異世界ものといって最初にイメージするのは、モンスターや国同士のバトル、ダンジョンストーリー系。そういった内容もワクワクして面白いけれど、女性にはなかなか手を出しにくいですよね? 今回紹介するのは、女性におすすめしたい異世界もの。女性ヒロインが活躍する異世界作品です。あらすじや魅力を紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
2019年7月より「裏サンデー」で連載が始まると、これまでの異世界ものとは違う!と注目されている異世界ラブファンタジー。
それが和泉杏花原作、桜田霊子作画の『異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました。』です。
ある日突然、神と名乗る謎の球体に、救世主として異世界を救ってほしいと言われてしまうアラサーOL・月奈。
アラサーの自分には向いていないと一度は断りますが、これは強制だと押し切られてしまいます。代わりに願いを何でも叶えると言われた月奈は、自身の趣味である読書と料理が詰まったブックカフェの経営を始めることに。
郊外でひっそりと営むお店に、早速1人目のお客さんがやってきます。
本作が他の異世界ものと違うと言われている1番の理由は、主人公・月奈の人間性です。彼女はとにかく現実的で冷静沈着。
普通、救世主として異世界に行ってほしいと言われたら、喜んでいく人がほとんどだと思います。しかし、月奈は今の年齢では体力的に無理だし、現世での生活に満足しているため、わざわざそれを捨ててまでいくメリットがないと拒否。
結局、強制的に行くことになった場合も事細かにお願いを要求しました。異世界の言語や一般常識が理解できるようにしたり、救世主としてあまり目立たないように救世主の証である刻印を後頭部の髪の毛の下にしてもらったりと、向こうでの生活が穏やかに過ごせるようにします。
本当にこれから異世界に行くのだろうか?と思うほど、落ち着いている月奈。異世界に飛ばされてからもそのスタイルは変わりません。どこまでも冷静で自分のペースで異世界を楽しむ彼女の様子に、自分もこんな生活をしてみたい!と心惹かれてしまいます。
ちなみに、ブックカフェ最初のお客さんとなった騎士との恋愛模様も見所です。
- 著者
- ["和泉 杏花", "近江谷", "桜田 霊子"]
- 出版日
『異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました。』は漫画アプリ「マンガワン」にて無料で読むことができます。
日向夏による中世の宮中を舞台にした薬学ミステリー『薬屋のひとりごと』。2011年に「小説家になろう」で連載後、作画・倉田三ノ路「サンデーGX」と作画・ねこクラゲ「ビッグガンガン」でコミカライズ化。シリーズの累計発行部数は1250万部を突破している大人気作品です。
花街で薬屋をしていた猫猫(マオマオ)。薬草採取をしていた彼女は、ある日、人さらいに誘拐されて後宮の下女になってしまいました。
一刻も早く出ていくため大人しくしていようと心に決めた彼女でしたが、皇帝の子どもたちの不審死事件を聞いてしまいます。好奇心と知識欲、ほんの少しの正義感が抑えきれなくなった猫猫は、事件の真相を調べることに。
その結果、ある1人の宦官に目をつけられてしまい……!?
古代中国を思わせるような世界観で、元薬屋の少女・猫猫が薬学の知識を発揮して後宮内で起きるさまざまな事件を解決していくストーリーが面白いと人気を集めています。
次々と起こる薬が絡んだ事件を猫猫が原因を見つけていくのですが、その過程や解説がわかりやすくて勉強になります。それと同時に猫猫の鋭い観察力や洞察力、そして薬の知識力の凄さに驚かされるのです。
話の軸になっているのは後宮内で起きる事件の解決ですが、もう一つおすすめしたいのが、猫猫と彼女の能力に真っ先に気づいた宦官・壬氏(ジンシ)の関係。
壬氏は猫猫の能力に興味から彼女自身の好意へと変わり、さまざまなアプローチを仕掛けます。しかし、いくら後宮内で美形と噂され頭の回転も早い壬氏からのアプローチでも猫猫にはまったく響きません。
後宮内で事件が起きる度に猫猫に解決策を求める壬氏と、文句を言いながらも彼の要求にきちんと答える猫猫。どう見ても2人はいい雰囲気でお互いを信頼し合っています。
実際のところ、猫猫は壬氏をどう思っているのか?2人はいつになったらくっつくのか今後の展開が気になってしまいます。
- 著者
- 日向夏
- 出版日
- 2017-09-25
香月美夜による『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』は、2013年から2017年まで「小説家になろう」で連載。
「このライトノベルがすごい!」で2018年度版と2019年度版に第1位を獲得、2015年にはコミカライズされた大人気シリーズです。
本が大好きで本だらけの部屋に住んでいる女子大生が、地震が原因で本に押しつぶされて亡くなってしまいます。しかしその直後、彼女は異世界の兵士の娘・マインへと転生。
しかもその世界は識字率が低く、本が少ない世界だったのです!本が大好きなのにまったく手に入らない状況に絶望したマインは、自ら本を作ることを決意します。本好き少女が、本のためにすべてを捧ぐ、ビブリア・ファンタジーの開幕です!
文字も本も普及していない世界に転生してしまった主人公が、生きがいである本を手に入れるため、周囲を巻き込んで突き進んでいく姿に元気を貰えます。
彼女が転生した異世界は、社会的地位が重要視される世界。誰もが生まれた時から決まっている身分に逆らうことなく過ごしている中、彼女は大好きな本のため、苦渋の決断でもある大好きな家族との縁を切って貴族の養女となり、自身で本を作ろうとただひたすら前に進んでいきます。
そのぶれない意志の強さに、私たち読者も彼女のように夢や目標に向かって頑張ろうと勇気づけられます。
- 著者
- ["鈴華", "香月美夜", "椎名優"]
- 出版日
『聖女の魔力は万能です』は橘由華によるライトノベル。2016年に「小説家になろう」で、2017年に藤小豆によりコミカライズの連載が始まりました。
毎日残業の仕事人間のOL・小鳥遊聖(たかなし せい)は家に帰宅した直後、謎の光に包まれて異世界へと飛ばされてしまいます。そこにはもう1人、彼女と同じように異世界に飛ばされた少女がいました。
2人は聖女として国を守ってもらうために召喚されたのですが、その国の第一王子は聖には目もくれず、もう1人の少女を聖女だと言って連れて行ってしまいます。
放置されたことに怒った聖はその場から立ち去ろうとしますが、説得されて仕方なく王宮で過ごすことに。暇を持て余していた時に偶然、薬草園を見つけて薬草に興味を持った彼女は、そのまま薬草植物の研究員として働くことになります。
聖女の1人として召喚されたものの、王子に放置されてしまった聖。そんな彼女が異世界で興味を持ったのは、薬草を扱ったポーション作り。
日を追うごとにレベルを上げ魔力を上げていく彼女を見て、しだいに周囲から本当の聖女はこっちなのでは?思われるようになります。
聖女としてもヒロインとしても周囲から注目を集めている彼女は、とにかく真面目で勉強熱心。周囲の人たちも聖女としてではなく、1人の研究員として彼女のことを高く評価しています。
聖女として飛ばされたはずなのに王子からは酷いを扱いを受けても、新しい世界で自分にできることを見つけて地道に努力する姿。
そして、困っている人に手を差し伸べられる心の優しさ。聖のように誰からも共感されるヒロインは、女性読者からも人気を集めており応援する人が続出。今後、彼女が聖女としてどうなっていくのでしょうか。
- 著者
- ["藤小豆", "橘 由華", "珠梨 やすゆき"]
- 出版日
「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」で第1位を獲得している『わたしの幸せな結婚』。和風シンデレラと呼ばれ、女性から圧倒的な支持を集めている作品です。
物語は明治、大正時代。異能を持つ家系に生まれながら異能を持たない美世は、義母と義妹から虐げられていました。実父も関心がなく見てみぬふり。助けを求める人がいない状況で、彼女は自尊心をどんどん失っていきます。
そんなある日、嫁入りを命じられた美世。その相手は冷酷無慈悲と噂されている若き軍人・清霞(きよか)なのでした。やっと苦しい状況から抜け出せると思った彼女でしたが、相手が清霞だと知り絶望します。
それでも、わずかな望みをかけて清霞のもとへ嫁いだ美世。しかし、早速、冷たい言葉を投げかけられてしまいます。果たして美世は、この結婚で幸せを手に入れることができるのか……。
『わたしの幸せな結婚』の見所は、美世と清霞の恋模様。美世は実家での待遇から自尊心を失い、感情を無くしていました。そのため表情も乏しく、つねに無表情です。
初めは警戒していた清霞も、そんな美世の姿に疑問を持ち始め彼女のこれまでを調べ始めます。すべてを知った清霞は美世を幸せにしたいと思うようになり、少しずつ距離を縮めていこうとするのです。
一つ一つ確認するように、ゆっくりと時間をかけて育まれていく2人の幸せな様子が、心がじんわりと温かくなるでしょう。
- 著者
- ["顎木 あくみ", "高坂 りと", "月岡月穂"]
- 出版日
どの作品も主人公が可愛くて魅力的ですね。今回紹介した『異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました。』と『薬屋のひとりごと』はマンガワンで読むことができますので、興味を持った方はぜひご覧ください。