漫画『雪女と蟹を食う』強盗犯と人妻の死に向かう不倫旅!見所や最終話をネタバレ

更新:2022.11.28

生きることを諦めた男と、高級住宅街に住む人妻の不倫旅『雪女と蟹を食う』。この記事では、『雪女と蟹を食う』の見所や最終話のネタバレを紹介します。 出会うはずのない2人が蟹をきっかけに繋がり、死ぬための旅を始めます。「死にたい」と思っていながらも、蟹は食べたい。妙な発想であるようでそのロマンに共感できてしまうと話題のwebマンガです。

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漫画『雪女と蟹を食う』は欲望剥き出しの大人向け作品

『雪女と蟹を食う』はGino0808の漫画で、2019年に「週刊ヤングマガジン」にて連載がスタート。その後、「コミックDAYS」に移行し、2020年12月に最終回を迎えました。

自殺願望のある男が、死ぬ前に北海道で蟹を食べるという夢を叶えるため、高級住宅街に住む人妻を襲い金銭を要求。しかしその後、彼女とともに旅に出ることになってしまうという、強盗犯×人妻の奇妙な不倫旅を描いたストーリーです。

突然、名も知らない男に襲われたのにも関わらず、その男とあっさり旅に出てしまう人妻。なぜ彼女は男と旅に出ようと決めたのか、その理由と2人の旅の道中が気になって読み進めてしまいます。

また、本作には不倫旅ということもあり第1話から男と人妻が体を重ね合う、ちょっと大人なシーンも登場。

辛い現実に挫折した2人の男女が欲望をさらけ出すリアルな描写が魅力的な、アダルト要素ありの大人向け作品になっています。

蟹をきっかけに始まった2人の旅【あらすじ】

『雪女と蟹を食う』1巻

夏のある日、1人の男が自宅で首を吊ろうとしていました。男は家族も恋人も、お金も居場所も失い、自殺しようとしていたのです。しかし、あと一歩が踏み出せず、なかなか死ぬことができません。そんな時、テレビで北海道の蟹を食べる映像が流れ、男は「死ぬ前に蟹を食べよう」と決意。早速翌日、行動に出ました。

しかし、調べてみると思った以上にお金がかかることが判明。そこで男は図書館で偶然出会った、高級住宅街に住む人妻・彩女の後を追い、自宅へと押し入ります。初めはお金が目的でしたが、人妻が自ら身体を差し出し、男は欲望に流されるまま体を重ね合うことに。

しかも不思議なことに彼女は、行為を終えると男を普通の客のように扱い、コーヒーを提供。被害者という立場であるにも関わらず、ごく自然に対応していました。あまりにも違和感のある対応に、逆にパニックになってしまった男は、お金が必要な理由を話してしまいます。

すると彩女は

『雪女と蟹を食う』1巻

「…私も 食べたいです 蟹」(『雪女と蟹を食う』1巻より引用)

と返答。こうして男は、この日初めて出会った人妻と、北海道まで蟹を食べに行くことになります。

著者
Gino0808
出版日

漫画『雪女と蟹を食う』登場人物

ここでは、簡単に登場人物3人を紹介していきます。

『雪女と蟹を食う』1巻

あることが原因で、家族や恋人、友人、仕事、お金、居場所を失い、自殺をしようとしますが、踏ん切りがつかず死ぬことができません。たまたまテレビで流れた蟹を見て、死ぬ前に蟹を食べようと決意。資金を集めるため、図書館で偶然出会った人妻・彩女を襲います。その後、彼女に流されるまま、一緒に旅に出ることに。北は偽名。

『雪女と蟹を食う』1巻

雪枝彩女(ゆきえだあやめ)

高級住宅街に住む30歳の人妻で、美人でかつ豊満な身体の持ち主。偶然、図書館で出会った男・北に襲われるも、「死ぬ前に蟹を食べる」という彼の目的を知るとともに旅に出ることを決めてしまうように、突拍子もないことを静かに行動に移す人物。ほぼ感情が表に出ず、何を考えているのか分かりません。夫は小説家。

『雪女と蟹を食う』65話

雪淵一騎(ゆきぶちいっき)

彩女の夫で小説家執筆取材のため出張ばかりで、ほとんど家には帰ってきていません。彩女が学生の時、教師をしていましたが、作家に転職しました。雪淵一騎はペンネーム。

漫画『雪女と蟹を食う』ここが見所!①主人公・北の心の葛藤

一度は死を決断した北でしたが、彩女との旅を通して生に執着を持ち始めていくようになります。まずはそんな彼の心の葛藤に注目です。

まず、北が死を決断した原因について説明します。ある日突然、痴漢の冤罪をかけられてしまった北。その結果、彼は仕事を失い、家族や恋人、友人からも見放されてしまいます。新しい仕事に就いても冤罪のことで嫌がらせを受け、まともに仕事をすることすら叶いません。もはや、生き地獄の状態でした。

『雪女と蟹を食う』1巻

しかし、彩女という存在が、北の心を少しずつ変えていきます。どんな時でも自分を優しく受け入れてくれる彼女に出会ったことで、北は人間としての欲望を取り戻し始めるのです。そして、彼女との未来を想像し、ともに生きてみたいと思うようになります。

すべてに絶望した男が、死ぬ前に蟹を食べたいという欲求にかられ、最終的には謎に満ちた人妻との未来を想像し、生に執着を持ち始める……。必死に葛藤する北の姿は、なによりも人間らしく感じます。

漫画『雪女と蟹を食う』ここが見所!②雪女のような冷たさを持つ人妻・彩女

突然、襲われたのにも関わらず、北についていくことを決めた彩女。そんな彼女には、何を考えているのかまったく分からないけれど、なぜか惹かれてしまう魅力を持っています。

その理由はただ1つ。男を立てる気遣いを持っているからです。

旅の道中で北が食べたいものを我慢していたら、さりげなく彼が食べられるように用意したり。昼間は純粋に旅を楽しんでいたかと思ったら、夜になると大人の色気で彼を誘惑したり……。

『雪女と蟹を食う』1巻

男なら惚れないはずがないほど、欲望をすべて叶えてくれます。まさに男にとっては、理想の女性。何より、あの豊満な身体に触れずにはいられません。

しかし一方で、夫のことになると、急に雪女のような冷たさを見せる一面も。

『雪女と蟹を食う』1巻

北は底知れない冷たさを感じながらも、彼女の妖艶な魅力にハマっていくのでした。

漫画『雪女と蟹を食う』ここが見所!③欲望のままに絡み合う2人

旅の道中、欲望のままに何度も絡み合う2人。ここで見逃せないのが、北に抱かれる彩女の色っぽさです。

昼間は大人の余裕を見せていた彼女も、北との夜の情事ではどこか恥じらいのような表情を見せてきます。

『雪女と蟹を食う』1巻

北に身体を触れられると、頬を少し赤らめて涙目になる彩女。まるで、初めてするような雰囲気を漂わせるのです。逆に、北が何か失敗すると、急に大人の雰囲気を漂わせ、いたずらっぽい表情に変わります。

情事の中で、様々な表情を見せる彩女。彼女の色気に、北だけでなく読者も釘付けになるでしょう。

漫画『雪女と蟹を食う』ここが見所!④死が目的なのに楽しそうな2人の旅

蟹をきっかけに旅を始めた北と彩女。「死ぬこと」が最終目的となっていますが、まったくそのように見えない旅の様子も見所です。

今まで自分の身の周りしか見ていなかった2人は、これまで見落としてきた美しい景色や、ワクワクする気持ちを取り戻すかのように、心の底から旅を楽しみます。

『雪女と蟹を食う』1巻
『雪女と蟹を食う』1巻

美味しいと評判のご当地グルメを食べたり、温泉のある旅館に泊まってのんびりしたり、景色の綺麗な観光地に行ってみたり。他の観光客と同じように、とにかくごく普通に旅を楽しんでいます。

周囲の人はまさかこの2人が、強盗犯×セレブ人妻という関係性だとは思わないでしょう。肝心なところでちょっと抜けている北。そんな彼をどんな時も笑顔で癒し、大人の余裕で見守る彩女。

目的である蟹を食べ終えた2人はどうなってしまうのでしょうか?幸せそうな2人の様子が、このままいつまでも続いてほしいと願ってしまいます。

【ネタバレ】なぜ彩女は死にたい?どうして北と旅に出たのか?

そもそもなぜ彩女は、金銭目的で襲ってきた北と、旅に出ることを決めたのでしょうか。すべての理由は、夫・雪淵一騎にありました。

もともと教師と教え子だった雪淵と彩女。彩女は、教師を辞めて小説家を目指した雪淵を追いかけて上京し、彼と夫婦になりました。夫を日本一の作家にするため、自身の身体を売って生活費を稼いでいた彩女。

しかし、雪淵はそんな彼女に恐怖を感じ、逃れるために別の女性と関係を持ちます。その後、彩女はたまたま眺めていたテレビ番組で、夫の不倫現場を見つけてしまうのです。

すべてを捧げたはずの最愛の夫に裏切られた彼女は、偶然出会った北を利用して、夫への復讐を決めたのでした。

これこそが、北と一緒に旅に出ることを決意した最大の理由です。

漫画『雪女と蟹を食う』【最終話ネタバレ】蟹を食べた2人は本当に死んでしまうのか?

北と彩女は、旅の終着点である稚内に突入。旅を始めるきっかけであった「死ぬ前に蟹を食べる」という目的を果たした2人は、ホテル近くの海岸へと向かいます。

『雪女と蟹を食う』7巻

死を直前にして北は、「もっと楽しい思い出を作りたい!彩女と生きたい!」と強く考えるようになります。なんとか彼女と生きる方法はないのかと考えますが、その思いは彩女に届きません。彼女の心は、旅が始まった時からもう決まっていました

そして、ついに行動に出た彩女。1人取り残されてしまった北は、どうするのでしょうか。

本当に、2人は死んでしまうのでしょうか。2人の旅を見守っていた読者の立場としては、「どうにかして死ぬことだけはやめてほしい」という思いがあります。しかし、もう彩女の心は死へと向かうばかり……。気になる結末は、実際の作品中でご確認ください。

著者
Gino0808
出版日

漫画『雪女と蟹を食う』の実写ドラマが2022年に放送

『雪女と蟹を食う』は2022年5月、テレビ東京系の深夜ドラマ枠「ドラマ24」での実写ドラマ化が発表され、同年7月から9月にかけて全12話が放送されました。

ドラマと原作漫画の違いとしては、彩女の日記が第1話で登場し、早い段階で北も日記の存在に気付きくことが挙げられます。雪枝一騎の劇中小説『雪女と蟹を食う』も序盤から視聴者に明かされました。これらはおそらくミステリー色、サスペンス色を強める意味での変更でしょう。

そのほか旅行で行く観光地が一部違いますが、ストーリーに関して原作漫画と大きく異なる部分はありません。

ドラマの監督は映画『ミッドナイトスワン』、ネット配信ドラマ『全裸監督』で知られる内田英治です。主人公の北をジャニーズWESTの重岡大毅、ヒロイン彩女を入山法子が抜擢。キーパーソンの雪枝一騎役に勝村政信、ホステスのマリア役久保田紗友といった主役級以外も実力派俳優で固めており、熱の入ったキャスティングが行われました。

原作漫画が文学作品を思わせるサスペンスラブストーリーなため、実写ドラマとは相性抜群。ドラマ版はミステリアスなストーリーと俳優陣の好演で評判となりました。

漫画『雪女と蟹を食う』沖縄編:本編の「その後」を描く家族の物語

漫画『雪女と蟹を食う』は第8巻で完結していますが、実写ドラマの放送に合わせて最終回とエピローグの間を埋めるエピソードが新たに短期集中連載で描かれました。

夏の旅から半年後、北――本名・小日向陽平と彩女は籍を入れて、北海道で暮らしていました。ある時、陽平はなぜか幼い自分が家族と海で遊ぶ夢を見ます。それは沖縄にある祖父の家に行った時の記憶でした。

陽平が家族と再会するのを望む彩女。彼女の提案で2人は新婚旅行をかねて、失踪した家族を探すために沖縄へ行くことにしました。

著者
Gino0808
出版日

沖縄の旅は、北海道の時とは地理的にも2人の心情的にも正反対。明るく和やかで陽気な旅行……になるはずでした。

『雪女と蟹を食う 沖縄編』は沖縄の観光地を巡りつつ、陽平の家族の手がかりを探す物語です。沖縄の美しいロケーションと無事結ばれた2人のロマンスを軸に、失われた陽平の家族と、これから家族になる陽平と彩女の2つ家族愛が描かれます。

家族の失踪が旅の動機だけに、当初からどこか不穏さが漂う沖縄旅行ですが、陽平を知る地元の女性、琉花(るか)の登場で完全に状況が一変。陽平の冤罪事件以来、行方不明になっていた家族は沖縄に移り住んでいたのです。

事件を恥じて陽平を拒絶する実の兄。果たして陽平は誤解を解いて、家族全員と無事に再会できるのでしょうか。

WEBマンガで大注目!Gino0808の経歴を紹介

Gino0808は、無料マンガアプリ「マンガボックス」の第1回マンガボックスインディーズリーグにて、『蝉の鳴く頃』が2位を獲得。これをきっかけに、漫画家デビューを果たしました。

現在は講談社アプリ「コミックDAYS」にて、『童貞噺』を連載中。大学デビューをした元地味男子・タカヒロが、女子ばかりの短大で刺激的な世界に浸っていく童貞黒歴史ストーリーが描かれています。

著者
Gino0808
出版日

ちなみに作者の読み方は、「ぎのぜろはちぜろはち」。作者のプロフィールは非公開となっておりますが、自身の自画像などからは女性ではないかという推測もあります。

これまでに手がけてきた作品は、青年向けがメイン。男性なら誰もが虜になってしまう魅惑的な女性や、大人の欲望を赤裸々に描いているとして、今期待を集めている漫画家です。

まとめ

蟹をきっかけに始まった、強盗犯と人妻の奇妙な不倫旅。どこか憎めない性格の北と、そんな彼を大人の余裕と色気で惑わす彩女のアンバランスなコンビネーションが、作品に深みを出しています。死へと向かう2人の旅の終わりには、一体何が待ち受けているのでしょうか。

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