本は読んだ方がいいのは分かるけど、時間なくなくない?【片桐美穂】

更新:2021.12.5

1日24時間って本当にみんな平等に24時間ですか? 私だけ少ないとかないですよね? 時間だけが奪われていく今日この頃……。どこに行ってるの私の時間達ぃ……。また少し本から逃亡した、近頃の私のお話。

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私、何をやるにも時間がかかる子でして……。

SNSアップするにも2、3時間かかるし、ご飯何作るか決めるのにもスーパー3周くらいウロウロするし、台詞覚えもどっちかっていうと悪い方なんで、すっごい時間かかる!

以前も書きましたが、中学生の頃バレエの先生から「あんたは人の10倍練習して、人と同じ踊りを踊れるようになる」って言われたし、ずっと時間がかかる子みたいなんですぅ。

ここ最近何だかんだでやることがいっぱいあって、というか、1個1個に時間がかかってしまって、全然本を読む時間を確保できない!

あと、シンプルにテレビめっちゃ好き!(いぃーや!原因絶対これぇ!)

以前より読書は好きになったものの、元「本から逃亡生活」族の癖は抜けないもんで、緊急事態宣言下の今、ずーっとお家にいて隙間時間が出来るとすぐ大好きなテレビ付けちゃってさ。電車に乗るとか強制的に読まざるを得ない状況にならなきゃ、読まないよのねぇ~。やんなっちゃう。

が!しかーし! こんなダメダメな私ですが、それを逆手に取ってみようと思いました!

「本はきっと読んだ方がよいんだろうというのは分かってるんだけど、動画観ちゃうよね」

「のめり込めれば面白い本があるってことも知っているんだけど、バラエティーおもろいよね」

「途中で止まって、しおりを挟んだものの、続きから読むのが苦手なんだよね」等々…。

元々読書が苦手な私は知っている。テレビも動画もしおりもまったく悪くないけど、本から逃亡する理由が沢山あることを。元逃亡族なめんなよ!

ってなわけで、今回はそんな理由をぶっ飛ばして、読書初心者でも、時間がなくても、ちゃちゃ!っと読めるうえに、読書の幸福感や満足感を味わえる作品を紹介します!

 

著者
星 新一
出版日
1971-05-25

 

ショートショートの神様と言われている、星新一さんの超人気作!

題名の「ボッコちゃん」はじめ、「おーい、でてこーい」や「殺し屋ですのよ」等、著者自身が選んだ50編のショートショートを収録。

ファンタジーもあればSFやミステリーあり。上品なユーモアと鋭利な風刺とで織り成される星新一ワールドに夢中になること間違いなしの作品です!

星新一さんの存在はもちろん知っていたのですが、元逃亡族なもんで、もちろん読んだことはなく、手に取った理由は「短いのがいっぱい入ってて読みやすそう。」でした。本を読むきっかけは何でもいいのさ! とにかく、理由は何であろうが、この作品選んだ私を誉めてあげたい!

これは、もうね~、止まんないよ~!

1作品10ページ程、短いもので3ページとかなんですが、伏線とオチが美しすぎて次の作品次の作品!って手が止まんないんです。読み終わる度に「おぉ~」とか「なるほどねぇ」とか言っちゃって!

まず、発想が素敵過ぎるのね!

たとえば、「変な薬」という作品で登場するのは、「カゼひきになる」薬。約1時間外見だけカゼの症状がでるんだとか。ありそうでなさそうな絶妙なラインに好奇心が掻き立てられるんです。

このありそうでなさそうな世界観は俳句のようで、1行目で場所や色彩やら「ぐわっ!」っと引き込んで行くもんだから……もう!癖になっちゃうぅ!

山手線1駅2駅くらいで、宇宙に行けたり、未来かもしれない世界を覗けたりするので、手軽なのに、最っ高にワクワクします!

少しだけスマホから手を離し、星新一さんの世界に巻き込まれてみてはいかがでしょうか。本から顔を上げたら、そこはもう違う世界かも……。

 

著者
村田 沙耶香
出版日
2018-09-04

 

主人公の古倉恵子はコンビニでのアルバイト歴18年の36歳の彼氏なし、未婚。幼少期は、公園で小鳥が死んでいて他の子が泣いているなか、「焼いて食べよう」とか言ったりする、少し奇妙がられる子供だった。親は「治る」ことを望んでいるみたいだし、「治らなくては」と思いながら大人になった。

コンビニ店員として「生まれた」彼女の勤務態度はいたって真面目。無遅刻無欠勤で「可もなく不可もなく、とにかく店員として店に存在する」ということが大事だと思っている。だってここは「異物はすぐに排除され、強制的に正常化される場所」だから……。

日々コンビニ食を食べ、夢のなかでもレジを打ち、「店員」でいるときだけ、世界の歯車の部品になれると感じる彼女は、婚活目的の新入りアルバイトの白羽に、「そんな生き方は恥ずかしい」と突き付けられる……。

「普通」とは何かを問う第155回芥川賞受賞作です。

この作品を手に取った理由は「芥川賞受賞作って読んだことない気がする……」です。

ちょいと天の邪鬼な私は、世の中で話題になってるものに手を出してこなかったんですねぇ~。なんか、めっちゃ話題になったの記憶に残ってるし、いつまで者に構えてんのさ、私!という具合で勢いよくレジへ向かいました!

200ページ未満とページ数は少ないながらも、重厚感と言いますか、考えさせられることがありすぎました。

毎日生活している中で、無意識にでも、「普通でいること」「世の中からはみ出さないこと」に重点を置いて生きてる瞬間って沢山あって、電車乗るときとか、ご飯食べるときとか、服装とか、何でもかんでも「普通は」が纏わりついてると思うんです。

とある舞台に出演したとき、「小さな冷蔵庫からジュースを取って閉める」という動きがありました。私が演じたのは、ゴミをゴミ箱に投げて捨てるような性格の役だったので、「足で軽く蹴って閉める」という動きを選択しました。

しかし、演出家さんからは「普通の人は足で閉めない」とのダメ出しが。

「これが、私(役)の普通です!」と感じつつ「はい」と言いましたが、モヤモヤしたのを覚えています。

こうした、「普通の強要」みたいなことって、世の中では沢山起きてきて、私はそれで悩むことがあるのですが、この作品を読んだことで少し楽になりました。色んな人に何言われても、「私はこうなんじゃ!」って生きていいんだよ、と背中をそっと押してくれるような、そんな優しさがあるのです。

「普通の基準」って人によって全然違うから、この作品の感想もまた様々あると思います。私は救われるけど、「えー!」って思う人もいるだろうなーと感じました。

この作品を読むことで「普通」について考えるきっかけが生まれるだけでも、個々が人間として生きやすい世界に近付ける気がします…。

【あとがき】

今回は、ちゃちゃっ!と読めて、「本読んだー!」の達成感と充実感を感じられる2冊を紹介いたしました! ショートショートと短編小説の手軽さと魅力にハマり、今回の加えあと2冊読んでしまいました……。クッ……。短時間で色んな世界行けるから、楽しくて仕方ねぇじゃねーか! 本から逃亡するのは、しばらく出来そうにありません……。本なんて最近全然読んでないなー。って方に届くと嬉しいな。それでは! また来月~!!!

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