もぐすの『恋と呼ぶには気持ち悪い』は、社会人×女子高生の年の差ラブコメストーリー。狂信的な愛情表現していく相手に初めは嫌がりつつもしだいに惹かれていく女子高生が、年の差という大きな障害に悩む姿が描かれています。 2021年4月にはアニメ放送も開始し、最終巻も発売されたばかりと注目の作品です。この記事では作品の見所や全巻のあらすじをネタバレも含みつつ紹介します。
2021年3月に最終巻が発売され約5年間の連載を終えた、もぐすの『恋と呼ぶには気持ち悪い』、略称「恋きも」。エリートサラリーマンが妹の親友であるオタク女子高生に、恋をしてしまう年の差ラブコメディです。
2015年にPixivに投稿されると累計閲覧回数が350万を突破。「Pixivマンガベストセレクション」にも掲載された大人気作品で、2016年より一迅社で書籍化、さらに「comic POOL」で連載が始まりました。シリーズの累計発行部数は2021年3月時点で、120万部を突破しています。
2021年4月よりアニメ放送もスタート。女子高生の有馬一花役を小坂井祐莉絵が、社会人の天草亮役を豊永利行が演じています。
亮の狂信的な熱烈アピールに気持ち悪がる一花。しかし、しだいに亮と一緒にいる時間が心地よくなり、自分でも気づかないうちに少しずつ惹かれていく一花の変化に注目です。社会人×女子高生の年の差ラブストーリーが好きな人には、きっと刺さること間違いなし!全8巻で完結済みですので、2人の恋が最終的にどうなったのかまで一気に読むことができます。
まずこちらのセクションでは『恋と呼ぶには気持ち悪い』の登場人物を紹介していきます。一花と亮の恋に関わってくる重要人物も注目です。
17歳の女子高生。駅で亮を助けたことがきっかけで、彼から熱烈なアプローチを受ける。毎日繰り返される愛情表現を気持ち悪がり罵倒しているが、いつの間にか本人の気づかないうちに惹かれていくように。アニメや漫画が好きなオタクで、ときどきそのような言動や発言も出る。
一花の親友・理緒の兄で、27歳の社会人。ルックス良し、学歴良し、一流企業の課長代理を務めるエリートサラリーマン。しかし、女癖が悪く、妹からもクズ呼ばわりされるほど性格は最悪。一花に一方的な想いを寄せてからは、これまで関係を持っていた女性と縁を切っている様子。
一花の親友で亮の妹。美人で成績優秀、スポーツ万能と兄と同じように完璧。美人ではあるが、ズバズバと言う性格からクールに見られがち。兄とは10歳年が離れており、昔はあまり好きではなかったらしい。しかし、兄が一花に惚れてからは頻繁に話すようになり、兄妹の仲も良くなっているそう。兄と一花の恋を応援している。
亮の中学からの友人で、現在はフリーカメラマンをしている。基本、ふざけたり茶化した発言が多いが、亮の恋を応援している。これまでいろんな女性に手を出していた亮を変えた、一花に興味を持つ。
一花のクラスメイトの男子高校生。文系部に所属しているが幽霊部員で、一花とはラノベ『フォアワード・ワールド』をきっかけに仲良くなる。一花に片想いしており、彼女にアプローチしている亮のことを気にしている。じつはよく見るとイケメンで、密かに女性生徒から人気があるらしい。
亮と同じ会社に勤務しており、彼とは部署は違うが同期。一花も好きな『フォアワード・ワールド』にハマるオタク。会社や友人にはオタクであることを秘密にしているが、ある日亮に知られてしまう。オタクであることをバカにされると思っていたがそんなことはなく、それをきっかけに亮に想いを寄せるように。
亮の一花に対するド直球な愛情表現。これこそが『恋と呼ぶには気持ち悪い』と他の恋愛漫画と違うところでしょう。
彼が一花に向ける愛情表現は、とにかく真っ直ぐでピュア。もはやピュアを通り越してド変態レベルです。
一花に惚れた翌日には妹を通してぬいぐるみや高級チョコのプレゼント、そして毎日一輪の花を贈るというアプローチぶり。妹の理緒ですら女性に贈り物をする兄を見るのは初めてだというほど、一花への熱い想いをアピールしています。
亮本人も、一花に迷惑がられたとしても止める気はないと宣言していました。彼にとって一花の罵倒は、照れ隠しの愛情表現であり喜ばしいことなのでしょう。だから、たとえどんなに一花が迷惑がってもムダということです。ただただ亮の愛情表現を受け入れるしかありません。
これまでさまざまな女性と関係を持ってきた亮は、本当の恋を知らずにいました。それは一花も同様です。彼女自身も趣味が優先で、恋愛は後回しにしていました。そんな2人が本当の恋を知って、少しずつ成長していく姿は必見です。
少し優しくすれば、大体の女性は落とせていた亮。しかし、一花にそれはまったく通用しません。むしろ嫌悪されてしまいます。その瞬間、彼は今までに感じたことのない感情が芽生えるのです。そして心の底から一花を落としたい!と思いアプローチを始めます。
一方、一花も初めは亮が自分に酔いしれているナルシストだと思っていましたが、そんなこともないと気づき始めます。無意識にオタク発言をした時は特に気にするそぶりもなく話にのってくれたり、サラッと一花が好きだからいろいろやってあげたいんだと言ってみたり。クズな部分もあるけれど、人として尊敬できる優しい一面もあるんだと見方を変えるようになります。
それを決定づけているのが、亮のアプローチに罵倒こそしても絶対に「嫌い」とは言わないこと。それが亮にとっては密かに嬉しいことで、さらに好きになってしまう要素でもあるのです。
一花と亮の年の差は10歳。しかも一花は妹の親友。この年の差をどう乗り越えていくのかも、気になるところです。
冒頭からエンジン全開で一花にアプローチをかける亮は、あまり年の差を気にしていない様子。しかし、一花は年の差や親友の兄というポジションなど、周囲からどう見られてしまうのかを気にしています。
年の差だけでなく心の距離すらある2人。亮はどうやって一花の心に近づき、彼女の不安をなくしてあげられるのか。そもそも2人の関係は周囲に認めてもらえるのでしょうか。その結末は、ぜひ漫画をご覧ください。
ここからは、各巻のあらすじと見所をネタバレありで紹介します。
朝の出勤・通学で込み合う駅。体調不良でフラフラしていた天草亮は、人にぶつかり階段から落ちそうになります。その瞬間、彼を助けたのが女子高生の有馬一花でした。ただの人助けで終わるはずだった一花。しかし、この出来事がきっかけで、彼女の人生が少しずつ狂い始めます。
一花が助けた相手は、親友・天草理緒の兄でした。その後、再会した2人。亮は一花にお礼を提案します。最初は服や靴などのプレゼントでしたが、「キスやデートは?」とエスカレートした内容を提案してきて……。
その言葉にドン引きした一花はただ一言
「え、気持ち悪い」(『恋と呼ぶには気持ち悪い』1巻より)
思ったことを、そのまま口に出してしまいます。我に返って謝る一花でしたが、なぜかそれが亮の胸をときめかせてしまうのです。
それから彼は毎日自宅に花を送ったり、街中で見かければストーカーのようについてきたりと変態級に猛アタック!一花の悩ましい日々が始まります。
第1巻での見所は、亮が一花に惚れた瞬間。蔑むような目で見つめながら、「気持ち悪い」と言った一花に対し、亮はなぜか胸をときめかせます。頬を染め興奮した様子で見つめる亮は、一花だけでなく読者も引いてしまうほどです。
また表紙カバーには実物でないと気が付けないある工夫がびっしり施されていますので、ぜひ書籍を手元にして確認してみてください。
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1巻で文化祭を見に来た亮と、少しだけいい感じになった一花。階段で落ちそうになり咄嗟に抱きとめてもらった時に、彼から香水の匂いがして途端に大人なんだと実感してドキドキしてしまいます。
このまま2人はいい感じになるのか?と思った矢先に、亮にとって強敵なライバルが登場。それが一花のクラスメイトである多丸快です。一花の大好きなラノベを読んでいたことがきっかけで、一気に距離を縮めていく2人。
しかも、なぜか彼は一花と亮の関係をやたら気にしているようで、「からかわれている」と忠告します。その結果、一花と亮はギクシャクしてしまうのです。
第2巻での見所は、風邪をひいてしまった一花のもとへ亮がお見舞いに行く場面。じつはこの時、2人はちょうどギクシャクしていた時期でした。それでも亮はそんなことは気にせず、一花のもとへと向かいます。たとえどんなに好きな人から拒絶されても、その人のためならなんだってしてあげたい……。亮の心の広さと優しさにじんわりさせられました。
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多丸の言葉でギクシャクしたものの、無事に仲直りできた一花と亮。一花は相変わらず亮の熱烈なアプローチに迷惑しているものの、彼自身を嫌っていないことに気づき始めます。
そして季節はクリスマス直前。一花はテスト勉強を手伝ってくれたお礼もかねて、亮にプレゼントを贈ることにしました。一方、亮ももちろんのこと一花にプレゼントを渡す予定です。理緒のアドバイスのおかげでクリスマス当日にプレゼントを渡せた2人は、理緒も含めて3人でクリスマスパーティーを過ごしました。
第3巻は全体的に一花と亮がほのぼのと距離を縮めていくストーリーでした。しかし、後半で大きく動き始めます。これまで一花と亮の関係を気にしていたライバル・多丸が、修学旅行の自由行動前日に「俺と一緒に回らない?」と一花に声を掛けてきたのです!
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多丸の誘いで大好きな作品の聖地巡礼をするため、自由行動を一緒に回ることになった一花。途中、益田に出くわすハプニングが起きつつも、無事に修学旅行を終えて帰宅します。
一花から修学旅行のお土産をもらった亮は、強引に映画へと誘います。じつはその前に、益田から一花と多丸が2人で自由行動をしていたと聞いた亮。なぜそうなったのか聞きたくて誘ったのですが、結局聞くことはできず微妙な雰囲気のまま別れます。
第4巻で修学旅行のちょっとした期間ですれ違いになり、近づいたはずの距離が再び遠のいてしまった2人。ここにきて、年の差ゆえの歯がゆい障害が出てきてしまいます。
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一花が好きなラノベの新刊発売日。多丸と亮はその新刊を買うため、偶然同じ書店で出会ってしまいます。ライバルだと自覚している2人は、互いにけん制しながらその場を後にしました。
そして季節は2月。バレンタインが近づきソワソワし始める一花。益田から亮のバレンタインに関するトラウマを聞いた一花は、ある決意をしてバレンタイン当日、亮のもとへ向かいます。なんと一花がバレンタインに亮に贈ったのは、チョコレートではなくハグでした。ずっと亮からのアプローチを嫌がっていた彼女にとって、2人の関係を前進させる大きな行動です。
一方、多丸にも友人の1人として、チョコレートを渡していた一花。しかし、多丸から返ってきたのは予想外の返事。彼は一花から貰うなら、本命がいいと答えたのです。これまで一花に想いを寄せながらもはっきりと言ってこなかった彼が、ついに告白をしました。
多丸からの告白に戸惑ってしまう一花。一体どんな返事をするのでしょう。一花の返事が気になる第5巻でした。
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多丸に告白された一花は、彼に返事をするため休日に2人で出かけます。多丸の告白に対して彼女が出したのは、大切な友人の1人ではあるが付き合えないという返事。一花は多丸の告白を受けて、亮への想いを自覚したのです。
一花を狙うライバルがいなくなり、後は亮とくっつくだけと思われたのですが、今度は彼のほうにアプローチをかけてくる女性が浮上。それが会社の同期で、バレンタインにチョコレートを贈った松島有枝です。飲みに誘った彼女は、その日、亮に告白しようと決意していたのでした。
亮への想いを自覚した一花でしたが、なかなか思うようにはいきません。一花にゾッコンの亮ですので松島の告白は断ると予想したいところですが、何だか雲行きが怪しくなっている第6巻です。
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意識していなかった松島からの告白。そして彼女から一花との年の差を突っ込まれてしまい、急に怖気づいてしまう亮。益田にそのことを相談すると、「いい加減、誠意ある行動しろよ」と諭されてしまいます。
その後、バレンタインのお返しをするため、一花をスイーツビュッフェに誘った亮。そこで偶然、会社の同僚に出会ってしまいます。2人の関係を聞かれた一花は、咄嗟に妹だと嘘をついてしまいます。そんな一花の様子を見て、複雑な心境になる亮。年齢など関係なく、自由に恋愛ができたらいいのに……と思ってしまうのでした。
これまであまり2人の年の差について触れていませんでしたが、終盤にかけて急に2人の間を引き裂くかのように大きな障害として出てきます。こんなにも好きなのに、世間からは認められにくい関係に悩む2人の姿が切なくて苦しい第7巻です。
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そしてついに最終8巻。亮に対する気持ちに向き合いようやく答えを見つけた一花は、自ら想いを伝えようとします。しかし、今度は逆に亮のほうが、一花と距離を置こうとするのです。
過去にした自身の行い、これまで一方的につきまっとって迷惑をかけていたこと。そして不仲の父親に一花との関係を知られ、こんな自分では彼女を幸せにできないと思い始めます。
その後、亮からの連絡が途絶えてしまい落ち込む一花。このままではダメだと思い、彼と連絡をとろうと動き出します。はたして一花は、亮と再び会うことができるのでしょうか。年の差に悩む亮は一花と向き合えるのでしょうか。最後に見つけた2人の答えとは……。
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『恋と呼ぶには気持ち悪い』の作者・もぐすは、青森県出身で在住の女性漫画家。弘前大学を卒業後、一般企業に勤めながら趣味として創作活動を行なっていました。「Pixiv」で投稿した『恋と呼ぶには気持ち悪い』が人気を集め、漫画家としデビューします。
最終8巻が発売された『恋と呼ぶには気持ち悪い』の同日には、レストランが舞台のファンタジー作『潮騒の魔女』の最終2巻も発売。
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こちらは海の上にポツンと浮かぶレストランで魔女と黒猫が、訪れる客の悩みを料理にして提供するというちょっと変わったストーリー。このレストランは客の悩みを食べられるお店で、メニューはなしで魔女が客の悩みを聞いて作るお任せのみ、しかも魚介料理のみというもの。訪れた客は皆、最初は驚きながらも、最終的には魔女の出した料理を食べて笑顔で帰っていくのです。
一見ぶっきらぼうで冷たい印象の魔女ですが、訪れる客の悩みを何だかんだと聞いてくれます。料理と一緒に背中を押してくれる魔女の言葉にも勇気づけられます。レストランを訪れた客と同じように、私たち読者も読み終えた頃には心がスッと軽くなれる作品です。ぜひお手に取ってみてください。
また、『恋と呼ぶには気持ち悪い』(「恋きも」)のアニメが好き!という方にもおすすめなのがこちらの「恋きも」の原画イラスト集。過去の特典を逃してしまったという方や、インタビューを通して作者・もぐすについてもっと知りたい方も楽しめる特別な1冊。紙の書籍としてお手元に揃えておきたい作品です。
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初めはあんなにも気持ち悪がり距離のあった一花と亮が、最後には感動的なラストで最終回を迎えました。恋は人を成長させるというのが、ひしひしと伝わってきた最高のラブストーリーになっています。ラストのモノローグでは2人の恋を応援し、見守っていた読者にとって涙なしでは見られないものになっていますので、ぜひ実際にお手に取って確認してください。