将棋棋士から学ぶ人生観。決断を求められる人の座右の書5選

更新:2016.12.28

将棋をやったことがある人は、もちろん勝負をかける時の重要性を知っているでしょうが、将棋を知らない方でも、人生のあちこちで決断を迫られる場面に遭遇してきたと思います。今回は将棋棋士の勝負を通じて人生観をテーマに5冊の本を選びました。

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1.勝負の極意とは何か?直感力の磨き方を知る1冊『決断力』

中学生でプロ棋士になった天才・羽生善治氏が著書である本書は、いつ彼が重要な決断を下すのか、棋士としてどのようなことを考えているのかを書いた1冊です。

著者
羽生 善治
出版日

精神力や直感力というテーマについて、過去の対局を例に挙げるなど、わかりやすい具体例があります。もちろん将棋をしている人は将棋に活かすこともできますが、これはビジネスの世界でも同様に活かせるテーマであるでしょう。棋士の書いた本だから、将棋のことがメインなのだろうと思いがちですが、買い物などの日常生活からビジネスの話まで、幅広い面で役に立つ言葉が、彼自身の口から語られています。

大きな決断を下す立場にある人、またこれから新しい何かに挑戦していく人には是非読んでもらいたい1冊です。心構えから予想外のことが起きた時の対処法まで、メンタルを支えるためのテクニックが凝縮されています。

不利な状況をどう覆すか?困難な時にも万全に対処できる、羽生氏のプロとしての極意を味わってみてください。
 

2.己を知ることが大切!大器晩成型の竜王名人から学ぶ勝負の哲学『覆す力』

本書は森内竜王・名人の自叙伝的な面から、彼の勝負哲学が学べる本です。羽生善治氏らとともに奨励会に入会した後の、彼の人生がいかにして形成されてきたのかを通じて、羽生氏とは別のベクトルの「天才」の考え方が述べられています。羽生氏が物事を即決できるタイプの天才だとすれば、彼は明確な一手を極めるために時間をかけてでも自信を持てるタイプの天才と言えるでしょう。

じっくりと物事を検証するタイプの森内氏が語るメンタルの持ちようなどは、いったい自分は今どんな答えを出すべきなのか迷っている方にとっては、最善のアドバイスとなり得るような内容です。
 

著者
森内 俊之
出版日
2014-02-03

森内氏のファンでなくとも十分楽しめます。理由は、ライバルとどのように対峙していくかという過程が実体験として語られていることにあります。ライバルを持つ方は、勝ち負けにこだわりがちですが、森内氏はそのライバルとの対決を心から楽しんでいます。彼の勝負すら楽しむ姿勢は、ビジネスやスポーツに通じるところがあるでしょう。

相手のことを知り尽くしてから戦うことの重要性を説いた本書は、ライバルを多く持つビジネスマンにオススメです。例えば商社の営業であれば、競合他社のやり手営業マンなど、ライバルは枚挙にいとまがないでしょう。しかし、敵の性質を知り、動向を楽しむことで、仕事の場でも相手が次に打つであろう一手を読むことができるのです。

飛び抜けた才能やスキルを持っていなくても「天才」になれる秘訣とは?自分の強みとは何か?竜王名人の勝負哲学が、きっとあなたの人生観を変えるでしょう。
 

3.異端の棋士から学ぶ!長時間の集中力を持続させる秘訣『長考力 1000手先を読む技術』

名人戦となると1局に2日も要し、最大で7局にも及びますが、それほど長い間、棋士はどのようにして集中力を持続させているのでしょうか。本書は永世棋聖である佐藤康光氏による、長い間深く読み、最善の一手を決めるための極意が記された本です。

著者
佐藤 康光
出版日
2015-11-28

将棋の技術的な面よりも、この本は精神面でどのようなことが重要なのかを説いています。実際にあった過去のことから現在に至るまで、思考の仕方や集中力の持続させ方を分かりやすく解説しています。入念な準備で対極に臨む様子が、生き生きと描写されており、佐藤氏の真面目で几帳面な性格がよくわかる1冊と言えるでしょう。

長時間の思考の末に出した結論が、本当に正しいものだと自信を持って言えるためには、揺るぎない一貫性が必要です。

長時間の思考を続ける秘訣とは?本書はその問いに答えてくれます。
 

4.羽生が震撼する最恐の男!全てが実力という渡辺竜王の勝負の極意『勝負心』

本書は、将棋の世界は全て実力であるというドライな思考の渡辺明氏の勝負の仕方、心構えなどが率直に語られており、将棋好きな方はもとよりトップクラスの競争を生き抜く各種エリートに通じる1冊です。彼の勝負の仕方は、勘や運に頼るものでなく、将棋は全て実力でしか語ることができないという心構えから成り立っています。

著者
渡辺 明
出版日
2013-11-20

本書には、リアリストな彼が、勝負に対してどれほど勝つことに執心しているかだけでなく、心から将棋を愛しているか余すことなく書かれています。熱中すればするほど、将棋を好きになればなるほど、彼は強くなれたのです。これはどんな方にも通じることではないでしょうか。目の前にある物事にいかに熱心でいられるかが、勝負を決めるのです。

特にこの本が魅力的であるのは、1章を丸々全て、ライバルである羽生氏について記載しているところです。きっとこれくらいライバルについて語っている本は、他では見られないものでしょう。ライバルのことを知り尽くしているということは、徹底した勝負への準備を行っている証です。ライバルである彼に賛辞を送り、同時代に彼と出会えたことを喜ぶ姿は、トップ同士の熾烈な争いを繰り返してきた彼だからこそ語れるものだと感じます。

ハイレベルな争いを潜り抜けなければならない方、実力を磨きたい方には是非読んでいただきたい1冊です。
 

5.時間がなくても集中力は身につけられる!能力育成論法を論じた1冊『集中力』

本書はプロ棋士の谷川氏がビジネスなどで遭遇するシーンと比較して、どのような能力育成法を身に付けたかを論じた本です。そのため、将棋の本というよりはむしろ、ビジネスパーソン向けの本と言えるでしょう。

集中力の高め方や、スランプからの脱出方法など、誰でも人生で直面する出来事に置き換えて論じられているので、非常にわかりやすい内容となっています。
 

著者
谷川 浩司
出版日
2000-12-01

史上最年少で名人になった彼が、何人も後学の者を従えるようなベテランになってからの視点と昔の名人になりたての若かりし頃の視点とで語っているので、どの世代の方が読んでも共感する部分が多いのが特徴です。

タイトルは『集中力』ですが、実際の内容は記憶力や思考力といった生きる上で必要なスキルの重要性にも触れています。忙しいビジネスパーソンが、いかにして物事に取り組むべきか、そのヒントを与えてくれる本です。
 

今回は棋士の方から学ぶ決断力、そして思考力など勝ち抜いていくためには必要不可欠なスキルを伸ばすための5冊をご紹介させていただきました。トップエリートの思考はどのようなものなのか、またどれほど情熱や愛を傾けているのかを知ることで、勝負の鍵が見えてくるでしょう。

将棋が好きな方はもちろん楽しめますが、今回紹介した5冊の本はどれもビジネスの世界でトップを目指す方にこそ、読んでほしいものばかりです。プロの厳しい世界で生き抜く彼らの人生観を通して、自分なりの座右の銘を作ってみませんか。