『うしろの正面カムイさん』は幽霊にしか発情しない「霊能力者カムイさん」が、性交によって幽霊を除霊していくエロコメディ作品です。 「幽霊×エロ」という独特な設定が目を引きますが、予想の斜め上をいくギャグ要素も大きな魅力となっています。 今回はギャグ要素がたっぷり味わえる名場面を紹介します。
主人公は幽霊が見える女子校生の耳塚シズカ。シズカは悪霊を引き寄せる体質も持っており、そこに目をつけた霊能力者のカムイさんは彼女を助手として雇い、一緒に除霊をしていきます。
カムイさんはどんな幽霊や悪霊も除霊してしまうカリスマ霊能力者なのですが、除霊方法がかなり独特。
カムイさんは幽霊にしか欲情できないという性質を活かして、幽霊と性交し、絶頂に導いて除霊するのです。
登場する幽霊は「メリーさん」、「トイレの花子さん」など、一度は聞いたことのあるものばかり。妖怪や呪いの人形なども出てきます。
カムイさんは幽霊の特徴に合わせ、色んな方法を使って絶頂に導いていきます。そんなカムイさんの予想を超える除霊方法に思わず笑ってしまうこと間違いなし。
幽霊と性交し、絶頂に導いて除霊するという流れは同じですが、細かいパロディや予想のつかないボケの連続で、どの回も爆笑してしまう面白さがあります。
また、なんでもありのカムイさんのボケと、的確にツッコミを入れるシズカのバランスも見逃せません。
ここからは、『うしろの正面カムイさん』のギャグ要素が全開しているおすすめ名場面を紹介します。
- 著者
- ["えろき", "コノシロ しんこ"]
- 出版日
今回の除霊のターゲットは「テケテケ」という幽霊です。
「テケテケ」は事故にあって上半身と下半身が切断され、雪の寒さの中で苦しみながら死んでいった女性の幽霊であると言われています。
シズカの霊を引き寄せるという体質を使って、「テケテケ」をおびき寄せた後、カムイさんが除霊しようとします。
ところがテケテケは下半身がないので、カムイさんは「テケテケ」と性交することができません。
そんな状況もカムイさんには関係ないようで、下半身がないテケテケに対して耳を舐めて、「テケテケ」を絶頂に導こうとするのです。
カムイさんが言うには
耳と性器には密接な関係がある
耳の形をみれば女性の性器がわかるほどにな。
(『うしろの正面カムイさん1巻から引用)
さらに「ファントム・ペイン」という「失われた部位の痛みを感じる症状」を利用して、下半身がない「テケテケ」の性器を刺激して、絶頂まで導き除霊してしまいます。
シズカは冷静に「なんだこれ」とドライにツッコミを入れるところに、読者も大きく頷くことでしょう。
「上半身があるなら胸を攻めればいいのでは?」と思ってしまいますが、耳という斜め上の発想で除霊する発想がとても面白いです。
耳を舐めるという行為について、「ファントム・ペイン」という学術的な根拠を示しながら真面目に解説してくるカムイさんの姿にも笑ってしまうでしょう。
次はどんな霊が出てくるのか、そしてどんな方法で除霊するのか気になってしまいます。
シズカはひょんなことから、通っている高校で同級生たちと「こっくりさん」をすることになりました。
「こっくりさん」は狐の霊を呼び出して質問すると、五十音を書いた紙と硬貨を介して回答してくれる、という占いのようなもの。手順やルールを破ると呪われると言われています。
早速「こっくりさん」を始めるクラスメイト達ですが、シズカはめちゃくちゃ怒っている狐の霊を発見します。
「このまま続けたら殺される」と身の危険を感じたシズカは、こっそりとカムイさんに連絡をします。
ただ、シズカはカムイさんの破廉恥な除霊を友達に見られるのは困ります。カムイさんに誰にも見つからないように、こっそりと除霊するようにお願いするのですが…。
ところが、カムイさんは全裸で登場するのです。いきなり破廉恥な姿で友達の前に現れたカムイさんを見て、驚くシズカですが、どうやら友達にはカムイさんの姿が見えていないようです。
実は、カムイさんは他の人に見えないように幽体離脱をして、シズカを助けにきたのでした。
「こっくりさん」と性交をして、除霊しようとするカムイさん。「こっくりさん」は「イクイク」と叫びます。
それに合わせて、友達が指を置いている硬貨が突然、「い」と「く」の文字の間を激しく行き来し始めます。
友達も何が起こっているのかわからない様子ですが、シズカはとても恥ずかそうに除霊を見守っています。
カムイさんは無事に除霊を済ませ、元の体に戻っていきます。シズカも友達が無事だったことに安心するのでした。
「こっくりさん」の回では、幽体離脱をして性交するところや、「こっくりさん」が感じている様子を硬貨の動きで表すところなど、一度にたくさんのボケが発生するので、ツッコミが追いつきません。
予想がつかない展開の連続で笑い疲れてしまいそうですが、それが『うしろの正面カムイさん』の魅力です。
また、シズカは無茶苦茶な方法で除霊をするカムイさん対して、恥ずかしい気持ちや呆れている部分もありますが、きちんと感謝の気持ちを伝えます。
シズカとカムイさんの信頼関係が少しずつ見えてくるのも、作品のおすすめポイントとなっています。
カムイさんとシズカは「ジェットババア」と呼ばれる幽霊を除霊しにいきます。
「ジェットババア」は驚異的な速度で車を追いかける老婆の怪異で、彼女に追い抜かれた車は事故を起こすと言われ、ドライバーから恐れられているのです。
シズカはジェットババアをおびき寄せるために、危険な道を運転していきます。
早速「ジェットババア」が現れて、シズカの車を追い抜こうとします。さらに「ジェットババア」は一人ではなく何人もいて、全員でシズカの車に向かってくるのです。
どうやら「ジェットババア」には「ダッシュババア」「ホッピングババア」などいろんな亜種が存在していると言われていて、シズカの前にもたくさん現れたようです。
「ジェットババア」に囲まれてピンチになったシズカ。そこにカムイさんが登場。カムイさんは突然服を脱ぎ始めます。
全裸のカムイさんを見ただけで、「ジェットババア」達は「エエモン見たわい」と言いながら昇天し、除霊されていくのです。
どうやら「ジェットババア」のようなお化けは、生まれた時から老婆の姿で、怪談の舞台である「道路」にずっといるため、色事はほとんど経験していないようなのです。
そんな「ジェットババア」は、カムイさんの圧倒的な肉体美を見ただけで、天にも昇るような気持ちになり、昇天してしまったのでした。
人を恐怖に陥れる幽霊にも性欲や性への憧れがあり、それを逆手に取って除霊していくというストーリーに笑ってしまう人も多いのではないでしょうか。
さらに、「ジェットババア」の回では超有名アーティストの衣装や曲などのパロディも登場します。
パロディの内容は、ぜひ作品を読んで確認してください。
幽霊とエロの組み合わせが独特な『うしろの正面カムイさん』。幽霊と性交して除霊していくという大きな流れは同じなのですが、毎回いろんな形で笑わせてくれるので、飽きることはありません。
新たな仲間出来たり、最強の霊媒師であるはずのカムイさんがピンチに追い込まれる展開もあり、回を追うごとにどんどん面白くなっていきます。
幽霊が出てきますが、ギャグ全開なので、ホラーが苦手な人でも安心して読めます。ぜひ、『うしろの正面カムイさん』を読んでみてください。