こどものころ大好きだった絵本も、あらためて読んでみると感じ方が変わった自分に気がつくことがあります。子どものためにわかりやすい言葉を選び、ストレートに感じる感情を細やかに表現した絵本は、大人になった心で読むと揺さぶられる素敵な出会いになるかもしれませんよ。
内田麟太郎の「ともだちや」シリーズです。
さびしんぼうのキツネは、ともだち1時間100円の「ともだちや」という商売を思いつきます。トランプ相手を探していたオオカミとも、100円で友だちになりますが、オオカミからは「ほんとうのともだちからかねをとるのか、それがほんとうのともだちか」と言われてしまい……。
- 著者
- 内田 麟太郎
- 出版日
こどもの頃にはいつの間にかともだちになっていたのになあ、という経験を持つ方も多いかもしれません。ただ大人になると、ともだちを作ることが難しくなってきませんか?ともだちと無邪気に言える関係が少なくなるのは、どうしてでしょうか。
キツネとオオカミの姿は、きっと心のとげをとかしてくれるはずです。鮮やかな色づかいで生き生きと描かれた降矢ななの絵が、なおいっそう心を元気にしてくれます。
アメリカの超ベストセラーの絵本です。
生まれたばかりのあかちゃんをだっこしながら、おかあさんは語りかけるように歌います。あかちゃんはどんどん大きくなり、2歳、9歳、ティーンエイジャーと、子どもの成長とおかあさんの動揺と愛情が描かれ、おかあさんからこどもへ、むすこからむすめへと歌は続いていくのです。
- 著者
- ロバート マンチ
- 出版日
- 1997-09-30
「アイラブユー フォーエバー アイラブユー」と優しく歌い出すマンチの歌は、アメリカでは誰もが知っています。歌からはじまった『ラブ・ユー・フォーエバー』のことばが、ページをめくるたびに心地よく響いてきます。皆さんがティーンエイジャーの頃は、ひとりで大きくなったような気がしていませんでしたか。家族の愛があるから心が強くなる、そんな自分に気づかされるかもしれません。
作者のロバート・マンチはアメリカで育ち、就職し子どもと一緒の仕事がしたいと考えました。カナダの大学で教員となったマンチは、幼稚園で学生指導を行い、オーバーな表現と声で語るマンチのストーリーテリングは子どもたちにいつも大人気でした。ロバート・マンチの『おしっこでるよ』など数々の物語は、大勢の子どもたちに話すストーリーテリングから生まれています。
本を開くたびに、愛が心いっぱいにあふれるおすすめの一冊です。
心優しいマイアサウラと、ずるくて弱いものいじめばかりするようなティラノサウルスの恐竜が登場します。
マイアサウラのおかあさんが、自分の産んだたまごと拾ってきたたまごを大切に育て、生まれてきたティラノサウルスのあかちゃん。マイアサウラの子にライト、ティラノサウルスの子には、ハートと名前をづけ、大きく成長していく二頭。しかしついにハートは自分がティラノサウルスだと知る日がやってきます。
- 著者
- 宮西 達也
- 出版日
大人になって、道が別れても、何があっても相手のことを思っている。相手を思いやる愛を感じさせるお話です。心にじんわりとあたたかさや悲しさが伝わって、本を閉じると泣いてしまうかもしれませんよ。
かわいらしい恐竜たちの表情に、恐竜が苦手な人も名前のよく似た恐竜の種類がすっと記憶に残ります。この本をはじめとする宮西達也のティラノサウルスワールドにひたってみてくださいね。
子育て中のママなら誰もが感じる不安や心配が描かれています。悲しいニュースなどを見ると、「この子たちの未来はどうなるのだろう」と心が不安でいっぱいになりますよね。しかし、そんな時でも、赤ちゃんは笑うのです。突然大きなくしゃみをして、私たちをハッと我にかえらせてくれることもあるでしょう。
「いつもいつも守られているだけの存在じゃないんだよ!」と言ってくれているような、赤ちゃんの力強さに気づかせてくれる1冊です。
- 著者
- おーなり 由子
- 出版日
- 2014-10-18
何か考えごとをしているところにそろっと寄ってきて、にっこりと満面の笑みを浮かべて見上げてくれる、夜、安らかに眠るわが子の手にそっと触れると、ギュッと握りしめてくれる。
子どもたちはもちろん何かを意図してそれをしているわけではありません。でもこのような些細な行動や仕草に、なぜか励まされ力が出てくることってありませんか。
小さな幼い子どもたちは、私たち大人が思っているほど弱い存在ではないのだと気づかされるでしょう。生きる喜びやエネルギーにあふれています。作中でも描かれていますが、「ひかりをまきちらして」、全身で生きているのです。
子育てについての不安や心配は次から次へと出てきます。きっと消えてなくなることはないでしょう。でもそれをそっと横に置き、また頑張ろうと力が湧いてくる、そんな絵本です。
おじいちゃん、おばあちゃんを誘ってみんなでお散歩へ出かけよう。ゆっくりのんびり歩いていけば、ぼくらのまわりは、こんなにも楽しいことであふれているというメッセージが込められたお話です。
- 著者
- いとう ひろし
- 出版日
- 1995-10-17
ぼくは、歩けるようになったころから、おじいちゃんと一緒に毎日のようにお散歩を楽しんで日々を過ごし、新しい冒険や楽しい出会いに、たくさんの不安や驚きを感じながら成長していきます。おじいちゃんは手を握りながら、おまじないのようにつぶやいてくれます。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」は、人に言われると安心するおまじないのような言葉ですね。物心ついたときから一緒にいるおじいちゃんに言われる言葉は、とても心強いに違いありません。安心がひろがると、心に自由の羽が生えたように興味も広がっていくでしょう。作者が描いた、心を和ませてくれるほのぼのとした絵と一緒に、心をやわらかくひろげてみませんか。
新しいろうそくに火がともされ、お話は始まります。幸せな時を照らし、つらいときには心に寄り添い、寂しいときに暗闇を優しく照らす。大切な日にともされるろうそくには、たくさんの願いや思いが込められていきます。
- 著者
- 林 木林
- 出版日
最近では、日常からすっかり姿を消してしまった、ともし火。じっと見つめていると安らぎを感じるでしょう。太古の昔から、ともし火は、人の心になにか語りかけているようです。
大人になり、育った家を出て、どこか遠くまで来てしまったような気持ちになったことはありませんか。寂しさに押しつぶされてしまう夜もあるかもしれません。そんなときは、あたたかく見守ってくれるあかりを感じてみましょう。
読む人に、ゆっくり語りかけてくれるおすすめの絵本です。
生まれたばかりの小さな赤ちゃんに、優しくキスをするお母さんが描かれているところから始まるこの絵本。小さかった赤ちゃんがすくすくと育って少女へ、そして自立した1人の女性へと成長する姿を見守る母親の愛情が、優しいイラストと共に温かく描かれています。
- 著者
- アリスン・マギー
- 出版日
- 2008-03-06
母であることの幸福感や子の成長を感じる喜び、そしていつかは訪れる、子が離れていくときのちょっとした寂しさについて描かれているこの絵本。いま子育て中のママたちも自分の子どもに同じような思いを抱いている、とたくさんの部分で共感できることでしょう。
そして小さかった娘もいつか母になる日が来るかもしれません。わが子が自分と同じように「母」になるかもしれないことへ思いがめぐらされている部分があります。
「いつか あなたも、たくましくなった その せなかに ちいさな おもさを せおうときが くるかもしれない」(『ちいさなあなたへ』より引用)
ここまでは作中の「お母さん」に「母親である自分」を重ねて読んでいても、ここからは「お母さん」に「自分の母親」を重ね合わせたくなりませんか?
自分が子どもに対して抱いている愛情と同じくらい、自分も母から愛情をもらってきたのだということに改めて気づかされます。子育ては「嬉しさ」や「不安」でいっぱいの毎日ですが、自分の母も同じように自分を育ててくれていたのだということに思いを馳せると、今まさに生命のバトンを繋いでいるのだと感慨深くなります。
子どもへの愛情を改めて感じるのはもちろん、いまこの瞬間も母は自分を見守ってくれていることへの感謝の気持ちが湧いてくるでしょう。
生まれてきた赤ちゃんがママに語りかけるという様式でつづられている絵本です。優しい語り口、やわらかなタッチのイラストは読み手である私たちからゆったりとした気持ちを引き出してくれます。
- 著者
- 葉 祥明
- 出版日
本作の赤ちゃんは、障害のある状態で生まれてきました。母親は、自分の子どもに何かしらのハンディキャップがあると分かったとき、すぐにその事実を受け入れるということは難しいかもしれません。
「ボクのカラダは、けっしてまちがいや、ぐうぜんで こうなったんじゃないんだ。もちろん、なにかのつぐないなんかでもない。」「うまくいえないけど、このカラダは、ボクじしんがのぞんだものなんだよ」(『生んでくれて、ありがとう』より引用)。
でもハンディキャップって何なのでしょう。目に見えるもの?見えないもの?この絵本では人は誰も何かしらのハンディキャップを抱えて生きている、完全な人はいないと記されています。各々の違いがあるからこそ学べることがたくさんあるのだ、と。
この絵本の最初から最後まで強く感じるのは、「ボクはあなたの子どもになりたくて生まれてきたんだ」というメッセージです。「ママを選んでくれてありがとう」、読後には我が子にそう伝えたくなります。今我が子と一緒に過ごしている1日1日を大切に生きていきたい、と思わせてくれる絵本です。
かみさまに「うまれていいよ」と言われ、ママを探している赤ちゃん。背中には小さな羽根が生えています。僕のママはどこにいるんだろう?わが子が自分の元に生まれてきてくれたことに、感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。
- 著者
- にしもとよう
- 出版日
- 2011-04-15
『うまれてきてくれてありがとう』は羽根の生えた赤ちゃんがママを探しているうちに色々な動物に出会います。くまくんも、ごりらくんも、ぶたくんたちもみんな大好きなママに寄り添います。そしてママからは「うまれてきてくれてありがとう」の言葉が。
我が子を初めて抱いた瞬間、それがどんなに嬉しく幸せなことだったとしても、毎日忙しい子育てに日々追われていると、その時の思いはどうしても薄れていってしまうものです。この絵本はその時の瞬間を思い出させてくれます。
生まれてきてくれてありがとう、私をあなたのママにしてくれてありがとう。この気持ちを言葉にして伝えたい、我が子をギュッと抱きしめたい、そう思わせてくれる絵本です。
今回は、とっておきの愛を感じる感動の絵本を、ご紹介しました。子どもと一緒に遊んでいると、心の絡まりがほどけることがたくさんあります。絵本のお話を、ただ素直に受け取る遊びを、もういちど手にとってはじめてみてください。