「小説家になろう」で投稿後、書籍化&コミカライズ化された『31番目のお妃様』。この記事では本作の見所や各巻のネタバレを最終回まで紹介します。辺境の地からやってきた31番目の妃候補・フェリアが、後宮で女官長や他の妃候補たちの洗礼に負けず、王妃になるため逞しく凛々しく成長していく身分差下剋上ラブロマンスです。
『31番目のお妃様』は「小説家になろう」に投稿されていた、桃巴(ももともえ)による作品。2018年6月にビーズログ文庫より書籍化、同年10月にはB's-LOG COMICにて七輝翼(ななきつばさ)作画でコミカライズの連載が始まりました。
王都から離れた辺境の地・カロディア領の娘フェリアが、ダナン国王・マクロンの31番目のお妃様に選ばれ、後宮内で妃候補の姫たちの洗礼を受けながら妃を目指していく身分差下剋上ラブロマンス。
2020年には原作小説とコミックスの同時発売を記念して、ボイスコミック化もされました。フェリア役を鬼頭明里、マクロン役を石川界人、マクロンの側近・ビンズ役を石谷春貴など、豪華声優をキャスティング。ぜひこちらもご覧ください。
貧乏くじと言われている31番目のお妃様に選ばれたフェリア。後宮内で女官長や妃候補たちから意地悪されたり、厳しい状況に追い込まれても、持ち前の明るさで自分らしくありのままで立ち向かっていきます。身分違いの恋にもまったくめげない、爽快下剋上ラブロマンスが読みたい人におすすめの作品です。
カロディア領の娘。領主の娘ではありますが、そんなに裕福ではなく質素な生活を送っています。炊事、洗濯、裁縫など家事全般は何でも1人でこなせるお嬢様。「貧乏くじ」と言われていた31番目のお妃様に選ばれ、仕方なく後宮入りします。妃候補になっても本人にはあまり自覚がなく、カロディアにいた頃のように畑仕事をしながら後宮生活を送っています。誰に対しても分け隔てなく接し、かつ気配り上手。さらに売られた喧嘩は買う!という逞しい性格をしており、そんなところをマクロンに気にいられるように。
ダナン国の王。25歳のころに突然両親を亡くし王座に就きます。若くして王になりましたが、厳格な性格できちんと王政を取りまとめています。王妃の座がほしいだけの妃候補たちの性格の悪さや教養のなさに、嫌気が差していました。妃選びにあまり乗り気でなく、「本当にこの候補者の中に生涯をともに背負える妃がいるのだろうか?」と思っていた時に、他の妃候補たちとは違うフェリアの対応に惹かれていくように。
ダナン国の騎士隊長でマクロンの側近。幼い頃にお忍びで城下町に来ていたマクロンが迷子になり、それを助けたことがきっかけで彼を支える関係になります。妃選びに乗り気でないマクロンと妃候補たちに振り回される苦労人。侍女のいないフェリアが困らないように後宮生活をサポートしています。フェリアが妃として選ばれることを望んでいます。
31番目のお妃様であるフェリア邸の警護騎士。妃候補らしくないフェリアの対応に初めは驚きつつも、彼女の明るさにほだされ慕うようになります。後にフェリアの侍女となったケイトとは姉弟。
第4話で登場するフェリアの侍女となる女性。かつて有能な侍女として活躍していました。すでに引退していたのですが、マクロンの命令でフェリアの侍女を探すことになり抜擢されます。おおらかで明るい性格だったためフェリアとも気が合い、よい関係を築いていくように。
ダナン国の女官長。マクロンの母である王妃の侍女をしていました。急逝した王妃の代わりに後宮を統括するようになったのですが、その結果権力を持つように。「侍女はいらない」と歯向かってきたフェリアに、嫌がらせや圧力をかけています。フェリアを敵視している11番目の妃候補・サブリナと手を組み、何やら怪しい動きをしているようで……。
カロディアの領主。フェリアの兄(長男)で、3年前に事故で亡くなった両親の代わりに領主となりました。
フェリアの兄(次男)。兄・リカッロの補佐として支えています。
15番目の妃候補。両親に甘やかされて育てられたため、自己中心的な性格でわがまま。担当の騎士を下僕扱いしたり、他の妃候補たちの邪魔をしたり、何かと問題を起こしては注意を受けています。フェリアにはミミズ箱を送ったり、お茶会でも嫌みを言ったりと嫌がらせをしますが、まったく相手にされません。
11番目の妃候補。マクロンが主催したお茶会で注目を浴びたフェリアを潰そうと、怪しい動きを始めます。女官長と手を組んで深夜に賊を雇ってフェリア邸を襲わせたり、毒を手に入れてフェリアに飲ませようとしたり、ミミリー以上に意地汚い手段でフェリアを妃候補から降ろそうとします。
2番目の妃候補。高慢で王であるマクロンの前であっても、一切笑顔を見せません。妃候補としてやってきましたが、早々にフェリアの妃としての素質に気づき、妃を辞退。その後はフェリアの妃教育をしたいとマクロンに提案し、フェリアが妃になれるよう彼女の盾となります。基本無表情な彼女ですが、フェリアの予想外の言動には笑顔を見せているらしい。
ここからは『31番目のお妃様』の魅力を2つ紹介します。
まず1つ目は、お妃様らしくないフェリアの人柄。フェリアは妃候補として後宮入りしますが、「自分のことは自分でできる!」と侍女も付けずに自身の力で生活しています。
31番目の妃候補として用意された邸宅は、木造の家で草が生え放題の庭。1番ランクの低い邸宅で、普通の令嬢であれば、「こんな田舎臭い場所に住めない!」と怒るところですが、フェリアはむしろ生活しやすいと大喜びします。自分で畑を耕し、料理を作り、布から服を作り……と、カロディアにいた頃と同じ生活を送っていました。
フェリアの態度が気に入らない女官長から食べ物の支給をされなかったり、部屋の日用品を用意されなかったりと嫌がらせを受けた時も、持ち前の明るさと売られた喧嘩は買う!という逞しい根性で、すべてを乗り越えてしまいます。
さらにフェリアが慕われる理由はもう一つ。フェリアは彼女の邸宅を警護する騎士たちに料理を振る舞い、彼らの体調が悪い時にはそれに合った薬草茶を淹れたりと気遣いを見せます。最終的にはフェリア邸の警護をする騎士だけでなく、他の騎士たちからも慕われて、フェリア邸は癒しの場となりました。
自分のことは自分でできる!という逞しさで、どんな酷い嫌がらせも乗り越えてしまうフェリア。そして、カロディアにいた頃のように周囲の人を気遣う彼女の人柄に、騎士たちは心を鷲掴みにされ慕うようになるのです。妃候補だからとお高くとまっていないフェリアこそ、本当の妃なのではないでしょうか。
2つ目の魅力は、フェリアとマクロンの身分違いの恋。
31番目の妃候補として仕方なく後宮入りしたフェリアは、初めはまったく乗り気ではありませんでした。なぜなら田舎からやってきた自分が、妃に選ばれるとは思っていないからです。しかし、初めての交流でフェリアの心は大きく変わります。たった一度、マクロンと目を合わせただけで、フェリアはマクロンのことを忘れられなくなってしまうのです。
それはマクロンも同じでした。自分が妃候補だと名乗りもせずに、ただただ自分のためにもてなし気遣ってくれたフェリア。そんな彼女の人柄に、マクロンの心はすべて奪われてしまったのです。
たった一度の出会いが、2人の運命を大きく変えました。
しかし、妃選びはそう簡単にはいきません。そもそも31番目の妃であるフェリアは、マクロンと会う機会が誰よりも少ないのです。だからといって、妃選びのしきたりを破ることもできず、2人はもどかしい時間を過ごすしかありませんでした。
マクロンは王という自分の立場を理解しながら、フェリアは31番目というハンデを背負いながら、2人を応援する周囲の力も借りて、少しずつ愛を育んでいきます。
田舎出身のフェリアとダナン国の王・マクロンによる身分違いの恋。立場の違う2人が出会い愛を育んでいく姿は、まさにシンデレラのよう。ぜひ2人の恋の行方を最後まで見守ってください。
ダナン国ではマクロン王の妃を決めるため、31人の妃候補を各地から集めていました。しかし、なかなか最後の1人である31番目のお妃様が決まりません。それには理由がありました。
妃選びの流れは全部で三段階。妃選びの第一段階は、マクロン王と妃候補の交流から始まります。その順番は1日目は1番目のお妃候補、2日目は2番目のお妃候補といったように、日にち順。そのため、31番目のお妃候補に選ばれた女性は、圧倒的に不利だったのです。
そこで声がかかったのが、辺境の地・カロディア領の娘フェリアでした。妃なんてまったく興味のなかった彼女でしたが、兄たちに言われるがまま妃候補として後宮入りします。
妃候補のことは適当に流しながら過ごそうと考えていたフェリアでしたが、そこで待ち受けていたのは女官長と30人の妃候補たちからの嫌がらせという名の洗礼。「貧乏くじ」と呼ばれる31番目の妃候補となったフェリアは、この後宮内でどのようにのし上がっていくのでしょうか。
1巻の見所は、フェリアと女官長による女同士の戦い。フェリアの態度が気に入らない女官長はフェリアに対して料理を支給しなかったり、部屋の家具もベッドだけにしたりと姑息な嫌がらせを続けます。しかし、フェリアはどこ吹く風。まったくへこたれる様子はなく、むしろ売られた喧嘩は買う!と楽しそうにしています。
- 著者
- ["七輝翼", "桃巴", "山下 ナナオ"]
- 出版日
女官長に邪魔されつつも、無事マクロンとの初交流を終えたフェリア。たった一度の出会いにも関わらず、2人はお互いを意識し合うようになります。
そんな時に始まったのが、マクロン主催によるお茶会。そこには31人の妃候補が集結していました。マクロンが主催したこのお茶会。じつはこの催しには彼なりの思惑がありました。まず招待状に「のんびりお茶を楽しめる軽装で」と記載していたこと。そして、妃候補たちがおすすめの茶葉を持参し、その中からマクロンが気に入った茶葉を用意した者は、彼と同じテーブルでお茶をすることができるということ。
この条件を満たしたのがフェリアでした。この出来事がきっかけで、妃候補たちにフェリアの存在が注目されるように。そして、彼女を妃候補から降ろそうと、怪しい動きをする人物も現れ……。
2巻の見所は、マクロンの妃になろうと決意するフェリアの気持ちの変化です。妃選びが始まって3ヵ月。今後も妃候補として参加するのかどうか、意思確認するための面談が始まりました。そこでフェリアはマクロンへの想いを伝え、今後は妃になるための努力を惜しまないと決意します。すでに逞しい性格のフェリアが、さらに頼もしく見えた瞬間でした。
- 著者
- ["七輝翼", "桃巴", "山下 ナナオ"]
- 出版日
マクロンへの想いを伝え、第二段階へと入った妃選び。フェリアは長老の長を務めるペレ・フォレットから、妃選びの第二段階となる妃教育を受けることになります。
一方その裏で、フェリアを妃候補から降ろそうと、怪しい動きをしていたのが11番目の妃候補・サブリナ。マクロンが主催したお茶会で、15番目の妃候補・ミミリーがフェリアを陥れようとしたものの失敗。今度は私が引きずり下ろしてやろうと、密かに毒を手に入れていました。サブリナはお茶会を開き、そこでフェリアに毒を盛ろうと計画していたのです!
3巻の見所は、サブリナ主催のお茶会。フェリアは彼女の盾となっているキュリーから、サブリナが毒を手に入れていることを事前に聞いていました。わざと知らないふりをして、彼女のお茶会に参加するフェリア。すべてを知った上で、サブリナを懲らしめてやろうと楽しそうに動きだします。
- 著者
- ["七輝翼", "桃巴", "山下 ナナオ"]
- 出版日
持ち前の明るさと前向きさで、どんな嫌がらせも困難も乗り越えていくフェリア。その姿に元気づけられます。
2021年5月現在、コミックスは3巻まで発売。『31番目のお妃様』はComicWalkerにて配信中ですので、この機会にぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。