儀なくされた過去の持ち主。つまり一颯だけではなく、ヒロインの椿にも「ふつうを求める」理由があります。

人生を無駄にしたくないという思いから、今を生きようとする姿や一秒一秒を大切にするヒロインの姿勢にグッと惹きつけられます。そして明るくて誠実な椿が発する何気ない素直な言葉が、一颯の心を揺れ動かします。

椿と一颯の2人は周囲とは違った環境や状況で過ごしてきました。だからこそ、「伝える」ことや「思いをぶつける」ことに向き合おうとします。『ふつうな僕らの』を読めば、あなたもきっと誰かに正直に想いを伝えたくなるはず!

「別冊マーガレット」で連載されている本作は、昨今の少女漫画のなかでも特に大人に人気。web広告で見て気になっているという方もいるでしょう。ふじたまみ、松岡一平らの声でボイスコミック化も果たしました。

この記事では、椿と一颯の関係が一気に進展する最新刊もネタバレしていきます。

普通な恋を望むヒロインの行く末は?気になるあらすじを紹介

まずは、『ふつうな僕らの』のあらすじを紹介します。

新しい街に引っ越して間もない頃。落とし物に気づいた花川椿は、急いで目の前の人に声をかけます。その青年が草野一颯でした。

帰宅途中、電車で目を開けると膝にマフラーがかかっており、「パスケース届けてくれてありがとう」と置手紙が。一颯は椿の高校の先輩でした。一颯を好きになった椿は学校でラブレターを渡します。

ところがその後、一颯は耳が聞こえないことを知ります。変わらず彼に接する椿ですが、一向に返事をもらえず冷たく突き放されてしまいます。

彼のいる写真部に入部し、手話も覚える椿。その純粋な「好き」という気持ちに一颯は応えられない様子。椿は一筋縄ではいかない恋の難しさを実感し、悩みながらも一颯の複雑な心の中を少しずつ開いていきます。

著者
湯木 のじん
出版日

『ふつうな僕らの』登場人物紹介

『ふつうな僕らの』に登場する人物たちは皆、周囲との違いに悩まされています。一颯の幼馴染の桜介や元カノの奈央の存在も、物語の展開に大いに関わってきます。

花川椿

いつも明るく素直な性格です。心臓が弱く、ふつうの学校生活を送ることができませんでした。だからこそ日常生活の当たり前を大切にし、普通の幸せな恋をしたいと願っています。

草野一颯

椿の先輩。幼少期の病気をきっかけに、耳が聞こえない生活を余儀なくされています。恋に対して消極的でしたが、椿との出会いで変化が訪れます。マイペースな性格で、写真が大好きな青年です。

柴崎桜介(おうすけ)

一颯の幼馴染です。不愛想に見えて実は人情味ある一面も。母親がおらず、心のどこかで感じる孤独をたまに見せます。そして何事にも正直で誠実な椿を好きになってしまいます。

日高奈央

一颯の元カノで、中学生の時に付き合っていました。椿や一颯と同じ写真部に所属しています。優等生でしたが、一颯をかばって負った怪我や特別扱いする周囲の接し方からグレてしまいます。

簡単に登場人物を紹介しました。ここからは各単行本の見所を抑えるとともに、登場人物たちの詳細のエピソードもネタバレしていきます。

おすすめエピソード①:椿の恋の始まり【ネタバレ1巻】

1巻は一颯に片思いする椿の奮闘を中心に描かれています。

街で出会った高校の先輩・一颯を好きになったヒロインの椿。一颯は耳が聞こえません。椿に対して冷たく接してしまいますが、彼女はめげずにアプローチしていきます。筆談で会話を交わす「先輩ノート」や、手話を習得するなど努力を惜しみません。

さらに一颯のいる写真部に入部します。このように徐々に距離を縮めていきますが、一颯は「君と僕は合わないよ」と突き放してしまいます。

一颯は優しいけれども、心をなかなか開かずどこか孤独な少年。ヒロインの椿も、実は病気で思うように生活が出来なかった過去がありました。そのため、一颯への好意は決して隠さず、好きだからとひたむきに近づこうとする姿は眩しいほど。彼女からまごころの尊さにあらためて気づかされます。

明るくて真っ直ぐな椿と静かでマイペースな一颯、お互い普通ではない事情を抱えています。だからこそ分かり合える部分もあるはず。似ていないようで似ている2人の恋の進展に期待を寄せられます。

おすすめエピソード②:一颯の恋をしない理由が明かされる!【ネタバレ2巻】

2巻は椿と桜介が一緒に帰る場面からスタートします。一颯に想いが届かないもどかしさで悩む椿。一颯の友達・桜介のバイト先に向かい、思わず泣いてしまいました。

帰り道、桜介の励ましで「ただ好きなだけでいい」と悟ります。しかし、釘をさすように一颯から「付き合えない」と告げられてしまいます。

その後の写真部の活動で、椿は帰り道に一颯の忘れ物に気づきました。一生懸命に1人で探す椿の前に一颯が現れます。そして、彼は椿の気持ちに応えられない理由を伝え始めます。「好き」と言っても両想いは夢のまま。難攻不落の恋に落ち込む椿。

一方、一颯も耳が聞こえないゆえに、元カノの奈央とのこと、ふつうではないことに頭を悩ませていました。奈央のことは好きではないまま付き合ってしまい、結局うまくいきませんでした。もう寂しさを埋めるためだけに付き合いたくない、でもただ純粋に側にいたいと、一颯は椿に伝えます。彼女は少しでも本音を話してくれたことに喜び、笑顔で受け止めます。

このように「友達以上恋人未満」になった椿と一颯。仲睦まじい様子も増えていきます。ところが、元カノの奈央や桜介の存在が2人の関係を揺るがします。

著者
湯木 のじん
出版日

おすすめエピソード③一颯と桜介の固い絆、一颯の心情の変化が芽生える【ネタバレ3巻】

始まった写真部の合宿。椿は一颯と行動できず、落ち込んでしまいます。彼は気分の悪かった奈央の側にいたのです。桜介と一颯はちょっとしたケンカもしてしまい、後日仲直りのために椿は2人を花火大会に誘います。

当日、途中で腹痛に襲われた椿を心配する一颯。彼女のことを考えるうちに友達ではなく、女として見てしまう自分に気づきます。そして、椿をもっと知りたいと思うように。そして無事、3人のわだかまりが解けて秋が近づいてきます。

見所は一颯と桜介の仲直りのシーン。合宿で奈央に付き添い、椿との約束を破ってしまった一颯。その中途半端な行動に怒った桜介は謝ります。一颯はどちらの存在も大切で、悩んだ決断だったと告げます。そして一颯に幸せになってほしいと応援する桜介に背中を押されて、一颯は椿と向き合おうとするのです。

友達が少ないとしても、自分を理解してくれる人が1人でもいれば安心するもの。一颯と桜介の深い友情から、親友の存在の大切さを実感する3巻です。

著者
湯木 のじん
出版日

おすすめエピソード④:椿が隠す複雑な胸の内【ネタバレ4巻】

椿と一颯は手を繋ぐほど距離が縮まった様子。お互いのことをもっと知ろうと、以前より一緒にいる時間が長くなりました。手話サークルに行ったり、家まで一緒に帰ったり……。

ある日、2人の帰り道で出会ったのは椿の友達・詩織でした。詩織はかつて椿の入院時によく話したお姉さんの妹。久々の再会に胸を膨らませている様子の椿は、一颯と桜介も交えて遊ぶことに。

そのとき、一颯からクリスマスデートに誘われます。しかし、詩織からもクリスマスに遊ぼうと声を掛けられる椿。本心は一颯にあるけれども、詩織を楽しませたいとみんなで過ごすことを決意します。しかし一颯は乗り気がないようで断ってしまいます。椿も詩織に執着する理由があるようで……。椿が初めて弱音を吐く4巻です。

今までいつも正直だった椿が、一颯に嘘をつきます。本当は詩織と会いたくなかったということです。

詩織の姉は、椿と同じ病気で助からず亡くなります。椿は自分だけ助かってしまった罪悪感から、詩織とは距離を置いていました。詩織に少しでも幸せになってもらいたい、楽しんでほしいという思いで一颯とのデートを断ったのでした。真実を知った一颯が椿にとる行動が最大の見所です!

著者
湯木 のじん
出版日

おすすめエピソード⑤:椿と一颯が一気に近づく!恋の急展開【ネタバレ5巻】

詩織とケンカした椿を気にかけて、家で待ち伏せしていた一颯。そのまま椿の家に泊まることに。翌日、詩織に会いにいく椿に付き添います。結果、無事仲直り。

安堵した一颯は、学校で奈央に「椿のことが好き」とはっきり伝えました。一方、椿も告白を考えている様子。そして学校帰りの電車でついに告白。2人は両想いで付き合うことになりました。

「好きでいてくれてありがとう」
(『ふつうな僕らの』5巻より引用)

これは、椿が身を入れて告白した瞬間、一颯が返した言葉です。もし好きな人にこの言葉をもらえたら、最上の幸せですよね。一颯は誰かを好きになることからずっと目を背けていました。しかし、正直でまっすぐで「当たり前」を大切にする椿が現れます。

時には彼自身の価値観を変えてくれたことも。やがて椿に惹かれて、彼自身の気持ちと向き合い始めます。恋に消極的だった一颯だからこそ言える、心を込めた言葉かもしれません。

時には相手に丁寧に気持ちを伝える必要性が実感できる5巻です。

著者
湯木 のじん
出版日

 椿と一颯から学ぶ!思いを言葉にする大切さが『ふつうな僕らの』の魅力

普通に憧れる事情を抱えた2人の恋模様を描く『ふつうな僕らの』。過去に病気で思い出に残る学生生活ができなかった椿。耳が聞こえず話すことさえできなくなってしまった一颯。2人が時にはぶつかり、少しずつ想いを分かち合っていきます。

また桜介は母がおらず、たまに見せる孤独な一面もあります。奈央は一颯のことを冷やかす友達から守り、顔に傷を負った過去が。みんなそれぞれ人には言いにくい背景があるからこそ、本心を打ち明け伝えようとする場面は心を打たれます。キャラクター全員に応援できる要素があるため、「全員が幸せになってほしくて読んでいてつらい」という感想を持つかもしれません。

口で伝えたくても、つい面倒くさくてチャットで終わらせてしまいませんか?相手を見て丁寧に言葉にすることで初めて本当の気持ちがわかることもたくさんあります。思いを言葉にすることで関係を築いていく展開が『ふつうな僕らの』の持ち味です。

少女漫画のジャンルに属す本作ですが、そんな初心を忘れかけてしまった大人にも読んでほしい作品です。

『ふつうな僕らの』に興味津々なあなたへ。おすすめの漫画作品を紹介

『ふつうな僕らの』は作者・湯木のじんの最新作。透明感溢れるかつシンプルな絵やじんわり心に響くセリフが読者から人気を得ています。また、相手の気持ちを理解する難しさ、伝えることの重要性が問われています。最後に、この記事を読んで『ふつうな僕らの』に興味を持った方におすすめの漫画を紹介します。

『藤代さん系。』

湯木のじんの作品です。真面目で地味な藤代さんと、イケメンで人気者の久世くんのラブストーリー。『ふつうな僕らの』では、椿は耳が聞こえないことに対して同情するのではなく、一颯がカッコよくて好きになりました。『藤代さん系。』も同じように、藤代さん自身のコンプレックスを含め、久世君は好きになります。『ふつうな僕らの』の恋模様が好きな方におすすめです。

著者
湯木 のじん
出版日

作者・湯木のじんの最新情報は、本人のTwitterにてご確認いただけます。

『聲の形』

大今良時による作品。耳の聞こえない硝子とやんちゃな少年・将也とその仲間たちの物語です。硝子は転校してきたクラスでいじめられてしまいます。しかし、他にも苦しい思いを抱える生徒はうんといたのです。『ふつうな僕らの』と同様、「伝えることの大切さ」がわかる物語。映画化も実現した人気の漫画です。

著者
大今 良時
出版日
2013-11-15

まとめ

心の内を言葉にすることは、当たり前だけれどもとても大切です。その小さな積み重ねが想う人との関係を築き上げていきます。

繊細なやり取りでお互いに距離を縮めていく椿と一颯。ますます期待が寄せられる展開です。他のおすすめ漫画も含め、ぜひ手に取ってご覧ください。

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