学生時代に習った「化学」。得意な方と苦手な方で両極端に分かれる傾向がある学問です。その分類は非常に多岐にわたります。ひとことで表すとするなら、宇宙や地球上の物質の構造や性質を解明したり、学んだりする学問といえるでしょう。広く定義されてはいますが、実際に学問や職業分類としてとらえれば、非常に細分化されており、性質も各分野が関連性をもって発展してきています。ジャンルに特化した内容を学べばよいというわけではありません。本記事では、学問としての化学の歴史・ジャンルなどを解説するとともに、知識を生かせる仕事などにも言及しています。記事の最後には、今から学ぶのにピッタリな書籍もご紹介しています。
化学の分野は、非常に細分化されます。代表的なものでいえば「物理」「無機化学」「有機化学」「生化学」「高分子化学」などですが、各分野が少しずつ関連性や重複する部分があります。化学分野を履修する方は、広く化学について履修する必要があります。
また、論文の読解力や論文を作成する能力も必要になります。文系の能力も必要です。各理論の計算をおこなうこともあるので、数学もできたほうがよいでしょう。海外の文献を読む必要もありますので、英語も問題なく使えたほうがよいといえます。
化学を学ぶには、理数系を重点的に勉強する必要がありますが、そのほかの分野もしっかりと習得し、総合的に学習する必要があります。
化学は、自然科学のいち分野であり、物質の構造や性質、相互反応などを研究し、立証していく学問です。論文から統計づけて紐解く方法もあれば、実際に実験をしてデータ収集し、理論づけていく方法があります。
化学の大元は小学校で習う「理科」。生物の誕生から宇宙の成り立ち、金属やガラスなどの生成法など多岐にわたります。これらを細分化し、さらに突きつめていくことを学ぶ学問です。
私たちの日常には、化学の研究結果を活用したもので溢れています。仕事で使うパソコンやスマートフォンもそうでしょう。レアメタルを使用して成り立っている化学技術の恩恵ですよね。日常生活には「化学」の恩恵を受けているものであふれています。
ちょっとしたポリ袋やマイバック、衣服も「ポリエステル」からできています。さまざまな形態に形を変え、活用できるように合成するにも化学の力によるものです。食品にしても、大量生産できたり、長期保存をすることができるのは、これもまた化学のおかげなのです。
こうしてみると化学は私たちの生活に密着した学問ですよね。「化学を学ぶ・研究する」と考えると難しく思うかもしれませんが、「身の回りの生活を便利にする、生活の質を上げる」工夫を考える視点からみると、化学は多くの方にとって関わりのある学問です。
さかのぼること「古代」。この時代に化学の根源となる学問は、もうすでに存在していたようです。たとえばですが、エジプト時代のミイラを作成する方法も古代の代表的な化学です。人間の体を、死後朽ち果てないように生成し、古代にある有機物を使用して、形を残したまま乾燥し、保存する方法。これぞまさに「化学技術」でしょう。
人間の長い歴史のなかで、お酒を生成する技術やパンを発行させる技術、そのうちに金属を加工生成する技術も生まれました。その発想を化学の一環として作り上げたのが、「錬金術」といわれています。
実際には、金や銀を作る合金技術であったといわれていますが、さまざまな薬品を掛け合わせて新しい物質を生みだそうと試みられた「錬金術」こそ、中世の化学といえるのではないでしょうか。
「賢者の石」や「不老長寿の薬」など、あまりにも空想的な文言が多く知られている錬金術ですが、その陰には、近代化学への礎となる実験器具や理論が多くできたのもまた、この時代なのです。
特筆すべきは、化学分野における「薬化学」。この分野は、植物の根や葉、動物の身体の七分を原料として、古代から研究し、治療の一環として与えられ発展してきました。特に生薬といわれる漢方では、現代でも、その効果効能には相違なく用いられているものもあります。
歴史上の有名な化学者はアリストテレス、ニュートン、ゲベルスなどが有名どころでしょうか。彼らが説いた化学の礎があるからこそ、現代化学の目覚ましい発見につながったといえそうですよね。
化学を学ぶことで将来役立てられる職業はたくさんあります。化学を学ぶ=理数系の知識を習得することになりますので、比較的、高学歴といわれる職業には必須の学問と言い換えてもよいでしょう。また、それ以外でも化学技術を応用した職種には学ぶ必要がある学問です。
その分野は多岐にわたります。薬品や化粧品、精密機械、電子義気業界、医療業界では最低限の基礎知識は有していて当然とみなされます。
化学を学ぶことで、将来就職に有利になるのは、工業系の業界や製薬会社、化学開発職などです。難しい表現になりますが、薬品業界や畜産業界、電子工学の研究職となります。いずれの場合も、研究職か技術職での活躍が期待できそうです。
- 著者
- 入澤宣幸
- 出版日
本書は、「学研」から発売されている化学の前段階である、小学生の授業で習う「理科」にまで落とし込んだ書籍です。超初心者向で、化学の基礎となる「理科」を知るためにおすすめしたい本です。
授業の座学で学んでいると、よく理解できないままになることも多いですが、そんな化学を日常生活のなかに溢れている疑問を題材に、かわいらしいイラストで説明しています。ステッカーやカードなどで楽しめるツールも付属されています。
親子で楽しみながら学べて、小学校の低学年から楽しめる工夫が満載の図鑑です
- 著者
- 弘, 桜井
- 出版日
本書は、かの有名な科学雑誌『Newton(ニュートン)』が制作した化学図鑑です。化学は難解な分野という認識が一般的ですが、本書では、わかりやすいカラー図解が豊富に取り入れられていて、初心者やお子さんが読んでも目で見て楽しめます。
日常のなかに溢れている化学の恩恵にあずかった製品を例にして解説。親しみやすさも本書のポイントです。
- 著者
- 竹内 敬人
- 出版日
本書は、化学の誕生から発展・革命が起こり、現代化学にいたるまでの歴史が紹介されています。また、分子論や原子構造、周期律など、化学を知るうえで、押さえておいた方がよいポイントについても、挿絵付きで説明されています。
化学の細かな細分化についての紹介もされています。紹介されている化学の分類は、電気と化学、有機化が気、無機化学、物理化学、化学工業、高分子化学の基礎基本もまとめられています。
化学の細かい情報の検索も巻末にまとめられていますので、化学について少し知識を深めてみたい方におすすめの1冊となっています。
- 著者
- 日本化学会化学教育協議会「グループ化学の本21」
- 出版日
本書は、わかりやすくまとめられた化学の入門書です。オールカラーで非常に見やすく、目で見て、化学への理解をさらに深めることができるでしょう。本書は「入門編」「基礎編」「発展編」の3部作で構成されており、自分のレベルにあわせて書籍を選択できるのも嬉しいポイントです。
少し大人向けの内容なので、学生時代に化学の基礎基本を履修した方なら、あまり難しく考えずに読めるはずです。大人になってから知っておくと役立つ化学リテラシーを身につけたい方におすすめの1冊です。
「化学」と聞くと、それだけで理解するためのハードルが高く、敬遠されがちですが、授業での内容は比較的馴染みにくい内容で展開されているのも事実です。生活のなかにある身近な化学に触れあうことで、もう少し化学へのハードルを下げることができるかもしれません。
化学を学ぶことで、将来役立てられる職業は非常に多く、その分野も多岐にわたります。先行したい分野が化学である場合はもちろん、将来にやりたいことがまだ見つかっていない方がとりあえず学ぶ学問としても、外れない、役立てることができる分野ともいえそうです。また、お子さんが早くから触れ合う「なぜ」「どうして」にも対応することができると思います。
化学の学問に興味があるようでしたら、ぜひ一度紹介した書籍も手に取ってみてくださいね。